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レポート

【INVICTA】日本のSEI☆ZA、ラウェイで活躍したユリア・ストレアレンコが大流血戦を制し、世界王者に

2020/03/07 19:03
2020年3月6日(日本時間7日)、米国カンザス州カンザスシティのメモリアル・ホールにて、「Invicta FC: Phoenix Series 3」が開催され、日本の「SEI☆ZA」や「LETHWEI IN JAPAN」で活躍したユリア・ストリアレンコ(リトアニア)が、リサ・ヴェルゾサ(米国)を5R死闘の末、判定2-1のスプリットで下し、 Invicta FC世界バンタム級王者に輝いた。 ▼Invicta FC世界バンタム級王座決定戦 5分5R○ユリア・ストリアレンコ(リトアニア)[判定2-1] ※49-46, 46-49, 48-46×リサ・ヴェルゾサ(米国) ストリアレンコは空手と柔術をバックボーンに、日本の女子格闘技イベント『SEI☆ZA』で4戦全勝。バンテージのみで戦う「LETHWEI IN JAPAN」では、2017年12月に初代女子王座を獲得、3戦3勝3KOの戦績を残している。 2018年12月にはUFCのトライアウト「The Ultimate Fighter Season 28」に参加し、1勝2敗。マーシア・アレンに腕十字で一本勝ちも、現UFCファイターのパニー・キアンザド、リア・レットソンにいずれも判定負けを喫している。その後、リトアニアの「King of Kings」等を経て、4連勝で「Invicta FC」参戦にこぎつけた。純MMAでは9勝3敗1分。 対するヴェルゾサはアマチュアMMAで9勝1敗の実績を積み、プロMMA5勝1敗。2018年5月の「Invicta FC」初参戦から「CageSport」での勝利も含め、5連勝で今回のユリア戦に臨む。プロ白星はすべて判定ながら競り勝っているタフファイターだ。 テスト的にオープンスコアリング・システムが採用された今大会。事前ビデオでストリアレンコは「UFCにカムバックしたい」と語る。ホジャー・グレイシー柔術の道衣姿で入場のストリアレンコ。 1R、ともにオーソドックス構え。右のスーパーマンパンチの連打からアグラッシブに入っていく。さらに右ハイも。しかし飛び込んだところにヴェルゾサの右を受け尻餅を着くストリアレンコ。すぐに立つとジャンピングガードから引き込み腕十字狙いで立つ。右で差していくヴェルゾサ。ストリアレンコは右で小手に巻いての払い腰を狙うがヴェルゾサは耐える。ストリアレンコの右オーバーハンドは遠い。右ミドルからヒジで飛び込みもかわすヴェルゾサ。しかしストリアレンコは右ストレートで前進し、跳びつき十字。ヴェルゾサはクラッチして凌ぐ。スコアは10-9×3でストリアレンコのラウンドに。 2R、初回からパワーを使ったストリアレンコは少しペースダウン。右下段蹴りを打ち下ろしで当てていく。ストリアレンコのローに、右を狙うヴェルゾサは右カーフキックも。しかしストリアレンコもオーソから左ハイ。ブロックするヴェルゾサ。ストリアレンコは右を振ってダブルレッグに入るが、切るヴェルゾサ。イマナリロールで足を触りにくストリアレンコに鉄槌を落とす。立ち上がったストリアレンコの右ハイの打ち終わりに右ローはヴェルゾサ。ストリアレンコは早くも打撃の軸がブレるようになる。スコアは3者ヴェルゾサが10-9でイーブンに。 3R、右ローから入るストリアレンコ。その打ち終わりにカウンターの右を当てるヴェルゾサ。左ジャブの刺し合いで前に出るのはストリアレンコ。ヴェルゾサは右に回りながらカウンター狙い。ストリアレンコは左インローを前足に突く。ガードが低いストリアレンコの入りにジャブを刺すヴェルゾサ。ストリアレンコは鼻血。さらにワンツーの右を当てるが、ストリアレンコも下がらずジャブを突き、左ヒジ、右フックでヴェルゾサが大出血! 互いに顔面を赤く染め、その血がマットを染める。