「Krush.110」2020年1月25日(土)東京・後楽園ホール
▼メインイベント(第8試合)Krushライト級タイトルマッチ 3分3R・延長1R〇ゴンナパー・ウィラサクレック(タイ/ウィラサクレック・フェアテックスジム/王者)判定2-0 ※29-29、29-28、30-28×横山 巧(リーブルロア/挑戦者)※ゴンナパーが2度目の防衛に成功。
ゴンナパーはタイで100戦以上のキャリアを積み、2010年から日本を主戦場に。日本人キラーとして名を馳せ、2016年9月からK-1 JAPAN GROUPに参戦。2018年4月に佐々木大蔵を下して第5代王座に就き、同年9月には大沢文也の挑戦を退けて初防衛に成功。同年12月のK-1ライト級世界最強決定トーナメントでは1回戦でまさかのKO負けを喫したが、2019年3月にリュウ・ウェイを破って復活勝利を挙げた。戦績は105勝(22KO)29敗3分。
その後、父親が亡くなったことからタイへ帰り、家族を支えての生活をしていたが、夏にK-1 JAPAN GROUPに試合ができる状況になったとの連絡があったという。王座防衛期限は9月30日だったが、「他の階級のタイトルマッチがすでに決まっていた部分もあって、ゴンナパーにふさわしい挑戦者を選ぶ中でその選手は他の試合が決まっていたり、防衛戦が組めない状況があったために期限を超えてしまった」と、中村拓己K-1プロデューサーは説明。そのため、ゴンナパーは約10カ月ぶりの試合となる。
挑戦者の横山は空手からキックボクシングに転向し、高校1年生でプロデビュー。スーパー・フェザー級から今年ライト級に階級を上げ、東本央貴と里見柚己に連続KO勝利。今回の挑戦権を手にした。戦績は9勝(6KO)3敗。
1R、横山は右ボディに左フック、サウスポーのゴンナパーが放つ左ミドルに左右フックを合わせる。ゴンナパーのパンチをよく見てかわし、重いパンチを打ち込んでいく横山。ゴンナパーは前へ出ていくが、横山の動きを捉えきれない。
2R、ゴンナパーは左ミドルを蹴りながら接近し、左のパンチを打って行く。横山の左フックがタイミングよく連続ヒットするが、ゴンナパーは下がらず打ち返す。よく見て右のパンチを当てに行く横山。しかし、バックハンドブローを空振りしたところへゴンナパーの左ストレートが直撃。どんどん前へ出て攻めるゴンナパーに、次第に横山の手数が減ってきた。ゴンナパーのパンチは空振りさせるがヒザをもらう。疲れが見える横山に終盤はゴンナパーの左ストレートがヒット。横山も負けじとフックを打ち返す。 3R、さらに前へ出て詰めてフックとヒザを打ち込むゴンナパーに横山は追い回される形となるが、よく見て左右フックを当てに行く。ゴンナパーは左ミドルを蹴り、左ストレートを当て、密着するとヒザを突き上げる。手数の減った横山はカウンター狙いか待ちの姿勢になる場面が多くなるが、左ミドルで右腕を蹴られてパンチが出せず。ゴンナパー優勢のまま試合終了。
判定2-0でゴンナパーが2度目の防衛に成功。マイクを持ったゴンナパーは「今日は自分の仕事ができてうれしく思います。今後、自分にはもっと高い目標があります。次はぜひ、K-1のベルトが欲しいと思っています。次も全力で戦います。チャンピオンになりたいです」と、K-1王座への挑戦をアピールした。
▼セミファイナル(第7試合)Krushスーパー・ライト級 3分3R・延長1R〇山崎秀晃(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/第4代Krushスーパー・ライト級王者、第3代Krushライト級王者)KO 1R 2分28秒 ※3ノックダウン×堀井 翼(ネクサスジム)
山崎は伝統派空手からキックボクシングに転向し、2009年12月にKrushデビュー。強打と多彩な蹴り技で白星を重ね、2013年3月にトーマス・アダマンドポウロス(フランス)を破り、第3代Krushライト級王座に就いた。その後も連勝を重ねて2014年11月からは新生K-1に参戦。2015年11月には第4代Krushスーパー・ライト級王座にも就いた。
