1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去5月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。13回目は1993年5月30日、東京・新宿スポーツ会館で開催された『第7回全日本女子レスリング選手権大会』。
(写真)女子レスリング初挑戦の横田だったが、2回戦ではコントロールされてしまった 今大会は山本美憂が負傷欠場したが、その妹・聖子のデビュー戦、アニマル浜口の愛娘・京子のデビュー戦と話題が多かったが、もうひとつの話題は元女子プロレスラーのジャガー横田(横田利美)の女子レスリング初出場だった。
横田は全日本女子プロレスでの現役時代にWWWA、UWAと2つの世界王者となり、1986年2月に引退して後進の指導にあたっていた。今大会出場階級は50kg級で、現役時代より15kg以上の体重減で臨んだ。
1回戦。相手の低い体勢からの片足タックルを背の上に乗る形で崩すなどパワーを見せた。以後も巻き投げ、グラウンドでは首を捕えて抑え込むなど圧倒。執拗にタックルを狙う相手を上から再び倒し、ピンフォールを奪った。
(写真)ひと回り以上若い若い相手に敗れ「仕方がない」 2回戦では31歳の横田より年齢がひとまわり以上若い石田由美と当たり、序盤から苦戦。バックを取られピンフォール寸前の苦境をブリッジで跳ね返し、柔軟な体に加え強靭な首・足腰を披露した。
しかし、常に低い体勢で突っ込む石田に押し倒され、場外に体が出てパーテールポジションから試合が再開されると、あっという間にローリングされ、1分18秒を残してテクニカルフォール負け。
(写真)大会の表彰式で、横田にはこれまで全女の若手選手を出場させてきた功績が称えられ、特別賞が贈られた 横田はルールを踏まえて本格的にレスリングを練習したのは大会前の数日間だったという。「大会に出場するのは今回が最初で最後。仕方ありません。若い選手の励みになれば…」と語った。
これまで全日本女子プロレスからはアジャ・コング、工藤めぐみら多くの女子プロレスラーが若手時代に経験として大会に出場してきた。引退した選手が出場するのは初のケースだった。