1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去6月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。第36回目は2004年6月26日、静岡・エコパアリーナで開催された『K-1 BEAST 2004 in 静岡』より、レイ・セフォー(ニュージーランド)vsボブ・サップ(アメリカ)の観客を大いに沸かせた一戦。
2002年4月の初来日からK-1とPRIDEで活躍し、その暴れっぷりから人気者となったボブ・サップ。2003年大晦日には元横綱の曙をKOして、テレビの瞬間最高視聴率でNHK紅白歌合戦を史上初めて上回り、大きな話題となった。2004年はMMAで3月にドルゴルスレン・スミヤバザルにTKO勝ち、同じく3月にK-1ルールでセス・ペトルゼリにKO勝ち、4月にK-1ルールでトミー・グランビルにKO勝ちと連勝していたが、5月の藤田和之戦で完敗。
一時は引退の噂もあったが、サップはK-1のリングに帰ってきてレイ・セフォーとの一戦を迎えた。
1R、ゴングが鳴るとサップは体を丸めてガードしての突進。セフォーは右フック、右アッパーをガードの隙間からねじ込むが、サップに押されて転倒する。サップは上からパウンドを打ち込む反則を行い、怒ったセフォーのセコンドがリングに入ってしまう。そのセコンドの行為とサップにイエローカードが提示された。
インターバルをおいて試合再開。サップは右ミドルを連発するが、セフォーが右フックを放つとオーバーリアクションで身体を丸める。さらに左右フックを放つセフォーに慌てるサップだが、左右フックで逆襲。身体を丸めるセフォーの後頭部にもパンチを振り下ろし、セフォーを防戦一方にさせる。
サップのヒザ蹴りにセフォーが左右フックでさらに逆襲。もみ合う両者をレフェリーがブレイクする。スタミナ切れの兆候を見せるサップにセフォーが左右フック、組み付いてきたところでセフォーのヒザ蹴りが急所に入り、サップが倒れて2分間の休憩が与えられる。場内に沸き起こる「サップ」コール。
再開後、いきなり突進して左右フックを乱れ打ちするサップにセフォーも左右フックで応戦。突進を繰り返すサップだが、セフォーをよく見ておらず、空振りしたところに右フックをもらってついにダウン。しかし、これは後頭部へのパンチだったと判断されてノーカウントに。
試合が再開になると今度はセフォーが一気に畳みかける。左ボディからの右フック、防戦一方のサップにセフォーは容赦なく右を叩きつけるが、サップはゴングまで耐えた。
2R、突進するサップを今度はフットワークでかわして右フックを打ち込むセフォー。サップはヒザ蹴りを放つが、左ボディも打たれてもはやフラフラ。セフォーの右フックで今度は完全にダウンする。カウント10が入り、セフォーが2R49秒、KO勝ちを収めた。
マイクを持ったセフォーは「2人は素晴らしい戦いをしたと思います。今日のボブ・サップの戦いっぷり、その男っぷりは皆さんいかがだったでしょうか。どうぞ2人に大きな声援をお願いします」とアピールし、場内は拍手に包まれた。