MMA
インタビュー

【PANCRASE】"あっち"へ行けるのか、藤野恵実「みんなに納得してもらいたい。私が王者になります」vs ヒョンジ「ベルトは始まり」

2019/12/05 16:12
【PANCRASE】"あっち"へ行けるのか、藤野恵実「みんなに納得してもらいたい。私が王者になります」vs ヒョンジ「ベルトは始まり」

(C)GONG KAKUTOGI

2019年12月8日(日)東京・新木場のスタジオコーストで「PANCRASE 311」が開催される。同大会のメインで行われる「女子ストロー級 暫定王者決定戦」の調印式および会見が12月5日、都内PANCRASE事務所で行われた。

AbemaTVの事前ビデオで『12月8日は藤野恵実がタイトル獲る日』というキャッチコピーがつけられた王座戦に向け、藤野恵実(FIGHT FARM/1位)は「“集大成”で終わらせるつもりはないですけど、今までやってきたことを全部出して勝ちにいきます」と王座獲りを宣言。対するチャン・ヒョンジ(韓国)は「ベルトを獲ってもそれが始まり。ベルトは私のものです」と戴冠をスタートラインとした。

▼女子ストロー級 暫定王者決定戦 5分5R
藤野恵実(FIGHT FARM/1位)23勝11敗1分
チャン・ヒョンジ(韓国/THE SSEJIN)3勝2敗

藤野 びっくりするくらいいろんな方に盛り上げていただいて、去年したタイトルマッチをまたさせていただけるとは思わなかったんですけど、ほんとうに『12月8日は藤野恵実がタイトル獲る日』という、ものすごいプレッシャーをいろんなところに与えられてますけど(笑)、むしろそれをするつもりで試合に臨みます。“集大成”で終わらせるつもりはないですけど、今までやってきたことを全部出して勝ちにいきます。

チャン タイトルマッチは心重いですけど、今回に向けてすごく練習をしてきました。まだ経験が浅いですが、勝ち負けはあとにして、練習してきたことが全部出せたらいいなと思います。

──対戦相手の印象を教えてください。

チャン 身体的にも精神的にもすごく強い選手だと思います。

藤野 前回の試合が(対戦相手の体重超過で中止になり)見られなかったので、そんなにデータはないんですけど、気持ちが強くて打ち合ってくるタイプだなと思っています。

──藤野選手は前回の準決勝を振り返って、どのようにとらえていますか。

藤野 最後がちょっとすっきりしなかったんですけれども、でもしっかり打撃・テイクダウンできて、1Rのなかではやりたいことできたと思っているので、内容的には問題なかったかなと思います。

──あの試合から磨いてきたことは?

藤野 期間が短いので、もうそんなに今から劇的に変わらないので、もう変わらずやってきたことを続けてきただけです。

──チャン選手は、準決勝がなく決勝に出ることになったことをどう感じています。

チャン 運がよかったというか、でももし試合をやっていても(勝利して)タイトルマッチは間違いなくやると思っていました。

──準決勝が無くなったときの心境は?

チャン 遠いところから試合をやるためにきたのに試合をやれず、ものすごく悔しかったです。

──今回のタイトルマッチはキャリアに勝る藤野選手が有利ととらえられていることについてどう感じていますか。

チャン 試合はやってみなければ分からないことです。自分はどういわれても気にしません。自分が持っていることを、その日に全部出すことに全力を尽くします」

藤野 私も対戦相手が誰であれ、自分が絶対有利だと思ったことはないので、誰が相手でも全部出すつもりです。今回、私も挑戦者です。その部分の気持ちも負けていないです。私が挑むためのベルトなので。

──互いにどのような試合でどう勝ちたいと考えていますか。

チャン 練習でやってきたことをマット上では全部は出せないことが多いです。相手の動きに合わせて戦うつもりです。私は打撃で攻めますが、もしグラウンドになっても負けません。

藤野 理想は一本かKOですけど、そんな簡単には行かないと思うので、今までどんな場面になっても戦ってきた自信があるので、泥くさくても5R全部使い切っても最後に自分の手が挙げられればなんでもいいかなと思います。

──藤野選手は、AbemaTVの事前ビデオでは、浜崎朱加・紅絹・吉田実代選手の3王者がベルトを手に、「フジノこっちへおいでよ」とエールを送っていました。あれで「決意が固まった」とツィートしていましたが、あらためて周囲の声をどう感じたか教えてください。

【写真】(C)井賀 孝/AbemaTV

藤野 すごい嬉しいのとプレッシャーと(笑)。でも、何回も(王座戦を)やっていて、いろんな人から『いい加減獲れよ』と思われていると思うので──最初の頃は自分のためだけにやってきたんですけど、もう周りも巻き込んでいるし、みんなに納得してもらいたいなと思っています。

──チャン選手は、藤野選手より自分が上回っていると思う点は?

