12月31日、さいたまスーパーアリーナで開催される『RIZIN.14』にて、コアな格闘技ファンから注目を集めているバンタム級のカードがある。
セミファイナルでRIZINバンタム級初代王座をかけて対戦する、堀口恭司とダリオン・コールドウェルの1戦。もうひとつは60kg契約で対戦する元谷友貴とジャスティン・スコッギンスの試合だ。
ダリオン・コールドウェルは現Bellator世界バンタム級王者。高校時代に3度のニュージャージー州王者となり、大学時代もNCAAディビジョン1優勝、オールアメリカンに2度選出されるなど輝かしい実績を誇る。フリースタイル・レスリングで五輪代表の有力候補でありながら、怪我に泣かされ代表を逃した。
フリースタイル出身のコールドウェルは上半身を組むグレコローマンとは異なり、長い手足を使って遠い距離からでも鋭い踏み込みで低いシングルレッグを決めることが可能で、そのテイクダウンからトップコントロールでの支配力が抜群に強い。
相手にはなかなかスクランブルをさせないが、その際でギロチンチョークを極めたり、バックを奪いリアネイキドチョークも得意としている。
また8月にはフェザー級でノード・ラハットを2R KOに沈めており、組み際、離れ際の打撃にも注意が必要だ。さらにフェザー級からバンタムに落としてくるため、試合当日の堀口との体格差も脅威。名将エリック・デルフィエロ率いるALLIANCE MMA所属で、デルフィエロがコールドウェルにどんな作戦を授けたのかも気になるところだ。
一方、「少し身長が高くてレスラーとの練習をたくさんしました。テイクダウンを切る、ずっとその対策をしてきました」という堀口は、フライからバンタムに上げた選手。
階級差については「気にしないです。はっきり言ってそこを気にしても仕方がないので」と苦笑しながらも、「当たれば倒れるので。気にならないです」とも語る。
伝統派空手いや、二瓶空手を土台とする堀口の飛び込み、ステップ、突き・蹴りの連続は、これまでコールドウェルが経験したことのない動き。
RIZINでのリングは、堀口がコーナーに追い込める可能性がある一方で、ケージレスリングとは異なるロープ間でのクラッチが可能になり、ケージを背にして立ち上がることが出来ないという側面もある。
堀口にとって心強いのは、ATTの知将マイク・ブラウンがUFCでのアマンダ・ヌネスのセコンドではなく堀口のセコンドにつくために来日したことだ。コールドウェル陣営とのフェイスオフでも、その後ろにブラウンが控えている安心感は大きなもの。試合間でもそのアドバイスが大きな鍵になるだろう。
現役Bellatorの世界王者が、日本で堀口恭司と戦うこの1戦は、堀口の米国再進出にとっても重要な一戦となる。
3歳から「アメリカン空手」を学んだというジャスティン・スコッギンスは、12歳でキックボクシングのIKF世界王者となり、16歳からMMAを始め、強豪ひしめくUFCのフライ級戦線で活躍。
左右の構えを変えながら放つサイドキック、ハイキック、ミドルキック、そして後ろ回し蹴りと多彩な蹴りを誇るとともに、スクランブルにも強いスコッギンス。
2017年の6月にはUFCで佐々木憂流迦に2R、リアネイキドチョークで逆転負けを喫しているが、試合の大半をスコッギンスが制しており、スコッギンスを通して、元谷と憂流迦の対戦の趨勢も見えてくる。
かつて堀口恭司とRIZINで判定まで持ち込んでいる元谷は、独特の打撃と柔術をMMAに融合させた寝技の強さも併せ持っており、ワールドクラスでどこまで行けるのか、名手スコッギンスとの対戦はいいモノサシとなりそうだ。
写真提供=堀口恭司 応援事務局
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