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【RIZIN】格闘技が人生を変えたトニー・ララミー「選手生活の残りのすべてをここRIZINで過ごしたいと思った」=11月8日(日)王者・神龍誠に挑戦

2026/10/29 19:10
【RIZIN】格闘技が人生を変えたトニー・ララミー「選手生活の残りのすべてをここRIZINで過ごしたいと思った」=11月8日(日)王者・神龍誠に挑戦

(C)RIZIN FF

 2026年11月8日(日)に千葉県船橋市のLaLa arena TOKYO-BAYで開催の『RIZIN.55』で、フライ級王者・神龍誠(神龍ワールドジム/アメリカン・トップチーム)に挑戦するトニー・ララミー(カナダ)が「ベルトを故郷のカナダに持ち帰る」と王座奪取を宣言した。

 10月30日(金)19時に公開予定のRIZIN密着番組でララミーは、「“ワイルドマン”だ。俺が日本に行ってRIZINフライ級タイトルを獲るまで残り1週間だ。日本のファンとRIZINにタイトルマッチの機会とたくさんの愛に感謝したい」と語った。本誌では、これまでのインタビューから、ララミーの王座挑戦までの軌跡を紹介する。

 ララミーが、愛犬とともにジムに乗り付けた車は、日本の“ハコスカ”こと3代目スカイライン。知人の車で、自身の車は最近、ラジエーターが壊れてトロントに置いてきたと言う。まだ決して裕福な暮らしではないララミーは、今は中古車を借りてジムに通う日々で、マニュアル車を好んでいる。

 その人生もオートマチックではなく、波乱万丈のなか手探りでひとつずつクラッチを踏み、ギアを上げてきた。

 カナダ・オンタリオ州ウィンザー市の東部地域で両親と兄弟とともに育ったトニー・ララミーは、物心ついた頃からずっとその地域に住んでいたが、2005年、祖父に続き、兄と母親を亡くした。彼らが亡くなって間もなく、残された兄のトッド・ジョン(TJ・ララミー)とアンソニー(トニー)のララミー兄弟は叔母の家に引き取られ、5年近くそこで暮らすことに。中学2年が終わる頃、父親のもとへ向かうと、父は2人にMMAを紹介した。そこから、格闘技への情熱が始まった。

「格闘技を始めたきっかけは、兄貴がこのスポーツの大ファンになってトレーニングを始めて……俺も、兄がやることなら自分もやらなきゃいけないような年齢だったからさ。だから、結局やるようになったんだけど、結果、格闘技が俺の人生を変えたと言ってもいいね」

 兄弟はリノ・ベルカストロの指導の下、マキシマム・トレーニング・センター(MTC)で互いを鼓舞し、支え合い成長した。努力の甲斐もあり、身長160cm(リーチ170cm)のトニーの小さな身体は、意外にも格闘技のなかで大きく機能し、15歳のときにレスリングで国内王者に輝くと、WKAではキックボクシング王座にもついた。17年4月にカナダのTKOでプロMMAデビューすると、20年にPFCフライ級王座、23年にBTCフライ級王座を獲得。24年に転機となるオファーが届いた。

 それは、兄TJがプロMMAデビューを果たした日本からの参戦要請だった。

「UFCやPFLからのオファーは無かった。それが僕がRIZINと契約した大きな理由の一つでもある。だけど、実際にRIZINで素晴らしい経験をした今となっては……ここでチャンピオンを目指したいと強く思ったんだ」

 しかし、RIZINデビュー戦は、現DEEP王者の実力者・村元友太郎を相手に判定勝ちしたものの、大きなインパクトを残すことはできなかった。

「アメリカやカナダで戦ってきたけれど、RIZINで戦うためにこうして国際的に移動するのは初めてのことだった。日本に来ると文化をはじめ何もかもが全く違うストーリーになる。減量やファイトウィーク、そしてここで戦うこと自体のあらゆる側面がガラリと変わるんだ。初めてRIZINに参戦したときは、試合前のメディカルチェックの時点で、熱が103F(約39.4度)あった。だから最高(体温)だったよ(笑)。でも、日本に来るたびに状況への適応の仕方や対処法が少しずつ上手くなっていると思う」

 以前は、30kgもの大幅な減量から大幅リカバリーのスタイルだったが、コンディショニングを見直した。

 2戦目となった25年3月、当時4連勝中の伊藤裕樹から初回先制するも、ダウンの奪い合いとなる激闘の末に判定負けでフライ級GPの切符を逃したが、11月の再起戦では空手ベースの山内渉を相手に、そのレスリング技術を初披露し、完封勝利で連敗脱出。

