キックボクシング
インタビュー

【KNOCK OUT】壱・センチャイジム「もう激闘派の僕はいなくなった。ただ、僕は最近、ダウン奪取率100%」vs.前田大尊「今回、倒せる気がしている」

2026/02/05 16:02
 2025年2月15日(日)東京・後楽園ホール『MAROOMS presents KNOCK OUT.61』(U-NEXT配信)にて、KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級3分3Rで対戦する壱・センチャイジム(センチャイムエタイジム)と前田大尊(マイウェイジム)のインタビューが主催者を通じて届いた。  両者は2024年12月の「KICKBOXING JAPAN CUPスーパーバンタム級トーナメント」準決勝で対戦し、壱が判定勝ちしている。 壱「本当に実力差を示さなきゃいけない戦い」 ──KNOCK OUTでの試合は昨年10月の繁那戦以来になります。あの試合を今振り返ると? 「あの試合は、本当に久しぶりに倒すことを考えずに戦って、それがうまくハマったという試合でしたね。今まではKNOCK OUTとONEを主戦場にしていたから、倒すことを一番に置いて考えてたんですけど、倒すことばかり考えてしまうと、逆に倒せないということに最近気づいて。倒すことを考えていないと、ふとしたタイミングでダウンとか取れるんです。そういう、戦う時の心の状態が大事ですね。KOしようと思ったらKOは絶対できないので」 ──なるほど。 「だから繁那戦は、キャリア47戦目にして、戦う時の自分の精神状態を一番整理して試合できたなと思いました」 ──倒すことを意識せずに戦えたというのは、WBCムエタイの試合でムエタイルールだから、みたいなところもあったんですか? 「そうですね。やっぱり3R制だと2Rからいかなきゃいけないっていうのはあるんですけど、5R制だと違うんですよね。あの試合の判定は48対47だったから、僕は1Rと2Rを取られてると思うんですけど、もともと会長との作戦で『1、2Rを取らせていいから、3、4、5で取り返そう』と言われていたので。だから1、2Rを取られていても、『あと3Rあるし』みたいな心の余裕はありましたね」 ──とはいえ、KNOCK OUTのリングではあるわけじゃないですか。そこで「倒さなきゃいけないのかな」みたいなところはなかったですか? 「KOボーナスも出てますし、やっぱりみんなが求めてるのはKOだっていうのは分かってるんですけど、実際、特に最近はKOを狙いすぎてぶっ倒れてる試合が多くて。KOっていうのは自然とついてくるものだと、自分では思ってるんですよ。狙ってない試合でKOできるから、自然とついてくるものだと。そこに最近気づいたんですよね。以前はもう、1Rでも早くぶっ倒してやるつもりでやってたんですよ。去年の初め、ダウンしまくってた時。でももう前回の繁那戦からは練習の時みたいに、遊ぶぐらいの感覚でやろうと思って。やっぱり『勝とう』『KOしよう』と思っちゃうと焦っちゃうんですよね。それで、1Rの残り30秒ぐらいからはもうバンバンいっちゃうんですけど。でも繁那戦では遊ぼうと思って、『このRは取られたな。よし、次は取り返そう』ぐらいに考えて、本当に練習中のスパーリングの感覚でやったら、前回はすっごくリラックスして、うまくできましたね」 ──これからの試合もそういう感じでいければという感じですか? 「そこは本当に会長次第ですね。今回の前田大尊戦は、会長から『KOしないと許されない相手』って言われてるので。繁那戦の時は5R制というのもあって、ムエタイだとKOよりもポイント差をつけての判定勝ちの方が評価されますし、会長からも『今回は5Rしっかり戦おう』と言われてました。実際、5R戦えること自体が滅多にないですからね。キャリアを積む上でもお得だっていう、タイ人の考えがあるんですよ。せっかく5Rあるのに1Rで終わらせちゃったら、残り4R試合できたのにもったいないっていう。そういうタイ人特有の考えもあったみたいです。理想は50対45での勝利でしたけど、でも完勝できたので。今回はオープンフィンガーグローブでのREDルールいうことで、会長が『実力差を見せつけて勝たなきゃいけない相手だ』と言ってるので、KOは目指していきます」 ──繁那戦の後は12月にムエタイ・オープンでタイ人に2RTKO勝利してますしね。 「はい。あの試合も会長に『KOしていいよ』って言われてたんです。会長は最近、『KOしていいよ』って言ってくれるので。で、繁那戦で5R戦って、会長的にも「壱君は5R戦うこともできるな』という安心感があったのか、12月の試合は『KOしちゃっていいよ』と言われたので、1R目からインカーフとパンチでゴンゴン攻めて、足が効いたタイミングでKOできた感じですね」 ──いつも会長の元で、試合ごとにテーマが細かく設定されているわけですね。 「そうですね。僕の強みは何でもできるところだと思ってるので。パンチもキックも首もヒジもヒザもできるので、毎回違うことをできるというのが強みだと思ってますし、それがパンチ一辺倒になっちゃって、成績が振るわなかったのが昨年の初めの方だったので。ONEで勝った時もダウンをもらってるし、森岡悠樹戦も勝った時もダウンして、2回目はダウンだけ取られて…みたいな。あれがよくないパターンですよね。だから、それを見つめ直して今があるという感じですね」 ──というところで、今回は当初、石川直樹戦の予定でしたが、前田大尊戦に変更になりました。会長から「倒さなきゃいけない相手」と言われたということでしたが。それは「格」の部分でというところですか? 「はい。会長が『格を見せなきゃいけない』と。石川選手はキャリアもあったし、2回対戦した蒔・センチャイジムも『首相撲がメッチャ強い』と言ってて。だから首相撲の展開になってドロドロした感じになっちゃうと苦戦するのかなという思いもあったので、倒すならパンチでのKOを想定していました。それが大尊君との対戦となると、本当に実力差を示さなきゃいけない戦いだなと思って。それは前回彼と対戦した時も言ってたんですけど、前回は延長までもつれちゃってるので、個人的に僕と大尊君の相性は、そんなによくないと思ってるんですよ。実力差はあると思うんですけど、ジャンケンと一緒で相性があって、僕は大尊君とはよくない方だと思っていて。でも今回はそんな相性さえも乗り越えて、圧力で圧倒したいなと思っています」 ──前回は2024年12月の横浜大会、JAPAN CUPトーナメントの準決勝でした。実際に対戦しての印象はどうでしたか? 「印象は試合前に思っていた通りでしたね。速くて、でも体力とかペースの配分という点については、やっぱりまだまだ浅いのかなと思いましたね。その部分はキャリアを積むことでしか上達しないので。ただ身体能力の高さとかは、試合しながらも感じました」 ──では今回、圧倒して格の差を見せつけるというところで、具体的にはどういう試合をにしたいと思っていますか? 「経験値で抑え込んで、最終的にKOします。経験値で抑え込めれば自ずと差は出てきて、最終的にKOにつながると思うんですよ。昨年の初めみたいに一発でKOしようとか、ダウンを取られても取り返せばいいとかいう、そういう考えは一回捨てて。経験値で上回って、全てで圧倒していれば、相手は絶対に倒れるので」 ──同じKOでも、そこに向かう姿勢が変わったということですね。 「変わりましたね。でもやっぱり、KOは花形だと思ってるので、そこは絶対視野に入れながらという形です」 ──これが今年一発目の試合になりますが、今年は4月に沖縄大会もある中、どうしたいと思い描いてますか? 「いやもう、沖縄大会があるから絶対負けられないですよね。僕自身、山口さんにWBCムエタイの世界王座戦を組んでくれと言っているんですけど、その話もここで負けてしまったら流れてしまう可能性もあるので、余計に負けられない試合ですね。全ての試合が負けられないですけど、ここは大きなものが懸かってるなと思っています」 ──やはり、今年の一番の柱は4月の沖縄大会という感じですか? 「はい。沖縄で試合できることは、僕自身、最初で最後かなぐらいに思ってるんですよ。だからここで大ケガとかして出られないとかなったら、もう一生後悔すると思うので、そこに向けて頑張っていきます」 ──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう? 「僕って、一昨年から去年ぐらいで、僕、顔面を40針ぐらい縫ってるんですよ。それで去年、森岡選手に負けて、『一回ダメージ抜く』って言って休養したじゃないですか。そっから繁那戦と12月の試合で、2試合とも被弾ゼロなんですよ。本当に一発ももらってないんです。だからもう8カ月ぐらい一発ももらってなくて、顔の40針の傷跡がなくなってきたんです」 ──そういうものなんですね。 「はい。やっぱり傷跡って薄くなっていくので。だから今は格闘技を始める前の顔に戻りつつあるので、そこに注目してほしいですね。前までは『スカーフェイス・イケメン』だったんですけど、もう激闘派の僕はいなくなったので。ただ、キレイに戦うと言っても、12月の試合もKOしたし、繁那戦もダウンは奪ってますからね。僕は最近、ダウン奪取率も100%なんですよ。激闘はしないけど、倒しには行く。スカーフェイスじゃなくなったイケメンを楽しみにしてほしいです」 [nextpage] 前田「来るべき試合が来た」 ──前戦は12月の川野龍輝戦で、判定負けでした。あの試合を今振り返ると? 「自分にとってはちょっと失望感の強い試合でした。キャリアの中でも、ちょっと勝ち方を見失ってる時期に入ってるなと思っていて。それをすごく痛感した経験だったので、自分の中でもどうすれば勝てるのかというのをすごく考えるようになって、そこを意識して練習するようになったので、次はそれを出せる試合にしたいと思っています」 ──その前、10月の國元楓磨戦でKO勝ちしていて、川野戦の前には「倒せるスタイルも見えてきた」と話していたと思います。