キックボクシング
レポート

【新日本キック】緑川創が難敵ガムライペットを破り世界王座防衛、勝次は丹羽圭介との王者対決を接戦で制す、ぱんちゃん璃奈がプロ初のKO勝ちに大喜び

2019/12/08 22:12
新日本キックボクシング協会「SOUL IN THE RING CLIMAX」2019年12月8日(日)東京・後楽園ホール ▼第12試合 スペシャルメインイベント WKBA世界スーパーウェルター級タイトルマッチ 3分5R〇緑川 創(藤本ジム/同級王者)判定2-0 ※48-48、49-48、49-48×ガムライペット・アヨタヤーファイトジム(タイ/フランス2018コンフォータブル・フォー王者/挑戦者)※緑川が初防衛に成功。  4月にWKBA世界王座を奪取した緑川が初防衛戦に臨む。ムエタイ王座奪取を狙う緑川は今年6月、ラジャダムナン王座に挑んで奪取ならなかった。このWKBA王座はどうしても死守したいところだ。  1R、オーソドックス同士。ガムライペットは左の蹴りから右ストレート。緑川は前進して蹴り。右ローをヒット。ガムライペットは左ローを返し、右フック。ここでガムライペットのファウルカップのヒモが切れたため、一度控え室に戻って装着。  2R、緑川はロー、前蹴り。ガムライペットは左ミドル。ガムライペットの右ストレートに緑川も右フック。緑川は右ボディ、左フック。ガムライペットは飛び膝。さらにタテヒジ。緑川が追い、ガムライペットは下がりながら蹴りを合わせる展開が続く。ジャッジは三者とも10-10。  3R、緑川が左ボディ。なおもパンチを狙うとガムライペットはカウンターのミドル。ガムライペットは飛び膝、ヒジを打ち下ろす。緑川が右ロー。ガムライペットはヒジ、ジャブ。緑川が詰めて右フック。ジャッジ1名10-9(ガムライペット)、10-10が2名。  4R、緑川が飛び込んでヒジ。右ボディストレート。ガムライペットは右ロー。緑川が前へ出て、ガムライペットが下がりながら合わせる。同じ展開が続く。  5R、ガムライペットのローブローとバッティングに対してレフェリーは減点1。緑川のボディにガムライペットは「効いてない」アピール。ガムライペットは右ストレートをヒットするが、緑川はダメージを見せない。緑川が詰めてボディ。ガムライペットは下がる一方の展開に。  判定は2-0で緑川。緑川が苦しみながらもベルトを守った。   緑川はマイクを持つと「みなさん、ありがとうございました。実質、ドローなんでいい試合内容ができなくて申し訳ないです。結果的には中3週間で強豪に勝つということができました。来年からは自分のストーリーを作り上げていきたいと思います。藤本会長、今までありがとうございました。これからも藤本ジムで培った精神で頑張っていきますので、応援をよろしくお願いします。本日はありがとうございました」とこの日、会長職から引退した藤本ジム・藤本勲会長にメッセージを送り、2020年の飛躍を誓った。 ▼第11試合 メインイベント 団体対決 63kg契約 ※ヒジ打ちなし 3分3R〇勝次(藤本ジム/WKBA世界スーパーライト級王者) 判定2-0 ※30-29、29-28、29-29×丹羽圭介(TEAMニワールド/REBELS 63㎏級初代王者)  10月にWKBA世界王座を獲得した勝次。今回はREBELS王者の丹羽と「ヒジなし」ルールという、丹羽の牙城での勝負となった。丹羽のセコンドにはTEAM TEPPENの那須川会長が付く。  1R、開始ゴングと同時に走ってジャブを突き刺す勝次。よろける丹羽。勝次は右ロー、右ストレート、丹羽も得意の右ストレートを打ち込む。フェイントを掛け合い、緊迫した攻防が続く。  2R、ジャブの差し合いから、丹羽が右ストレート。勝次もパンチを返す。丹羽はコーナーに詰めると得意の左右ストレート連打。勝次は力強い右ロー。勝次の左に丹羽は右ストレート。互いにパンチを効かせ合い、ダメージを負っている。 3R、勝次は左フック。丹羽はパンチを当てて後ろ廻し。これを避ける勝次。勝次がパンチを効かせて詰めると、丹羽もパンチで押し返す。丹羽の左目が腫れておりドクターチェック。再開、勝次がパンチ連打も、丹羽も打ち返す。勝次は飛び膝。丹羽は得意の右ストレート。お互いに真っ向からの打ち合いで終了ゴング。