キックボクシング
コラム

【1997年4月の格闘技】小林聡が流血でストップ寸前、大逆転KO勝ちで王座防衛

2020/04/16 20:04
 1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去4月にあった歴史的な試合や出来事を振り返る。28回目は1997年4月6日、東京・後楽園ホールで行われた小林聡(東京北星ジム)vsソムチャーイ高津(小国ジム)の大逆転劇。  ニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)は1996年10月に旗揚げされたばかりで、若くて才能のある選手が多くいたが、“エース”と呼ばれるような代表選手が不在だった。  その中で行われたNJKFライト級タイトルマッチ。王者・小林は旗揚げ戦で王座に就き、今回が初防衛戦。挑戦者は和製ムエタイ戦士のソムチャーイ高津だった。  高津は1Rから明らかにヒジを狙っていた。小林も高津がヒジで来ることは十分に掲載に入れていたという。だが、左右のフック、アッパーでガンガンとインファイトを仕掛けてくる小林のスタイルはヒジの絶好の的だった。  終盤、高津の右ヒジで小林の眉間からは早くも鮮血が流れ落ちる。みるみるうちに朱に染まっていく顔面の中で、カッと小林の目が見開かれる。「来いよっ!」とカモンゼスチャーする小林。 2Rに入ると、高津は狙いを小林の左のパンチに合わせた右ヒジ一本に絞った。今度は右目上をカットされた小林にドクターチェックが入る。試合は続行されたが、ドクターは「次で止める」と小林に告げた。絶体絶命のピンチ。高津のヒジで血しぶきがリング上に飛ぶ。一刻も早く倒さなければ、小林の敗北は確実だった。 (写真)右のウィラサクレックは「寝る時以外はずっと俺の練習に付き合ってくれました」という しかし、2R後半から効果を発揮し始めた小林の右ローは、確実に高津を蝕んでいた。3R、小林の右ローと高津の右ヒジが同時に放たれたが、先に倒れたのは高津の方だった。一気呵成に攻める小林は、右ローで立て続けにダウンを奪い、3R2分31秒、大逆転のKO勝ち。ドッと沸く場内。多くの観客が拳を突き上げ、両手を上げて拍手を送る。NJKFにエース誕生の瞬間だった。 「どんなにローに強くても、ガードしなきゃ効くのは当たり前ですよ」と試合を振り返った小林。「見ててください。強いヤツらとやってステータスを上げますよ」と親指を立てた。
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