ONE Championshipのウェルター級世界王者キャムラン・アバゾフ(キルギス)が、自身の初防衛戦の相手としてジェームズ・ナカシマ(米国)に照準を絞っている。
2019年10月に前王者ゼバスチャン・カデスタム(スウェーデン)とのタイトルマッチに挑み、激闘の末に王者のベルトを手にしたアバゾフ。コロナ禍からイベント再開に向けて、その初防衛戦の相手に注目が集まっているが、その候補にジェームズ・ナカシマの名前を挙げる。
「相手が誰であっても必ず防衛するつもりだ。挑戦者にはジェームズ・ナカシマが相応しいと思う。彼はこれまで無敗(12勝無敗)の戦績で周囲の評価も高い。素晴らしい選手だと認めるし、もしタイトル戦が実現すれば、間違いなく最高の試合になるだろう」と、ナカシマを“最高の挑戦者”としてみている。
31歳のナカシマは、全米短期大学体育協会(NJCAA)のレスリング全国王者に輝き、2015年にMMA(総合格闘技)デビュー。米国LFAで二階級制覇するなど、12勝無敗と驚異的な数字をマークしている。本場米国で頂点に立ったレスリング&グラップリング力をバックボーンに攻めを中心にしたハイペースな試合展開とアグレッシブな打撃で多くの強豪を倒してきた。
2019年8月のONEマニラ大会での岡見勇信戦前には所属するジョン・クラウチ率いるMMA Labでのベンソン・ヘンダーソンとの練習に加え、ミラノでジョルジオ・ペトロシアン(ONEフェザー級キックボクシングワールドグランプリ王者)とも練習を積み、打撃を基礎から学び直してきた。そして岡見に判定3-0で勝利。打撃でも急成長を遂げている。
一方、一気にスターダムへ駆け上がった26歳のアバゾフはONEで2階級制覇の野心を見せており、「チームに相談し、上の階級でも戦えると判断した。ミドル級の世界タイトルに挑戦したい。実現することを待ち望んでいる」と話している。
現ミドル級王者はライトヘビー級のベルトを持つ二冠王者のアウンラ・ンサン(米国/ミャンマー)。ハリー・フーフト門下生ンサンのミドル級防衛戦の挑戦者には、極真出身のビタリー・ビグダシュ(ロシア)が予定されており、さらには、12勝無敗で柔道と柔術をバッボーンに持つライニアー・デ・リダー(オランダ)もンサンとの対戦を待っている。
この中にキルギスの英雄アバゾフが割って入るのか、ミドル級とウェルター級の垣根を越えた戦いにも注目したい。