2026年10月16日(日本時間17日)、米国イリノイ州シカゴ・ウィントラストアリーナにて『PFL Chicago: Carmouche vs. Bishop 2』(U-NEXT配信)が開催された。
コメインでは、現在PFL&RIZIN王者のラジャブアリ・シェイドゥラエフがベルトを持つフェザー級で、2024年PFLトーナメント王者で18戦無敗のティムール・ヒズリエフが2年ぶりに復帰。ガブリエル・ブラガと2年2カ月ぶりの再戦に臨んだ。
▼フェザー級 5分3R〇ティムール・ヒズリエフ(ロシア)19勝0敗 145.4lbs[判定2-1] ※29-28×2, 28-29×ガブリエル・ブラガ(ブラジル)17勝4敗 145.8lbs
両者は、2024年8月の『PFL 9: 2024 Playoffs』で対戦。右カーフキックを軸に攻めるブラガに、ヒズリエフはボディ攻撃でブラガの打撃を単発にさせると、最終回には組みも混ぜて自身のペースで運び、判定2-1(30-27×2, 28-29)のスプリットでブラガを下している。
今回の再戦前の2025年7月、ヒズリエフは、ロシア・ダゲスタン共和国マハチカラの自宅近くで覆面をした2人組の男から肩、手首、胸などに計5発の銃弾を被弾し、手の開放性複雑骨折などの緊急手術を受けており、2年ぶりの復帰戦となっていた。
試合は、1Rから接戦に。手数多く右アッパーを突き上げブラガのバランスを崩したヒズリエフに、ブラガも左フックを当ててヒズリエフに腰を落とさせた。
2Rにはブラガが左フックから右ストレートを当てて、ヒズリエフがマットに手を着く場面も。ブラガはヒズリエフの組みを切って打撃を入れた。
3Rは、あとがないヒズリエフが前へ出て手数を戻すと、失速気味のブラガを押し返しアグレッシブに。判定は2-1に割れて、ヒズリエフが勝利。セコンドとともに歓喜の姿が、その辛勝ぶりを物語っていた。
再戦で勝利を掴んだヒズリエフは、19戦無敗に。
試合後、ケージ内ではインタビューが無かったがヒズリエフだが、バッテクタージで会見に応じ、同じ大会で兄弟で試合に臨んだ弟のガミッド・ヒズリエフの試合に緊張したこと、2年間のブランク明けに「コンディションを戻して試合の感覚を取り戻すのは大変だった。正しい精神状態になるのが少し難しかった」と吐露。
判定については1、3Rを自身が取ったといい、「19戦無敗」記録については、「あまり意識していない。無敗記録を守ることにこだわりすぎると……自分はそういう考え方が好きではないんです。全力を尽くして、結果がどうなるかを見届けるだけ」と答えた。
また、現PFLフェザー級王者のラジャブアリ・シェイドゥラエフへの挑戦について、「私が(2024トーナメント)チャンピオンになった時、AJは私のすぐ下のランキングにいた(※ヒズリエフが1位だった)。その後、私が長期のブランクを作った間に、彼が私を追い抜いてしまったんです。でも今は、本来なら私が彼より上にいるべきはずです。順当に考えれば、次は私が王者(シェイドゥラエフ)に挑戦する番です」と、次期挑戦者は自分であると語った。
AJ・マッキーの5R、ケージユニファイドルールでのシェイドゥラエフとの再戦のアピールもあるなか、果たして次期王座挑戦者は誰になるか。
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試合の主導権は手放していなかった
──勝利、おめでとうございます。
「ありがとうございます」
──メインイベントという大舞台で勝利を収めるには十分な戦いができたはずかと思います。試合中、あなたは非常に安定した動きを見せていましたね。
「もちろん試合に勝つ自信はありました。まず、初めて彼と対戦した時は、もっと自信を持って試合を進めていて、“よし”と確信していました。相手が何らかの形で反撃してくるかもしれないと少し不安でしたが、その後、試合に勝ったと確信していました。あの時は相手がスピードを重視してきたから、勝てたと確信していました。今も同じだと思います。相手はかく乱してくる。コーナーマンに確認したら『お前が勝っている』と言ってくれて、私も自信がありました」
──試合の流れを少し説明していただけますか? 明らかに、あなたは苦戦を強いられましたね。もしブラガが今回の試合で予想外のことをしてきたとしたら、それは何でしたか?
