K-1K-1
K-1
インタビュー

ボクシング転向の元K-1王者・久保優太「五輪は4年後でもいいです。半年以内にはプロデビュー」

2020/06/10 14:06
2020年6月3日、初代K-1 WORLD GPウェルター級王者・久保優太が王座を返上、K-1を引退してボクシングに挑戦することを発表した。  久保は「このベルトは2017年に獲って約2年と半年間保持することができて、K-1では僕はやり残したことがないというか、敵がいなくなって。ラスボス的なピケオーも倒すことが出来てやり切った思いがあって、実は僕ボクシングに転向しようと思います」と告げ、オリンピックの金メダルとプロでもチャンピオンになることが目標だと会見で話した。  後日、久保に改めて話を聞いた。まずは、ボクシングへの挑戦を決めた理由から。 「きっかけは、サラちゃん(久保の妻)が『オリンピックって凄くない? 久保ちゃんはオリンピックに出ないの?』と言っていたことです。それで調べていたら、ふと何かの記事でオリンピックはプロ選手でも出場OKみたいな記事を見て。僕が何にチャレンジしたいか考えた時に、ボクシングという舞台でも輝いてみたいと思ったんですね。転向するのを決めたのは(3月22日の)ピケオーとの試合が決まったあとくらいですね」  オリンピックの金メダルが目標ならば、8歳から始めたテコンドーや、空手という選択肢もあったのではと聞くと「僕がやっていたテコンドーは流派が違くて(五輪はWTFで久保が学んでいたのはITF)。ルールが違いすぎるんです。ボクシングは自分の先生の矢口先生が元々ボクシングのトレーナー出身ですし、いろいろなボクシングジムへ連れて行ってもらってボクシングの日本ランカーや世界ランカーとスパーリングをしていたのもあって“大丈夫、パンチだけでもいけるな”って思いました。いつも4Rだけでしたけれどね。その4Rのスパーリングの中では全然いけるじゃんって思いました」と、ボクシングの練習で手応えをつかんでいたらからだと説明。 (写真)3月、最強の挑戦者ピケオーを退けた久保。K-1の最多防衛記録となる3度目の防衛に成功 しかし、東京五輪のボクシング日本代表はライト級(57~63kg)、ウェルター級(63~69kg)、ミドル級(69~75kg)がすでに内定しており、また日本は東京五輪にプロ参加を認めていない。久保は「よく分かってないんです(笑)。もし(代表が)決まっているんだったら4年後でもいいです。プロとアマを並行してやっていきます」と、パリ五輪を目指すとした。  そうなると気になるのがプロデビュー戦の時期。まずはプロテストを受けないといけないが、元HOOST CUP初代女子バンタム級王者・谷山佳菜子はボクシング転向の際にキック時代の実績が考慮され、通常のC級ライセンスではなく6回戦でデビューできるB級ライセンスのプロテストを受けることを許された事例がある。久保がどのような扱いとなるかは分からないが、久保自身は「半年以内にはデビューできると思います」と話した。  弟の久保賢司もキックボクシングからボクシングに転向し、谷山と同じくB級プロテストを受けて合格。2012年11月にデビューして4勝(2KO)2敗1分の戦績を残して引退し、2017年1月にK-1に復帰している。 「弟にも話を聞きました。けっこう大変だったと聞きましたけれど、僕のスタイルは向いていると言っていましたね。弟のスタイルは行くスタイルなのでどうしても打たれてしまうけれど、僕はポイントアウトするタイプなので『優太の方がボクシングに向いている』って。矢口先生もイケるって言ってくれているので、“本当っすか!”とその気になりました(笑)。僕がちゃんと努力すれば、その世界でも頂点を獲れるっていう自信はあります」  気になるのは今年の10月で33歳を迎える年齢だが、「転向するにはだいぶ遅いですけれど、今スポーツマンの寿命って全体的に延びているじゃないですか。だからイケるかなって。あと蹴りがない分、ダメージが少ないってのが大きいですね。その分、頭部へのパンチが増えますけれど僕はけっこうディフェンスがいいのでいけちゃうと思います」と、全く気にしてない。  ズバリ、何年以内に世界王座までたどり着けると思うか。久保は「理想は5戦目くらいに世界タイトル戦をやって、パッとチャンピオンになりたいですね」とデカい目標を掲げる。 「K-1でもボクシングでも頂点に立った人は歴史上いないじゃないですか。僕は歴史に名を残すことにチャレンジしたいんですよね。K-1で負けてからボクシングに転向しますでは全然違うと思うので、チャンピオンのまま転向した方がインパクトが大きいかなって思いました。だからこそ、前回の試合は負けられなかったので2カ月ちょっとしっかり練習したんですよ。周りの人からはそれでも少ないって言われるんですけれど、僕の中では多いんです(笑)。普段2~3週間だけだったので。これからは新しいスタートなので、しっかり作り上げてスタイルも変えていかないといけないと思っています」  階級はウェルター級で考えており、タイプはボクサーファイターを目指す。  最後に、格闘家としての引退試合はK-1でやりたいかとの質問に「今はボクシングで金メダルを獲ったりプロで世界チャンピオンになることしか考えていないので、先のことは全く考えてないです。誰も負けることを考えて試合はしないんじゃないですか? 特に僕は失うものはないというか。他の選手からするとK-1のベルトを返上するのはもったいないと身内にも言われましたけれど、僕は新しい刺激が欲しかったんです。モチベーション的には最高に盛り上がっています」と、今はボクシングで成功することしか考えていないと答えた。
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.331
2024年3月22日発売
UFC参戦に向け、ラスベガス合宿の朝倉海。「プロフェッショナル・ファイターの育て方」でチームを特集。『RIZIN.46』鈴木千裕×金原正徳インタビュー、復活K-1 WGP、PFL特集も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア