1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去6月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。第32回目は2002年6月23日、さいたまスーパーアリーナで開催された『PRIDE.21』より、プロレスリングNOAHから杉浦貴が初参戦、ダニエル・グレイシー(ブラジル)と対戦した。
プロレスからのMMA挑戦が続いていた時代、プロレスリングNOAHから杉浦貴がPRIDEに初参戦。杉浦はレスリングで1994年国体グレコローマン74kg級優勝、天皇杯・全日本選手権グレコローマン82kg級優勝などの成績を収め、五輪出場へもあと一歩と迫った。29歳でプロレスに転向し、2000年12月にデビュー。
ダニエルは世界柔術選手権でスペルペサード級1998・2000・2001年準優勝。ヘンゾ・グレイシーの従兄弟でモデルとして活動していたが、この杉浦戦でプロ格闘家としてのデビュー戦を迎えた。
1R、右ストレートでけん制するダニエルに杉浦はコーナーへ追い詰め、テイクダウンを狙うがヒザ蹴りが下腹部に入って試合は一時中断。再開後、いきなり左フックをヒットさせる杉浦。ダニエルはガクッとヒザを曲げ、杉浦はパンチを連打して仕留めに行く。場内は「杉浦」コール一色に。
この杉浦の猛攻をしのいだダニエルはパンチから引き込みを狙うが杉浦は防ぐ。それでも引き込んで上下の体勢を入れ替えるとパウンドのラッシュ。顔面に浴びる杉浦のマウスピースが吹っ飛ぶ。
マウントを奪ったダニエルがさらにパウンドを続けると、杉浦は身体を反転させて背を向ける。ダニエルはすかさずチョークを狙い、杉浦は防ぐ。ダニエルはバックからもパンチを打ち続けた。
2R、ダニエルのパンチを浴びてグラつく杉浦だが、組み付くとバックドロップ気味の投げを放って上になる。ダニエルは下からの腕十字、三角絞めを仕掛けるが、杉浦はこれを何とか凌ぐ。杉浦はヒザ蹴りを出すが決定打を奪えなかった。
3R、テイクダウンを狙う杉浦にダニエルは右ストレート、左ハイキック。ロープに詰められると自ら引き込み、腕十字をしかけるダニエル。杉浦は必死に耐え、これを解除すると立ち上がって蹴り、飛び込んでのパンチと逆転を狙っていくが、やはり決定打を奪えずに試合終了。
判定は2-1と割れたが、ダニエルが勝利を収めた。