MMA
インタビュー

【GRACHAN×BRAVE】鈴木隼人「あいつの涙を見た瞬間に、僕のスイッチが完全に変わりました。中途半端なことはできない。思い切ってやろうって」

2020/03/09 17:03
2020年3月1日「GRACHAN44×BRAVE FIGHT22」にて、鈴木隼人(BRAVE)が復活の一本勝ちを決めた。 ONE Championshipで後のストロー級王者ジョシュア・パシオに一本勝ちするなど、3連勝を飾っていた鈴木は、タイトルマッチ目前に頭部の嚢胞が確認され出場停止に。 しかし、所属ジムのBRAVEとGRACHANの共催大会で日本マット復帰を果たすと、寝技の実力者である加マーク納を相手に得意のリアネイキドチョークを極め、1年3カ月半ぶりのMMA復帰戦で勝利した。 試合後、RIZIN出場をアピールした鈴木。その思いをバックテージで聞いた。 鈴木「パシオロックを狙っていました」 ――まずは、復帰戦の勝利おめでとうございます。 「ありがとうございます」 ――1年3カ月半ぶりの試合。久々でしたから、緊張などしなかったですか。 「前日の夜は、20戦以上やっていてもう初めて寝れなくて。そわそわして。試合の気持ちの作り方も試合前にグラグラしちゃって。特に気を引き締めなきゃいけない試合だなと感じていたので」 ――奥様の鈴木祐子選手は、そんな隼人選手を見て、どのように言っていましたか。 「妻は『あなたなら大丈夫だから』と自信をつけてくれました。『練習の内容も圧倒しているし、自信持って戦えばいい』と」 ――入場時に鈴木選手が感極まって、涙を流したときに、試合前の精神状態として冷静ではいられないだろうなとは思ったのですが、祐子選手らセコンド勢とハグをかわした後は、ファイターの顔になっていました。 「……あいつの涙を見た瞬間に、僕のスイッチが完全に変わりましたね。下手な試合を打てねえ、中途半端なことはできない。思い切ってやろうという」 ――ケージインして、高速の足踏みから、非常に気合の入った高速タックルのモーションを繰り返しました。 「あれはもう気付いた頃からやっているんですが、僕の身体のすべてと魂をマックスに持っていくために、今回もやりました」 ――試合は、いきなり飛び込みました。あれは事前に決めていたのか、身体がそうなってしまったのか。 「あれはもう決めていて……僕は今、RIZINを目指しているので、RIZINで宮田(和幸)先生が引退試合でアーセン選手に跳んだように、僕はあれでKOしようと思っていました。でも、跳ぶ瞬間にあれっ? と。相手も跳んで来てると(笑)。ちょっとそれはびっくりしましたね」 ――お互いに跳びヒザ蹴りになったんですね。でも、そこから強いダブルレッグ(両足タックル)テイクダウンを決めて、そこに加マーク納選手はギロチンを合わせてきました。首と対角にはパスできないなか、極まり具合はどうでしたか。 「あれは全然余裕でした。ちょっと(相手が)力を使ってくれないかなと思っていたくらいで。ただ、観客のみんなもそこで一旦止まってしまうと、跳びヒザの演出が冷めてしまうので、早めに動こうと思っていました。完全に(自分の)手も入っていたし、左手も抜けてたので、大丈夫だろうと思って。あと、クローズド(ガード)ではなく片足もまたいでたので、あそこから極められることはないなと」 ――首を抜いて、立ち際のバックテイクが速かったです。そこからは得意とする展開、リアネイキドチョークを狙いに行きましたが、ここも攻防がありました。あのとき……。 「相手の左手が顎の下に入っていて、絞めさせないようにしていたんですけど、僕はあそこでONE Championshipでジョシュア・パシオがやっているパシオロックを右手で狙ってたんです」 ――かつて(2019年1月に)試合をする予定だったパシオの得意技を極めようと……。 「はい。でも相手が金網のほうに来たので、角度がないなと思って。チョークのやりとりは、顎に入れるまでは僕が自分でナンバーワン、世界一だと思っています。あれは相手がどう守ろうが、入れ方だったり駆け引きがあるので、そこは完全に餌を何個かまいた中で極めに行きました」 ――最後はパシオも極めた(2017年8月に鈴木はパシオに1R一本勝ちしている)リアネイキドチョークで一本勝ち。タップを奪った瞬間はどんな気持ちでしたか。 「できれば……もうちょっとド派手にやりたかったんですけど(笑)、僕の代名詞であるバックチョークでしっかり極めることができたので、そこはもう一安心です。1Rできっちり何もなく極められたので」 ――試合後、宮田和幸(BRAVE)代表と話していたら、「やっぱり、隼人強いんだ」と。「練習でも最近、また強くなってると感じていたけど、身内だからどうなんだろうと思ったけど」と。 「進化しています。