2026年9月11日(金)タイ・ルンピニースタジアム『ONE Friday Fights 170&The Inner Circle 30』(U-NEXT配信)に、今週は2名の日本人選手が出場する。
『ONE Friday Fights 170』の第1試合(全体の6試合目)で、渡邊愼一(エクシンディコンジム)がペック(タイ)とONEアトム級(-52.2kg)ムエタイ3分3Rで対戦。
シンイチ・ウォーワンチャイこと渡邊愼一は西日本のムエタイ名門、石井一成擁するエクシンディコンジャパンで育った俊英。2025年7月に松田虎之介をTKOで破り、ルンピニージャパン認定フライ級王座に就くと、10月にはれいに判定勝ちでBOMフライ級(-50.80kg)王座も獲得した。2026年4月にBOMで西田光汰に判定勝ち、6月にはラジャダムナンスタジアムで試合を行ったが判定で敗れている。
ONE FFには2026年7月に初参戦し、ノンビア・ラオランチャンに左三日月蹴りで1R2分3秒、レフェリーストップによるTKO勝ちを飾っている。今回が2戦目。連勝なるか。
『ONE Friday Fights 170』の第2試合(全体の7試合目)では、石井寿来(エクシンディコンジム)がマイサンカン(タイ/Boxing Army 3)とONEストロー級(-56.7kg)ムエタイ3分3Rで対戦。
ジュライ・ウォーワンチャイこと石井寿来は石井一成の甥で、一成と同じくジュニア時代からタイ遠征を重ねて2019年3月にルンピニースタジアムでプロデビュー。その後も日本とタイを行き来しながら戦績を重ね、WMC日本フライ級王座、スックワンキントーンフライ級王座、BOMスーパーフライ級王座、KPKB(九州プロキックボクシング)インターナショナルバンタム級王座の四冠を獲得。2023年7月、ソンチャイノーイに敗れるまで国内無敗の戦績だった。
2024年4月には『ONE Friday Fights』に初出場し、ベテランの片島聡志との日本人対決で勝利した。2025年6月の2度目の参戦ではモロッコのユネス・ムーニンをヒザ蹴りで2RにKO、8月の3度目の参戦でもハー・リン・オムをハイキックでKO、9月の4戦目もエンゾ・クラリスにTKO勝ちして4連勝。11月の5戦目は相手のアイポークで試合続行不可能になり無念のノーコンテストとなったが、3度のパフォーマンスボーナス獲得と無敗の快進撃を続けていたが、2026年2月の6戦目でアイザック・モハメッドに判定2-1で惜敗した。
マイサンカンは2024年3月の『ONE Friday Fights 55』でONE初参戦、チョムパデットから判定勝ち。7月の第2戦ではフレディー・ハガティーからダウンを奪うも初回KO負け。2025年4月、壱・センチャイジムこと与那覇壱世とダウン応酬の激闘を繰り広げ、右ストレートで2度のダウンを奪って判定勝ちした。その後はスエアチャンにKO勝ち、2025年11月にソー・ナウン・ウーに判定負け。
今大会のメインイベントは、ONEフライ級(-61.2kg)ムエタイ3分3Rのヨードレックペット・オー・アトチャリア(タイ/Sor Sommai)vs.ポンペット・PK・センチャイ(タイ/P.K. Saenchai Muay Thai Gym)。
“ザ・デストロイヤー”ことヨードレックペットはラジャダムナンスタジアムでライト級(2015年と2017年)とスーパーライト級(2021年)の2階級制覇、ルンピニースタジアムでも2017年にライト級王者となり、2大スタジアム王座を同時に保持した。2015年12月にラジャで梅野源治と対戦してTKO勝ちしたが、2016年10月の日本での再戦では判定で敗れラジャ王座を奪われた。2018年4月のKNOCK OUTでは初代王者・森井洋介にTKO勝ちしてKNOCK OUTライト級王座を奪取。同年にはタイのスポーツ界で権威のあるサイアムスポーツ社認定のタイ・スポーツ大賞のムエタイ部門でMVPを獲得している。
ONEには2023年7月の『ONE Friday Fights 2』から参戦し、4連勝(3KO)するもムアンタイ、タギール・カリロフに連敗。2024年6月のコムアウット戦で連敗を脱出したのも束の間、8月にコンスックに敗れた。11月のプンルアン戦ではダウンを奪われるも3Rに逆転KO勝ち。2025年は1月にジャオスアヤイに2RでKO負け、3月のONE日本大会で吉成士門に判定負けで連敗を喫したが、6月にONE4戦全勝だったドンキングを1RでKO。8月にはポンペットに判定2-1で辛勝するも、9月のリマッチでは判定2-1で敗れた。その後は3連勝を飾っている。戦績は95勝39敗3分。
ポンペットは2023年5月からONE FFに出場し、トップ戦線で活躍。ドゥアンソムポンを初回KOすると、スリヤンレックと1勝1敗、プンルアンにKO勝ち、ヨードレックペットとも1勝1敗。2026年3月にジャオスアヤイを徹底したヒザ蹴りで防戦一方に追い込み、最後は右ストレートからパンチをまとめてTKO勝ち。7月のナット・カット・ミン戦でもTKO勝ちと勢いに乗る。
前述した通り、両者はONE FFで共に判定2-1の接戦で1勝1敗。今回が決着戦となる。
『ONE Friday Fights 170』の前に行われる『The Inner Circle 30』にも、注目カードが目白押しだ。