ジャッジは2者が10-8、10-9でストレアレンコを支持。1者が10-9でヴェルゾサを支持し、計28-29、29-27、29-28とストレアレンコがリード。 4R、ヴェルゾサは額から鼻筋にかけて、さらに左目下にパックリと傷口が見えるが、血をふき取り笑顔。ストリアレンコの右から左をヒット。さらに右ロー、右ハイ! 片手でブロックするヴェルゾサは、ストリアレンコのローに右を合わせる。左ジャブを刺すストリアレンコ。さらに右のスーパーマンパンチ! 再び出血で顔を赤く染めるヴェルゾサだが、右から左ショートアッパー。ストリアレンコのマウスピースはサイズが合っていないのか、2度マットに落ちる。すぐに自ら拾って口に入れるストリアレンコ。ヴェルゾサの左フックにバランスを崩すが、右のヒジ打ちから左ストレートを返す。ジャッジは、10-9×2がストリアレンコ。1者9-10でヴェルゾサを支持も計37-39、39-36、39-37と2者がストリアレンコ優勢で最終回へ。 5R、左右のローキックから入るストレアレンコ。さらに右の強振にヴェルゾサも右を合わせに行く。左ジャブを当ててから今度は左をヒジで狙うストリアレンコ。ヴェルゾサは右をコンパクトに打って押し返す。ガードを高くじりじりと詰めて行くヴェルゾサは右。しかしストリアレンコも右フックで顔面をとらえる。ワンツーで詰めて行くヴェルゾサ。ストリアレンコは右ロー。ヴェルゾサは左ボディも。顔面を多量に出血しながらも詰めてワンツーはヴェルゾサ。ストリアレンコは右に回りながらジャブ、ヒジを打つが、打ち返しはヴェルゾサ。残り10秒の拍子木に大きな右フックを打ち込むストリアレンコ。 ホーンに顔面を血で染めた両者は右手を合わせ、ハグ。5Rの死闘にともに大きく目を腫らせている。ストリアレンコはリトアニアの国旗を肩にかけ、片足を上げてヒジを叩くラウェイのポーズ。 25分にわたる王座戦の判定は、1人目は49-46でヴェルゾサ、2人目は48-46でストリアレンコ、3人目は49-46でストリアレンコを支持し、ストリアレンコが新Invicta FC世界バンタム級王者となった。 勝者は、ケージのなかでベルトを腰に巻くと、ヴェルゾサにひざまずいて礼をしてハグ。Invicta FC初のリトアニア人世界王者となったストリアレンコは、「夢が叶うなんて信じ難かった。この機会を与えてくれたInvicta FCに感謝しています。私はアメリカでは名が知られていないのに。でもどうしてもここに私は立ちたかったの」と感謝の言葉を述べた。 続けて、「コーチが昨日誕生日で、お祝いになりました。ラウェイの世界タイトルのために2年前に日本で戦っていた頃に、王座戦の前に彼がリトアニアからすごく心に響く言葉を送ってくれました。私は格闘家たることが運命づけられていて、自分自身はもちろんのこと、愛する人たちのため、ジムのファイターみんなのため、そして彼のためにタイトルを獲ろうと思いました」と、日本での戦いを振り返りながら、ベルトへの想いを語ると、オープンスコアシステムについても、「正直なところオープンスコアは気にしていなかった。私はすべてのラウンドでフィニッシュを狙っていたので、フィニッシュできずにごめんなさい。これからInvicta FCが用意する相手なら誰とでも戦います。私の前に立ちはだかる者はみんな倒します」と、笑顔で語った。 「Phoenix Series 3」バンタム級トーナメント ▼バンタム級トーナメント決勝 5分3R○テニーシャ・テネント(米国)[判定3-0] ※30-27×3×テイラー・ガルダード(米国) ▼バンタム級トーナメント準決勝 5分1R○テニーシャ・テネント(米国)[判定3-0] ※10-9×3ホープ・チェイス(米国) ▼バンタム級トーナメント1回戦 5分1R○テニーシャ・テネント(米国)[判定3-0] ※10-9×3×ブリトニー・ヴィクトリア(米国)
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