2月11日(月・祝)東京・大田区総合体育館にて『KNOCK OUT 2019 WINTER ―THE ANSWER IS IN THE RING―』が開催された。
メイン&セミは、「KING OF KNOCK OUT ライト級(61.5kg)アジアトーナメント準決勝」2試合。メインでは初代KING OF KNOCK OUTライト級王者の森井洋介が、第5代RISEスーパーフェザー級王者のチャンヒョン・リーと対戦した。
ローとパンチを得意とする両者は序盤から、互いの得意技を真っ向からぶつけあう展開に。森井は左ローとボディブロー、リーは右ローと左フックで前に出るが、ダメージを溜めたのは森井。足が揃うようになった森井は2R、リーの右からの左フックでダウンを奪われる。立ち上がった森井だが、さらにリーの右ロー、左フックを浴び、計3度のダウンでストップ。“韓国の鉄拳”リーが森井洋介を2R1分21秒、KOに降した。
セミでは、ラジャダムナンスタジアム認定ライト級王者&KING OF KNOCK OUTライト級王者のヨードレックペットが、モンゴルのボルドバートルと対戦。オーソドックス構えから強烈な左ミドル、左ローを当て続けたヨードレックペットが判定勝利し、4月29日の決勝(ベルサール高田馬場)でリーと対戦することになった。
また、セクサン、パコーン、サックモンコンなどムエタイトップファイターに勝利している世界的な強豪チャド・コリンズと、初代KNOCK OUTスーパーライト級王者の不可思が65kg契約で対戦。
序盤から左ミドルで圧力をかけてくるコリンズに対し、不可思はジャブ&ローで応戦。さらにボディ打ちで削る作戦に。1Rから前足にダメージを溜めたコリンズは左右スイッチし前足を入れ替え、首相撲からのヒザに変更。さらに接近戦で打ち合いに来た不可思にカウンターの右の縦ヒジでダウンを奪取する。
痛恨のダウンを喫した不可思は、後半も諦めず左右ローを奥足にも効かせるが、コリンズの首相撲ヒザは硬く、終盤のスタミナも落ちず。強靭な肉体で粘る不可思に決定打を許さず、判定勝利をもぎとった。
前半戦では、フライ級(51kg)ファイターたちが好勝負を展開した。
第1試合では53kg契約でタネヨシホと大﨑孔稀が対戦。先に右ヒジで孔稀をカットさせたヨシホに、孔稀も右ボディストレートでダウンを奪い挽回。4Rでスタミナが切れかけたヨシホだが、最終ラウンド、勝負をかけた左右ボディ打ち&ヒザの怒濤のラッシュで3度のダウンを一気に奪い、劇的な逆転KO勝ちを収めた。
また、第4試合では53.5kg契約で大﨑一貴がWMC世界バンタム級王者のチョークディーと対戦。2018年にルンピニー王座挑戦経験もある一貴は、激闘派ムエタイのチョークディーを相手に、「ムエタイの蹴りにはない空手の蹴りを使いたい」の予告通り後ろ蹴りを効かせると、チョークディーはムエマッドからムエカオに変化。首相撲ヒザで一貴を封じ込めると、3Rに右ヒジ一閃。乾坤一擲のダウンを奪う。前のめりに倒れた一貴だが、立ち上がるとヒジでも応戦。さらにレバー打ちの連打で追い上げるが、チョークディーは逃げ切りの体勢で判定勝利を手にした。
なお、3月8日の『ONE:REIGN OF VALOR』ミャンマー大会参戦も発表された健太は、番長兇侍の強打をいなし、2R、左ボディできっちりKO勝ちを収めている。▼第8試合 メインイベント KNOCK OUTライト級(61.5kg)アジアトーナメント準決勝 3分5R×森井洋介(GOLDEN GLOBE/初代KING OF KNOCK OUTライト級王者)[2R 1分21秒 KO]◯チャンヒョン・リー(韓国/RAON GYM/RISEスーパーフェザー級(60kg)王者)
