キックボクシング
インタビュー

【REBELS】日本人相手に6年半無敗の重森陽太、目指すはKNOCK OUTで同時二階級制覇

2021/02/18 19:02
【REBELS】日本人相手に6年半無敗の重森陽太、目指すはKNOCK OUTで同時二階級制覇

蹴りとヒジ打ちを得意とする重森。潘を退けて日本人最強を証明し、スアレックとのリベンジマッチを実現させるか (C)REBELS

 2021年2月28日(日)東京・後楽園ホール『REBELS~The FINAL』で、元WPMF日本スーパーライト級王者・潘隆成(=ぱん・りゅうそん/クロスポイント吉祥寺)と対戦する、WKBA世界ライト級王者・重森陽太(伊原道場稲城支部)のインタビューが主催者を通じて届いた。

 重森は16歳でプロデビューし、10戦目で無敗のまま新日本キックボクシング協会の日本バンタム級王者となり、14戦目で初黒星を喫するまで無敗を保った。20歳で日本フェザー級王者となり二階級制覇を達成。2017年12月には『KNOCK OUT』で、4年間無敗の18連勝を誇っていたマキ・ピンサヤームに黒星を付けてその名を轟かせる。2019年7月にWKBA世界ライト級王座を獲得して三階級制覇。12月にはシュートボクシングに乗り込み笠原弘希にヒジ打ちでTKO勝ち。しかし、2020年9月の「創世のタイガGRAND PRIX 61.5kg REBELS-RED初代王座決定トーナメント」の1回戦で小川翔に勝利するも、決勝でスアレックに敗れ王座獲得ならず。2018年12月以来の黒星を喫した。

接戦にはなりそうですけれど、ドロドロの塩試合にはならないと思う

──いきなりですが、会見などでの言葉遣いや物腰がものすごく丁寧ですよね。

「そうですか?(笑) ありがとうございます。……丁寧ですかね? メールなどはビジネスベースで基本的なご挨拶をちゃんとしないとなと心がけたりもしてますけれど……」

──もしかしたらキック界、いや格闘技界一なんじゃないかと思うぐらいですが。

「どうなんですかね?(笑) でも、同じ伊原道場の(江幡)塁さん、睦さんはすごく丁寧ですよ。その影響はあるかもしれません。やっぱり伊原信一代表、稲城支部の栗芝貴会長の教えですね。あと、私は大学を卒業して一般企業に就職しているので、それでビジネスマナーを心がけなきゃというのもあります」


──のっけからリング外の話で失礼しました(笑)。さて、1月のカード発表会見では「潘選手とはスタイルが似ている」というお話をされていました。具体的に、どういう部分に感じますか?

「潘選手が新日本キックで勝次選手と試合をした時に、『あ、なるほどな』と思ったんです。私がもし勝次選手と試合をしたらこうしたいなと思っていた動きを、潘選手がしてたんですよね。その組み立てとかを見て、『ああ、似てるんだな』と思いました。たぶん、好きな技とかも似てるんだと思います」

──似たスタイル同士の試合となると、接戦になってしまうのではないかと思うんですが、いかがですか?

「うーん……そこがけっこう面白いところで、フタを開けてみれば全然違う展開になることもあったりするし、思ってもない展開に勝手になっちゃったりするんですよね。だからそこはあまり意識しないで、普通に試合をすれば面白くなるんじゃないかなと思います。ドロドロでドローになることはないと思うので」

──なるほど。

「普通は、タイプが似てると確かに試合が動かなくなりがちなんですけれど、その中で無理やり動かさないといけない場面って、必ずあるじゃないですか。そこが楽しみですよね。でもそれって、狙ってできることではなくて、噛み合って噛み合って、どっちかが崩していくから面白くなるんですよ。だから……あ、結局は接戦になるんですかね(笑)」

──結局はなりますか(笑)。

「接戦にはなりそうですけれど(笑)、ドロドロの塩試合にはならないと思います。自分としては、試合の中でリズムや戦い方を変えたりというのは得意な方なので。その中から突破口を見つけて勝ちたいです」


──そのあたりの自信もあって、対日本人ではデビュー以来1回しか負けていないということなんですね。

「バンタム級時代に防衛戦で負けたのみですね(2014年10月、瀧澤博人戦)」

──ということは約6年半、日本人に負けなしということですよね。レベルの高い新日本キックと、近年は『KNOCK OUT』など戦いの場も広がっている中で、すごいことだと思います。

「誰も言ってくれないので、会見では自分で言ってみました(笑)。言ったら言ったでプレッシャーもかかるんですけれどね」

──今回はリカルド・ブラボ選手とともに『REBELS』のリングに乗り込む形になります。「新日本キックを背負う」という意識は強いですか?

「そうですね。このところ『REBELS』『KNOCK OUT』と新日本キックの交流が増えていて、僕は『REBELS』は初めてなんですけれど、『KNOCK OUT』には何度か出させていただいて、アウェイ感は少しずつ減ってきているなとは思います。ファン層は近いのかなと思うし、ちょっとそういうファンの方々と交流もさせていただいたのもあって。ただ今回、『REBELS』のファイナルじゃないですか」

──はい、今大会で封印ということになります。

「何となく私のイメージだと、『REBELS』の選手だけでやるのかなと思っていたんですよ。そしたら新日本キックから2人も呼んでくれて試合を組んでくれるのは、さすがだなと思いました。『REBELS』って「反逆者」という意味ですよね? そのテーマを最後まで貫くのはカッコいいなと」


──重森選手の思う「新日本キックの強さ」って、どういうものだと思いますか?

「新日本キックって、社会で言うと資本主義的な面があると思うんですよ」

──資本主義的?

「他の団体ですと、ランカーあたりから入場曲がかかったり煽り映像が入ったり、スポットライトが当たり始めますよね。でも新日本キックって、チャンピオンにならないとそういうことがないんですよ。だから競争がすごく激しくて、『チャンピオンは一番強くなければいけない』という意識がすごく刷り込まれてる団体だと思うんです。だから勝ちへの執着が一番強い団体なんじゃないかなと思いますね」

──ああ、分かります。

「よくも悪くも、というところはあると思うんですが、チャンピオンにならないとスポットライトが当たらないというのは面白いですよね。だからこそ、チャンピオンに対するいい意味でのプレッシャーがあって、そこは選手にとって大きい部分だと思います。他団体に出るからには絶対に勝たないとというのもありますし」

──今回の試合は、もちろん今後の『KNOCK OUT』にもつながっていくと思います。そこでどうしていきたいですか?

「『KNOCK OUT』の階級設定が変わったんですよね。新日本キックのライト級は61.2kgなんですが、『KNOCK OUT』ではスーパーフェザー級が60kg、ライト級が62.5kgということで、ちょうど真ん中なんですよ(笑)」

──確かにそうですね。

「ずっと61.2kgで体を作っていたので、どうしようかなと。でも逆に言うとどっちもやれるということでもあるので、スーパーフェザー級とライト級、両方の階級でやっていきたいですね。2階級のベルトを同時に持ちたいというのが今の夢です。2階級制覇ならよくありますけれど、同時に2階級保持というのはあまりないので。例えば4月にスーパーフェザー級のタイトルマッチをやって、6月にライト級のタイトルマッチをやって……という感じで」


──青写真ができてますね。

「あとは、スアレック選手がチャンピオンのうちに自分がベルトを奪取したいというのがあります。スアレック選手は実績もありますし、実際に対戦しても強かったので、それを乗り越えてチャンピオンになりたいです」

──新日本キックも背負って。

「はい、対抗戦はこれからもどんどんやっていきたいと思いますし、伊原代表に期待していただいている分、しっかり結果を残していかないとと思っているので、新日本キックの切り込み隊長的な立場はキープしていきたいと思います」

──では最後に、改めて意気込みをお願いします。

「10年間続いた『REBELS』が今回で最後ということで……キック団体としては新しい方だと思いますが、最初の頃から注目されていましたし、今見てみると、『REBELS』出身の有名選手ってすごく多いんですよね。その最後に出られるということで、『KNOCK OUT』にもつながるような勝ちを掴みたいと思います。3月が「REBORN」ということですが、ここから“始まり”を匂わせることができるように、「『KNOCK OUT』でまた重森陽太が見たいな」と思われるような試合をして、しっかりと『REBELS』の幕を引くお手伝いをさせていただきたいです。「反逆者」というテーマにも甘えさせていただいて(笑)、オイシイところをしっかりといただきたいです」

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