「厳しい試合になると思っていました。インタビューでもそう言っていましたし、厳しい試合になることを覚悟していました。頭の中では、勝つことだけを考えていました。コーナーの指示を聞き、その通りにしました。1ラウンドは取ったと思いました。2ラウンド目で少しペースを落としてしまったのは分かっています。もしかしたら、どこかの場面でパンチを食らってしまったのかもしれません。それでも試合の主導権は手放していなかった。常に前へ出ていたし。3ラウンド目は自信を持って取れると思っていました。あのラウンドではどうでしょう、全力を出し切りましたが、3ラウンド目は私が取ってしかるべきだったと思います」
──あなたと弟さんのガミッド・ヒズリエフも今夜、大きな勝利を収めましたね。今夜、一緒に試合に勝ったことは、あなたにとってどんな意味がありますか?
「正直に言うと、今日は自分の試合よりも弟の試合の方が心配でした。大きなイベントに二人で出るのも、同じ大会で戦うのも初めてだったから。彼の試合中は緊張しすぎて、眠ろうとしたんだけど眠れなかった。自分の試合よりも、彼の試合の方がずっと緊張して。だから、彼が勝った時は本当に嬉しかった。ホッとしました。自分の試合のことなんてどうでもよくなりました。自分は出来る限りベストを尽くすつもりでした」
──勝利おめでとうございます。ブラガとは2戦目で、またもやスプリット判定勝ちでしたね。これで決着がついたと思いますか? 次は3部作になります。それとも、2試合で決着がついたと思いますか?
「いやいや、3回目の試合でも勝つと思う。自分としてはやるべきことはやったと思っています。彼には2度勝つことができました。最初の試合は間違いなく判定勝ちだった。それに、2回目はよく分からない。3回目の試合もまた判定が割れるんじゃないかと心配なんだ。最初の試合は圧倒的に勝ったと思ったのに、判定が割れたんだから。今回はまあ、もう少し接戦だったけど、判定が割れた。(まだ戦い続けるつもり?)もういいよ」
──彼のようなタイプの選手とリングを共にするのはどんな感じですか? 1度目は、何らかの作戦があったと聞いていますが、今回はどんな作戦でしたか? あんなに血みどろの試合となりましたが、彼に対する尊敬の念は増しましたか?
「ええ、私は常に相手を尊重してきました。今も彼を尊重しています。彼はタフな男です。執念深いというか、一度狙った獲物は逃さないような、そんな怖さがありました。常に攻撃の機会をうかがっていて、隙があれば襲いかかってくるような……。再戦は1度目よりも厳しい戦いになるだろうと思っていました。1回目の対戦では、いくつか駆け引きを仕掛けて、相手の一歩先を行くことができたのですが……。しかし、ご覧の通り、再戦では彼は私に対して既にしっかりと準備をしていました。再戦は常に厳しいものになるはずです。彼はよく準備し、タフな戦いに備えていました。
そして、それが私の予想通りで、彼の行動もその通りでした。私は彼が戦いから身を守るだろうと分かっていました。あそこでもカットマンが彼の尻を叩いてたんですね。そして彼はよくやった。
私は対戦相手全員をリスペクトしています。彼の今後の幸運を祈ります。ここから回復して、またリングに戻ってくるまでの長い道のりになるでしょうが……。これまでの経験をすべて踏まえると、今は本当に気分がいいですね。ようやく、という感じです。2年間のブランクがあったので、コンディションを戻して試合の感覚を取り戻すのは大変でした。正しい精神状態になるのが少し難しかったんです」
──何というか、戦争を経験して戻ってきた、という感じでしょうか。あんな怪我から復帰したわけですし。どこかで、信仰が全てを乗り越える助けになったと言っていましたね。あなたの信仰は、あなたの復帰にどのような役割を果たしたと思いますか?
「どうでしょうね。その質問をされたときは、試合に戻るまでの過程や、心理的な葛藤といったことについて話していたんです。どういうわけか、スポーツと結びつけるのは間違っていると思うんです。ある意味ではもちろん、助けになったのは確かです。まあ、全能の神が私たちを助けてくださるわけですからね。でも、それ以外は……スポーツとは全く関係ないと思っています。私にとって、これは仕事ですから。全力を尽くして、勝つために戦う。それだけです。何が起きようと、なるようになる。そういうことですね」
──19戦無敗。この19試合を通して、あなたのスキルの中で、最も向上した点は何ですか?
