2025年12月6日(日本時間7日朝8時~)米国ネヴァダ州ラスベガスのT-モバイルアリーナで開催される『UFC 323: Dvalishvili vs. Yan 2』(U-NEXT配信)。メインイベントでは10月にコーリー・サンドヘイゲンを下したばかりのバンタム級王者メラブ・ドバリシビリが、2カ月間隔でピョートル・ヤンと2年9カ月ぶり再戦に臨む、5分5Rの王座戦が組まれている。
▼UFC世界バンタム級選手権試合 5分5Rメラブ・ドバリシビリ(ジョージア)王者 21勝4敗(UFC14勝2敗)※UFC14連勝中 135lbs/61.24kgピョートル・ヤン(ロシア)挑戦者 19勝5敗(UFC11勝4敗)※UFC3連勝中 135lbs/61.24kg
両者は2023年3月以来、2年9カ月ぶりの再戦。
UFC14連勝中のバンタム級王者ドバリシビリは、24年9月にショーン・オマリーに判定勝ちでバンタム級王座獲得。25年1月にウマル・ヌルマゴメドフの挑戦を判定で退けると、同年6月にオマリーとの再戦に臨み、3R ノースサウスチョークで一本勝ち。10月4日の前戦『UFC 320』で、コーリー・サンドヘイゲンを判定3-0で下し、3度目の王座防衛に成功したばかり。
試合後にケージのなかで、「ピョートル・ヤンは良い感じだ。準備ができている。いつも言っているように忙しくしていたい。もし12月にあるならすぐに戻りたい」と、同級2位のヤンを相手に、2カ月後の連続王座戦をアピールしていた。34歳。
対するヤンは、元同級王者。20年7月『UFC 251』の「UFC世界バンタム級王座決定戦」で元フェザー級王者のジョゼ・アルドを5R TKOに下し、王座獲得。ハビブ・ヌルマゴメドフに次いでロシア人史上2人目のUFC王者となった。
その後、アルジャメイン・スターリングとの王座戦で反則のグラウンドヒザ蹴り失格により王座陥落も、スターリングの首の手術により、21年10月にサンドヘイゲンと「暫定王座決定戦」を争い、5R判定勝ちで王座再獲得に成功した。
しかし、2022年4月『UFC 273』での「UFC世界バンタム級王座統一戦」で正規王者スターリングと再戦し、5R スプリット判定負け。王座統一に失敗し、暫定王座から陥落。その後、オマリーにもスプリット判定負けで接戦を落とすと、2023年3月にはドバリシビリにも判定負けで悪夢の3連敗を喫した。
左膝の半月板断裂と前十字靭帯損傷の怪我のなか、24年3月『UFC 299』でソン・ヤドンに判定勝ちで再起。24年11月にデイブソン・フィゲイレードに判定勝ちすると、25年7月の前戦では、マーカス・マギーに1Rは右を効かされるも、2R以降は地力の差を見せ、判定29-28×3で勝利。3連敗からの3連勝をマークし、再びコンテンダーに名乗りを挙げていた。32歳。
ドバリシビリとの2年9カ月前の初対決では、初回のダブルレッグは切ったヤンだが、シングルレッグでテイクダウンされると、際の打撃を被弾。5Rにわたりスタミナが切れないドバリシビリが実に48度のテイクダウンを仕掛け、50-45×3のフルマークでヤンに判定勝ちしている。
そこから5戦を経たドバリシビリは、前戦サンドヘイゲン戦では組んでもバックコントロールに固執せず。サンドヘイゲンが正対するとシングルからハイクロッチでテイクダウン。相手の立ち際にがぶりから首狙い、バックに回って逃がしてもまた詰めて組む、エンドレスのキャッチ&リリースでサンドヘイゲンを完封。2Rには組みの圧力から右を当ててTKO寸前まで追い込んでいる。
対するヤンは、スイッチスタンスからテイクダウンディフェンスにも長けて、パンチのみならず蹴り、ヒジ、ヒザと多彩な打撃と、自ら仕掛けるテイクダウンも混ぜたMMAで3連勝。初戦で立ち合いでも引かず前に出続けたドバリシビリに対し、いかにオーソではカーフ、サウスポーでは得意の左右ボディを当てて自身のペースにできるか。ヤドン戦の後半でテイクダウンを差し上げ、ヒジ&ヒザで体を入れ変えてテイクダウンからトップを奪う動きがドバリシビリ相手にもできれば、絶対王者を苦しめる時間も増えるか。
試合前のインタビューがU-NEXTから届いた。
メラブ・ ドバリシビリ(バンタム級王者)「階級が動けば誰が本物かが分かる」
──今年1月の勝利直後、あなたは“今年4度タイトル戦をやりたい”というプランを語っていました。そしていま4戦目の直前です。ここまで計画通りに進んだことは、自分でも驚きですか?