寝技は以前よりも全然伸びてますし、今までは打撃とタックルが分かれている部分がありましたが、今は繋がっている手応えがありますね」 ――試合後、ケージのなかで「お父さん、お母さん、僕は元気です」とマイクで語りました。来場されていたのですね。 「そうですね。実家は茨城なんですけど、茨城から両親と弟と妹もみんなで来てくれて。頭の件が発覚してからは、1回か2回、両親に会って話したくらいで、深くは言っていなかったので、今日は試合を見て安心してくれたかなというのはあります」 ――試合後、RIZINにも出場しているジャレッド・ブルックスの名前が出ました。ブルックスは階級がフライ級(56.7kg)ではなくストロー級(53kg)です。鈴木選手が戦っていたONEストロー級は水抜き無しの56.7kgでした。これは……。 「僕は普段58kgとか59kgしかないんです。試合前に2、3kg落としてONEでは56.7kgで出ていたので、僕はそこらへんだったら全然、相手が60kgでやろうといったらやるし、53kgでやろうといったら53kgにもできるという感じです。通常体重が58kgということだけ分かってもらえれば、落としても上げてもいいです」 ――それでストロー級も視野にと。 「僕とジャレッド選手がやったら、越智(晴雄)選手や砂辺(光久)選手とはまた違った試合になります。それに堀口恭司選手とか朝倉海選手がやっているバンタム級からもう1個下の階級で、スピーディーな寝技の展開も入れつつ、打撃でぐんぐんというより、素早いレスリングが多い試合になると思うので、一味違った格闘技を、違った角度からRIZINを楽しめるような階級にしたいなという思いはあります」 ――ブルックス選手はRIZINで越智選手をケージレスリングで完封して勝っています。どのように感じていますか。 「総合のレスリングレベルでは僕のほうが上かなと思います。見ていても、(ブルックスは)もうちょっと丁寧にやったほうがいいなという部分もあったし、手の位置だったり、グリップの角度だったり、タックルに入った後の頭の角度とか処理だったりというのも、僕の理論では、もうちょっとこうしたほうがいいんじゃないのというアドバイスもあるくらいです。越智選手に関しては、あの試合でレスリングはできていなかった。僕が越智選手とやってもあの展開になってしまう。プラス、僕は極めが強いので、前半で極めてしまうかなと思って見ていました」 ――頭部に『巨大大槽』があり、試合を重ねるなかで変化はなかった。一方、スポーツの制限は少ないものの、頭部外傷の危険性が高いスポーツは避けた方がよいともされています。もしかしたら今後、ダメージを受けた場面で試合を早めに止められる可能性もあるかもしれません。それでも以前のように試合をしたいと望んでいるのですね。 「格闘技を10年以上やっていても頭痛のような症状も一切ありませんし、日本での医師の診断は『試合ができる状態』でした。RIZINがOKを出すなら、いつでも、4月だろうが5月だろうが、いつでもいいです。なるべく早いほうがいいです」 ――「なるべく早く」というのはどういう気持ちからですか。 「今、RIZINを見ていると、次から次へと、誰でもじゃないですけど、ちょこっと目立った選手がけっこう出れるので、後回しにされちゃうと溢れてしまう。今僕が試合に出られて注目されている、今この旬な時期に使っていただきたいという気持ちです」 ――なるほど。試合後、振り返ると祐子選手が今度は嬉し涙を流していて、隼人選手にとっても感慨深かったのでは? 「もう本当に二人三脚でやってきて、二人でONEに出ようということで、僕も試合が消滅しても変わらず練習を続けてきましたし、妻の祐子は頑張って、ONE Warrior Seriesで、格上だと言われている選手にあいつも……」 ――ダウンを奪われながらも逆転の一本勝ちでしたね。 「気持ち一つで頑張ってやってくれたというのを僕も近くで見て……近くで応援しながらやってきたので。中途半端なことはできない。思い切ってやろうという気持ちにさせてくれました」 ――終わってから言葉は交わしましたか。 「いつもどおりです。いつもどおり、『良かった。おめでとう』って。あとは内容ですかね。チョークの時のあの動きはあれだねって(笑)。二人でやってきた練習の内容を確認し合う感じでした」 ――本当に格闘夫婦ですね。互いに目標を目指す形になります。あらためてメッセージを。 「応援してくださった皆さん、ありがとうございました。僕のハートはまだ終わってないです。どんどん進化もしてるし、以前よりも実力が伸びています。団体の皆さん、RIZINさん、試合を待っています!」
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