MMA
インタビュー

【RIZIN】UFCからRIZINへ、井上直樹「姉弟揃って勝ちたい。これまで見たことのないスピード感を見せます」=2月22日(土)浜松

2020/02/19 07:02
「RIZIN.21」(2月22日・浜松アリーナ)で61.0kg契約のバンタム級でトレント・ガーダム(豪州)と対戦する井上直樹(Serra Longo Fight Team)が19日、横浜・港南台のSONIC SQUADで公開練習を行った。 MMA12勝2敗、日本ではいまだ無敗の井上は、空手ベースでグラップリングも武器とする元UFCファイター。実姉のUFCファイター魅津希とともに米国ニューヨークを拠点に格闘技漬けの日々を送っている。 井上は、2014年の「DEEPフューチャーキングトーナメント」で優勝するなどプロ10戦全勝でUFCに参戦。オクタゴンで1勝1敗もフライ級戦線を縮小したUFCからリリースとなり、米国「CageFury FC」を経て、2019年12月の『DEEP 93 IMPACT』で日本マットに復帰。強豪・北田俊亮に1R 2分41秒、リアネイキドチョークで一本勝ちし、復帰戦を白星で飾っていた。 公開練習ではシャドーから安田けん代表が持つミットに3分1Rのボクシングを披露。その後、本誌の取材に応じた井上は、フライ級からバンタム級への転向、ガーダム対策、同門の佐々木憂流迦の戦い、姉・魅津希との格闘技生活、そして、RIIZNバンタム級戦線で戦うべき相手について、語った。 目指すところはトップ。朝倉海選手、マネル・ケイプ選手、そして堀口恭司選手と戦うために── ──日本に来られたときは、佐々木憂流迦選手らと同様に、ここ港南台のSONIC SQUADで最終調整をされていますね。ということは同階級の水垣偉弥選手とも肌を合わせることがあったりするのでしょうか。 「あまりないのですが、前々回に来たときに少しだけやらせていただきました。やっぱり水垣選手、強いですし、いい練習をさせてもらいました」 ──今回、日本に入ったのはいつですか。 「2月16日ですね。土曜日にニューヨークを出発して日曜に着きました。時差ボケ対策で1週間前から様子を見て入った感じです。日本からニューヨークへ行く時と比べて、ニューヨークから日本へ来る分にはあまり問題ないですね」 ──前戦2019年12月の『DEEP 93 IMPACT』では日本マットに戻り、北田俊亮選手に一本勝ちしました。井上選手にとってはフライ級からバンタム級に上げた試合でしたが、手応えはいかがでしたか。 「前回、バンタムで試合をしていつもより全然調子が良かったのでいけると思いましたし、普段68kgまで上げて落としてきたので力強さも感じました。自分のチームのセラ・ロンゴファイトチームでバンタム級の選手たちとも練習をしてきたので、全然問題ない感じです。同じ階級にアルジャメイン・スターリングや、日曜に試合をしたメラブ・ドバリシビリもいて練習していますから」 ──アルジャメインはUFC4連勝中、メラブもUFC3連勝中。さきほど日曜のメラブの試合も見直したのですが、柔道・サンボがバックボーンと紹介されながら、ボディロックからテイクダウンで崩して投げまくるという恐ろしい選手でした。 「12回くらいテイクダウンしたそうです(笑)。スタミナが尽きないんですよね。いい選手です。アルジャメインや彼と練習をしていたら間違いないく、レスリングが強くなります」 ──北田戦では、オーソドックス構えからの左の攻撃で先手を取りました。左ジャブと軌道を変えた左フック、ダウンを奪ったのもあの左でしたか? 「そうですね、左フックでしたね。その後ももう一度左でダウンを取って。空いているところに当てようとして取れました」 ──その後、あのケージレスリングの展開で立ち際にバックを奪った。あそこからはチョークのデフェンスにも長けた北田選手から、見事リアネイキドチョークを極めました。柔道・柔術ベースの北田選手の一本負けはおそらく初で、あの体勢からの極めの強さに驚かされます。あそこは右・左と腕を入れ替えて極めました。相手の肩を抱ければ極められる感じでしょうか。 「そうですね。自分の取り方がいくつかありますし、得意なところでもあります。練習通りにいけました。バック取ったら行けるかな、という感じですね」 ──練習動画も拝見しましたが、マンハッタンでアルティメットジムでの打撃とフィジカル強化、ロングアイランドのセラ・ロンゴ・ファイトチーム(Longo And Weidman MMA)でのトータルの練習模様。とくにネスター・マルテコーチ(アンデウソン・シウバやヘンゾ・グレイシーの元専属コーチ)のフィジカルが付きっ切りで時間も長く大変そうでした。ミットが1R9分もあって、サーキットトレーニングが30分というのも。 「1回が長いですよね(苦笑)。あれを3、4Rやってミットも持ってもらって、いい身体作りになります。セラ・ロンゴのところはMMAの技術面を中心に行って、アルジャメインによるレスリングクラスなども出ています」 ──スパーリング日もあるのですか? 「ライトスパーリングとガチスパーリングがそれぞれ週に1度あります。ドキドキもしますし、次どうやってやろう、という課題が見つかり、楽しくもあります」 ──お姉さんの魅津希選手も同じ出稽古なのでしょうか。 「そうですね、魅津希もセラ・ロンゴとマンハッタン、それにヘンゾのMMAクラスに出ていて、先日のInvicta FCで左ハイでKO勝ちしたエリン(・ブランクフィールド)、リンジー(・ヴァンザント※RENAと1勝1敗)選手らとスパーリングしていますね」 ──空手を始めたのは直樹選手が先だったんですよね。 