米国のプラットフォームに、今すごく売り込むタイミング
──これだけ円安が進んでいると外国人選手を入れても支出は多くなる。そういったなかでサブスクリプション(定額で利用する権利を得る)の時代になって 世界中、コアファンでも有料でも見てくれる時代になりました。なにか配信の戦略はありますか?
「外国人選手を招聘するのにはコストがかかるし、航空運賃も高い。ただ逆に僕らが輸出をすれば、このコンテンツは世界に届くわけで、世界中の人達が見たいというコンテンツになれば、円安は僕らに追い風になります。当然コストが掛かることですが、売り上げを国内に軸足を置いた構造から、もっと海外での売り上げをどう高めていくのか。
これは本当に企業として、コンテンツの創造を生業とする会社として、僕らはさらに事業を拡大していく中で、どうしても世界中のプロモーションと渡りあう中で言えば、やっぱり世界のマーケットに、僕らのコンテンツがしっかりマーケットにリーチして、そこの売上を獲得して、 それを持って帰るというか、それが原資となって外国人選手を呼ぶということにつなげていく。
そういうチャレンジで今、一足飛びに『日本人vs.外国人』で世界のマーケットの人たちが、すぐ振り向いてくれるということでもないと思っています。ただそういう環境、海外のマーケットからもインカムを獲得できるインフラが整っているので、そういうものを使いながら、海外の売上をどう高めるか。
それと、大きなビジネスのことでいうと、UFCがParamount+に配信プラットフォームが変わったことで、アメリカのプラットフォームと放送局に、今すごく売るタイミングなんですよね。 でも1、2回海外で大会をやったくらいではどうしようもない。やっぱり時差の問題もあるし。僕らからすると本当に3カ年ぐらいの中で、大事にプレゼンスを今のチャレンジで高めながら、満を持して本当にアメリカでRIZIN USシリーズとして10大会やるとか、そうなってくるとアメリカのメジャープラットフォームのNetflixにしても、Amazon Primeにしても、ESPNにしても、Paramount+がUFCを独占したことによって、他のプラットフォームや放送局が(MMAを)求めてるんでね。そういうところにフィットするコンテンツとして、僕らにも白羽の矢が立つ可能性はあるかなという。そういう可能性を感じながら、そういうものに対するチャレンジを、今の日本国内における求心力を失わない形でどう整えていけるのかっていうのが、ビジネス的な次のフェーズとして考えられるタイミングかなと思います」
PFLとはトップどころが往来するようなことができたらいい
──ESPNが空いた枠も気になるところです。米国進出はまずはPFLとの提携からになりそうでしょうか。
「PFLも投資があったなかで大変だなと。もっと良いものできるのにな、と思いながら見てきて、ただ今までのドン・デイビスが会長を退任し、CEOもピーター・マレーからジョン・マーティンに代わって、ずっとメディアでのキャリアもある人なので、やっぱりアメリカ人が作ってきたものを、もう1回、本当に北米のマーケットに軸足を移すっていう形で、アメリカで彼らも向こう3カ年のチャレンジをするっていうことを考えている。
そうなった時に今のPFLのマッチメイクが、本当にアメリカ人のマーケットにリーチするのかどうかっていうところから検証しなくちゃいけないと思いますが、そういう中で我々からすると、ここまでのサウジアラビアのお金でチャレンジをした3年~4年の、Bellatorも一緒にしたPFLのオペレーションのメンバーたちとガラッと変わって、すごくやりやすい、考え方も非常に共有できるトップになった。少し前のBellatorとの対抗戦じゃないけど、そういうような選手のトレードというか、いい形でお互い切磋琢磨できる。
この業界でいうと圧倒的なナンバーワンは、悔しいけどUFCなので、そのUFCにやっぱりナンバーツー、ナンバースリー、ナンバーフォー、いろんなところが潰し合っていても、普通に考えたら勝てるわけがない。そういうことを一生懸命、僕は他のプロモーションに声を掛けています。僕らがフェデレーションとして、UFCとは違うファンが魅力を感じてもらえるようなエッセンスを、この業界に持ち込めたらいいなと。だから本当にPFLもそうだし、ONEにしてもそうだし、KSWにしてもLFAにしてもROAD FCにしてもBLACK COMBATにしても、世界中の団体と、僕らが起点になって声をかけています。UFCの世界観とは違うものを作っていけるような。そのためには今、RIZINとしてPFLとの関係値をもう一度復活させて、トップどころの選手が往来するようなことができたらいいなと。交渉には時間がかかると思いますけど、彼らも待ったなしで、3月20日にマドリッド、4月11日にシカゴ、5月はサウジアラビアでやるなかで、RIZINとの関係値を深めたいという、お互いそういうところでの話し合いが必要ですので、少し皆さん、期をして待ってていただけたらいいなと思っています」
──RIZINにも出場したSASUKE選手がPFLと契約しましたが、これはRIZIN経由でしょうか。
「それは僕らは入ってはいないですね。今後、PFLも日本だと今はU-NEXTさんと大会毎に配信が変わるということで、日本のプラットフォームにどう販売するかっていうところは交渉しなくちゃいけないところだと思いますし、日本人選手をこれからもキャスティングして(菊入正行、渡辺華奈がランキング入り)、日本のプラットフォームにPFLを配信してもらう交渉になっていくと思います。そういう中で、RIZINとの関係上、戦略的パートナーシップとかが結べれば、PFLにとっても日本のプラットフォームで売り込むというセールスの大きな目的になるのではないかと思っています。 お互いそれぞれのマーケットに出ていく上で──PFLがアメリカのマーケットをそれほど持っているとは思わないですけど──僕らも彼らのプレゼンスをうまく活用して『次は、こちらがやろう』というそんな思いです」
──いまとは異なる、一般層に向けた地上波の時代に活躍された安田忠夫選手(62歳で逝去)についての思い出があれば。
「そうですね。本当に一時代、共にお茶の間格闘技を浸透させた、いまだにジェロム・レマンナと戦ったあの時はTBSの『INOKI BOM-BA-YE 2001』で、ずっとジェロムの相手が決まらなくて、2週間か3週間前に安田がやると。猪木軍とK-1とPRIDEと、格闘技が一つになって大晦日に格闘技のコンテンツを作る、まさに格闘技というものを通じて見せたい人間ドラマを再現した一人なので、自分の中でも強烈な記憶を持っている選手の一人です。気がついたんですけど、安田さんと僕は同級生なので思うものはあります」