「分かりません。経験は積みました。基本的には同じです。これまでやってきたことと同じです。同じことを、その場で少しだけ洗練させているだけです。以前とは違う視点で戦いを見られるようになりました。分析の仕方も変わりましたね」
──この試合の前には長いブランクがありましたね。復帰した時、例えば第1ラウンドからどんな感じでしたか?
「そうですね、以前にも同じようなことがありました。Bellatorデビュー前にブランクがありました。私も2年近く試合をしていませんでした。そういったことには慣れているので、特別なプレッシャーは感じませんでした。でも先ほど言ったように今日は、少し緊張しました。同じ大会で弟も試合をしたので、それ以外は特に……ある意味、私はとても気楽な性格で、今は復帰したばかりですし、プレッシャーはあまり感じませんでした」
──フェザー級ランキング1位のAJ・マッキーについて、試合前に少しお話されていましたね。あなたは勝ち、彼はラジャブアリ・シェイドゥラエフに負けました。さて、次は誰と戦うつもりですか?
「分かりません。私の目標はタイトルを狙っているだけですから」
──タフな試合でしたね。2027年の計画は? 何試合くらい戦いたいですか?
「うーん、分かりません。確かにタフな試合でした。自分の実力を証明したいんです。軽い怪我もいくつかあります。2ラウンド目で腕が……骨折したかどうか確認してみます。他にも似たような怪我がいくつかあります。治療を受けて、完全に回復させたいです。準備が整い次第、オファーが来たらタイミングを相談して決めていくつもりです」
──今日は大変な試合だったと伺いました。プロ19戦目。キャリアの中で最もタフな試合だったと言えるでしょうか? それとも他に思い浮かぶ試合はありますか?
「いえ、これまでにもタフな試合はありましたよ。そうですね、あの試合もそうですね。ロシアでウズベキスタン人と戦った時も、タフな試合でした。それから、キャリア初期の2戦目か3戦目も中国(※Superstar Fight 5でリー・ボリンに判定勝ち)で戦いましたが、あれもタフな試合でした。自分よりずっと大きな相手(身長183cm、ヒズリエフは173cm。フェザー級の145ポンドから5ポンド重い150ポンドで)と戦いましたから。でも、今回の試合も、タフな試合の一つと言えるかもしれませんね。その後、ロシアでも何度か試合をして、非常に手強い相手と対戦しましたが、今回の試合もそれに匹敵するレベルでした。伝説的な選手を相手に、MMAの舞台で戦うというのは特別なことです」
──19戦無敗で、自分自身に対して、期待通りのパフォーマンスを見せなければならないというプレッシャーはありますか?
「以前も同じ質問をされたことがありますが、答えは変わりません。自分の無敗記録については、あまり意識していないんです。ただ、やるべきことをやるだけです。無敗記録や戦績を守ることにこだわりすぎると……自分はそういう考え方が好きではないんです。なるようになる、という感じですね。全力を尽くして、結果がどうなるかを見届けるだけです」
──2年ぶりの復帰となりましたが、実際に戦ってみて、予想していたものと比べてどうでしたか。
「かなり厳しい復帰戦になることは予想していました。決して楽な試合にはならないと分かっていたので、そのつもりで準備をしてきました。驚くようなことは何もありません。予想通りでした」
──ランキング5位ガブリエル・ブラガを下して、1位のAJ・マッキーとの対戦についてはどう考えていますか?
「論理的に考えれば、それが正しい流れですよね? 次は自分の番です。私がチャンピオンになった時、AJは私のすぐ下のランキングにいました(※ヒズリエフが1位だった)。その後、私が長期のブランクを作った間に、彼が私を追い抜いてしまったんです。でも今は、本来なら私が彼より上にいるべきはずです。順当に考えれば、次は私が王者(シェイドゥラエフ)に挑戦する番です」
──試合中の激しい攻防について伺いたいのですが、観客の反応は試合にどれくらい影響しましたか?
「正直なところ、試合に完全に集中していたので、観客の声は全く聞こえませんでした。コーチたちの指示だけに耳を傾けていたんです。ですから、今回の勝利は彼らのおかげです。彼らが何をすべきか指示してくれました。ありがとうございます。ジャマールに感謝します」