キックボクシング
コラム

【1993年5月の格闘技】立嶋篤史と前田憲作が再戦を目前にして強豪ムエタイ戦士にKO負け

2020/05/06 01:05
 1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去5月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。13回目は1993年5月22日、東京・後楽園ホールで開催された全日本キックボクシング連盟『Evolution STEP3』より、立嶋篤史(習志野ジム)と前田憲作(SVG)がムエタイ強豪に挑んだ日。 (写真)立嶋の攻撃をことごとく防ぐディフェンスの上手さも見せたジョンパデットスック 全日本フェザー級1位・立嶋の1993年第2戦は、ラジャダムナンスタジアム認定スーパーバンタム級4位ジョンパデットスック・ピサヌラチャン(タイ)を迎えて行われた。キャリア中最強の敵と言っても過言ではない相手だ。  ジョンパデットスックは減量に失敗し、当日午前10時からの計量で正午の4度目でやっとパス。一人では立っていられないフラフラの状態となり、立嶋に勝機は十分にあると思われたのだが…。 (写真)自軍コーナーへもんどりうって倒れる立嶋。1年10カ月ぶりのKO負けとなった 約8時間後、ダブルメインイベントの第1試合でリングに上がったジョンパデットスックは計量時とは別人だった。2Rに入ると右ストレートから左アッパー4連打。もう一度左アッパー4連打と鬼神の如き強さで立嶋を追い詰める。立嶋も左ジャブ、右ローを返していくが単発で、パンチに圧倒されてしまう。 (写真)フィニッシュとなったジョンパデットスックの右 戦慄のシーンは3Rに訪れた。ジョンパデットスックは左ミドル、右ローで必死の抵抗を試みる立嶋を右ストレート連打でコーナーへ追い詰め、左アッパー、右ストレート、左フックと強打の嵐を浴びせ、狙いすました右ストレート弾。立嶋は自軍コーナーにもんどりうって倒れ、一度は立ち上がろうとしたが力尽き、1年10カ月ぶりのKO負けを味わわされた。 「あいつは強すぎて相手がいないらしいですよ」と試合前に言った、立嶋の言葉が思い出されるジョンパデットスックのKO劇だった。 (写真)パンチだけでなくローキックも強烈だったピーマイ ダブルメインイベント第2試合では、全日本フェザー級王者・前田が元ラジャダムナンスタジアム認定バンタム級9位ピーマイ・オー・ユッタナゴン(タイ)を迎え撃った。ピーマイは前年11月に立嶋を子供扱いにし、その強さを見せつけていた。  得意の左ミドルキックを外され、我を失った前田はピーマイの右ストレートに対してバックスピンエルボーを合わせようと試みる。だが、ガードの上からの左右フック強打でフラついたところに、さらなるパンチのラッシュを浴びてマットに突っ伏した。 (写真)起死回生を狙った前田のバックスピンエルボーは空を切った 何とかダウンから立ち上がった前田に、体勢を立て直す余裕を与えないピーマイは左右のパンチから右アッパーを連打。さらに左フックをテンプルに直撃させてダウンを追加する。  ピンチをゴングに救われた前田は自軍コーナーで瀕死の状態。会長の檄に小さく頷いてコーナーを出ていったが、試合の流れを変えるにはあまりにも遅すぎた。 (写真)ピーマイの強打でダウンした前田 4R、ファンからの悲痛な前田コールをあざ笑うかのように、ピーマイの容赦ない猛攻が前田に浴びせられる。そして強烈な右ストレートに前田が力なく崩れ落ちると万事休す。前田のコーナーからタオルが舞った。 「何で俺、こんなに弱いんだよ!」前田はコーナーで泣き叫んだ。 (写真)惨敗した前田は自分の弱さに号泣した 次回7月17日の後楽園ホール大会では、前田と立嶋による日本人頂上決戦、全日本フェザー級タイトルマッチが決定しており、両者の再戦は大きな話題を呼んでいた。しかし、この試合で立嶋が負傷し、大一番は中止に。前哨戦にも関わらず、両エースに強豪タイ人をぶつけるという試練を与える厳しい時代だった。
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