※左ロー、左ボディ当てる森井だが、チャンヒョンは上下振り右ロー連打。2R、右ロー効かされた森井。ガードが下がり気味になったところにチャンヒョンが左フックで最初のダウンを奪う。立つ森井だが足が揃い、チャンヒョンのラッシュでダウン追加。最後はコーナー詰めたチャンヒョンが右ストレートから左フックでKO。この結果、4月29日(月・祝)、東京・ベルサール高田馬場大会で行われる決勝は、KNOCK OUT王者ヨードレックペット vs RISE王者チャンヒョンの王者対決となった。
◆チャンヒョン・リー「フィジカルを鍛えてきたのでローを効かせられると思っていた」
「試合は予想していた通りでした。(森井とは)相性が良かった。考えていた通り、早く終われました。
(4月29日の決勝の相手ヨードレックペットは)パンチとローが強烈です。太くていい体格をしている。いい試合になると思います。アグレッシブなKOができるように練習して臨みます。日本人選手ではなくて韓国の私が決勝に進みましたが、ファンの人たちがいい試合を観られるよう、大会を盛り上げます。
(ローはあれほど早く効かせられると思っていた?)効かせられると思っていました。フィジカルを鍛えてきたので。
(3月10日『RISE WORLD SERIES 2019』-61kgトーナメントにも出場が決まっているがダメージは?)大丈夫。右足のアイシングも問題ない。(RISEでローを武器とする)裕樹のローを受けてもダメージを受けなかったから。
(タイ人とのこれまでの戦績は?)3戦3勝2KOです。でもヒジ無しルールでした。対ムエタイでどう戦う? それは内緒です(笑)」
▼第7試合 KNOCK OUTライト級(61.5kg)アジアトーナメント準決勝 3分5R◯ヨードレックペット・オー・ピティサック(タイ/KING OF KNOCK OUTライト級王者/T-Ded 99 Muay Thai Gym)[判定3-0(50-48×2,50-47)]×ボルドバートル・アルタンドルグーン(モンゴル/SHINOBU FIGHT 2018 プロキックボクシング 全モンゴル最強決定トーナメント60kg優勝/MANDAL FIGHTING GYM)
※オーソからワンツーの右、左フック振るボルドバートル。サウスポーのヨードレックペットも左ロー。イーブンの1R。2R左回りから右スーパーマンパンチ、出入りのボルドバートル。ヨードレックペットは蹴り足掴み左ミドル、3Rも出入りはボルドバートル。その右に左ミドル、ローを合わせるヨードレックペットを1者が支持。4、5Rも左回りから左フック引っ掛けるボルドバートルを追うヨードレックペットが詰めて左当て判定勝利。
▼第6試合 65kg契約 3分5R×不可思(クロスポイント吉祥寺 REBELS)[判定0-3(47-49,46-49,47-50)]◯チャド・コリンズ(SITSONGPEENONG PHUKET)
※共にオーソから。左右ローから入る不可思。奥足にも。左ミドル当てるコリンズ。2R、前足変えるコリンズに左ローは不可思。しかしコリンズは怒涛の圧力で右縦ヒジ! 不可思ダウンもゴングに救われる。後半戦、右スーパーマンパンチは不可思。さりに粘り強くロー突くが左ミドル・前蹴りから距離潰し組むコリンズは、突き上げるヒザ、大きく回して脇腹、背中を突き上げるヒザなど様々な首相撲ヒザで徹底。コリンズが判定勝利した。
◆チャド・コリンズ「また対戦しよう」
「不可思はとても激しくハートが強かった。素晴らしい選手だ。試合前に2つほど映像を見たけど、右ローと右ストレートしか彼の武器は知らなかった。
(ダメージは)シリアスなものはないけど、ただ痛いよ(苦笑)。
(不可思とベルトをかけて再戦も?)ぜひやりたいね。(試合場所である)日本に来てからも減量したのはあまりないこと。次はもっと準備してハートも強く、いい試合をしたい。
(ムエタイとキックルールの違いは?)あまり変わらないね。クリンチからの攻撃を早くしないといけないことくらいかな。うまくアジャストできたと思う。