場内から大きな拍手が起きた。  判定は、3Rに大きなダメージを与えた勝次。マイクを持つと「僕は勝利を藤本会長に捧げたいと思い、頑張ってきました。50年以上、キックボクシングを引っ張っていただき、ありがとうございます! 僕たち選手一同、この火を消してはいけないと思っています。今までご指導、ありがとうございました。  藤本会長からいつも言われるのは『ジャブ、ロー!』でした。ジムの大先輩、沢村忠さんのDVDを見たら、セコンドの藤本会長が『ジャブ、ロー!』と同じことを言っていました。会長、50年以上、熱いご指導をありがとうございました。丹羽選手もありがとうございました。熱い戦いができました!」と語り、「1、2、3、ハッピー!」で締めくくった。 [nextpage] ▼第10試合 エキシビションマッチ 2分2R―江幡 睦(伊原道場本部/WKBA世界バンタム級王者)勝敗なし―江幡 塁(伊原道場本部/WKBA世界スーパーバンタム級王者/KING OF KNOCK OUT初代スーパーバンタム級王者)  1R、二人がバチバチの打ち合いを見せる。伊原代表が「なんで真剣にやってるんだよ!」と注意して、本来2分2Rのエキシビションマッチは1Rで終了。  大晦日RIZINで那須川天心との大一番が決まった塁は「今日はありがとうございます! 僕ら13年ぶりに後楽園ホールでエキシビションマッチをやらせていただきました。僕ら17歳から藤本会長の興行に出させていただきました。大晦日、那須川天心選手と試合をします。日本の格闘技業界を引っ張ってる選手です。が、日本人で倒せるのは僕しかいないと思ってます(場内大歓声)。大みそか、新日本キック王者の強さを見せたいと思います。来年は、兄の睦がもっともっと大きな舞台に立つと思います。31日はそのスタートを切りたいと思います」とアツいマイクアピール。  すると睦は「いつも伊原会長のミットを蹴ってます。今日はそれを見ていただきます」と、途中で終わったエキシビションマッチの代わりにミット打ちを披露。睦に続き、日本ライト級王者・高橋亨汰も伊原代表の持つミットにミット打ちを行い、ファンを楽しませた。藤本ジムの藤本会長が会長職を勇退。10カウントゴングが贈られた ▼第9試合 セミファイナル 団体対決 54kg契約 3分3R〇HIROYUKI(藤本ジム/日本バンタム級王者)KO 2R 2分28秒 ×MASAKING(岡山ジム/イノベーション・フライ級10位)  藤本ジム勢で最初の登場は「天才」HIROYUKI。11月のKNOCK OUTでは前半インロー攻めで優位に立ちながら、後半は壱・センチャイジムに攻め込まれて判定負け。対するMASAKINGは19歳の新鋭。  1R、長身のMASAKINGに対して、HIROYUKIはタイミングのいい前蹴り、インロー、アウトローの連打。右フックでダウンを奪う。MASAKINGもパンチで反撃を狙うが、大振りでHIROYUKIに当たらない。HIROYUKIは飛びヒザ、パンチで畳みかける。 2R、HIROYUKIはパンチを狙いすぎて手数が減る。すかさずセコンドの松本哉朗トレーナーから「狙いすぎ!」の声。その後もパンチを狙うHIROYUKI。MASAKINGのカウンターにヒザを付く場面もあったが、最後はタイミングの良い左ハイでダウンを奪う。MASAKINGは何とか立ち上がったが、ダメージを見てレフェリーがストップ。  TKO勝ちを収めたHIROYUKIは「11月1日のKNOCK OUT、新日本の代表で出て、情けない試合して負けちゃって、今日はちょっと緊張しちゃいました。僕が負けた相手に橋本道場の岩浪君が勝ったということで、次はどうですか? 橋本代表がいないのでこの話は後日ということで。また来年も強いHIROYUKIを見せます」と、12月1日の『ムエタイオープン』で壱にKO勝ちした岩浪悠弥との対戦に名乗りを上げた。 [nextpage] ▼第8試合 1部メインイベントREBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級タイトルマッチ 3分5R〇老沼隆斗(STRUGGLE/同級王者)判定3-0 ※50-49、50-48、50-48×濱田 巧(team AKATSUKI/挑戦者)  新日本キックのリングで初となるREBELSのタイトルマッチ。両者ともに連勝を続けていたが、老沼は9月に泰史にKO負け。濱田は10月のKNOCK OUTで大崎孔稀に判定負け。共に再起戦となる。両者は過去に2度対戦して老沼の2連勝。3度目の対戦となるタイトルマッチを制するのはどっちだ。  1R、開始ゴングと同時に中央に走っていく濱田がパンチを狙い、老沼は下がって距離を取りながら蹴りをヒット。首相撲の攻防では老沼がヒザ、ヒジで攻めていく。老沼のヒジで早くも濱田が出血。老沼は得意のハイ、濱田は距離を詰めてボディ連打。ジャッジは三者10-9で老沼。  2R、前進する濱田は得意のパンチ&ロー。老沼はパンチやミドルで迎撃し、組みの展開でも突き放してヒジ、パンチ。濱田は前進してボディ。老沼は下がりながら左フック。濱田は得意のバックブローをヒットして流れを引き寄せ掛けたところでゴング。ジャッジは三者10-10。  3R、場内は「巧コール」。老沼はジャブ、左ミドル。濱田が組みつくと老沼はヒジ、パンチ。離れ際に濱田が左フックをヒット。なおもパンチで攻めるが、老沼は冷静にパンチをかわしてバックキック。老沼の後ろ廻しに濱田がパンチを合わせて老沼は倒れるがノーダウン。ジャッジは三者10-10。  4R、老沼が左ミドル、左ハイ、右ミドルで先手を取り、濱田がパンチで追いかける展開。老沼は右ローを集中。濱田はパンチ、ヒジで前進。老沼が右ストレート、右ローをヒット。濱田はなおも前進してパンチ。老沼もパンチを返す。  5R、濱田が前進して思い切ったパンチ、バックブロー。老沼は右ロー、左ミドルをヒットさせるが濱田の前進が止まらない。老沼は左右ハイキック、濱田はパンチ。両者が最後まで白熱した打ち合いを見せて、終了ゴングと同時に拍手が起こった。  判定は、濱田の突進に飲み込まれかけながらも踏みとどまり、蹴りとヒジをヒットさせてポイントを奪った老沼。負けた濱田は四方に土下座して詫びたが、大きな拍手が起こった。  老沼は「こうやって防衛戦をやって、僕はREBELS軽量級とストラッグルの看板を背負ってやってます。もっと華のある選手になります。頑張ります」とアピールした。 ▼第7試合 団体対決 58kg契約 3分3R〇瀬戸口勝也(横須賀太賀ジム/日本フェザー級2位)判定3-0 ※30-28、30-28、30-28×NOWAY(ネクストレベル渋谷/初代MuayThaiOpenフェザー級王者)  公務員キックボクサー瀬戸口は36歳。対するNOWAYは38歳。  1R、サウスポーのNOWAYは蹴りで距離を取る。瀬戸口は思い切り距離を詰めて力強いパンチをボディから顔面にヒット。  2R、ヒジを狙うNOWAY。瀬戸口はパンチをボディから顔面へ。  3R、パンチで攻める瀬戸口、蹴りとヒジを返すNOWAY。瀬戸口がパンチで攻め込んで終了。判定はパンチで主導権を握り続けた瀬戸口が勝利した。 [nextpage] ▼第6試合 女子国際戦46kg契約 3分3R〇ぱんちゃん璃奈(STRUGGLE/KNOCK OUT女子48kg級)TKO 1R 2分20秒×ペットチョンプー・モー.クルンテープトンブリー(タイ/泰国女子48kg級)   今年2月にプロデビューして、現在まで5連勝のぱんちゃん。「美女ファイター」として注目が集まるが、長い手足を活かして、得意の右ストレートやヒザ蹴り連打で「今回はKOしたい」と意気込む。対するペットチョンプーは前日計量で43kg。これまで46kg級で試合してきたが、この3kgアンダーは謎。  1R、力強い右ミドルからパンチを当てるぱんちゃん。ペットチョンプーは口から出血してドクターチェック。飛び込んでの前蹴りからパンチ、ヒザでダウン。ペットチョンプーの出血がひどくなり、ドクターチェックで試合ストップ。プロ初のKO勝ちに飛び上がるぱんちゃん。場内の応援団からも大歓声が起こった。 ▼第5試合(試合中止) 楠ジャイロ対サイード・ホセイン [nextpage] ▼第4試合 ライト級 3分3R×ジョニー・オリベイラ(トーエルジム/日本ライト級)判定3-0 ※30-29、30-28、30-28〇津橋雅祥(エスジム/蹴拳ムエタイ初代スーパーフェザー級王者)  新日本キックの鉄人、42歳のオリベイラ。