以降、K-1に専念していたが今回4年2カ月ぶりにKrush参戦が決定。K-1 KRUSH FIGHTから元のKrushに名称を戻す第一弾大会となる今大会に出場する。
堀井は3月の『Krush.99』でK-1 JAPAN GROUP初参戦。1Rにダウンを奪われながらも3度のダウンを奪い返して1R2分46秒でKO勝ち。しかし、6月の瑠久戦では喧嘩っ早さが仇となり、記者会見で乱闘騒ぎを起こして会見は中止に。試合では瑠久に判定で敗れ、10月にはKING OF KNOCK OUT初代スーパーライト級王者・不可思にTKO負け。通算戦績は5勝(4KO)2敗3分となっている。
1R、山崎は長い距離での左ミドルを連続して命中させる。さらに飛び込んでの左ボディ。後ろ蹴りでは堀井を転倒させる。左右フックを強打する堀井だが、山崎がワンツーを打ち抜いてダウンを奪う。
立ち上がった堀井は打ち合いに行くが、左フックに左フックのカウンターを浴びて2度目のダウン。さらに打ち合いに行った堀井だったが、山崎が左フックでとどめを刺した。
マイクを持った山崎は「ご無沙汰しています。何も言うことはないです。Krush大好きです、愛してます」と話して大歓声に応えた。
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▼第6試合 Krushライト級 3分3R・延長1R〇里見柚己(K-1 GYM横浜infinity)KO 3R 2分02秒 ※左ストレート×金子大輝(K-1ジム大宮チームレオン)
金子はMMA(総合格闘技)からミャンマーの頭突きありの超過激格闘技ラウェイに転向。2017年12月にはミャンマー・ヤンゴンで開催されたAir KBZ(エアカンボーザ)チャンピオンシップに出場し、67kg級でこの大会の2017年王者となった。今年6月、K-1への参戦を表明し、11月に初参戦して独特の動き・リズムを見せて林を戸惑わせたが、最後は右ストレートでKO負けを喫した。
里見は12勝(6KO)8敗1分の戦績を持つ22歳。昨年8月の再起戦で、ベテランの山本真弘から得意の左ストレートでKO勝ちして名を上げた。スーパー・フェザー級からライト級に階級を上げて臨んだ6月のK-1 WORLD GPでは、大沢文也にワンマッチで判定負け。9月のK-1 KRUSH FIGHTでは横山巧に1RでKO負けを喫し、連敗からの脱出を懸けて今回の試合に臨む。
1R、両者サウスポー。いきなり飛びヒザ蹴りの奇襲をかけた里見。金子は左右ミドルを蹴って右フックで飛び込んでいく。里見は左ボディストレートを狙い撃ち。お互いに左でヒットを奪い合った。 2R、金子のジャブに鼻血を出す里見。金子はさらに右の三日月蹴りと飛び込んでの左フック。里見はジャブと左ボディストレート、フックを振り回す金子のパンチをかわして左を打ち込む。続いて左アッパー、左フックで金子を追い込む里見。 3R、勝負をかけた金子がフックをブンブンと振り回し、顔面とボディへ叩きつける。里見も左ストレートを打ち込むが、左右フックと右三日月蹴りのラッシュに圧倒される。しかし、打ち合いの中で足がもつれてスリップしたところで金子にダウンが宣告された。金子はバテたか急激に動きが悪くなり、里見がワンツーと後ろ蹴りでダウンを奪い、さらに左ストレートを打ち込んでダウンさせてのKO勝ち。金子は力尽きて倒れた。
苦しみながらもKO勝ちした里見は「ラウェイチャンピオンの金子選手、めちゃめちゃ頑丈で本当に強かったです。途中危ない場面あってすいませんでした。1年ぶりくらいの勝ちになって、去年本当に悔しくて凄い練習して、またすぐに練習するんですけれど、3月のK'FESTA狙っています。あと面倒見てもらった後輩が違う道へ行くんですが、つらいこともありますが自分はこの道でトップを目指していきます」と、久しぶりの勝利を喜んだ。
