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【ONE】和田竜光がまさかの判定負け。ノンオーがロートレックを鮮烈KO防衛、キックライトヘビー級王座はローマンが防衛

2020/12/18 22:12
 2020年12月18日(金)、シンガポール・インドアスタジアムにて、ONE Championship「ONE:COLLISION COURSE」が開催された。 ▼ONEキックボクシング・ライトヘビー級選手権試合 3分5R○ローマン・クリークリャ (ウクライナ/王者)102.10 kg, 1.0120[判定3-0]×アンドレイ・ストイカ(ルーマニア/挑戦者)98.20 kg, 1.0044※ローマンが王座防衛  クリークリャは6歳から空手を学び、ボクシング、キックボクシング、ムエタイを経験。ヨーロッパとアジアで戦歴を積み、2016年10月にセルビアで開催された『K-1 WORLD GP 2016 -95kgトーナメント』でヒザ蹴りによる全試合KO優勝。2019年には『クンルンファイト』のヘビー級8人トーナメントでも優勝している。同年11月の北京大会でONEデビュー、タリック・ケバベス(モロッコ)を2RでKOし、新設のONEライトヘビー級キックボクシング世界王者となった。  当初、12月4日に参戦予定だったクリークリャは、新型コロナウイルス感染対策の安全措置のため12月4日大会を欠場。クリークリャ本人の検査結果は陰性だったが、11月27日に検査で陽性となった人物と接触していたため、隔離されてきた。  ONEのケージで強豪を相手に連勝のストイカは、ONEライトヘビー級キックボクシング世界王者になったばかりのローマン・クリークリャ(ウクライナ)への挑戦権を手にした。強打が武器で打たれ強いストイカが、クリークリャの凶暴な膝と計算された攻撃に立ち向かう図式になる。両者はタイトルが懸けられる一戦で、決して下がらないだろう。  1R、ともにケージでボクシンググローブ。オーソドックス構え。クリークリャは長いジャブ、ストレートで出入り。ストイカも左ミドルを打つが、そこにクリークリャはカウンターの右ジャブ! ともに右ローの打ち合い。ストイカがガードを固めるとクリークリャは上下に突く。  2R、様々なジャブを打つクリークリャ。さらに右ロー。ストイカは左足が流れるように。ジャブ3連打&ローにストイカは足が止まる。クリークリャは右ボディ。ストイカはガードを固めて右ロー。クリークリャの入りにストイカも得意の左フックを狙う。  3R、左ボディストレートから右跳びヒザを刺すクリークリャ。さらに左ボディ、首相撲ヒザも。ストイカもすこに左フックを狙う。右ローを突くクリークリャ。さらに首相撲&ヒザ! 左ジャブ。ゴングにストイカは足を若干引くように。  4R、ワンツーで飛び込み首相撲ヒザ、右ハイと怒涛の攻撃はクリークリャ。ガードを固めるストイカに右ロー、さらに左ボディ! ガード固め左フック狙いのストイカ。しかし、クリークリャはワンツー&右ローを当てる。  5R、ボディ打ちからワンツーを振るクリークリャ。さらに右ハイ、右ローと散らしてボディ打ち、金網に詰めて逃げ場を無くさせて右跳びヒザを突く。頭突きからの首相撲ヒザ、さらに右ストレートと続き、クリークリャにバッティングの反則が宣告され、中断。  再開。走って中央を取るクリークリャは左右を振って首相撲ヒザ。さらに左アッパーにストイカが後退! 一気に詰めるがゴング。判定は3-0でクリークリャが王座防衛に成功した。 [nextpage] ▼ONEムエタイ・バンタム級選手権試合 3分5R○ノンオー・ガイヤーンハーダオ (タイ/王者)65.80 kg, 1.0237[3R KO]×ロートレック・PK・センチャイムエタイジム(タイ/2位)65.25 kg, 1.0124※ノンオーが王座防衛  ONEムエタイ・バンタム級王者ノンオー・ガイヤーンハーダオが、2位のロートレック・PK・センチャイムエタイジム(タイ)の挑戦を受け、防衛戦に臨む。  ノンオーはシンガポールのメガジム「Evolve MMA」に所属する32歳。260勝54敗1分の驚異的な戦歴を誇り、ルンピニースタジアムでスーパーバンタム級からライト級まで四階級制覇、ラジャダムナンスタジアムのベルトも獲得している、まさにムエタイの伝説的存在だ。2019年2月にONEムエタイ・バンタム級王者となり、5月のバンコク大会では元SB世界スーパーライト級王者の鈴木博昭を2Rに腓骨を骨折させるなど、強豪ぞろいのONEで4連勝中。前回は2019年11月にセーマペッチ・フェアテックスを4Rに右ストレートでKOして3度目の防衛に成功している。  挑戦者のロートレックは10歳でムエタイをはじめ、高校を卒業するとタイの首都バンコクに拠点を移し、経営学の学士号を取得しながらムエタイの試合を続けて2016年4月、BBTV(7ch)スーパーフェザー級王者に。その後はラジャダムナンとルンピニーの両スタジアムで活躍し、2019年6月からONEに参戦。  リアム・ハリソンらに3連勝を収めたが、ONEバンタム級ムエタイトーナメントでは1回戦でセーマペッチに敗れてONEで初黒星。しかし、セーマペッチが怪我により欠場したためロートレックが敗者復活で決勝に代打出場し、クラップダムを破る番狂わせを起こして優勝。今回の挑戦権を手に入れた。  ルンピニー&ラジャダムナンの王座には手が届かなかったロートレックが、合わせて5冠を手にしたノンオーを破ってONEで頂点に立つか。それとも、ムエタイの最高傑作が格の違いを見せつけるのか。  1R、ともにオーソドックス構え。ロートレックは右ローのダブルで牽制。ノンオーも左ローを返す。右ミドルはノンオー。ロートレックもワンツーをガード上に叩き、左ロー。ノンオーも左ミドル、左ハイを突く。慎重な初回。  2R、圧力をかけてきたロートレック。ワンツー&ローで前に出ると、ノンオーの右にカウンターの右をノドもとに突く。ワンツー&右ボディストレートはロートレック。しかしノンオーもワンツーの右を当てる。互いに右ミドルの打ち合い・蹴り返し。  3R、ジャブの刺し合いで勝るノンオー! さらにワンツーで前進も、右のクロスで金網から金網まで押し返すロートレック。  しかし、ノンオーはワンツー! 右を振っていたロートレックにカウンターで右ストレートがヒットし、ロートレックは前方にダウン! そのままゴングが鳴らされた。ノンオーが見事なKOで王座防衛。 [nextpage] ▼ライト級 5分3R○マラット・ガフロフ(ロシア)77.10 kg, 1.0132[判定2-1]×ローウェン・タイナネス(米国)76.30 kg, 1.000  ガフロフはMMA17勝3敗。ONEでは2014年から参戦し8勝3敗。2017年8月にマーティン・ウェンに2R KO負け、2018年9月に松嶋こよみに1R TKO負けを喫している。2019年5月に山田哲也に判定勝ちも、ONEライト級転向初戦となるユーリ・ラピクス戦で、1R リアネイキドチョークで一本負けを喫している。  2016年4月に安藤晃司に判定勝ちを最後に9勝無敗のままマットから離れていたタイナネスは、2019年1月のライト級ワールドGP準々決勝でホノリオ・バナリオに1R TKO勝ち。以降、約2年ぶりの試合に臨む。  1R、ともにオーソドックス構え。右ローで牽制するタイナネス。さらに右ローを当てる。ガフロフも右オーバーハンドフック、左カーフキック。タイナネスは右で差して押し込むが、ガフロフもヘッドロックで絞めて立ち上がる。  