そこが逆にスタイルの迷いにつながった感じですか? 「國元戦もそうですけど、僕のKOの中でも一発でドカン! っていうKOはそんなになくて、詰めて詰めて当てて相手を倒すっていうKOしかないんですよね。だから一発で真のKOみたいなものをまだ掴みきれてないのもあって。自分の中でもそれは、経験としても実力としてもまだ足りてない部分だなというのを、前回の試合ですごく再認識したんです。だからそこをまた一段と深めていかないといけないなというのは感じました」 ──それもあって、SNSでは「常葉でもいいから毎月でも試合がしたい」と書いてましたよね。それが今回の代打出場につながったんだと思いますが。 「そうですね。止まっていても何も進化はないなと思って、経験をとにかく積みたいなという思いが本当に強くなったので、体を酷使してでも挑戦していきたいなという思いで、ああいう発信をさせてもらいました。それがこうして壱・センチャイジム戦につながったので、僕としては本当に、来るべき試合が来たなという感じがあります」 ──前回は2024年12月の横浜大会、トーナメントの準決勝での対戦でした。前田選手にとってはKNOCK OUTでの初試合で、1年2ヵ月ぶりの再戦になりますが、前回の壱戦ではどう感じましたか? 「壱選手は試合運びがとにかくうまくて、そこが経験の差なのかなと思いました。でもこの1年で、壱選手ももちろんそうですけど、僕も経験を積んできて、またレベルが上がってると思うので、前回とは違った展開になるんじゃないかなと思っています。あの時も僕としては『挑戦』という構図でやっていて、今回もそこは変わらないんですけど、特に違うのはオープンフィンガーグローブ(OFG)への初挑戦でもあって。しかもREDルール、首相撲ありのルールというのも、僕はあの試合以来で久しぶりなんですよね」 ──確かにそうですね。 「今、思うように勝てていない状況での壱戦ということで、『挑戦』という意味は変わらないんですけど、その規模は今回の方が大きいかなと思っていて。でも、ここさえしっかりと打破することができれば、今までの全てが報われると思ってるので、必ず何としてでも勝ちにつなげてやろうと思っています」 ──壱選手も昨年6月の森岡悠樹戦までは倒し倒されという試合が続いていましたが、10月の繁那戦では、またちょっと違う、本来に近いスタイルを見せていました。あの試合を見て、何か感じるところはありましたか? 「あの試合も、見ていて本当にうまいなと思いました。勝ち方を分かっているというか。僕に今ないものを持ってるなと思っていて。でもそんな僕だからこそ噛み合うというか、僕としては壱選手とは相性がいいと感じているので、打破できるんじゃないかなと思っています」 ──そこを打破するために、どう戦いたいと思っていますか? 「まず、壱選手のリズムにさせないようにしたいですね。僕は真っ当に戦うよりも、自由に戦っていた方が自分のリズムとしてすごく確立されているなと思っていて。それが壱選手の、ムエタイベースを崩す相性のいいポイントなんじゃないかなと思っています」 ──そして、最終的にはどう勝ちたいですか? 「直感というか、勘みたいなものなんですけど、今回、倒せる気がしていて。それはOFGだからというのもあるんですけど、ここで何かを掴めるような気がしているんです。これは感覚的な話なんですけど、僕自身もすごく楽しみにしています」 ──OFGについては今回、試合が決まって練習し始めた感じですか? 「そうですね。以前から、もしかしたらREDルールもあるかもしれないということで、用意はしてあったんですけど、使ったのは初めてでした。やってみると、本当に何から何まで違うというか、グローブの分の長さも違いますし、ガードしても入ってくるぐらい小さいし、硬さも、本当に感覚として全然違ってて。もう1個OFGを買って、ジムの人にも着けてもらって練習してもらったりしているので、本当に感覚としてはすごくよくなってきていると思います」 ──特に壱戦に関しては、OFGでの首相撲とヒジという部分が大きいと思いますが。 「でも逆に言うと、近距離だからこそ僕のパンチが通るというのもあると思うので、そういったところも生かしていきたいですね。それに自分も組みは本当に練習していて、小さいからこそ、壱選手の組みをかいくぐることができるポイントもあるんじゃないかなと思っています」 ──年明けから大きな相手との再戦になるわけですが、今年はここで勝った上で、ガンガン試合していきたいという感じですか? 「そうですね。2026年は本当に全勝という意気込みを掲げて、やっていきたいなと思っています」 ──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょうか? 「今回は一発で奇跡的に勝つというのではなくて、僕は本当に勝つべくして勝つと思っているので、試合の流れも全て、一瞬も目を離さずに見ていてほしいなと思います。
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