MMA
レポート

【ONE】パシオがストロー級王座防衛、スタンプがMMA3連勝、内藤のび太が判定勝利も鈴木博昭はスプリット判定負け

2019/11/09 01:11
2019年11月8日、フィリピン・マニラのMOAアリーナにて、「ONE:MASTERS OF FATE」が開催された。 ▼ONE世界ストロー級(※56.7kg)選手権試合 5分5R○ジョシュア・パシオ(王者/フィリピン)[2R 2分29秒 肩固め]×レネ・カタラン(挑戦者/フィリピン) フィリピン人同士の世界戦。ともに散打ベースながら、23歳のパシオの組み技の進境は著しく、41歳カタランには寝技のベースもある。兄弟でONEに参戦中のカタランに対し、パシオはチームラカイでセミファイナルに共に出場するフォラヤンらと練習を積んできた。 1R、ともにオーソドックス構え。右の後ろ蹴りをボディに刺すパシオ。カタランから四つに組みに行くが、体格差を活かしヒザ裏をつかむテイクダウンはパシオ。 フックガードから外がけ足関節はカタラン! パシオもアンクルを仕掛けるが、サドルロックを仕掛けるパシオはヒールフックへ! 回転するパシオにヒザ十字狙いさらに内ヒールをかける! ヒザを抜いて上を取るパシオ。バック狙いにカタランはレスリングでボディに頭をつけて片足をつかみ押し込む。 2R、オーソから左ローを放つパシオ。がぶりから外側の足を押し込んでカタランに背中をつかせるとマウントから肩固めへ! さらにサイドに出ると、脇を上げられたカタランは左腕と右手をロックして凌ぐが、ロックが外れるとカタランはタップした。 一本勝ち後、パシオは青コーナーに向かい、同郷のパイオニアであるカタラン兄弟一人ひとりと握手をかわすと、リング上で「チャンピオンの仕事は練習を続けること。そして次の相手と防衛するだけ」と淡々と語った。 ▼ライト級(※77.1kg)5分3R○エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)[判定3-0] ×ツォゴーフ・アマルサナー(モンゴル) 1R、ともにオーソドックス構え。フォラヤンは右のカーフキック。2発目は足を折り曲げてカットする。フォラヤンの右ハイもかわすアマルサナー。しかし右のカーフキックをもらうと前足を変えてサウスポー構えに。しかしフォラヤンは今度は右をインローで当てる。右足を前にするアマルサナーに右の後ろ廻し蹴りはフォラヤン! 2R、最初からサウスポー構えのアマルサナー。フォラヤンの跳びヒザに四つで組むが、腰を引くフォラヤンが離れる。左ミドルを蹴るアマルサナーだが、フォラヤンの右ミドルをもらう。さらに右ミドル! そこにアマルサナーは右ストレートを狙う。 間合いが近くなったところにフォラヤンの左フックもかわしたアマルサナーの頭がフォラヤンの頭とバッティングに。続けてアマルサナーのショートの左フックも受け崩れ落ちたフォラヤン。パウンドを打つアマルサナー。フォラヤンは出血。レフェリーは試合をストップしインジュエリータイムに。 試合は負傷時までの判定で3者がフォラヤンを支持。アマルサナーもフォラヤンの手を挙げ、ハグを交わした。 ▼ONE SUPER SERIESムエタイ 68kg契約 3分3R○センマニー・サティアンムエタイ(タイ)[判定3-0]×アジス・ハライ(モロッコ) ※ハライのミドルキャッチとこかしに手こずったセンマニーだが、首相撲&ヒザで勝機をつかみ判定勝ち。 ▼フライ級(※61.2kg)5分3R○ジェヘ・ユースタキオ(フィリピン)[3R 2分11秒 KO]×トニ・タウル(フィンランド) ※手足が長く長身のタウルにバックを取られるなど苦戦したユースタキオだが、右のバックキックをタウルのレバーに突くとタウルは腹を押さえてダウン、KO勝利。 [nextpage] ▼女子アトム級(※52.2kg)5分3R○スタンプ・フェアテックス(タイ)[判定3-0]×ビー・ニューイェン(米国) 立ち技のONE SUPER SERIESでムエタイとキックボクシングの世界女子アトム級王者のスタンプ・フェアテックス(タイ)が、MMA5勝4敗のビー・ニューイェン(米国)を相手に、ONEでの3度目のMMA。 1R、サウスポー構えのニューイェンとオーソドックス構えのスタンプ。 左の連打、ダブルで前進し、左インローでスタンプを崩したニューイェン! しかしその前進に左で差して回してこかしはスタンプ! しかしすぐに立つニューイェンは左で差して押し込むとダブルレッグへ。コーナー背にするスタンプは首を抑えながら強烈なひざ蹴り! 脇腹にもらいながら、しかしニューイェンはボディロックからテイクダウン狙いで回すが、その際で上を取るスタンプ! ニューイェンはシングルレッグへ。潰したスタンプはニューイェンの立ち際にバックへ。ニューイェンは離れる。 左で飛び込むニューイェンに右ミドルはスタンプ! しかしその蹴り足を掴んだニューイェンはテイクダウン狙いも片足で立ちでロープまで移動すると、右ストレート、右縦ヒジと右の強打をを連打する! 2R、首相撲からヒザを突くスタンプ! しかしふりほどいてバックフィストを狙うニューイェン。右ミドルを蹴るスタンプ。しかし距離を潰すニューイェン。スタンプは右ローを当てる。しかしニューイェンも右で前へ。さらに左ジャブの連打から低しダブルレッグも今度は切るスタンプ。 スタンド。戻しの速い右ハイはスタンプも空振り。さらに右ローも遠い。ニューイェンの入りには首相撲からヒザを突く! さらに右ミドルから左右を振るスタンプにニューイェンも退かず! 左ミドルを返す。 3R、ニューイェンの左ハイをかわすスタンプは右ミドルをヒット! さらに右前蹴り。ニューイェンは左ハイを空振りも続けてバックフィスト! スタンプの首もとに当てる。左右を突くニューイェンに首相撲ヒザはスタンプ! さらにニューイェンの左ローに右ストレートをヒット! アゴを上げさせられたニューイェンだが決して退かず。スタンプは右ミドルハイ! 鼻血を流すニューイェンだが最後まで前へ。 ゴングに自らニューイェンにハグしたスタンプ。ONE SUPER SERIESムエタイ&キックボクシング世界女子アトム級王者スタンプ・フェアテックスは、これでMMA3連勝。MMA5勝4敗のニューイェンを首相撲&ヒザで攻め、強い腰も見せたスタンプはリング上で、「MMAで4回戦ってタイトルを狙いたい」と、アンジェラ・リーが持つ王座を照準に定めたことを語った。また、恐るべきタフさを見せたニューイェンも女子アトム級で存在感を示し、同級の女子日本人選手にとって、脅威となる試合を見せた。 ▼バンタム級(※65.8kg)5分3R○リー・カイウェン(中国)[1R 2分39秒 KO]×ポール・ルミヒ(インドネシア) ※左ストレートでロープに詰めると右アッパー。リー・カイウェンはONE4連勝。 [nextpage] ▼ストロー級(※56.7kg)5分3R○内藤のび太(日本)[判定3-0]×ポンシリ・ミートサティート(タイ) 2014年に修斗世界フライ級王座を獲得後、2016年からONE Championshipに参戦し、同年5月にデェダムロン・ソー・アミュアイシルチョーク(タイ)に一本勝ち、ONE世界ストロー級王座獲得に成功した。 王座陥落と再度の王座獲得、そして再び王座陥落後、アジアのMMAのレベルアップも著しいなか、2019年3月には、レネ・カタランと対戦し、1R途中にカタランのパウンドで顔面をカット、レフェリーストップでキャリア初のTKO負けを喫した。それはチーム・ラカイ以外のフィリピン人選手に初めてのび太が敗れた試合だった。 しかし、その2カ月後の2019年5月にはアレックス・シウバ(ブラジル)に判定で競り勝ち再起を飾っているのび太。11月8日の対戦相手ポンシリ・ミートサティートは10勝3敗のタイ人ファイター。デビューから9連勝後、現同級王者ジョシュア・パシオの「パシオロック」に敗れ、日本の鈴木隼人にリアネイキドチョークで一本負け。