2019年12月29日(日)さいたまスーパーアリーナで開催される「BELLATOR JAPAN」にて、上迫博仁(チームクラウド/和術慧舟會HEARTS)と71kg契約で対戦する矢地祐介(KRAZY BEE)が17日、都内の所属ジムで公開練習を行った。
元M-1ウェルター級王者のムエタイ戦士ゲンナロンが持つミットに、サウスポー構えから力強い左右ミドル、ワンツー&ヒジ打ちを2分1R見せた矢地は、「いい感じで徐々に上がっている。試合当日には120パーセントの仕上がりになります」と順調な仕上がり具合を披露した。
「基本に立ち返った」という矢地は、青木真也、北岡悟らが練習するロータス世田谷での出稽古のほか、KRAZY BEEに出稽古にきている田中路教や元谷友貴らとも練習。トップ選手とのスパーリングのなかで、「自分自身が何者なのか、どんなところが強いのかを教えてもらい、己を知ることができた」という。
その「気づき」をもとにあらためて試合運びに採り入れて戦う今回。対戦相手の上迫については「打撃に自信を持っている。ヒザ蹴りやサッカーキックだったり“殺しのテクニック”を持っている選手」「カーフキックで試合を作っている」と印象を語りながらも、「僕も打撃で殺せる技を持っているし、カーフキックの対策も立てている。トータルで勝てる」と自信をのぞかせた。
RIZINでは2016年12月のマリオ・シスムンド戦でデビューして以来5連勝も、現在はルイス・グスタボ、ジョニー・ケース、朝倉未来を相手に3連敗中で、会見では上迫から「RIZINに作ってもらった偽物というかヒーロー」と挑発されたが、「いまは何を言われてもしょうがないし、言われてしまう状況なので何も僕には刺さらない。そう思われてしまっているなら頑張らなきゃなという感じですね」と、淡々と語ると、「しっかり結果を残していけば、ライト級トーナメント覇者とも来年やれる可能性もゼロではない。まずは一つひとつ、自分のやってきたことを出して、皆さんに結果を見せて認めてもらうだけです」と、表情を引き締めた。
また、メンタル面について「格闘技以外のところでも『うわー』っていうこともあるけど、『結果的に良かった』と思えるように、強引にいい方で終わるようにふだんから心がけている」とポジティブ思考の矢地は、世間をにぎわせた大河女優の川口春奈との交際についても、「えっ、どういうこと?(笑)」とおどけながらも、「(報道されて)結果的に良かったんじゃないですか。報道されていることがすべてです」と、笑顔で語った。
──仕上がり具合は?
「いい感じです。あと2週間ないくらいで、試合当日に向けて徐々に上がっている感じです。試合当日には120パーセントの仕上がりになります」
──重点的に練習していることなども?
「基本に立ち返ってやっています。打撃・寝技・レスリングとか、全体的な底上げをしています。相変わらず出稽古にも行かせてもらって、いろんなところで指導してもらっています」
──新たな気づきも?
「そうですね。ここ最近の試合で、自分自身が何者なのかということが分からず戦っていたところがあったので、そういう部分を、チームメイトや出稽古先で、『矢地君はこんなところが強いよ』と教えてもらって、『俺ってこんなところが強いんだ』と、己を知った期間でした。各分野で、打撃だったらこういう場面で、寝技だったらこういう場面で強いよ、と。そういう強みが自分自身で分かっていなかった。それを教えてもらって気づけました。それが分かると、試合展開・試合運びがすごく作りやすくなりますし」
──これまではそれが分からず戦っていた?
「はい。戦う上での心持ち、自分の強みがわかったうえで生まれてくる展開があると思います。その展開になったら自信を持って戦えるということが増えたかなと思います」
──具体的に相手にとってこれが嫌だと言われた動きは?
「えー、それは言えないかな(笑)。ダメなところとして、もうみんな分かっている通り、やっぱり相手との打ち合いのなかで顔を背けてしまうところだったり、そういうところも基礎として、打ち方だったり目を逸らさないとか、タックルにどう入るのかとか、そういうのをしっかりおさらいしてきました」
──出稽古先のロータス世田谷での練習や、今日もKRAZY BEEには、いつもの朴光哲選手や高橋遼伍選手、田村一聖選手らに加え、田中路教選手、元谷友貴選手の顔も見えました。どんな影響がありますか。
「自分の持っていない細かい技術を持っていて教えてもらったり、それこそ、さいっき言った俺の強みに気づいてくれます。強い選手たちにそれを言ってもらえると説得力があって、この人たちが『強い』と言ってくれるところはほんとうに強いんだ、と自信につながります。それにメンタル的な部分、スパーリングや試合でのマインドセットがすごく勉強になる部分が多いです」
──対戦相手の上迫博仁選手と会見で向き合った印象は?