「これが俺の目標だったよ。今年は忙しく戦いたかった。4回やりたいと言って、その通りUFCが実現させてくれた。 あとは試合で勝つだけだ」
──減量で“疲れてるのでは?”と心配する声もあります。
「減量はいつだって楽じゃない。精神勝負だ。でもこの時点で、もっとひどい状態の時もあった。今日は良いよ。気分もいいし順調だ」
──こうして試合をし続けることで、積み上げてきた調整が活かせる一方、身体への負担も大きいと思います。
「仕事もトレーニングも全く問題ない。規律を守ってやるだけだ。小さなケガはあったけど、対処できるものだし文句は言わない。文句はUFCドクターにしか言わないよ(笑)。唯一キツいのは減量だけ。でも今は大丈夫だ」
──今回の目標は? 前回あなたはピョートル・ヤン(バンタム級3位)を圧倒しました(※ヤン戦=2023年3月『UFCファイトナイト・ラスベガス』で判定勝ち)。その内容を超えることが求められるプレッシャーはありますか?
「フィニッシュを狙うよ。もちろん簡単じゃない。誰も彼をフィニッシュしていないからね(※ヤンはKO・TKO負け、一本負けも無し)。俺にとっても、国にとっても、チームにとっても大事な勝利だ。今年4勝目という記録にもなる。前回の防衛戦も良かったけど、もっと良い試合を見せたい。毎回成長した姿を見せたいんだ」
──前回は小さいオクタゴンでの試合でした。今回は通常サイズです。影響はありますか?
「正直、分からない。確かに前回は小さいケージだった。でも結局ケージはケージだ。俺はどんなケージでも壁を見つけて、相手にプレッシャーをかけて、自分の勝ち方を見つける。サイズが変わっても問題ないよ」
──今のバンタム級は非常に活気があります。来月もショーン・オマリー(バンタム級2位) vs ソン・ヤドン(バンタム級5位)、エイマン・ザハビ(バンタム級7位)の名前も挙がっています。あなたは次々と挑戦者が現れる状況をどう見ていますか?
「すごくワクワクしてるよ。長い連勝も続いているし、いいことだ。ソン・ヤドンがオマリーと戦う。もしヤドンが勝つなら……まあ俺はオマリーを応援してるけど、ヤドンが勝つなら彼ともやりたい。他にも候補になる選手がいるし、勝てば次の挑戦者だ。とにかく俺はまずヤンに集中してる。彼は危険なトップコンテンダーだ。試合は何が起きるか分からない。たった一つのミスで全部変わるんだ。気を引き締めて臨むよ」
──もし勝てばUFCで15連勝になります。記録はイスラム・マハチェフ(ウェルター級王者)とアンデウソン・シウバの16です。その領域に近づくことについてどう感じますか?
「最高の履歴になるね。15連勝なんて、自分でも夢見なかった場所だ。俺はただ“UFCで戦いたい”と思っていただけだよ。それが今では連勝を続け、記録を破り続けている。すごく誇らしいし、この先もまだ成長し続けたい」
──初戦のピョートル・ヤンとの試合では因縁がありました。計量で押し合ったり、感情がぶつかる場面もありました。しかし今日のヤンはあなたを称賛し、“彼は史上最高のバンタム級かもしれない。もし負けても即リマッチを受けるべき男だ”と言っていました。あなたの中では、彼との問題はもう解消されましたか?
「当時はすごくパーソナルな戦いだった。でも今はただの競技だ。一度戦って俺が勝ったし、それからは彼の試合がある度に応援してた。インスタもチェックしたけど、いい父親だし、ファイターとしてはずっと尊敬してる。ただ問題だったのは、彼が俺やアルジャメイン・スターリング(フェザー級5位)、俺たちのチームをバカにして、リスペクトを欠いてたこと。でも今はもう大丈夫だよ。俺は握手するし、幸運を祈るよ」
──ヤンは“メラブはタイで撮影されたリアリティ番組(TUFを模倣したロシアの『ALF Global』)の出演を怖がって逃げた”と冗談めかして言っていました。なぜ行かなかったのですか?