2019年5月に兄弟ファイターのロビン・カタランにTKO勝ちも、8月にミャオ・リータオ(中国)に判定負けを喫している。 元王者ののび太としては、再びタイトルにからむためには落とせない試合となるが、タイガームエタイ所属のポンシリものび太対策を十分に練ってきていることが予想される。果たしてのび太は、再び連勝街道に乗ることができるか。 1R、リングのMMA。ともにオーソドックス構え。ポンシリは右ローから。のび太はシングルレッグへ。頭を押さえて後ろを向いて切ろうとするポンシリは正対。左で差してコーナーに押し込む内藤。そのままロープづたいに回してテイクダウン。クローズドガードのポンシリ。リング中央で再開。鉄槌を落とす内藤。立ち上がって足をさばこうとするがその際でポンシリは立つ。 左ジャブを見せながら近づく内藤は右フックからそのまま組んで左で差して押し込み。頭が下がると右で小手に巻くポンシリは左ヒザを顔面に突き上げる。小外気味に外側に左足をかけてテイクダウン狙う内藤に立つポンシリ。内藤は今度は右で差してテイクダウン。シングルレッグへ。立とうとするポンシリにシングルレッグで倒すも頭を両足で挟むポンシリは頭にヒジを突く。 2R、前後にステップし「頭左」のセコンドの声にそうそうにシングルレッグテイクダウン奪う内藤。インサイドからパウンド。ポンシリは蹴り上げで突き放すと、すぐに組み付く内藤は再びシングルレッグへ。左腕をつかんでパスガード狙い。右足で超えた内藤に下から鉄槌はポンシリ。しかし右で枕に巻いて背中つかせる内藤はハーフからマウントへ! ポンシリのブリッジをかわし、脇を開けさせると残り1分以上あるが「フィニッシュ」狙い腕十字へ! 上体を起こしたポンシリにオモプラッタ狙いも腕を外したポンシリは下の内藤の足にキック! しかしすぐに足を手繰る内藤は、テイクダウンからマウントを奪ってパウンドしたところでゴング。腕十字を仕掛けて下になって蹴られた失点を奪い返した。 3R、内藤の最初の低いダブルレッグは切るポンシリ。左ハイはブロックする内藤。今度はシングルレッグもポンシリは切る。右を振るフェイクからシングルレッグは内藤。しかしがぶるポンシリはヒザ! 片足にしがみつく内藤に鉄槌! ガード取りながら足関節でポンシリに後ろ向かせた内藤が追いかけテイクダウン! 半身になるポンシリの足首をつかみ頭を抑えヒザ! さらぶポンシリの立ち際にバック狙いから正対際でマウントを奪い細かいパウンド。最後はパウンド連打しゴング。 判定は3-0で内藤。悔しがったポンシリも内藤に拍手。極め切ることはできなかったが、 ▼ムエタイ・バンタム級 3分3R○ゴーンサック・PKセンチャイムエタイジム(タイ)[判定3-0]×ハン・ズーハオ(中国) ▼ストロー級(※56.7kg)5分3R○ロビン・カタラン(フィリピン)[2R 4分43秒 KO] ※右ハイキック×グスタオ・バラルト(キューバ) [nextpage] ▼ムエタイ・バンタム級 3分3R○トゥカートン・ペットパタヤイ(タイ)[判定2-1]×鈴木博昭(日本) 鈴木は、シュートボクシングの王座を返上し、2018年11月からONE Championshipに参戦。2018年11月のONEデビュー戦でデイヴィダス・ダニラからダウンを奪って判定勝ち、2019年1月にはモハマド・ビン・マフムードに3R TKO勝利し、ONE3戦目でONEムエタイ・バンタム級王座挑戦へ辿り着いた。 2019年5月のノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ)との王座戦では、2Rに腓骨を骨折。フットワークが使えなくなるアクシデントのなか、判定3-0で敗れている。 「狙いすぎた」というノンオー戦を経て、タイ人が長いキャリアで培った独特の距離感をいかに攻略するか。「それを攻略するための道の途中です」という鈴木は今回、ノンオーと同じEVOLVE MMA所属のトゥカタトーン・ペットパヤタイ(タイ)と対戦する。 元ルンピニー&ラジャダムナンのランカーのトゥカタトーンは277戦242勝33敗2分という強豪。サウスポーならではの右フックの使い方が厄介だが、鈴木は「その動きは僕も使えるし、そのパターンで来るならば。自分の得意とするところ」と対処に自信を見せている。 またトゥカタトーンは前に出てくるタイプなので「やりやすさはある」と語る鈴木は、トゥカタトーンが対戦相手が強引に入るパンチを被弾していることについて、「まさにそこを糸口にしたいと思っています」と、得意の接近戦での攻略方法も見えているようだ。 ONEムエタイでは、オープンフィンガーグローブで戦っている鈴木。「ボクシンググローブとは違うオープンフィンガーグローブならではの殴り方があります。自分はそこを楽しんで戦えています」という。 9月のONEベトナム大会では、MOMOTAROがシントンノーイをKO。ONE2勝目をマークした。「あの試合は刺激になりました。良いエネルギーを貰えました!」と語る鈴木は、ONEのムエタイルール、さらにキックボクシングルールでも「どちらでもベルトを獲るしかありません」と目標を定めている。 Ares時代から行動を共にする後輩の内藤大樹が10月25日のONEジャカルタ大会でONE初白星をあげ、BELLWOOD FIGHT TEAMとして、再びシュートボクシング協会にも加入し、後輩たちに道を開いた。 「怪物君らしい戦いを楽しみにしていてください」という鈴木は、再びタイトル戦線にからむことができるか。強豪ぞろいONEスーパーシリーズバンタム級での巻き返しに期待だ。 リングでのオープンフィンガーグローブのムエタイ戦。ともにサウスポー構え。1R、左ローを当てる鈴木に左ミドルを返すトゥカートンは左ロー・前蹴りも。蹴り足を掴んでの右を鈴木は狙う。さらに左ミドルを掴んでの左右連打にトゥカタートンは腰を落とすがロープにもたれかかりダウンを逃れる! 2R、オープンフィンガーならではの蹴り足を掴んでの攻撃が有効な鈴木。ローから右を振るがかわすトゥカートンの右ストレートが伸びる。さらに鈴木の蹴り足をつかんでのこかし。左ミドルを当てられつかむ鈴木だが、軸足払いにトゥカートンは倒れず。右ヒジも鈴木もかすめる。左ストレート、右ハイを打つトゥカートン。鈴木も左ミドルを返すが右脇が腫れる。 3R、右ミドルハイを当てるトゥカートン。ローを返す鈴木だが、トゥカートンの右の蹴りが高めになる。さらに左ミドルに鈴木の右脇腹が赤く腫れ上がる。左ストレート、右ハイのトゥカートン。詰める鈴木だがなかなか手が出ない。鈴木のミドルをトゥカートンがつかんでこかす! 立った鈴木が前に出たところでゴング。 肉を斬らせて骨を断とうとした鈴木だが判定はスプリットでトゥカートンが熱戦を制した。 ▼ONEフェザー級 5分3R○キム・ジェオン(韓国)[3R 0分38秒 TKO]×ハファエル・ヌネス(ブラジル) [nextpage] ▼フライ級(※61.2kg)5分3R○キム・キュソン(韓国)[1R 1分08秒 KO] ※右アッパー×藤沢彰博(日本) 1R、ともにオーソドックス構え。左を振り前に出る藤沢にキュソンは下がりながら右ショートアッパー! ダウンした藤沢にパウンドに入るがすぐにレフェリーが間に入った。藤沢はONE3連敗。 ▼フライ級(※61.2kg)5分3Rロシャン・マイナン(インド)[1R 3分22秒 アメリカーナ]コン・シチャン(カンボジア) ※マウントからパウンド、アメリカーナ
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.335
2024年11月22日発売
年末年始の主役たちを特集。UFC世界王座に挑む朝倉海、パントージャ独占インタビュー、大晦日・鈴木千裕vs.クレベル、井上直樹、久保優太。武尊、KANA。「武の世界」でプロハースカ、石井慧も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア