大晦日にさいたまスーパーアリーナで開催された「Yogibo presents RIZIN.26」の67kg契約(5分3R・ヒジ有り)試合で、元KSWフェザー級王者のクレベル・コイケ(ブラジル/ボンサイ柔術)がRIZIN初参戦。
元PXC同級王者のカイル・アグォン(グアム/SPIKE22)と対戦したクレベルは、1R4分22秒、ダースチョークでアグォンに衝撃の一本勝ち、RIZINデビューを飾った。
右のオーバーハンドフックを効かせたクレベルは、前方に崩れながらも足を手繰りにきたアグォンに得意のダースチョークへ。
その際、アグォンの首を腕で三角にキャッチしたクレベルは、まだタップを奪う前から「絶対に極めるぞ!」と叫びながら、マウントに移行、アグォンを上から絞めて失神させている。
これまで一本負けが無かった実力者アグォンを極めたクレベル。
2017年には、ポーランドで5万人以上の観客を集めた「KSW39」でマルチン・ロゼクを破りフェザー級のベルトを獲得している元欧州王者は、試合後のインタビューで、「いろんなプレッシャーがあったけど、これが自分のチャンスだったから絶対一本で勝つと信じていた。斎藤チャンピオン、お願いします」と、RIZINバンタム級王座挑戦をアピールした。
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日本勢プラス外国勢をうまく織り交ぜられたら、2021年はフェザー級でGPを行いたい(榊原CEO)
同日のRIZINでは、同じくフェザー級ファイターの朝倉未来(トライフォース赤坂)が、前DEEP同級王者の弥益ドミネーター聡志(team SOS)を左ハイ&右フックでKOし、王者・斎藤裕(パラエストラ小岩)へのリヴェンジを希望。
さらに、萩原京平(SMOKER GYM)が平本蓮(THE PAN DEMONIUM)を2R TKOに下し、朝倉未来戦をアピールしている。
群雄割拠のRIZINフェザー級戦線には、王者・斎藤裕を頂点に、アグォンに判定勝利しているヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)、斎藤裕に敗れたものの強いテイクダウンを見せたRebel FC王者の摩嶋一整、萩原に一本勝ちした芦田崇宏(BRAVE)らも名を連ねる。
また、国内王者を見渡しても、弥益に判定勝利している現DEEP王者の牛久絢太郎(K-Clann)、PANCRASE王者のISAO(NEVER QUIT)、修斗環太平洋王者のSASUKE(MASTER JAPAN)、8月横浜大会で神田コウヤをTKOに下したZST王者・関鉄矢(SONIC SQUAD)、GRACHANで二階級制覇している山本琢也(パラエストラ千葉)らも控えている。
そしてRIZINと交流のあるBellatorでは、現フェザー&ライト級二階級王者のパトリシオ・ピットブル・フレイレ(ブラジル)がフェザー級GPにも参戦中で、フアン・アーチュレッタ、ペドロ・カルバーリョを撃破。準決勝でエマニュエル・サンチェスを相手に防衛戦を行うことになっている。
そしてもう1ブロックからはジョージ・カラカニヤン、デレック・カンポス、ダリオン・コールドウェルの3人をすべてフィニッシュしているMMA17戦無敗のAJ・マッキーが決勝進出を決めている。
かくも苛烈なフェザー級ワールドで、日本勢は誰が頂点に君臨するか。
2021年3月14日(日)に東京ドームで開幕戦の開催を発表している榊原信行CEOは、「フェザー級はとてもキャラクターが揃ってきているので、日本勢プラス、ここに外国勢をうまく織り交ぜられたら、たぶん2021年は秋くらいから、フェザー級でGPを行いたいと思っています」とGP開催を示唆。
さらに、「スコット・コーカーも『送り出す』と言ってくれているので、世界標準目指して、世界の格闘技ファンにも興味を持ってもらうためには、コロナとのバランスの中で海外勢を受け入れることになる。その中の日本の中心的選手が斎藤裕であり、クレベル・コイケであり、朝倉未来になると思います。萩原恭平も総合格闘家としてのキャリアの差を見せつけたし、GPを視野に入れて進めていきたいと思います」と語っている。
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クレベル「私は一年待っていました、このチャンスを」
──試合後の率直な感想をお聞かせください。
「(※日本語で回答)あー、凄く嬉しいです」
──初めてのRIZINでの試合をどう感じましたか。
「最初は緊張した。でも勝ったからすごくいい。私は一年待っていました、このチャンスを。試合が決まったのが嬉しい」
──実際に対戦して、相手のカイル・アグォン選手の印象はいかがでしたか。
「凄く強いけど、勝てて嬉しい」
──「緊張してた」のはいつもより?
「まあ、いつもじゃない? 今日すっごい緊張だったな、最初だけ。長い間、試合やってなかったし(2019年9月以来)。あと、日本での試合ですごい緊張して、なぜかと言うと、家族や生徒やファンが近くにいるから、それがちょっと日本で戦うプレッシャーかな(笑)。これがヨーロッパだったらプレッシャー無いから」
──まだクレベル選手を知らないファンにメッセージを。
「一般の人、まだ知らないね。私、コイケ・クレベルです。これからみんな名前を覚えてください。私、ほんと強いんで。もっと頑張って来年、ベルト欲しいです」
──「はっきり寝技で一本勝ちしたい」と言っていましたが、今日はパンチからダウンで一本の流れを想像していましたか。
「それがプランでした。いつも自分はキックボクシングの練習もしているし、いつも試合前に考えている。私は信じてた。最初にパンチが当たって、彼が落ちて。サブミッションを信じてるから」
──最後はダウンを奪った相手のシングルレッグにカウンターのダースチョークでした。まだタップを奪う前、マウントに移行するときに、何か言っていましたよね? 何と言っていたんですか。
「自分を信じてるから、今日絶対一本勝ちで、絶対極まってると。いろんなプレッシャーがある。これが自分のチャンスだったから、一本勝ちしてやろうと。今日絶対勝つね、一本勝ちで勝つね、と信じていた。だから、あの時に『絶対極める!』と言ってた」
──今後、戦いたい相手は?
「タイトルマッチ、斎藤(裕)と。斎藤チャンピオン、お願いします。3月23日、名古屋かな、試合やりたいな」
──朝倉未来選手と斎藤裕選手とだったら、どちらと戦いたい?
「いまは斎藤だね!」
アグォン「一発右をもらい試合が決まってしまった」
──試合後の率直な感想をお聞かせください。
「試合前も調子が良くて、打撃もキレている気がしたけど、相手のテイクダウンの対処もできたと思います。まだ試合を見直していないので分かりませんが、フックを貰う前から記憶が無くて、コーチが言うには、右フックをもらってシングルレッグでテイクダウンに行ったところをダースチョークで捕まってしまったと言っているのですが……調子は良かったと思います」
──対戦を終えて、相手の印象は違いましたか。
「特に思ったより強くはなく……我々のスポーツはクレイジーで、何が起こるか分からない。一瞬で展開が変わってしまう、そういうスポーツだと思っています。自分も調子が良くて良い感じで試合が出来たと思ってますし、ただ一発、右を貰ってしまって、試合が決まってしまった。自分の中では調子が良くて、相手の打撃を軽視ではないが、自分が自信過剰になり相手のパワーを見誤ってしまった、という感じはあります」
──今後の展望を教えて下さい。
「まずはグアムへ帰って、家族との時間を過ごしたいです。今年(2020年)は特に大変な、クレイジーな一年だったので、その中で試合ができたことは、祝福された気分だなと思っています。今回の試合で3連敗になりましたが、とりあえずグアムに戻って自分がどういう風になるのかもう一回見つめ直したいと思います。この試合に関しては、持っているものを思い切りぶつけてやろうと臨んだのですが、今こうやって大晦日にここにいる事が、恵まれているんだなということを噛み締めています。この後、美憂選手が試合をするので、今はそちらに集中して、自分が彼女(のセコンド)を通して勝利を祝おうと思います」