コンスタントに試合をこなし、パンチのラッシシングパワーとハイキックの切れ味はまだまだ健在だ。対する津橋は2017年9月のピラオ・サンタナ戦でKO負けして以来、試合から遠ざかっていたものの、今年4月に復活。長い手足を活かしたムエタイ戦法で勝利を狙う。  1R、サウスポーの津橋が遠目からの蹴り、踏み込んでのヒザ。オリベイラは蹴りからパンチを打ち込むチャンスを狙う。  2R、津橋がヒザを突き刺し、首相撲からのヒザ。クリンチするオリベイラに津橋は上からヒジを打ち下ろす。  3R、組みつくオリベイラ、ヒザをヒットする津橋。組み合う展開が続く。判定で津橋の勝利となった。 ▼第3試合 団体対決64kg契約 3分3R〇バズーカ巧樹(菅原道場/MA日本キックボクシング連盟スーパーライト級王者)判定2-0 ※29―28、30-29、29-29×イ・ボムギュ(韓国/2019年KTK 64kg級王者)  菅原道場の倒し屋、バズーカ。来年2月11日、大田区総合体育館「無法島プレゼンツKNOCK OUT 64kgグランプリ」にもエントリーしており、この国際戦を制して弾みをつけたいところ。  1R、バズーカはスイッチしながら、タメ作って左ミドル、オーソで右ロー、ミドル。イも前進してパワフルなパンチを狙う。バズーカは左ミドル、飛び込んでくるイのパンチをかわして蹴りを返す。  2R、パンチで前進するイ。下がりながらパワフルな蹴り、ヒザを叩き込むバズーカ。中盤からはイがパンチで攻め込み、バズーカはヒザやミドルを返すもイの前進を止められない。  3R、イは前進してパンチ。バズーカが下がりながら蹴りを当てる展開。判定は的確に蹴りをヒットしたバズーカに凱歌が上がった。 [nextpage] ▼第2試合 団体対決 スーパーバンタム級契約 3分3R×炎出丸(クロスポイント吉祥寺/元J-NETWORKスーパーバンタム級王者)判定2-0 ※30-28、30-28、29-29〇MITSURU(WSRフェアテックス三ノ輪)  強豪輩出のクロスポイント吉祥寺の最古参、37歳の炎出丸。MITSURUとは6月のREBELSで一度対戦が組まれながら、MITSURUの怪我で流れた経緯がある。  1R、サウスポーのMITSURUがパンチで先に、先に攻めていく。炎出丸は右ロー、三日月を返すが、MITSURUの勢いに受けに回る。  2R、MITSURUは右フック、ワンツー、バックブローで攻める。炎出丸は三日月、右ボディストレート、ミドルとボディ攻めに集中。手数ではMITSURUが上回る。  3R、MITSURUはスタンスを広く取り、リートを活かしてパンチ、近くなると首相撲からのヒザ。手数で上回ったMITSURUが判定勝ちした。 ▼第1試合 REBELS64kg契約 3分3R〇与座優貴(橋本道場/第6回世界ウエイト制軽量級優勝)判定2-0 ※29-28、30-29、29-29×稲石竜弥(team OJ/第2代Bigbangライト級王者、第19代MA日本ライト級王者、第13代APKFスーパーフェザー級王者)  元極真空手軽量級世界王者の与座。「今年に入ってキックの練習を始め」デビューすると6戦全勝(3KO)。来年2月11日、大田区総合体育館「無法島プレゼンツKNOCK OUT 64kg グランプリ」にもエントリーしており、連勝して大一番を迎えたい。だが、対する稲石は「ザ・変則」。プロ41戦目の豊富な経験とどこから飛んでくるか分からない変幻自在の攻撃で新鋭撃破といきたい。  1R、稲石が変則蹴りで先に攻める展開。与座の蹴りにパンチを合わす稲石。終盤、与座もミドルをヒットすると稲石は足を使って距離を取る。  2R、与座が鋭い右ロー、左ミドルでダメージを与える。稲石はボディからパンチで反撃するが、与座は左フック、左ミドルで着実にダメージを与える。  3R、与座は三日月と左ミドル、ハイキック。稲石はパンチで反撃。与座は左ミドル、左フックをヒット。稲石は居合パンチを披露。与座は足払いでコカすが、稲石もパンチで反撃。両者、ノーガードで打ち合う場面も。  判定は2-0で与座。与座がポテンシャルの高さを、稲石は打たれ強さとハートの強さを見せた。
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