2021年3月21日(日)名古屋・日本ガイシホールで開催される「RIZIN.27」にて、ライト級(5分3R・ヒジあり)で、ホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ柔術)と対戦する徳留一樹(パラエストラ八王子)が所属ジムで1分のミット打ちとグラップリングスパーリングを公開。その後、リモートインタビューに応じた。
RIZIN初参戦となる元UFCの徳留(33歳)は、第6代PANCRASEライト級王者。MMA20勝10敗1分で、PANCRASEから2013年にUFCに参戦し、クリスチャーノ・マルセロに勝利も、ジョニー・ケースに敗れるなど1勝3敗でリリース。
PANCRASEに戻り、北岡悟にKO勝ちでライト級王座を獲得するも、現在RIZINに参戦中の久米鷹介に敗れ、王座陥落。2018年7月にONE Championshipに参戦し、ジャダンバ・ナラントンガラグに判定負け、73kg契約でクリスチャン・リーにも敗れたが、2019年5月にエイドリアン・パンにTKO勝ち、10月にジョニー・ヌネスに判定勝ちで、現在2連勝中だった。
名古屋大会で対するサトシ(31)はMMA10勝1敗。柔術世界選手権のムンジアルで黒帯ライト級準優勝。MMA7連勝でRIZINに参戦し、北岡悟、廣田瑞人をいずれもKO・TKOで下し、怒涛の9連勝。2019年10月にライト級トーナメントに参戦もジョニー・ケースに1R TKO負け。2020年8月に矢地祐介を1R マウントからのパウンドでTKOに下し、再起を飾っている。
QUINTETで同じチームながら、同門というわけではない強豪グラップラーを相手に徳留は「互いに割り切っているので、リングに上がったら倒すだけ」と、試合のオファーがあった時点で気持ちを決めていたことを語り、サトシについて「下(寝技)になっても自信があるから、思いっ切り打撃を振って来れる」と、寝技のみならず打撃も警戒した。
ONEで2連勝中のまま、RIZIN参戦を決めた想いを、「なかなか試合が組まれないなか、家族もいるんで、仕事をしなきゃと考えて、最後に日本でどうにかやれないかと考えていて、そうしたらこんなデカい話が来ました。自分的にはPANCRASEでエキシビションとかで試合をして引退するのかなと思っていましたが、まさかこんな大きな舞台で、しかも相手がサトシという。順番的にもセミファイナルで試合させてもらえると。この1年、練習を欠かさず毎日やってきたので、強くなっている実感はあるので、それをぶつけられる」と、自身のキャリアの最終章にあることを吐露しながら、「強くなっている実感」を「ぶつけたい」とした。
2014年のUFCでジョニー・ケースに2R、ギロチンで一本負けした徳留、2019年のRIZINでケースに右アッパーを受けて1Rにタップしたサトシ。それぞれの“その後”が見える、ライト級の注目試合。徳留との一問一答は以下の通りだ。
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PANCRASEでエキシビションとかで引退するのかなと思っていた
──試合まであと2週間を切りましたが、現在の心境はいかがですか。
「心境……試合が決まってからはやっぱり早いっすね。いよいよ試合の時だなと感じています」
──対戦相手のサトシ選手とは過去にQUINTETで同じチームで、組み技の強さは感じていると思います。MMAファイターとしてのサトシ選手の印象を教えて下さい。
「この試合が決まってから、サトシのRIZINでの試合をほとんど見ました。寝技が出来ることで、打撃が思いっきり打てるので、怖い打撃を持ってるなと思います」
──サトシ選手に勝てばライト級GP覇者のトフィック・ムサエフ選手とのタイトルマッチも考えられますが、RIZINのベルトへの意識はありますか。
「全然ないですね。やっぱり勝ったらそういう話になるかもしれませんが、いまはサトシに勝たないと何にもならないので、自分はそれだけに集中しています。今回この試合でRIZINに出て、評価やファンの方にも注目してもらえる試合だと思うので、この後、何試合するかではなくて、この試合に自分はすべてを賭けています。なので今後の試合については終わったら考えます」