チャン 自分はまだ若い(25歳)ので打撃も体力も負けません。

藤野 年齢(39歳)で言えば、経験値は負けません。

──PANCRASEのベルトを獲るのに何がキーになりそうですか。

藤野 身体も気持ちもテクニックも、全部の強さを持ち併せていないと獲れないものだと思っています。そのすべてを証明したいと思います。

チャン 私も同じ気持ちです。精神力も何も、王者は負けられないものです。

──2019年のPANCRASEの最後の試合になります。ファンにどのような試合を見せたいですか。

チャン 今年最後の試合ということで、ファンが失望しない試合をします。

藤野 「藤野を見ろ」と。それだけです。

──藤野選手は15年とキャリアも長く、実力を証明する必要もないほど周囲が認めていますが、それでもベルトというものにこだわる思いを、あらためて教えてください。

藤野 うーん……執着。すごい執着しているんだと思うんですけど、何回も目の前で逃がしてきたので……(言葉に詰まる)……これを持って終わるわけじゃなくても、何か形に残したいというのがずっとあって。それがPANCRASEでベルトを獲れるのなら、形として最高だなと思っています。

──チャン選手はベルトを獲るということについてどのように思っていますか。

チャン ベルトを獲ることは初めての挑戦ですが、ベルトを獲ったとしても、それが最後じゃなくて、まだ始まりだと思って全力で臨みます。

──藤野選手に聞きます。最終戦でタイトルマッチで女子がメインであることについては?

藤野 最初がWINDYさんとVで(※2011年4月3日、PANCRASE史上初めてメインイベントが女子の試合に。判定2-0でV.V MeiがWINDY智美に勝利)、2回目がヴィヴィアニと私の試合、ですよね? MMAを始めたときは、男子の試合もあるなかで女子の試合がメインというのは考えられなかったのが、普通に受け入れられているかどうかわからないですけど、ひとつのカードとして見てもらえるようになったのはやっぱり一番嬉しいなと、続けてきてよかったなと思います。

坂本靖広報 以前は女子の試合が上にあると言って、試合をボイコットした選手もいましたからね(※2004年12月21日後楽園ホール大会を矢野卓見が欠場。矢野の試合は第2試合に組まれ、女子の試合が第5試合に組まれていた)。

藤野 昔は女子の試合が上になることについて意見する選手がいましたね。そういう時代を考えたら……いまはUFCも女子をメインでやってくれていますし、ありがたいです。ところで、これ『暫定』ってどうしたら『正規』王者になりますか?

坂本広報 正王者(現UFCのヴィヴィアニ・アロージョ)が返上すれば。基本は1年に1回試合をしなければ問います。1度聞いているので、次の確認で返上になるかと思います。

藤野 UFCは(リリースにならない限り)ほか出られないですよね。さっさと返上してください。

──このベルトを目の前にした気持ちを。

藤野 去年8月にヴィヴィとやって(獲得する機会を)無くなっているので今度こそ獲りたいという気持ちです。12月8日、私がチャンピオンになります。

チャン 重そうに見えますね、いろんなことを含めて。ベルトは私のものです。

坂本広報 ベルトは基本はPANCRASEが保管していますが、レプリカを作って手元に置く人もいます。値段? 400万くらいします。

藤野 高っ!

AbemaTV「#フジノこっちにおいでよ」登場3選手のコメント

◆浜崎朱加(RIZIN女子スーパーアトム級王者)
「誰よりも努力をしているし、取るべき選手だと思っている」


 「藤野さんとの付き合いは……いつからだろう……本当にわからないです(笑)。ヴァルキリーで初めて藤野さんの試合を見て『なんだこのゴリラみたいな選手は』って(笑)。ここ1、2年また強くなった感じで、寝技も極めがなかったものが最近は少しあるんですよ。伸びしろがすごいな、まだあるのかと。だからまだまだ強くなる選手です。本人もずっとベルトにこだわってきたので、本当に獲って欲しいです。誰よりも努力をしているし、取るべき選手だと思っているので。パンクラスの無骨なデザインのベルトが似合うと思うんです。それで、勝った暁には焼肉奢って欲しいですね(笑)」

◆紅絹(RISE QUEENアトム級王者)
「全ては今回のタイトルマッチのために、曲がりくねった道を進んできたんじゃないか」


「私はお酒を飲んだら、最後まで帰らないんですよ。絶対最後藤野さんを見送って帰るので、だから安心なんじゃないですか?(笑)。最初は飲み会と試合会場でしか会わなくて、そのうちにスパーをしにきて下さって練習もするようになりました。最近はパンチの質が変わって、インパクトが本当に危ないですね。こっちは命懸けです。ベルトを獲る試合ですし『お、藤野、打撃もすごいじゃん』って試合を見せてくれたら、私は多分泣きますね。ここまで粘って粘って、体も騙し騙しきたんだから、その執念を1秒1秒見せてどうしても獲って欲しいんです。全ては今回のタイトルマッチのために、曲がりくねった道を進んできたんじゃないかと思っています」

◆吉田実代(WBO女子世界スーパーフライ級王者)
「動いて動いて、それでみんなの心を動かしてきた人」

「藤野さんとは10年か11年くらいの付き合いになります。藤野さんとスパーリングするとずっと足を止めて殴り合ってるんで、よく(周囲に)『頭おかしくなるぞ』って言われます(笑)。パンチも本当強くて、持ち味は回転力ですよね。彼女は自分のことをあまり話すタイプじゃなくて、動いて動いて、それでみんなの心を動かしてきた人だから。その人柄が本当に魅力的ですよね。タイトルマッチに向けて集中力がふつふつと伝わって来る、感じられるいい練習ができているし、こっちに来るべき、王者になるべき選手だと思っているので。藤野さんが絶対に勝つので。全て出し切って欲しいです」

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.331
2024年3月22日発売
UFC参戦に向け、ラスベガス合宿の朝倉海。「プロフェッショナル・ファイターの育て方」でチームを特集。『RIZIN.46』鈴木千裕×金原正徳インタビュー、復活K-1 WGP、PFL特集も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント