2021年3月21日(日)名古屋・日本ガイシホールで開催される「RIZIN.27」の会見が2月12日、都内にて行われた。
そのなかで16選手参加のバンタム級日本GPの開催を発表した榊原信行CEOが、会見後に囲み取材に応じ、その詳細を語った。
「日本人16人でスタートすると、4月東京ラウンド、5月大阪ラウンドで勝ち上がった8人が秋にバンタム級日本GPの準々決勝を行い、大晦日に“堀口を除いた”日本人最強が決まります」と、1年を通したGPであることを明かした榊原CEO。
続けて、「堀口にはBellatorのベルトに挑むチャレンジがあるので、大晦日の勝者に“2022年に堀口と戦う日本人”の称号が与えられます」と、王者・堀口に挑戦出来るのは2022年とした。
ダブルチャンピオン返り咲きを狙い、さらにUFCのベルトも視野に入れる堀口は、世界の団体や、バンタム級ファイターたちからラブコールを送られている状況だ。
榊原CEOは「世界中のファイターたちがある意味、堀口の首を狙っているし、スコット・コーカーもBellatorにウェルカムで、Bellatorバンタム級を主戦場にしてほしいというくらいのワールドクラスの選手なので、(日本GPで)分かりやすくそういう(堀口に挑戦する)機会を作れたらいいなと」と、右膝前十字靭帯断裂と半月板損傷の大怪我から復活を果たした堀口の試合機会が、貴重なものになっていると説明した。
堀口を振り向かせるためには、名実ともに「日本一」の称号が必要だと、榊原CEOは言う。
「そこまでしっかり勝ち抜いてくれば、堀口恭司もやる意義を感じるんじゃないかと。僕らが野面(あつかましく)で誰か日本人の──たとえば朝倉海とリマッチ、井上直樹が頑張ってきたから井上──ということじゃなくて、分かりやすく堀口に届きたい、バンタム級のベルトに届きたいなら、この日本人のバンタム級GPに出て来て、ここで日本チャンピオンになれ、と。そうすればバンタム級タイトルマッチに並ぶ候補選手の一人として名乗りを挙げられる。ここまでキャリアのある選手もそうだし、今日出て来た田丸匠にしても、朝倉海も含めて、そこ(堀口恭司)に届こうとするなら、この16人にラインナップしてくるしかないですね。そういう戦いを4月から横串に刺して展開したい」
このバンタム級日本GPの開催について「朝倉海とも話をしたのか」と問われると、CEOは厳しい口調で、「いやしていない。嫌なら出なければいい。堀口に届かないだけなので。負けるってそういうことだから。特別扱いはないので。だけど、そのGPにしっかり勝てばもう一度チャレンジ──堀口にも『ここまでやったんだからやれよ』という説得力はあるでしょう。これが一番、海にとっては近道だと思います」と、前王者がリヴェンジするためには通らなければならない関門だと語った。
では、バンタム級日本GPの16人は、どんなメンバーが予想されるか。
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「天才」田丸匠、「夜叉坊に勝った」祖根寿麻も生き残り戦
3月21日の開幕戦でも、バンタム級相当の61.0kg契約で、田丸匠vs.渡部修斗、祖根寿麻vs.獅庵が決定している。
注目の“天才”田丸匠は、修斗バンタム級世界2位。フライ級からバンタム級転向後3連勝での環太平洋王座戦で安藤達也に敗れたものの、2020年12月にダイキ・ライトイヤーにマルセロチンを極めて一本勝ち。再起を果たしている。
会見で田丸は「今、RIZINが国内で一番バンタム級が強くて、その中で自分もどんだけ出来るのかというのを試しに来ました。堀口選手に1、2年で届くようにチャンピオンになる」と、初参戦の意気込み。
対する渡部修斗も、2020年8月のRIZINで井上直樹に敗れた後、2020年12月の再起戦で寺田隆をマジカルチョークで極めて復活すると、Fighting NEXUSバンタム級王座を返上。RIZIN再挑戦をアピールしていた。
会見では、「初代シューターの渡部優一を父に持つ自分が、修斗を代表する田丸選手と戦うことを運命に感じています。周囲はどう思っているか分かりませんが、僕は差はないと持っているし、本気で勝てると思っています。僕みたいな雑草でも必死になって努力すれば、天才を超えられるという所を見せたい」と、「修斗」の名に恥じない戦いを誓った。
もう一つのカードに登場する祖根寿麻は、元修斗環太平洋バンタム級王者。2019年8月にRIZINに初参戦し、ジャスティン・スコッギンスに判定負けしているが、2021年1月の前戦では、修斗で元UFCの石原夜叉坊と当日計量の65.8kg契約で戦い、判定勝ちを収めたばかり。
祖根は、「皆さん、2年ぶりです。風の時代の中心にいる祖根です。最初、獅庵と聞いた時に誰? って思っちゃったのが本音です。ナメられているのかなと思ったんですが、僕もこの身を削って戦っているので──ダメだな。難しいこと言おうとしても、相手もブッ倒しに来ると思うので、俺がブッ倒します」とKO宣言。
獅庵は関西の“一撃必倒”ファイター。DEEP、PANCRASE、GRACHANと渡り歩き、前戦ではGRACHANバンタム級王座決定戦に出場。判定で戴冠はならなかった。「RIZINで戦うことにワクワクしています。試合を見てもらえれば分かりますが、盛り上げるので楽しみにしていてください」と、こちらも激闘を予告している。
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バンタム級日本人、16人に入るのは──
堀口との対戦を望む選手は、まずは4月開幕予定の日本GPの16人のなかに入る必要がある。サバイバルマッチに臨む3月名古屋大会出場選手のほかに、出場候補と目される選手を挙げて行こう。
まずは、RIZINに出場経験のある選手では、前王者の朝倉海を筆頭に、“バンタム級四天王”扇久保博正、石渡伸太郎、佐々木憂流迦、元谷友貴、さらに元谷に一本勝ちした井上直樹、修斗で安藤達也にTKO勝ちした大塚隆史、一度は引退を表明している金原正徳、昇侍(※2021年2月21日「DEEP100」で元谷と対戦)、瀧澤謙太、金太郎、倉本一真、魚井フルスイングらの名前が挙がる。
未参戦の強豪日本人を見渡すと、修斗バンタム級では田丸のほかに、現修斗世界王者の岡田遼、PANCRASEバンタム級では、1位のアラン“ヒロ”ヤマニハ(※王者はハファエル・シウバ)の動向も注目される。
また、2017年11月以来、試合を行っていないZST王者の柏崎剛、2020年9月に獅庵に判定勝利し、GRACHANバンタム級王者となった伊藤空也、GLADIATORバンタム級王者の竹本啓哉も、ベルトを巻く国内王者だ。
もちろん日本バンタム級には、他団体と契約中の強豪も存在することは忘れてはならない。LFAと契約を結んだ田中路教、ONE Championship参戦中の佐藤将光、上久保周哉らも“黄金のバンタム級”の実力者だ。
果たして、バンタム級日本GPを制するのは誰か?「特別扱いはない。堀口に届きたい、バンタム級のベルトに届きたいなら、この日本人のバンタム級GPに出て来て、ここで日本チャンピオンになれ」──榊原CEOは、日本のバンタム級ファイターに呼び掛けている。