ジョナサン・ハガティーの弟であるフレディー・ハガティー(英国/Knowlesy Academy/Team Underground)が5連勝のルングルアンレック(タイ/TN Muaythai)とONEストロー級(-56.7kg)ムエタイ3分3Rで対戦。
ロッタンの義理の弟サンガルティット・ルークサイコーンディン(タイ/Looksaikongdin Boxing Camp)は、ONEバンタム級(-65.8kg)ムエタイ3分3Rでローガン・チャン(スコットランド/中華人民共和国香港特別行政区/Hanuman Thai Boxing Edinburgh)と対戦。
サンガルティット(セーンアティット)はプロボクシングで19戦無敗(9KO)、WBAアジア・スーパーライト級王者(6度防衛)となっている。2025年初めにONEと契約し、3月にデビュー。キックボクシングでスーパー・ヤイ・チャンと対戦し、右フックでダウンを奪って勝利した。ロッタンの義理の弟ということもあって注目を浴び、スター候補と目されていたが、2025年6月の2戦目でスーブラックに判定負け。9月の再起戦ではトルコのアリ・コユンジュにダウンを奪っての判定勝ち。2026年2月にはRISEのTAKUから左フックで2度のダウンを奪って判定勝ちしている。今回はONEで初のムエタイルールで戦う。
チャンは2025年8月からONE FFに参戦。戦績は3勝1敗で3勝はいずれもKO勝ち。ヒザ蹴りからのヒジ打ち、左ボディなど強い攻撃を持つ。
第4試合では、“宿命の対決”でムエタイの鉄人セクサン・オー・クワンムアン(タイ/Or. Kwanmuang)が引退試合に臨む。
37歳のセクサンはタイのビッグマッチには欠かせないムエブー(アグレッシブに前へ出てムエタイの全ての技を使って戦うタイプ)のスター選手の一人。元ラジャダムナンスタジアム認定ライト級王者。2015年9月のラジャダムナンスタジアムにて梅野源治を迎え撃ち、勝利を奪って梅野の進撃をストップした。同年にはラジャダムナンスタジアムの年間MVPにも選ばれている。また、2019年にはロッタン・ジットムアンノン戦が同スタジアムの年間最優秀試合に選ばれるなど多くのベストバウト賞を受賞。
2度来日しており、2019年3月にRISEで大雅に判定勝ち、同年7月に白鳥大珠に判定負け。2023年1月から『ONE Friday Fights』に参戦し、怒涛の8連勝でONE本契約を獲得したが、2024年4月に麻火佑太郎に判定負け。その後はリアム・ハリソン、ソー・リン・ウーを撃破したが2025年4月にエイサー・テン・パウにTKO負け。6月には宿敵ムアンタイと5度目の対戦も大激闘の末に敗れ、9月のスーブラック戦でも判定負け、そして2026年3月に長年のライバルであるパコーンに1Rわずか59秒でTKO負けと4連敗を喫した。戦績は203勝78敗6分。
ONEでは4度のパフォーマンスボーナスを獲得、ONEにおける年間最多勝利(8回)、ONEでの2番目に長い連勝記録(8連勝)も持つなど、大ベテランにして大活躍。「何者にも屈しない男」と呼ばれ、その勇敢な戦いぶりからタイのファンも多く、尊敬を集めている。まさにムエタイの生ける伝説である。
引退試合の相手には、過去5度対戦して4勝1敗の宿敵ムアンタイを希望し、その願いが叶った形だ。
ムアンタイは2010年頃からルンピニーのトップ選手として活躍しているベテランで、2015年5月の初来日では梅野源治にTKO負け、2019年10月のONEでは健太に判定勝ちしている。『ONE Friday Fights』には第1回大会から出場、6回もボーナスを獲得している。クラップダム(KO勝ち)、ニコ・カリロ(TKO負け)、ヨードレックペット(判定勝ち)、ナビル・アナン(判定負け)、コンスック(KO勝ち)とトップ選手たちと対戦してきた。2025年6月、5度目の対戦にしてセクサンから初勝利を奪った。しかし、その後は2連敗。ONEでの戦績は10勝6敗。
そして『The Inner Circle 30』のメインイベントでは、ランボーレック・チョー・アッジャラブーン(タイ/Superbon Training Camp)がONEバンタム級(-65.8kg)ムエタイ世界タイトルマッチ3分5RでヨッドIQ・オー・ピモンシー(タイ/P.K. Saenchai Muay Thai Gym)の挑戦を受けての初防衛戦。
ランボーレックはスーパーボンとノンオーが率いるスーパーボン・トレーニングキャンプで成長を遂げ、戦績は67勝14敗。ONEでの戦績は8勝2敗で、そのうち5勝がKOによるもの。“タイのノックアウトマシーン”の異名を持つ。『ONE Friday Fights』で初の本戦契約(10万ドル)を獲得したファイターとしても知られる。2026年3月、ナビル・アナンの持つONEバンタム級ムエタイ世界王座に挑戦し、2Rと3Rに右でダウンを奪う完勝で王座を奪取した。今回が初防衛戦。
ヨッドIQは2023年3月からONE FFに参戦し、3戦目でアレクセイ・バリカに敗れたが、以後はアブドゥラ・ダヤカエフらロシア・ウズベキスタンの選手に連戦連勝。1月24日に行われた『ONE Fight Night 39』のメインイベントにて、4連続KO勝ち中だったアブドゥラ・ダヤカエフを逆転KOした。
両者とも強烈な一撃を持っており、なおかつ勢いに乗っている。激闘のタイトルマッチが予想される。