▼第5試合 Krushライト級 3分3R・延長1R×川﨑真一朗(月心会ラスカルジム)KO 1R 2分50秒 ※左バックハンドブロー〇東本央貴(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
両者は昨年12月のK-1大阪大会にて「K-1 WORLD GP 2018 K-1ライト級世界最強決定トーナメント・リザーブファイト」で対戦。川崎が延長戦の末に判定3-0で勝利を収めている。東本はその川崎戦から4連敗となっており、勝ち星が欲しいところ。川崎は3連勝と勢いに乗っていたが、前回の8月の篠原悠人戦で敗れて今回が再起戦。
1R、サウスポーの東本は左ミドルから試合を組み立てるが、川崎は左右ストレートの連打で強襲。川崎が逆ワンツーをヒットさせ、さらに詰めようとジャブをあてたところで東本が抜群のタイミングでバックハンドブロー。
この一撃が見事に決まり、東本がKO勝ちで連敗をストップした。東本はマイクを持つと「久しぶりに勝てました。やっと長いトンネルを抜けた気がします。試合のことと関係ないんですが、12月21日にハンバーガー屋をオープンしました。町田で店長しています」と、勝利のどさくさに紛れて宣伝した。
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▼第4試合 Krushクルーザー級 3分3R・延長1R〇RUI(K-1ジム蒲田チームキングス)KO 1R 1分57秒 ※ヒザ蹴り×中平卓見(北眞舘)
RUIは2019年8月の初代K-1 KRUSH FIGHTクルーザー級王座決定トーナメント決勝戦でK-JeeにKOで敗れ、今回が再起戦。長身から繰り出すヒザ蹴りを得意とする。戦績は12勝(4KO)8敗1分。対する中平は今回がKrush初参戦で戦績は7勝(7KO)2敗。
1R、サウスポーのRUIはじりじりと前へ出てジャブと前蹴り。中平がコーナーを背負うとヒザを繰り出す。中平は思い切りフックを振り回す。RUIはパンチ、前蹴り、ヒザでボディを攻め、ロープ際まで追い詰めると左の前蹴りをボディに突き刺し、倒れ掛かった中平の顔面へヒザを突き上げてのKO勝ち。
「福岡県北九州市出身のRUIです。残念ながら俺にローキックは効きません。松岡力の方が全然痛い。K-1福岡大会が発表されました。どんどん試合して絡んでいくので注目してください」とRUIはK-1福岡大会出場をアピールした。
▼第3試合 Krushスーパー・ウェルター級 3分3R・延長1R〇松下大紀(K-1ジム川口)KO 1R 1分29秒 ※右フック×EITO(HALEO TOP TEAM) 松下はこれまでスーパー・ライト級で戦い、2019年1月には鈴木勇人と第7代Krushスーパー・ライト級王座決定戦を争ったが、その試合を最後に一気に2階級上げてのスーパー・ウェルター級に転向することになった。戦績は9勝(7KO)5敗1分。
EITOは2019年6月のKrushでプロデビュー、11月のK-1と連続KO勝利を収めており、2勝2KO無敗の戦績。
松下はいつも通り、額と額をくっつけてのにらみ合いを仕掛ける。 1R、コーナーへ詰めていくEITOが右ストレートをヒットさせると一気にラッシュ。これに松下も打ち合いに応じ、右をヒットさせる。さらにEITOが右ストレートで松下を吹っ飛ばすが、すぐに松下が打ち合いに出て激しい打ち合いに場内は沸く 打ち合いの中、松下が右フックでダウンを奪うと、もはやフラフラのEITO。試合再開も棒立ちのEITOに松下が右フック3連打を浴びせてKO勝ちした。
松下はマイクを持つと「2階級上げて70でやったんですが、EITO選手凄く強かったです。でもここを超えないとピケオーを倒せないな、と。ちょっと本気出しました。僕、70で絶対にチャンピオンになるつもりです」と、スーパー・ウェルター級で頂点を目指すと宣言した。