(日本の選手で不可思以外に知っている選手は?)うーん、何人か顔は知っているけど名前が出てこない。MMAだけどエンセン井上のことは知っているよ。
(試合後は豪州かタイのどちらに帰る?)まずは出来れば日本でスノーボードをやりたい。その後、3月16日にタイでオンノーイスタジアムで試合が決まっているよ。
あと、最後に付け加えたいのだけど、日本に来て、ファンのサポートがとてもありがたかった。そして対戦相手の不可思がとても優しく接してくれて本当にありがとう、と言いたい。とても強いのに腰も低くて、リスペクトしている。僕は試合前にトラッシュトークで悪口を言い合うのは嫌いなんだ。だから今回はとても良かったよ」
(※会見後、コリンズは不可思と会い)不可思の「また試合しよう」の言葉に、コリンズも「やろう!」と即答していた。
▼第5試合 70kg契約 3分5R◯緑川 創(新日本キック・藤本ジム)[判定3-0(49-48,50-48,50-47)]×北斗拳太郎(ボスジム)
※サウスポーに構えた北斗は2R左バックフィストから右ストレートヒット。3R詰める緑川は北斗の左に右をかぶせる。北斗はクリンチ。4R左ボディ、右フックスイングする緑川、北斗は離れ際右ハイ。5Rも主導権握る緑川ペースを北斗は崩せず。
▼第4試合 53.5kg契約 3分5R×大﨑一貴(OISHI GYM)[判定0-3(46-49×2,46-48)]◯チョークディー・PKセンチャイジム(PKセンチャイジム)
※「ムエタイの蹴りにはない空手の蹴りを使いたい」の予告通り、後ろ蹴りを効かせる大﨑は右ローから顔面ワンツーも。2Rから首相撲ヒザに切り替えるチョークディーは3R、前蹴りで距離取る大﨑に詰めるチョークディーが右ヒジでダウン奪取! 前のめりに倒れた大﨑だが、立ち上がる大﨑は4R、ヒジでも対抗。さらに左ボディを連打。チョークディーはヒザを突き刺す。5R、レバー打ち連打の大﨑にチョークディーは後半逃げ切り体勢。判定3-0でダウン奪ったチョークディーが激闘をものにした。
▼第3試合 61.5kg契約 3分5R×髙橋一眞(NKB・真門ジム)[判定0-3(49-50,48-49×2)]◯重森陽太(新日本キック・伊原道場稲城支部)
※共にオーソ、左ミドル、左ボディの重森に高橋は右ローから長いワンツー、左フック狙い。3、4R重森は右ロー効かせ、右ハイ狙い。高橋は接近戦ヒジでカットさせるも浅い。5R重森は左右ローに高橋足流れ、蹴りにワンツー詰めるが重森ガード。判定3-0、スクランブル発進の重森が勝利した。
▼第2試合 65kg契約 3分5R◯健太(NJKF・E.S.G)[2R 1分48秒 KO]×番長兇侍(INNOVATION・Hard Worker)
※オーソから左ボディの軌道から顔面狙う番長。健太は首相撲からヒザ効かせる。2Rジャブで翻弄する健太は前蹴り、ヒザも効かせ、最後は左ボディでKO! 3月8日「ONE:REIGN OF VALOR」ヤンゴン大会でのペットモラコット戦に向け、弾みをつけた。
▼第1試合 53kg契約 3分5R◯タネヨシホ(INNOVATION・直心会)[5R 0分51秒 KO]×大﨑孔稀(OISHI GYM)
※3Rに右ヒジで大﨑をカットさせるタネだがスタミナ苦しく、4Rに大﨑が右ボディストレートでダウン奪い返す。さらに右ボディで2度目のダウンも奪う。しかしその後のラッシュを凌いだタネが5R猛反撃。左右ボディ打ち&ヒザ蹴りで3回のダウン奪い、逆転KO勝利。兄ヨシキに肩車されたタネはリングを1周。マイクを持つと「心折れそうになったけれど会長と家族のサポートがあって勝つことが出来ました。また呼んでくれればいつでも絶対面白い試合をするんで、どんな強い奴でもかかって来い」と咆哮。大会後、小野寺力プロデューサーはこの試合をベストバウトに挙げた。
【各選手事前インタビュー】