──会見でサトシ選手は「徳留選手とやりたくなかった」と話していましたが、徳留選手は今回のサトシ選手との試合について、正直どう思っていますか。
「自分も出来るならやりたくないですが、RIZIN側がサトシを対戦相手と決めてくれたので、それはもう向こうも割り切っていると思いますし、自分も割り切っているので、リングに上がったら倒すだけだと思います。平気です」
──サトシ選手を殴る覚悟はあると。
「全然あります」
──ONEで2連勝していましたが、今回、RIZINで試合をすると決心した思いを聞かせて下さい。
「記者会見のときは急な質問でうまく答えられなかったんですが……あとあと考えたら、(新型コロナウイルスの影響で)ONEでなかなか試合が組まれないので、家族もいるんで、仕事をしなきゃと考えて、最後に日本でどうにかやれないかと考えていて、そうしたらこんなデカい話が来ました。自分的にはPANCRASEでエキシビションとかで試合をして引退するのかなと思っていましたが、まさかこんな大きな舞台で、しかも相手がサトシという。順番的にもセミファイナルで試合させてもらえると。この1年、練習を欠かさず毎日やってきたので、強くなっている実感はあるので、それをぶつけられるというのもすごい、RIZINには本当に感謝してますね」
(C)ONE Championship
──ちなみに、これまではONEでは水抜き禁止で77kgでしたが、今回は前日計量の71kgとなります。以前のPANCRASEや北米ではやっていたかと思いますが、このやり方はご自身にフィットしていると思いますか。
「減量して前日71kgということですよね。正直、今まで77kgでやってきたので、ちょっと体重どうかなと思っていたんです。年齢的にも今回、減量大丈夫かなと。それがめちゃくちゃ上手く行って、今までのファイター生活の中で、一番減量が上手く行っているんじゃないかなというくらい、飯も全然食べれていて、びっくりするくらい体重の落ちが良いですね」
──身体つきがすごいですが、普段どんなトレーニングでその身体になるのでしょうか。
「筋トレは好きじゃないので、MMAの動き、グラップリングや打撃をしっかり、むちゃくちゃ追い込む。そうすると筋トレしていないですが、こういう身体になってきます」
──SNSでは木口道場時代の先輩の五味隆典選手の所での練習風景の写真をアップされていましたが、所属のパラエストラ八王子に加え、GENスポーツなど、出稽古はその辺りに行かれているのですか。
「五味さんにはたまたま呼ばれて、『ちょっとお前、来いよ』と言われて1回行っただけです(苦笑)。GENスポーツを中心に、皆でぐるぐる回すので、大きい選手とも減量を始めても気にせずやっていました。ラントレやミットは館長(塩田”GOZO”歩)に持ってもらっています」
──ところで、リングでの試合はUFC以前のPANCRASEになりますよね。2011年のISAO戦はたしかリングでした(2012年8月のPANCRASEでの宇良健吾戦の判定勝ち以来のリング)。徳留選手のスタイル的にはいかがですか。
「そうですね。ONEでは一度もリングでの試合になったことがないので、それがどんな風になるか分かりませんが……まあ平気じゃないですかね」
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サトシはジョニーよりちょっと下。自分はジョニーからテイクダウンを何回も取れている
──サトシ選手と戦えることでモチベーションが上がっていると思いますが、サトシ選手をMMAファイターとしてどう捉えていますか。
「やっぱり寝技が上手いというバックボーンがあるので、下(寝技)になっても自信があるから、思いっ切り打撃を振って来れるというのがちょっと怖いですね。そこは自分も慎重にならないといけない所です」