「俺はショーン・オマリーに勝ったばかりで、まだ王者になった直後だった。あの番組はタイで、しかもヤバいやつらばかり集まるって話だった。でも俺は行くつもりだったよ。ただ周りから反対されて、色々状況も重なって結局行かなかった。怖かったわけじゃない。ただ行けない理由があったんだ。でも正直、すごい額を提示されたよ。断るのは難しかった」
──そのお金は全部アルジャメイン・スターリングがもらったのですか?
「いや、向こうは俺を必要としてもっと金を出そうとしてた。最後はスターリングが行って撮影を助けたけど、なんでメラブと同額じゃないんだって少し落ち込んでたよ。スターリングはクレイジーな男で、いつもギリギリで状況を救っていくんだ」
──あなたは前回の勝利後、マリオ・バティスタ(バンタム級9位)もソン・ヤドン(バンタム級5位)も挑戦者になり得ると言いました。そしてあなたはデイヴソン・フィゲイレード(バンタム級6位)とも戦いたがっていますが、彼らはあなたがすでに倒した相手とマッチアップされています。このマッチメイクはどう思いますか?
「いや、いいと思うよ。階級が動くのは良いことだ。バティスタは8連勝してて、だから俺は彼と戦いたいと思った。でも今は(ウマル・ヌルマゴメドフに敗れて)たぶん地面から立ち上がれなくなったみたいだな。つまり、まだそのレベルじゃなかったってこと。こうして階級が動けば、誰が本物かが分かる。デイヴソンも、俺を待つ理由はない。俺の前に出される相手なら誰とでも戦う。ただ、俺は連勝中で勢いがあり、自分を奮い立たせてくれる相手と戦いたい。今はピョートルがその相手だ。彼はフィゲイレード、ソン・ヤドン、マーカス・マギー(バンタム級15位)を圧倒してきた。だから今の俺を一番刺激してくれるのは彼なんだ」
──あなたはUFCの“ESPN 時代の最後のPPVを締めるカード”として選ばれました。これはあなたにとって意味がありますか? そして今後始まるパラマウント時代についてはどう感じますか?
「俺にとっては全部が特別なんだよ。ホワイトハウスで戦うかもしれないなんて話もあったし、UFCで戦えるだけで誇りだ。APEXも大きな舞台に感じる。ESPNは素晴らしい仕事をしてきたし、俺はESPNで戦うのが大好きだった。だから最後のPPVを締めくくれるのは光栄だよ。これからの新しい時代も楽しみだ」
[nextpage]
俺は常にリアルでいたいんだ(ドバリシビリ)
──さきほど話に出た、数年前のピョートル・ヤンとの初対決に比べて今のあなたは王者として落ち着いた状況です。試合前はこうした尊重し合うほうが好きですか? それとも、少し火をつけてくれるような挑発も歓迎ですか?
「いや、俺はドラマを作ったり、無理やり盛り上げるのは好きじゃない。これはただの“試合”だ。俺たちはプロのファイターで、ファンはどうせ見に来る。昔一人、試合後に俺へ電話してきて“メラブ、俺の写真を投稿しないでくれ。あの挑発は試合前の盛り上げのためなんだ”って言ってきたヤツがいたんだ。“なんだそれ”って感じだよ。そいつのアシスタントも電話してきて、同じことを言ってきた。でも俺はそんなの好きじゃない。MMAファンは俺たちの試合を自然に見に来るし、罵り合いの演出なんて必要ない。理由もなく相手を侮辱するのは嫌いだ。もし何か言うなら、本物であるべきだ。俺は常にリアルでいたいんだ」
──先週、ジョージアで大きなMMAイベント(ジョージアのトビリシで開催された『Rkena 1』)が成功を収めました。これは“ジョージアがUFCイベントを開催できる”という兆しになると思いますか?
「もちろんだ。あの新しいイベントはすごかったし、1万人規模のアリーナが満員で、とても素晴らしい大会だった。ジョージアには大きな可能性があるよ。もし“UFCジョージア”が実現したら、俺たちの国の若い選手がそこで戦えるし、UFCへ進む道が開かれる。ぜひ実現してほしい。完璧だと思うよ」
──『UFCカウントダウン』の番組では「いろんなブランドからスポンサーの依頼が来て、車も服も時計も全部タダで来る」と話していました。では、王者のあなたは何にお金を使っているんですか?
「アメリカで税金を払ってるよ(笑)。それから住宅ローンがいくつかある。それくらいだ。あとはそこまで派手には使わないよ」
──ヤンとの最初の試合では、あなたの“圧力”と“ハイペース”が勝敗を大きく分けました。今回の再戦に向けて、何か調整した点はありますか?
