MMA
レポート

【Bellator】ゲガール・ムサシが王座返り咲き、リマの二階級同時制覇を阻止「アルメニアの皆のことを想っている」

2020/10/30 11:10
 2020年10月29日(日本時間30日)、米国コネチカット州モヒガンサンアリーナにて「BELLATOR 250: MOUSASI VS. LIMA」が無観客&ライブ配信で開催され、メインイベントで「Bellatorミドル級王座決定戦」として、日本でも活躍したゲガール・ムサシ(オランダ)と現ウェルター級王者のドゥグラス・リマ(ブラジル)が対戦した。  ゲガール・ムサシ(オランダ)は、2018年5月「Bellator 200」でミドル級王者ハファエル・カルバーリョに1RTKO勝ちで王座獲得。2018年9月には、一階級下のBellator世界ウェルター級王者ローリー・マクドナルドの挑戦を受け、2RにパウンドでTKO勝ち。王座初防衛に成功した。両親の母国アルメニアとアゼルバイジャンの紛争に心を痛めながら、王座戦の準備をしてきた。  2019年6月に、挑戦者ハファエル・ロバト・ジュニアに、判定0-2で敗れ王座陥落。しかし、ロバトJrが怪我のため王座を返上。その間、ムサシは同年9月にリョート・マチダと再戦し、2-1の判定勝ちで約4年半越しのリベンジ、再起を果たしている。両親の母国アルメニアとアゼルバイジャンの紛争に心を痛めながら、今回の王座戦の準備に励んだ。  ドゥグラス・リマ(ブラジル)は、2019年のウェルター級トーナメントでアンドレイ・コレシュコフ、マイケル・ヴェノム・ペイジ、ローリー・マクドナルドを破り優勝。決勝戦はウェルター級タイトルマッチも兼ねていたため、ウェルター級王座返り咲きを果たしている。Bellatorでのミドル級での試合は初。二階級同時制覇を狙う。 ▼Bellatorミドル級王座決定戦 5分5R〇ゲガール・ムサシ(オランダ)[判定3-0] ※49-46×2, 48-47×ドゥグラス・リマ(ブラジル)※ムサシが王者に  1R、ともにオーソドックス構え。圧力かけ左ローを蹴るムサシ。リマの左ローの返しに右で差して組んで崩してバックテイク。スタンドで背後につくとヒザ蹴り。ボディロックから横に崩してリマにマットにヒザを着かせると、左足を外からかけて二重がらみにして、背後から左のパンチを頭に打つ。  足を外して立つリマ。背後から右で脇差しリストコントロールするムサシ。リマは巻き込み前転してガードポジションに。ムサシは中腰からパウンド。クローズドに組むリマの中に入りヒジを打ち込む。ゴング前にムサシは再び上体を離し、中腰から強いパウンドでゴング。ムサシのラウンドに。  2R、圧力をかけるムサシ。右ボディストレート狙い、右ローはリマだが、崩れないムサシがじりじりと詰めてリマに金網を背負わせる。リマの右フックにのけぞるムサシ。左ジャブで作り直す。前足に右の打ち下ろしのロー=カーフキックはリマ。ムサシの右の詰めに左にサークリングして外す。  左ジャブ右ローの対角線攻撃はリマ。ムサシも右ローを当てて前に。金網背にサークリングするリマを詰めるとダブルレッグへ。両腕が入っているリマは差し上げ、四つに持ち込み体を入れ替える。ムサシも体を入れ替えて離れる。前蹴りを腹に突くムサシ。右ストレートを突くリマをかわす。決定打は無いが、組みでムサシ、リマは取り返したか。  3R、左の前蹴り・関節蹴りで前に出るムサシ。左ジャブのムサシに右ローを返すリマ。ムサシは近間で左ハイもガード上に当てる。右ストレートをガード上に当たるムサシ。リマも右を返し下がりながら左ミドル! 右ロー。  左回りのリマを追うムサシはジャブのタイミングをはかるが、左ローはリマ。ワンツーのムサシの打ち終わりに左を被せる。左右の蹴りを連続させるムサシ。リマは左足首を打ち下ろすような右ロー。ムサシも足を上げてチェックし防御。リマの大きなワンツーは空を斬ると、ムサシが前に。左ロー。リマがジャブ&ローで押し返す。組まなかったムサシ。僅差だがリマがリードしたラウンドか。  リマの右ローによるムサシの前足のダメージはいかに。4R、チャンピオンシップラウンド。ガード上に右ミドル当てるリマ。追うムサシはシングルレッグからスタンドバックへ。背後から甲を踏み、ボディロックからいったん持ち上げヒザを着かせると、バックから足をかけようとするが、リマは足をかけさせず立ち上がり、体を入れ替える。  すぐに体を入れ替えたムサシだが、離れる両者。ムサシは左ジャブも浅い。サウスポー構えにスイッチしオーソに戻すムサシ。そこに前足に右ローはリマ。ワンツーを打つムサシはフェントをかけながら前へ、リマの右ローをヒザを引いてかわして近づくと、ローを打たれたくないかサウスポー構えに変える。左ジャブ&右ローはリマ! 続く左ジャブはムサシがバックステップでかわす。組みはムサシ、手数に賭けるがジャブ・ローはリマのラウンドだが……。  最終5R、左ジャブをかわすムサシ。リマは右ハイ! さらに右ミドルをガードを上げたムサシの脇下に当てる。右ローを当てるリマが前に。左ジャブのダブル。ムサシも左ジャブ。リマの左フックはかわす。右を振り前に出て右ローを当てるリマ。ジャブの刺し合いは互角もリマは右ローまで繋げ、ムサシのバランスを崩す。ムサシはどこで組めるか。まだサークル中央。右ローのリマに左ジャブを当てるムサシ!  ついにシングルレッグに入るムサシがドライブしてテイクダウンするムサシ! そのままサイドを奪い残り1分。左を差せないムサシ。かつぎパスで上四方を取るが、リマはケージに足をかけて下からも打撃。このラウンドはムサシが取り返した。ムサシは1Rと5Rを取り、リマは2Rと3Rで攻勢も僅差。4Rをどう取るか。ムサシのテイクダウンアテンプトに対し、リマはフィニッシュに繋がる動きは見せられなかった。  判定3-0(48-47,49-46×2)でムサシが王座返り咲き。判定コールに左手を挙げられたのはムサシだが、リマも両手を挙げてガッツポーズ後、悔しそうに右手を振った。  試合後、ムサシはケージの中でソーシャルディスタンスを保ったビッグ・ジョン・マッカーシーのインタビューに、「まず戦争状態にある祖国アルメニアに試合を捧げたい」とアゼルバイジャンとの紛争中の両親の母国に想いを馳せ、母国語で「兄弟姉妹、皆を想っている、愛している」とメッセージを送った(※両国は、ロシアや米国の仲介で3度停戦に合意したものの戦闘は収まらず、紛争は泥沼化している)。  また、二階級制覇を狙ってミドル級王座に挑んできたリマについて、「デカくてまるでウェルター級って感じじゃなかったけど、自分がテクニックで優っていたかなと。とはいえテイクダウンして、ほかの相手ならフィニッシュ出来ただろうにそうさせてもらえなかった。経験値が高く自分のペースに持っていける、リマはとても素晴らしい選手だった」と賞賛。中盤からのリマのカーフキックの連打については、「ポーカーフェイスを貫いたけど、ほんとうに効いたよ」と笑顔を見せた。
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