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▼第2試合 Krushライト級 3分3R・延長1R×佐野純平(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)KO 3R 1分31秒 ※左フック〇竜樹(ウィラサクレック・フェアテックス九州)※竜樹は規定体重をクリアできず減点1
竜樹は前日計量でパスすることができず、減点1からのスタートとファイトマネーの減額。規定では佐野が8オンス、竜樹が10オンスのグローブハンデとなるが、佐野が拒否したため両者8オンスのグローブを使用する。
1R、圧力をかけていくのは佐野。両者ローを蹴り、竜樹は右ミドルも蹴る。ラウンド終了間際に連打からの左フックで龍樹がダウンを奪った。
2R、ショートでの左フックを効かせて連打をまとめる竜樹。佐野は右ストレートで対抗するが、ショートの距離では竜樹の左右フックをもらってしまう。
3R、ワンツーを当てに行く佐野だが、ショートの距離では竜樹のフックの回転力が上回る。佐野が右フックを空振りしたところへ竜樹が左フックを強振し、ワンテンポ遅れてから佐野が足をもつれさせてダウン。立ち上がることが出来ず、竜樹のKO勝ちとなった。
竜樹はマイクを持つと「計量でオーバーしてしまって佐野選手陣営と関係者に迷惑をかけてしまいました。すいませんでした。僕は誰と対戦したいと言える立場ではないので、用意された試合をこなしていって上の舞台で戦っていける選手になります」と話した。
▼第1試合 Krushスーパー・フェザー級 3分3R・延長1R〇三輪裕樹(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)延長R 判定3-0 ※10-9×3×川口拓真(K-1ジム総本部チームペガサス)※本戦の判定は30-29、29-30、29-29。 1R、川口はガードを固める三輪のボディを徹底的に攻める。川口は強烈な右ローを徹底的に蹴るという削り合い。ガードの上からでもお構いなしにパンチを打ち、ヒザも突き上げる川口が優勢。
2Rも三輪は徹底して右ローを蹴り続ける。川口はパンチを回転させるが、打ち終わりに右ローをもらう。川口はパンチを連打しての右ミドル。
3R、パンチを打ちながら前へ出てくる川口はボディを攻めるが、やはり三輪に右ローを蹴られる。川口はローを蹴らせての右ストレートを打ち込み、本戦の判定は1-1でドロー。
延長戦になってもひたすら右ローを蹴り続ける三輪に川口は右ストレート、右フックで対抗。残り15秒、時間を確認した川口はパンチの手数を増やしたが、右ローのダメージは明らかで三輪が延長Rを制した。▼プレリミナリーファイト第3試合 Krushスーパー・バンタム級 3分3R×桑田裕太(Ωmega)KO 1R 2分18秒 ※左フック〇希山泰樹(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
圧力をかける希山がパワフルな左ボディ、左フック打つ。右フックから左フックの返しでダウンを奪い、続けて右ボディからの左フックで桑田をマットに沈めた。
▼プレリミナリーファイト第2試合 Krushスーパー・フェザー級 3分3R〇目黒翔大(優弥道場)KO 1R 0分57秒 ※右フック×鈴木一晴(キックボクシングアカデミーROOTS)
『格闘代理戦争』出身の目黒はサウスポーから三日月蹴り、左ボディを狙い撃ち。前へ出ようとした鈴木に目黒は左ボディのカウンターを入れ、続いて右フックのカウンターで仕留めた。
▼プレリミナリーファイト第1試合 Krushスーパー・バンタム級 3分3R×片岡祐嘉(K-1ジム五反田チームキングス)判定0-3 ※28-29、29-30、28-30〇“狂拳”迅(WIZARDキックボクシングジム) 1Rは堅さが目立ったが、2R以降はコンビネーションパンチを回転させた迅。片岡のパンチを被弾する場面も目立ったものの、前蹴りでタイミングよく突き放し、3Rには左フックをクリーンヒットさせてデビュー戦を勝利で飾った。