──たしかにサトシ選手の寝技は脅威で、多くの選手が警戒することで自身の戦い方が難しくなってしまう。その点、徳留選手はどうでしょうか。組みを凌いで、あるいはテイクダウンされても──ケージではなくリングではありますが──立ち上がれる、自分が上になることが出来ると考えますか。
「ちょっと肌を合わせてみないと分かりませんが、自分的には上をキープ出来るかなというのはあります。一本取れるか・取れないかは別として、自分はキープ力、テイクダウン能力はそんなには違いないかなと思いますし、試合で肌を合わせてみて、そこでは勝てないなと思ったら、違う作戦で行くしかないと思います」
──強い寝技があることで打撃も活かす。これまで徳留選手は、J.J.アンブローズやクリスチアーノ・マルセロ、クリスチャン・リーのような寝技巧者で思い切りのいい選手とも対戦してきました。サトシ選手は、これまで徳留選手が戦った相手にはいないタイプの選手でしょうか。
「クリスチャン・リー(現ONEライト級王者)は本当に強かったので……あの試合は3日前くらいにオファーが来たんで、練習はしていたけど、強かったですね。(2014年9月のUFCで)自分が対戦したジョニー・ケースに、サトシは負けているので、ジョニーよりはちょっと下かなと思います。自分はジョニー・ケースに負けています(ギロチンチョークで一本負け)が、テイクダウンを何回も取れているし、そんなには違わないかなと思いますね」
──先程ベルト云々ではないと言っていましたが、RIZINのライト級にはトフィック・ムサエフ選手、サトシ選手、武田光司選手、久米鷹介選手、大原樹里選手、矢地祐介選手、あるいはダミアン・ブラウン選手……これらのファイターと鎬を削っていくと言うよりも、RIZINの中で一つひとつ、納得の行く試合をしたいという思いですか?
「そうですね……今後のことは別に考えていないです。サトシとの試合がどうなるか分からないので、まずはしっかり勝たないと。他の人に目移りしたら勝てないと思っています。サトシのことだけに集中しています」
──試合の機会がない中で、ONEでは打撃とテイクダウンのトランジッションが噛み合い、良い形で2連勝していたように感じました。そんな中で、RIZINに舞台を移し、ファイターとしてのキャリアの最終章に向かい、実力を示したいという思いもありますか。
「集大成をしっかり見せられるように……この1年、試合が出来なかった分、練習してきたことを、自分を支えてきてくれた人達に見せられるように出すだけです」
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『永遠のナンバー2』のコピーに義理の兄(八木智哉)から「こんな風に言われてるぞ」って連絡が来て──
──ところで、PANCRASE王者にも就きながら、今大会の事前動画で「永遠のナンバー2」とコピーがつけられたことについてはどう思っていますか。
「フフフ、自分では全然、気づかなかったんですけど(笑)。義理の兄(元プロ野球選手の八木智哉、現中日ドラゴンズのスカウト)に「こんな風に言われてるぞ」と言われて。『永遠のナンバー2』って何なのかは分からないですが、見ている人が“何だ、コイツ”と思ってくれたら良いんじゃないでしょうか」
──あらためてRIZINのイメージ、どんな風に見ていたか教えて下さい。
「RIZINのイメージ……日本で一番デカイ団体で、大晦日のイメージです。日本の大晦日といえば格闘技なので」
──それは、UFCやONEとは違う感覚はありますか。
「会場で試合する分には変わりないと思いますが、インタビューなど、それぞれ個性があるかなと思います」
──徳留選手の個性を、RIZINのリングでどう表現したいですか?
「アピールポイント的には、変わらないですね。自分は変わらないです。プロモーション毎に見せ方は変わりますが、パフォーマンス的には変わらないです。ファンに向けて、そうですね……当たったら、ですが左ストレートを見てもらえたら」
──最後にファンにメッセージをお願いします。
「これまで海外でやってきたので、こうやって日本でも大きな舞台で戦えることが光栄だし、ファンの方々に認めてもらえるように頑張るので、応援よろしお願いします!」