 26年3月には、ストライカーの征矢貴に序盤からカーフキックではなくローキックを効かせ、最終3Rに右フックでダウンを奪い、左フックから右ボディブローでダウン追加、パウンドでTKO勝ち。さらに6月にはGP準優勝の元谷友貴を相手に、自身が犬に噛まれた傷の治療の影響で59.0kg契約で対戦も、序盤から打撃と組みで優勢に立ち、大差判定勝利で、RIZINフライ級王座挑戦を決めた。

「自分のニックネームの“ワイルドマン”は決して自分でつけた名前ではなくて周りが普段の自分の行動を見てつけてくれたんだ。よく自分もワイルドなことをするけれども、自分でもなぜするのか、よく理解はできない。

 多くの北米選手はもっと計算高く、ファイトスタイルも受動的な人が多いと思う。でも僕はよりアグレッシブなファイターだからね。だからこそ、ここ日本のファイトシーンでも人気が出ているんだと思う。僕はどの局面でも結構やれる自信があるけれど、試合では主に打撃で戦うからね……試合中ずっと殴り合いを始めてしまう。グラップリングの試合にも出てるけど、MMAで試合が始まると、スタンドがめちゃくちゃ居心地が良いんだよね。誰かと打撃を交わし合う感覚そのものが好きなんだ。グラウンドの展開で自分にとって危険を感じる瞬間はあまりない。なんだろう、打撃の局面こそが“戦い”だと感じられるし、僕はアドレナリン中毒みたいなところがあるからね。あのスリルを追い求めるのが好きなんだ」

 そうワイルドなスタイルを語るが、一方で、引き出しに入れた武器を試合前に進化させる多様な強さも見せている。

 オーソからスイッチのサウスポー、パンチを顔面とボディに打ち分け、そこにローキックも混ぜる打撃のコンビネーション、そして山内を完封したテイクダウンに、元谷戦でも見せたテイクダウンディフェンス。

「実は自分は左利きなので、自然とスイッチもやるようになったんだ。ジグザグで詰めていくこともできるし、同じ構えをやるのは、この競技ではよくないこと。自分なりに工夫してMMAで最強のスタイルを編み出した。これで稲妻のように最速で当てるんだ」

 前回は、愛犬が別の犬に襲われたことで負傷。減量が間に合わずキャッチウェイト戦となった。今回の王座戦に向け、「体重は順調だよ。とてもスムーズに落ちてきている」という。

「愛犬とのランニングで外を走ることもする。でも屋内でのトレーニングについては、暑い中での練習が好きなんだよね。エアコンを切るだけで同じような環境が作れるからさ。ここウィンザーは夏はかなり暑くなるし、湿度がすごく高くなるんだ。気温が35度くらいまで上がって、体感では40度くらいに感じられるほど蒸し暑い。冬は確かに寒くなるけど、驚くほど極寒というわけではない。僕たちはカナダで最も南に位置するポイントに住んでいるからね。アメリカのミシガン州のほとんどの地域よりも、僕の住んでいる場所の方が南にあるんだ。多くの人はそれを知らないけどね」

 自由な時間には「アニメを観たり、ビデオゲームをしたりする」。元谷戦では、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの『遥か彼方』で入場した。それは『NARUTO -ナルト-』の第2期オープニングテーマだ。

「アニメはそんなに新しいものは観ていなくて、何も観るものがない時は『NARUTO』をまた最初から見返しちゃうんだよね。あと、一時期『はじめの一歩』もまた見返していたりしたよ。でも、ファイトキャンプに入っている時は、試合に集中する以外はほとんど何もしていないんだ」

 27歳、オンタリオのワイルドマンは、紆余曲折を経て格闘技に出会い、日本でファイトキャリアのピークを迎えるのかもしれない。

 RIZIN2戦目で敗れた後、「ファン層がRIZINでは現実離れしているというか凄まじくて……選手たちの扱い方や、ファンが選手たちにどう接してくれるかを見ると、選手生活の残りのすべてをここで過ごしたくなるくらいだよ」と、語っていたララミー。その後、3連勝で同年代の王者・神龍誠への挑戦を掴みつ取った。

「みんな、試合を楽しみにしていてほしい。11月8日、自分がチャンピオンになって、神龍のリュックと共にベルトをカナダのウィンザー、自分の故郷に持って帰ることを約束するよ」──RIZINフライ級タイトルマッチは、LaLa arena TOKYO-BAYのメインイベントで行われる。

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