「姉は別の習い事をしていて自分は何もしてなかったので、親に『なにか習い事をしなさい』と言われて、7歳から空手を始めました。それで姉も稽古を見学していてやりたくなったようで一緒に稽古するようになりました」 ──その魅津希選手も3月28日(日本時間29日)に米国で、UFC女子ストロー級ランキング13位につけるテシア・トーレス(米国)との対戦が待っています。8月の中国大会では1階級上のフライ級契約からさらに相手のウー・ヤナン(中国)の体重超過で129ポンドのキャッチウェイトで勝利しました。今回は本来の階級であるストロー級で米国での試合になりますね。互いに気合いが入るのでは? 「姉弟揃って勝てたらいいですね。姉も続けて勝ってくれたら」 ──魅津希選手と互いにアドバイスしあったりもされるのですか。 「互いに、と言うか……結構、アドバイスしてくれますね(笑)。ずっと見ているからいろいろ動きも分かるでしょうし、試合が近くなるとカツを入れてくれますね(笑)」 ──カツ! それは心強いですね。さて、RIZIN初参戦となりますが、UFCのフライ級戦線縮小に伴うリリースで、次の舞台を考えたときに、DEEPからRIZINというのはどのくらいイメージ出来ていましたか。 「最初からありましたね。憂流迦さんのRIZINでの試合のときにセコンドでついて、すごく何て言うか……いいところだな(笑)と感じました。パフォーマンスがしっかりしていて、お客さんが楽しめる感じになっていて、自分の気分も上がる。ここで試合が出来たら自分も楽しいだろうな、と感じていました。参戦できることを嬉しく思っています」 ──RIZIN参戦の決め手となったのは? 「バンタム級がすごく盛り上がっていて世界トップレベルの選手が集まっているので、そこで自分の力を証明できればと思っています」 ──今回の対戦相手がトレント・ガーダムと聞いたときはどのように感じましたか。 「最初は……ほんとうに“誰だろう?”って(笑)。RIZINに出ていると聞いて、ちゃんと見ました。ビクター・ヘンリー選手との試合も見て、ほんとうにいい選手ですね。自分と同い年の22歳で戦績も身長(173cm)も同じくらいで。ムエタイベースで打撃も上手いですし、腰も強い」 ──タイガームエタイ仕込みの打撃で角度のある打撃を持っています。あの手足の長い打撃をどう見ていますか。 「そうですね……全然、問題ないですけど、気をつけなきゃいけないところは気をつけてしっかり極め切れたらと思います。イメージは出来ています」 ──ガーダムは時々スイッチしますが基本サウスポー構えで。オーソドックス構えの井上選手とは喧嘩四つになります。あのサウスポーからの右やヒジ打ちに注意しながらと。 「そうですね。サウスポーなのが一番注意ですね。ジムにBellatorに出ているプーミー(・ヌクタ)らサウスポーの選手もいるのでしっかり対策をしてきました」 ──首相撲も強く、ヘンリーからボディロック&小外掛けでテイクダウンを奪ったり、リバーサルもしています。パウンドを考えるとあまり下になりたくないと? 「下になったらそれはそれで極めるのは得意ですから、下から三角(絞め)でも(腕)十字でも、無理に立たなくても戦えます」 ──ヘンリーと接戦を繰り広げたガーダム選手との試合は、井上選手のなかでどういう意味合いを感じていますか。 「もちろん圧勝して勝てば、自分がどの位置にいるか分かると思いますし、次の対戦相手も決まってくるのかなと思います」 ──さきほど「世界トップレベルの選手が集まっている」と言ったRIZINのバンタム級戦線では、同門の佐々木憂流迦選手が一足早く参戦し、マネル・ケイプに勝利し、朝倉海選手にTKO負けしてアゴを2カ所骨折するなど、タフな戦いをしています。あの試合は井上選手はどのように見ていましたか。 「ほんとうにすごく根性があるなと思いました。折れているのに向かっていく姿に心打たれましたし、実際に取り組みを見てきたので、敵討ちみたいな事が出来れば良いなとも思いますが、自分が目指すところはトップのところなので、朝倉海選手、マネル・ケイプ選手、それに堀口(恭司)さんのところまで行くために来ました。そのためにも今回も結果がすべてなので、試合で出したいと思います」 ──地元の豊橋から近い浜松での大会で縁もありますね。 「そうですね。浜松にはボンサイ柔術に出稽古に一度行かせていただいて、クレベル(・コイケ)選手や鈴木(琢仁)選手と練習させてもらったこともありますし、地元の豊橋の仲間も声をかけたら今までよりも反響があって観に来てくれるようなので、いい勝利を見せたいですね」 ──最後にまだ井上選手を知らないRIZINファンに向けて、PRとメッセージをお願いします。 「まだ自分の事を知らない人はたくさんいると思いますが、僕は史上最年少でUFCと契約して、今回初めてRIZINに参戦します。日本でまだ負けたことがないので、今回もいい勝ち方をして、お客さんを楽しませたいと思いますし、今までバンタム級では見たことのないスピード感を見せたいですし、しっかりフィニッシュするところも見てほしいと思います。応援よろしくお願いします!」 【関連記事】金原正徳「最後に自分の区切りをつけるためにRIZINで勝負することを決めた。戦いたい相手がいます」
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