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コラム

【1997年4月の格闘技】ダウン奪われたホーストがベルナルドの剛腕封じ込め逆転KO、K-1屈指の名勝負に

2020/04/17 12:04
 1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去4月にあった歴史的な試合や出来事を振り返る。29回目は1997年4月29日にマリンメッセ福岡で開催された『K-1 BRAVES』より、K-1屈指の名勝負と評価の高いアーネスト・ホースト(オランダ)vsマイク・ベルナルド(南アフリカ)の一戦。  ベルナルドは1995年3月の初来日でアンディ・フグをKOし、その強烈なハードパンチで一躍K-1ヘビー級のスターとなった。さらに1996年5月のK-1GP準々決勝では優勝候補本命のピーター・アーツをKOする大番狂わせを演じ、同年10月の再戦でもKO勝ち。佐竹雅昭にもKO勝ちしてトップクラスの仲間入りを果たした。  迎え撃つはアーツと並んでK-1のトップに君臨しているホースト。両者は今回が初対決となった。  1R、ホーストは前蹴りでけん制するとベルナルドはさっそく右ストレートを伸ばしてくる。ジャブを出すホーストはベルナルドの左右強打をかわしながら左右ローを蹴っていく。ベルナルドもローを蹴り返すが、ワンツーはかわされる。  2R、ジャブを出して圧力をかけるベルナルドだが、左右の強打を放つとホーストにかわされる。ハイキックでけん制するホースト。しかし、ベルナルドの右ストレートにバランスを崩して横を向いてしまい、そこへベルナルドが左フック。ホーストはダウンを喫してしまう。ベルナルドはローを多用してパンチにつなぐが、ホーストはジャブを突いて左右ローで立て直す。 そしてホーストの右ローでベルナルドが大きくバランスを崩すと、ホーストは一気に攻めに行ったがラウンド終了のゴング。  3R、ホーストは左ハイとジャブを多用しつつ、右ローを蹴る。再びベルナルドの強打をかわしつつ、ローを蹴っていくホースト。ベルナルドは前に出るが右ローを何度も蹴られ、右フックを繰り出すもホーストのプッシュに下がらされる。ホーストは左ボディからの右ローを鮮やかに決め、さらにジャブを突いてベルナルドを翻弄。右ローをもらって大きく足が流れるベルナルド。 4Rもジャブを突いて右ローにつなげるホースト。ベルナルドは強引に入り込もうとするも、ホーストのワンツーからの右ローをもらってついにダウン。ホーストの右ローに左フックを返したベルナルドは勝負とみてラッシュを仕掛けるが、ホーストが右目上をカットしてドクターチェックとなる。  再開後、ジャブで距離を取るホーストは左フックからの右ローをヒットさせると、左フック、左アッパー、左フックの連打から、左ボディブローからの左フックを見事にクリーンヒット。ダウンしたベルナルドは立ち上がろうとするも足がもつれ、4R1分3秒、ホーストの逆転TKOとなった。  K-1史上でも屈指の名勝負と言われているこの一戦。ホーストは試合後、次のように勝因を語っている。 「最も注意していたことは、パンチで打ち合わないようにすることだった。蹴りを使って距離を保ち、もし接近してしまったらクリンチしてでもパンチの打ち合いは避けるようにしようと思っていたんだ。今回は戦いは距離の取り方が最大のポイントになると思っていたので、普段の練習に加えてパンチの間合いではない距離から突然パッと接近する練習とか、逆にパンチの間合いからさっと離れる練習を一生懸命にしてきたんだ。それだけを心がけて練習してきたので、上手くできたんじゃないかと思う」  作戦については「ひとつはまず、マイクのパンチ、特に右のパンチをしっかりとガードすること。ふたつめはローキックのあとで左ミドルを入れて、右のパンチをフォローしていこうというものだった。これは全くできなかったけれどね(笑)」  ピーター・アーツを2度もKOしているベルナルド。それでも“ミスター・パーフェクト”と呼ばれているホーストからすればウィークポイントは見つかっていたのだろうか。その問いにホーストは次のように答えた。 「私もピーターに2度勝っている男だということを忘れてはいけないよ。マイクがピーターにKOされた試合や、佐竹にKOされかけた試合を私は見ている。確かに彼のパンチは強力で当たれば私もKOされてしまうかもしれないが、今はまだ私をKOすることはできないことを私は知っていた。なぜなら彼は、まだローキックの痛みに耐えられないことが分かっていたからだ。ローを蹴ればガードが下がることはこれまでの試合で分かっていたんだよ」  さすがは“ミスター・パーフェクト”と言うべきか。
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