「自分には“同じメンタリティを保て、同じ圧力をかけろ”って言い聞かせてる。でも今回は難しい。ヤンはもっとアグレッシブに来ると思うし、前よりプレッシャーも強くなるだろう。俺は逆に、もっとテクニカルに、もっとスキルを見せる形になると思う。でも同時に、彼に飲み込まれないようにしないといけない。どうなるかはまず計量をクリアしてから考えるよ。今はリラックスしてる。さっき外でヤンと会って、“やあ、元気か?”って温かく挨拶してきたところだ」
──先ほど“テクニカルな部分に注力している”と話していましたが、ヤンとの初戦から学んで、今回の再戦に一番活かされているのはどんな点でしょうか?
「ピョートル・ヤンって、いわゆる“いじめっ子タイプ”のファイターなんだ。後退して相手の距離でパンチを打たれると、いじめられるだけ。だから前に出なきゃいけない。チャンスを与えず、自分がいじめるつもりで、先に手を出さなきゃダメなんだ」
──先ほど母国を代表することと、UFCをジョージアに呼ぶことの重要性について話していましたが、今後、ジョージアの若いファイターたちをプロモートするための具体的なプランやプロジェクトはありますか?
「もちろんある。俺はジョージア人だし、これからもずっと母国をサポートする。ジョージアのMMAファイターたちがUFCに行けるように、プロモーションでも、チャンスを作ることでも、できることはなんでもやるつもりだ。今もいくつかプロジェクトを進めていて、近いうちにみんなに良いニュースを届けられると思う。とにかく、国のため、ジョージアのファイターたちのためにできることは全部やる」
──あなたがバンタム級で戦うべきファイターはどれくらい残っていると感じますか? それとも、アルジャメインがいるフェザー級へ上げることも視野に入れていますか?
「今はこのベルトだけに集中してる。今も挑戦者はいるし、これからも新しい挑戦者が出てくる。さっき言った通り、まずはピョートル・ヤンに勝つこと。その先は、誰が一番ふさわしいかを見て、ベストな相手と戦うだけだ。これは“ファイト”だからな。一歩ずつ進んでいきたい」
[nextpage]
ピョートル・ ヤン(バンタム級3位)「俺が勝ったら三戦目=トリロジーは最高だろう」
──まず今回のキャンプについて伺います。メラブ・ドバリシビリ(バンタム級王者)とは以前戦った際、あなたは“100%ではなかった”と話していました。それから数年経った今回、再戦に向けたキャンプはいかがでしたか?(※ドバリシビリ戦=2023年3月『UFCファイトナイト・ラスベガス』で判定負け)
「キャンプは本当に順調だった。体調もいいし、試合が待ちきれない。今の自分がどれだけの力を出せるか見せたいね」
──初めてメラブと戦った時、彼はまだ王者ではありませんでしたが、いずれ王者になると思いましたか? そして、再戦までこんなに時間がかかるとは予想していましたか?
「メラブが偉大な戦士で、実力で王者になったのは疑いようがない。ただ、俺もこれまでの試合で次の挑戦者に値すると示してきたつもりだ。タイトルに挑む資格があるのは俺だし、その準備もできている」
──今回はあなたはキャリアで3度目のリマッチとなります。これまではマゴメドフ、そしてアルジャメイン・スターリング(フェザー級5位)と2度の試合をしています。その経験から学んだ“再戦の準備”は今回に生きていますか?
「互いの情報は十分にある。でも俺の最初の2つのリマッチを見れば分かる通り、2戦目の俺は間違いなく良くなっていたし勝っていた。(スプリット判定負けだった)スターリングとの再戦でもあいつは背中にしがみついて時間を稼いでただけだから、俺が勝っていたんだよ。今回も同じだ。メラブとの再戦では、もっと強い俺を見せるつもりだよ」(※マゴメドフ戦①=2016年3月『ACB32』でスプリット判定負け、マゴメドフ戦②=2017年4月『ACB57』で判定勝ち。スターリング戦①=2021年3月『UFC 259』で3点ポジションでのヒザ蹴りで失格負け、スターリング戦②=2022年4月『UFC 273』でスプリット判定負け)。
──あなたとメラブの間には遺恨も感じます。
「考えてみてくれ。俺は地球の反対側まで飛んで、相手のホームで再戦をする。全部が向こうに有利なんだ。どれだけのプレッシャーか想像できるだろ? 簡単じゃないんだよ。以前、タイで撮影予定だった番組で、俺とメラブはコーチ役として共演するはずだったんだ。メラブは散々メッセージを送ってきたくせにビビって逃げて、代わりにスターリングを寄越したんだ。だから俺は1カ月間、スターリングの兄貴分をやってやったよ」
──スターリングとはその時、良い関係になったのですか?
「まあ普通に仲良くやったよ。いい奴だ」
──あなたはこれまでもタイトルマッチを戦ってきていますが、今回も同じようなプレッシャーを感じていますか?
「正直、今は笑いたいくらい気分がいい。プレッシャーは感じてない。とにかく戦いたいだけだ。ただ、一つ困るのはチームメイトのローハだ。あいつはずっと真面目で、渋い顔ばかりしてる。毎日“笑えよ、ブラザー”って言ってるよ」
──UFCのアンチ・ドーピングプログラムで50回のドーピング検査をクリアしたら贈られる記念ジャケットを着用していますね。
「見てくれよ。俺にピッタリだろ? まるで俺のために作られたみたいだ。完璧だよ」
──今回のUFCタイトル獲得は、空位の王座決定戦だったジョゼ・アルド戦(※2020年7月『UFC 251』で5R 3分24秒でTKO勝ち)の時より、あなたにとって特別なものになりますか?
「今回の試合は俺にとっても、チーム全員にとっても、もっと重要な試合だ。俺が戻ってきて“本当に何ができるのか”を示す戦いになる。100%、前回のタイトル獲得よりも意味が大きい」
──メラブはこの一年で4回もキャンプをして、4度タイトルマッチをしています。この“忙しすぎる一年”は、彼のパフォーマンスに影響すると思いますか?
「まず確認したいんだが、彼の試合はほとんどラスベガスだろ? 他はロサンゼルス? ……ロサンゼルスまで何時間だ?車で4時間?まあ地元みたいな距離だよな。要するに、あいつは全部ホーム戦のようなもんだ。毎週末でも戦える環境だよ。俺だって2018年は一年で5試合したけど、どれもホームじゃなかった。もし全部ホームでやれたなら、10試合だってできたさ」
──ロサンゼルスではアルジャメイン・スターリングと戦い、あなたは試合後に彼へ“オスカー像”をプレゼントしていました。今回はメラブに向けて何か用意していますか?
「ぜひ“ヒザ蹴り”をプレゼントしたいね」
──メラブを“この階級の中で最も偉大な王者の一人”と認めていますか? そして彼へのリスペクトはありますか?
「もちろんだ。彼が積み重ねてきた実績を否定できるわけがない。戦歴だけ見ても、彼が偉大な王者の一人なのは明らかだ。だからこそ、俺にとっては大きなモチベーションになる。その偉大な王者を倒す場面を想像してみてくれよ。最高だろ? あいつを倒してベルトを奪い返す。それが俺のすべてだ。勝った瞬間には、全身でその感情を味わうことになるだろうな」
──あなたはキャリア初期、8カ月で4試合、さらに11か月半で5試合というハイペースでした。メラブ以上のペースで戦っていたわけですが、4試合目あたりで“疲れ”や“衰え”のようなものは感じましたか?
「いや、全然なかったよ。あれはまだUFCに上がったばかりの頃で、俺自身もハングリーだったし、今も一緒にいるマネージャーもハングリーだった──2人がとにかく俺を出しまくってたんだよ。もし当時の1年間で6試合目の枠があれば、それにもねじ込んでただろうな」
──あなたはメラブを非常に高く評価し、偉大な王者と称してきました。もし今回あなたが勝った場合、彼には即時リマッチを与えるべきだと思いますか?
「もちろんだ。メラブはどんなリマッチでも要求する資格があるし、UFCが望むなら当然やるべきだと思う。俺が勝ったら三戦目=トリロジーは最高だろう。ぜひ実現したいね」
──来月のバンタム級カード、ショーン・オマリー(バンタム級2位) vs ソン・ヤドン(バンタム級5位)、そしてデイヴソン・フィゲイレード(バンタム級6位) vs ウマル・ヌルマゴメドフ(バンタム級1位)の2試合がありますが、どんな展望を持っていますか?
「みんな俺がすでに倒した相手たちだろ。正直、何を言えばいい? この階級にもっと変化が欲しいよ」
──その流れで聞きますが、あなたはオマリー戦(※2022年10月『UFC 280』でスプリット判定負け)は自分が勝っていたと話していました。タイトルが懸かっていようといまいと、あの試合は“もう一度やりたい”と思っていますか?
「まずは今回の試合に集中してる。でも正直、オマリーと“どうしてもやりたい”って気持ちが特別あるわけじゃない。俺が試合を組むわけじゃないし、UFCとマッチメーカーが決めることだ。チャンスが来るなら、その時に考えればいい」