再起戦で大沢は自信を取り戻すことが出来るか
2025年2月15日(日)東京・後楽園ホール『MAROOMS presents KNOCK OUT.61』の対戦カード発表記者会見が、12月16日(火)都内にて行われた。
KNOCK OUT-BLACKライト級王者・大沢文也(ザウルスプロモーション)の出場が決定。

大沢は小学生の時から始めたボクシングで優れたテクニックを持つベテラン選手。2018年12月の「K-1ライト級世界最強決定トーナメント」で準優勝。2022年4月に瓦田脩二を破り、第7代Krushライト級王座に就くも2023年6月の初防衛戦で里見柚己との再戦に敗れ、王座を失った。2024年12月、KNOCK OUT初参戦を果たすとUNLIMITEDルールでバズーカ巧樹に判定勝ち。2025年5月、大谷翔司との再戦を判定3-0で制して第4代KNOCK OUT-BLACKライト級王座に就いた。
6月には再びUNLIMITEDに挑み、祖根寿麻から判定勝ちしている。11月に初のREDルールでゲーオガンワーンに挑んだが、判定2-0で敗れた。戦績は33勝(3KO)22敗3分1無効試合。
大沢の対戦相手、ルールは未定で、山口元気KNOCK OUT代表は「ふと思ったのは、BLACKもありだけれどもUNLIMITEDもありなのかなと。相手をどうかなと思って交渉を始めるところで、もうまもなく決まると思う」とした。

いつになく神妙な表情の大沢は「この間の試合で、何回も格闘技でもうダメだと思ったことはあるけれど、今回本当に辞めようと思ってて。もうリングに立てないと思ったんですけれど、格闘技で出来た傷は格闘技でしか治せない。こんな自分でも、こんなもんじゃないだろとこんな自分をずっと信じてくれるジムの会長や、練習仲間、ファンの皆さんの声とかもあってもうちょっとだけ悪あがきしようかなと思ってやろうと思いました」と、引退を考えたが考え直したと打ち明ける。
なぜ辞めようと思ったのかとの理由を聞かれると「正直どう考えても勝てると思っていてたのに、試合の時に自分の弱い気持ちが出ちゃって。試合はセミが(軍司)泰斗で、作戦ではバンッと中に入る作戦だったんですけれど、泰斗の試合を見ていたら相手もサウスポーでヒジの選手で、泰斗が入ったら速攻(ヒジで)斬られていて、それを見た瞬間に悪いイメージが一気に沸いちゃって。これは出来ない、入ったら斬られるっていう悪いイメージがずっと頭の中にあって。

どうしようと思っていたら何もしないまま試合が終わっちゃって。いつも試合はつまらないんですけれど、プロとして俺は何をやってるんだろうと思って。その気持ちの弱さとか試合内容とか、こんなんでリング上がったら他の選手にもファンにも失礼だしとか、いろいろなことを考えちゃいました」と説明。
REDルールでムエタイにやり返そうとの気持ちは、との質問には「もちろんやり返したいけれど、REDルールを甘く見すぎていた。甘く見てないんですけれど、一瞬で斬られるのを見て気持ち弱くなって。すぐにまたやらせろというのはアレかなと思って。もちろんやり返したい気持ちはありますけれど、今すぐではないかなと思っています」と、もっと研究や練習する期間が必要だとした。
それでもREDルールに初挑戦して得たものはあるのでは、と聞かれても「何もないですね。俺ってこんなに弱いのかとしか思わなかったです。得たものではなく分かったことは、俺ってこんなに弱いんだなってことです」と、完全に自信を喪失してしまった様子。

それでも復帰を決めたきっかけは「格闘技で出来た傷は格闘技でしか治せない。前に山口さんにも同じようなことを言われたけれど、その通りだと思っていて。本当の話だけれど、頑張らないといけないと思って、2週間休んでいてジムに行こうと決めた時に、荷物を詰めていたところで試合のことを思い出して気持ち悪くなってしまったんですよ。本当に吐いちゃって。
ヤバい感じになって、次の日も頑張ってジムに行ったら、タイ人にミット持ってもらったら1Rで走馬灯のように試合のことが浮かんじゃってまた気持ち悪くなってやめて。俺、本当にダメだと思ったんですけれど、山口さんの言葉やジムの会長にこんなもんじゃないんだと言われる言葉でまだまだいけるって。それで頑張らないとなって思えました」と、かなり重症だったようだ。
では今回はBLACKルールかUNLIMITEDルールが希望なのか。大沢は「僕自身はBLACKでやりたいと思っていたけれど、今初めてUNLIMITEDと言われてビックリしちゃって(笑)。ただ、UNLIMITEDだったらマジでつまらない試合をします。これは公言させてください。BLACKなら倒されてもいいから行こうかなって考えで。
最近、漁鬼(12月30日に松嶋こよみとUNLIMITEDで対戦)が僕の行っているジムに泊まっていて、強めのマスをやるけれど、漁鬼は技術はないけれどパワーがあってガンガン前へ出る選手じゃないですか。そういう選手と打ち合っても正直負けないので、俺やっぱりいけるなって、気持ちがあれば全然打ち合えるなっていう気持ちです」と、もしUNLIMITEDだったら塩試合、BLACKだったら打ち合いの試合をするという。
次の試合は「倒されてもいいから打ち合いたいなって」と元々決めていたと言うが、「それはBLACKだったらですよ(笑)。UNLIMITEDだったらちょんちょんやって、あとは斬られなければ勝ちかなって感じなので。オープンフィンガーグローブだったらマジで打ち合いは出来ないですね。無理だと思いました」と笑う。
さらには「サウスポーじゃなくてオーソドックス」と条件をあげていく大沢に、山口代表は「注文が多くないですか」と苦笑。大沢は「もっと注文するなら欧米の…」と続けた。山口代表は「めっちゃ面倒くさいですね。考えます」と困っていた。
苦難を乗り越えて迎える2026年、どんな年にしたいかと聞かれると「久井大夢と戦うのは却下していいですかね(笑)。ちょっと無理だなと思っちゃって。全然無理じゃんと思っちゃって。あんなカッコよく『いつか来る久井大夢戦へ向けて』と言ったけれど、却下したい感じですね」と、なんとも弱気な抱負となった。