なおも右で差すタイナネスに、ガフロフは片足を腿に当てて外側に。背中越しから糸通しで組む。さらに四つからブレーク。  左サイドキックのガフロフも、タイナネスは左フック。ブロッキングするガフロフに右で差すタイナネスが崩しへ、ガフロフが立ち上がってゴング。  2R、左アウトサイドローから入るガフロフ。タイナネスも大きな右を振りダブルレッグテイクダウン。尻はつくが背中ごしに四つで組むガフロフはすぐに立ち上がる。なおもタイナネスは尻下でクラッチもガフロフは金網背に立ち上がる。  左ハイはガフロフ。ブロックするタイナネス。ガフロフの左ジャブに右のかぶせのフックを狙う。ガフロフの左ローがローブローに。中断後、再開。オーソから左ハイはガフロフ。後ろ蹴りもタイナネスはかわす。  3R、右ローをカーフで当てるタイナネス。下がるガフロフに右で差してテイクダウンも、この組み手はガフロフは立てる。今度はガフロフからシングルレッグへ。さらに内無双でテイクダウン! ついに背中を着かせるが、金網まで這うタイナネスは立ち上がる。  しかしなおもバックテイクから崩してコントロールするガフロフ。タイナネスはコブラで上を差し込むが、スイッチさせないガフロフ。再び脇潜りからバックテイクを狙いつつ金網に押し込む。  判定は、割れて2-1でガフロフが勝利。無敗のタイナネスに土を着けた。 [nextpage] ▼バンタム級 5分3R○ユサップ・サーデュラエフ(ロシア)65.80 kg, 1.0023[判定3-0]×トロイ・ウォーゼン(米国)65.80 kg, 1.0040  バンタム級戦。サーデュラエフは2018年1月に1年3カ月ぶりにMMAに復帰し、今成正和に判定勝ち。2019年5月にタン・リーに敗れたものの、8月にキム・デファン、11月に竹中大地にスプリット判定で勝利、2連勝中。  ウォーゼンは、2019年7月のONEデビューから3連勝中。2020年2月の前戦でマーク・アベラルドに判定勝ち。  1R、ともにサウスポー構え。サーデュラエフはボディロックテイクダウン! ウォーゼンはフックガードから跳ね上げながら立ち上がり。左で差して頭をアゴ下につけて押し込むウォーゼン。  アゴをずらして突き放したサーデュラエフ。ウォーゼンは左ロー。。サーデュラエフも左右ローを突く。左で差して押し込むウォーゼンだが、サーデュラエフのローブローで中断。  2R、左右で前進はウォーゼン。左で差して押し込むと頭をアゴ下に差し込み、右で脇を叩く。左右ボディ打ちに対し、ヒザを突くサーデュラエフ。なおも左で差して押し込むウォーゼンだが、ブレーク。  ワンツーの左を伸ばす差して押し込むサーデュラエフ。ウォーゼンも左ロー。さらに金網に詰めて左フック! ブレーク。左で差して組む。  3R、右フックから飛び込むサーデュラエフ。突き放すウォーゼン。サーデュラエフは右ジャブ。ウォーゼンも右ハイをブロック上に。サーデュラエフは右ジャブ&左ストレート。ウォーゼンは左ロー。  右ジャブの刺し合いでウォーゼンはサーデュラエフの右目から出血をさせる。さらに左ロー。サーデュラエフの入りに巧みに組みに行くが、切るサーデュラエフはワンツー。  ウォーゼンも右ボディ、左フック。ウォーゼンの左フックに右を内側から突くサーデュラエフ。ウォーゼンの入りに左右をまとめてゴング。  押し込んだウォーゼンに対し、後半に的確な打撃を入れたサーデュラエフが判定3-0で勝利した。 [nextpage] ▼フライ級 5分3R×和田竜光(日本)61.15 kg, 1.0214[判定1-2]○ヨッカイカー・フェアテックス (タイ)61.20 kg, 1.0040  フライ級戦。日本の和田竜光が、タイのヨッカイカー・フェアテックスと対戦。  和田は、2020年1月のイヴァニルド・デルフィノ戦以来となる。