格上の伊藤紗弥に挑む奥脇。番狂わせなるか
2019年12月8日(日)東京・ニューピアホール『BOM 2-6~THE Battle Of Muaythai SEASON II vol.6』にて約1年ぶりに復帰の世界三冠王・伊藤紗弥(尚武会)と対戦する、奥脇奈々(エイワスポーツジム)のインタビューが主催者を通じて届いた。
奥脇は伊藤と同じくジュニアキック出身で、2017年1月にプロデビュー。アグレッシブな打ち合いを好み、今年6月にはWMC日本女子ピン級王座決定戦に挑んだが、判定で敗れて王座獲得ならず。今回の伊藤戦決定に「過去最強の相手だと思いますが、強い相手と戦えるのが楽しみです」とコメントしている。21歳。弟の竜哉は現ラジャダムナンスタジアム認定ミニフライ級王者。
■バチバチに打ち合っても負けないような気持ちを見せる戦いもしたい
――今回BOM参戦が決まりました。心境はいかがですか?
「対戦相手は伊藤紗弥選手という強い相手になりました。自分がプロになる前から活躍していた選手で、怖いというよりもワクワクしていて試合の日が楽しみです」
――いつか対戦するとは思ってました?
「中川(夏生)会長からずっと『伊藤紗弥選手を倒せるのは奈々しかいない』と言われていたので、目標にしていた選手だったんです。私はここ数試合は負けが多く、まだまだダメだなと思っていたのですが、10月20日のBOM大森大会でエイワスポーツジム移籍後初めて勝つことができました(RINAに判定勝ち)。勢いを付けることができた中で、今回伊藤選手との試合が決まって良かったと思います」
――今、練習ではどういうことを強化していますか?
「やはり伊藤選手はミドルキック、ヒジ、ヒザ蹴りがうまいので、それらをもらわないようにしつつ、ある技を強化しています。今回5Rの試合なので、伊藤選手を上回るぐらいの体力を付けて伊藤選手のスタミナを削っていきたいと思います。バチバチに打ち合っても負けないような気持ちを見せる戦いもしたいですね」
「切られたことはないのですが、ヒジをもらって顔がパンパンに腫れた試合は何度かあります(苦笑)」
――女性ということで、両親は心配しないですか?
「自分には直接言ってくることはないのですが、私がプロになると決めた時点で気にはしているようです」
――奥脇三兄弟(長男・一哉、次男・竜哉)として有名ですが、キックを始めたのはいつからですか?
「中学3年生の終わりぐらいから始めました」
――キックを始めたのは兄弟揃って?
「弟が入ったタイミングで私もキックボクシングをやりたかったのですが、兄弟の中で女性は唯一私だけということもあり、親はなかなかやらせてくれず、『中学3年間は部活をやりなさい。それでもキックをやりたい気持ちがあるなら公立高校に合格したらいいよ』というので、塾に通ってめちゃくちゃ受験勉強を頑張りました。無事に合格することができたので、すぐにキックを始めました」
――どうしてそこまでキックにはまったのでしょう。
「兄、弟のアマチュアでの試合を観に行った時に、女子の選手が戦っている姿を見ていたら、自分なら勝てるなと(笑)。私は昔から負けず嫌いで、その場に自分が立っていないことが凄く悔しくなったんです」
――それまでのスポーツ経験は?
「小学生の時に水泳、中学の時にソフトボールをやっていました」
――ちなみに兄弟喧嘩はやってました?
「格闘技を始めてからは1回しかやっていませんが、それまではずっとお菓子の取り合いなどで喧嘩が多かったですね(笑)。3~4年前に弟と最後にやってからは、もう敵わないと思ったのでそれからは喧嘩するのを辞めました」
――竜哉選手は9月9日にタイ現地で勝利し、日本人としては8人目のラジャダムナンスタジアム認定王者になりましたが、弟の活躍をどう思いますか?
「私は嫉妬心というのはなく、兄、弟のことは選手、先輩として凄く尊敬しています。弟は弱音を吐かずにタイで単身修行していたこともあり、生き方が凄くカッコいいんです。ちなみに偉業を達成した弟に対して見る目はさらに変わったのですが、弟は私のことを姉として見ていません(笑)」
――今回、伊藤選手に勝てば実績になるかと思います。
「私は今までにも強い選手と戦ってきたのですが、今回が過去最強の相手だと思ってます」
――伊藤戦をクリアー後の目標はありますか?
「今年6月のBOMのリングでWMC女子日本ピン級タイトルマッチで上原真奈と対戦して僅差で私は負けているので凄くリベンジしたいという想いでいたのですが、先日、上原選手はツイッターで引退発表していたので混乱してしまいました……。今は組んでもらった試合をどんどんこなしていきたいと思ってます。エイワスポーツジムに移籍してからまだスタート地点にも立ててないと思うので、まずはベルトを獲ることを目標にやっていきます」
――ジムを移籍して一番変わったことは何でしょう。
「練習に対する考え方です。パンチの打ち方1つにしても何も知らず、トレーナーからダメ出しされながら1つずつ教えていただいています。自分はこんなに知らないことがあったんだ!? と思いながら1つずつクリアーしていくことで、毎日の練習が凄く充実しているんです。ここ数戦では負けた試合もあったのですが、自分自身が成長できていることも感じています」
――会場に来てくれるファンにメッセージをお願いします。
「今回、第1部のメインイベントに選んでいただけたので、女子選手でもここまで盛り上げられるというところを見て下さい。応援よろしくお願いします」