新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、2020年4月16日、BellatorがSNSで #ALONETOGETHER とハッシュタグをつけて、ホイス・グレイシーのオンラインセミナーをライブで中継。YouTubeでもアーカイブとして視聴可能にしている。
ホイスは、エリオ・グレイシーの写真を掲げたプライベートジムから、道衣姿で登場。息子のケイドン・グレイシーと、娘のカリアナを相手に、セルフディフェンス、護身術としてのグレイシー柔術を紹介した。
最初は、セルフディフェンスのベーシックから。カリアナを相手に、手首を掴まれたときのグリップの外し方を披露。逃げようとして腕を強引に手前に引いても相手のグリップは外れない。
外すには相手の親指とそのほかの指で掴んで出来た輪の間の方向に手首を回して動かすことで、抜けやすくなる。
続けてホイスは、肩を掴まれたときに、内側から腕を外に回してオーバーフックして小手に巻いて腕を極める方法を紹介。
さらに、髪をつかまれたときの脱出方法も披露した。髪を掴まれて相手の手を前方に引きはがそうとしても難しい。しかし、相手の手首を両手で掴んで前足を横に踏み出す反動で、相手の腕も送ると、相手の体勢も崩れ、腕を脇下に挟んで極めることも出来る。この動きは首を掴まれたときも同様だ。
では、もし両手で首を絞められたら──。ここからはケイドンが受け役をバトンタッチ。両手で首を掴むホイスに対しし、ケイドンは顎を下げて頭を下げながら大きく片足を引いてステップバック、見事、絞めから脱出している。
さらに、もし胸を突き飛ばされたり胸を触られたら。ここでケイドンはステップバックして両手で相手のヒジを手前に引いて手首を極めてみせた。スタンドでのモンジバカ(手首固め)を護身に応用した形だ。
視聴者からは、「もし子供が学校でヘッドロックでいじめられたら?」との質問が投稿された。
ホイスは、低いヘッドロックなら相手の外側の手を後ろから手を回して縛ればパンチを防げて、さらに首を絞めている相手の手を掴んだまま後方に足を引けば、脱出が可能だと説明。さらに脇を潜ってその掴んだ手を後ろ手に極めるムーブも紹介した。
高いヘッドロックには片手で相手の手首を掴み、もう一方の手で後ろから相手の鼻をかち上げることで脱出。その手で逆にギロチンをかけることも可能だという。
最後は視聴者からの質問に答えながら、ケイドンとスパーリングしたホイス。息子に何度もスイープされながらも心からマット上でロールすることを楽しんでいる様子を見せた。
今回のハッシュタグ「アローン・トゥゲザー」は、「ひとりぼっちが一緒に」という意味を持つ。相反するようだが、「孤独なひとりぼっちでも、ひとりぼっち同士が一緒になればどんな困難も乗り越えられる」というメッセージが込められている。
視聴者から「戦うのに必要なことは?」と問われたホイスは語る。
「一番目に必要なのは、知識を得ること。練習して自分がやっていることを理解できること。そして二番目は耐久性だ。ガソリンがすぐに無くなってしまったらどこにも行けない。パワーはその後。知識を持つこと、耐久力を持つこと、そしてパワー、この順番で必要だと思う」
コロナウイルスとの戦いでも正しい知識と耐久力は必須だ。ホイスは「攻撃」ではなく、「護身」を紹介することによって、この時代を生き抜く術を伝えたかったのかもしれない。