「そうですね……派手だな、と(笑)。派手な格好しているなと」
──会見では「RIZINに作ってもらった偽物というかヒーロー」と挑発されました。そのときの気持ちは?
「まあ、いまは何を言われてもしょうがないし、言われてしまう状況なので、何も僕には刺さらないというか。そう思われてしまっているんだなという、じゃあ頑張らなきゃなという感じですね」
──ナニクソという気持ちも?
「もちろん。やっぱり言うても、RIZINという大きな舞台で凌ぎを削ってきた、戦ってきた自負はありますし、最近、結果はついてきていないですけど、何言ってんだ、という感じはあります。試合で見せようと思います」
──上迫選手は、もともとのグレコローマンレスリングに加え、RIIZNルールに向いているサッカーキックなどの得意技を持っています。ファイターとしてどんな印象を?
「組みももちろん強いんでしょうけど、まあ打撃が自信を持ってやっているなという印象でしょうかね。ヒザ蹴りやサッカーキックだったり、“殺しのテクニック”を持っている選手ですね」
──矢地選手の“殺しのテクニック”は?
「自分もトータルで勝てると思いますし、打撃でも“殺せる技”は僕も持っているので、全然、いい勝負になるんじゃないですか。ほんとうに緊張感のある」
──先日の朝倉未来選手が蹴ってきたように、上迫選手もカーフキックを得意としています。その対策などは?
「もちろん彼はそれを得意としていて、それで(試合を)作っているようにも見えるので、その対策はしっかりしています。いい質問ですね(笑)」
──YouTubeで見せていた技も?
「まあ当日のお楽しみということで。何が出るのかということも含めて、数少ない登録(苦笑)してくださった皆さんに届けばいいかなと思っています」
──さきほどのメンタル部分というのは?
「良くも悪くも自分はネガティブにはならないので、そういう部分というか、ほんとう戦っているなかでの心の持ちようというのに意識を置いた期間でした」
──どうやってネガティブにならないようにしていますか。
「意識的に……もちろん僕も『あー最悪だよ』とか、日ごろ格闘技以外のところでも『うわー』っていうこともあるんですけど、強引に『結果的に良かったな』と傍から見たら笑っちゃうかもしれないですけど、強引にいい方で終わるように、ふだんから心がけていますね。落ちるときは落ちますけど、最終的こうだからいいよね、という考えにしています」
ーーテレビ(12月19日(木) 23:15~『アウト×デラックス』 )で朝倉未来・海選手と共演しましたが、変な感情はなかったですか?
「もちろん悔しいとは思いますが、負けたことは負けたこと。過去には戻れないので、それをしっかり受け容れて前に進むことが強くなる一歩目なのかなと思っています」
──「格闘技以外のところでも『うわー』っていうこともある」と仰ったのは、世間をにぎわせた報道(女優の川口春奈との交際)についても「結果的に良かった」ということでしょうか。
「えっ、どういうこと?(笑)。まあまあ、そうですね。結果的に良かったんじゃないですか」
──RIZINライト級GP予想も「ヤッチくんチャンネル」でされていましたが、ジョニー・ケースとルイス・グスタボの2人と対戦されている矢地選手から見て、あらためてGPの予想は?
「対戦するわけではないので、そこまで映像を見れていないのですが、グスタボ選手と対戦する“ピットブル”(パトリッキー・フレイレ)選手の底が知れないというか、この前の試合(川尻達也戦)でも実力のほどがいまいち分からなかったですけど。対戦したジョニー・ケース選手は強いですよね。トータルで戦えるし、それこそ自分の強みを分かっていて戦っています。私情も含め(笑)、ケースは優勝すると思うんですけど、とは言ってもトフィック・ムサエフ選手がやっぱり恐ろしいパワーを持っているんで……と話していたら一晩明かしてしまうので……後日、居酒屋で(笑)。ほんとう、楽しみなトーナメントですね」
──できればそこに加わりたかった。
「ほんとうに加わりたかったし、今年始まったときに、ライト級トーナメント開催を聞いたときに、出て優勝したいという思いが強かったんで。それは叶わなかったですけど、しっかり結果を残していけば、そのトーナメント覇者とも来年やれる可能性もゼロではないと思うので、3連勝すれば帳消しになるということではないけれど、一つひとつ、自分のやってきたことを出して、皆さんに結果を見せて認めてもらうだけですかね。そのためにもまず29日、しっかり納得のいく勝ち方をして、認めてもらいたいですね」