前戦では無敗のブラジリアンを相手に得意のカーフキックを効かせ、近づけば首相撲&ヒジ・ヒザ、そして柔道の小外刈りテイクダウンを合わせるなど、12年目のプロMMAファイターとして格闘技の多様性を見せつける完勝劇を披露している。  コロナ前の2019年8月には、フィリピンでデメトリアス・ジョンソンと戦い、バックを奪うも判定負け、頂点に触れた。そして、今回、11カ月ぶりの試合に向け、TRIBEやロータス世田谷、TRY.Hスタジオに加え、福島でいわき合宿として田代勝久トレーナーとのミット打ちも行って来た。  ヨッカイカーはムエタイで90戦の実績を持つ。MMAでは2015年のプロデビューから6勝2敗1分で、2020年8月にはアレックス・シルドをローキックで粉砕した。  1R、オーソドックス構えの和田はいきなり右で差して金網まで詰める。サウスポー構えのヨッカイカーも左を振るが、組んだ和田は右で差し上げるが、左手を元に戻す。右アッパーを突く和田はすぐに右で差す。  ヨッカイカーは頭を和田の首につけて凌ぐ。互いにヒザを突き、和田はついに崩して左脇を潜り、バックから4の字&オタツロックを極め、ヨッカイカーを正対させない。背後からパウンドする和田。ゴング。  2R、右で差して組む和田に、ヨッカイカーはヒザを突き、ヒジを狙う。離れる和田。サウスポー構えのヨッカイカーは左を振って離れる左インローを前足に突くヨッカイカー。ヨッカイカーの続くインローはかわす和田。ヨッカイカーは左ハイをブロック上に突く。さらに左インローをまともに和田の金的に入れる。中断。  再開。組んで右で差して金網まで押し込み、右の小外をかけて崩し、前方に脇を差し上げ煽って崩す和田がテイクダウン。ハーフのヨッカイカーをパスしサイドを奪うが、ヨッカイカーは立ち上がる。左で差して押し込むのはヨッカイカー。体を入れ替え、再び右で差し上げるが、ヨッカイカーはいなして離れ、左右を蹴る。  3R、 ノーモーションの右を当てる和田! ヨッカイカーの左ローはかわす和田。そのまま無理はせず、ヨッカイカーのローをかわしてサークリングしてゴング。判定へ。  キツめの金的を受けた和田。1Rにバックを奪い削ったかに見えたが、インローとガード上のハイキック、右アッパーなどの手数でヨッカイカーが上回ったのか、判定は割れて2-1でヨッカイカーが勝利。和田はコールに一瞬、両手を広げて不服の表情を見せた。  ラウンド毎ではなく全ランドを通したトータルジャッジで、判定基準は「ニアフィニッシュ」が優先され、次に「ダメージ」、さらに「打撃のコンビネーションとグランドコントロール」、「テイクダウンとテイクダウンディフェンス」、「積極性」と続く、ONEの判定の優先順位。和田のテイクダウン、バックテイクから極めに至らず削った動きは上位の判定基準に達せず、ヨッカイカーの打撃がニアフィニッシュはならずともダメージを与えたと判断されたということなのか。いずれにしても組み技は極めに近づかないと勝てない、というグラップラーにとって厳しい判定であることは間違いない。 [nextpage] ▼フライ級 5分3R×チャン・ロタナ(カンボジア)61.20 kg, 1.0057[3R TKO]○シェ・ウェイ(中国)60.80 kg, 1.0031  フライ級戦。カンボジアのロタナは、MMA7勝3敗。ONE FC時代から参戦し、現在はONE3連勝中だ。  中国のウェイは、MMA5勝3敗。「ONE Hero Series」「ONE Warrior Series」を経て、2020年1月に本戦デビュー。いきなりダニー・キンガッドと対戦し、判定負けしている。   ロタナの右ローに左から右を当てたウェイはダウンを奪いパウンドアウト。
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