2019年10月25日にインドネシア・ジャカルタのイストラ・セナヤンで開催された『ONE:DAWN OF VALOR』。同大会のプレリム第2試合、ONE SUPER SIRIESムエタイ・フライ級でアレクシ・セレピソフ(ニュージーランド)に3R2分48秒、TKO勝ちした内藤大樹(日本/SB/BELLWOOD FIGHT TEAM)を試合後に直撃取材した。
内藤は9月に行われた『ONE JAPAN SERIES -Road to CENTURY-』で渡辺優太に1R1分22秒、右ハイキックで衝撃のKO勝ち。ONE本戦出場へのチケットを手にして今回が本戦デビュー戦。王者ロッタンを頂点として化け物揃いのフライ級で、サバイブしていくことができるか。
■2Rは自分の悪い癖が出てしまいました
――試合を振り返ってください。
「1Rは下半身から攻める作戦だったので、自分のチームが思った通りに試合は進んでいたと思うんですが、1Rで足を痛めてしまって。2RはONEデビュー戦ということもあって、どうしても倒したい気持ちがあったので、僕の悪い癖で一発一発力んで打ってしまって空回りしてしまい、相手のパンチを被弾してしまってヒヤヒヤさせてしまったのでそこは反省点。今後につながる、勝って反省できる部分だったと思います。
3Rへ行く時にセコンドの(鈴木博昭)代表から、自分の悪い癖が出ている、1Rのように倒しに行かなくてもいいから確実に勝ちに行け、1回組み立てろ、と言われました。代表の言葉を信じてそこで切り替えることができました。冷静にコツコツと、自分のいいところばかりを引き出そうと。そうしたらジャブがどんどん入って、そこからまた攻撃を入れることができたので、3Rは切り替えることができたのがよかったかなと思います。1Rと3Rは良かった点で2Rはちょっと反省点。総合的にはダメな部分もしっかり見れたので、今後戦う上でよかったのかなと思います」
――1Rにどこを痛めたのですか?
「カーフキックを甲で蹴っていたので足の甲を痛めました。自分はローをけっこう蹴るので、どの試合でも足を痛めるんです。今回いい感じで相手が効いていたので、逆にこっちもどこかで痛めてしまいました。ここまで痛めたのは初めてですね」
――2Rにセレピソフが構えをスイッチして前へ出て来ましたが、気持ち的に押されたということはありましたか?
「いえ、来ると思っていました。サウスポーになって来たところへ、カウンターを合わせてやろう、ワンパンで倒したいという欲が出てしまいましたね。そこがずっと自分の悪いところで、課題としていて負けていたので、そこがモロに出てしまいました。元々そんな一発があるタイプではないですし、狙って倒すタイプでもないので、狙った時に逆にシャープに入れられてしまったかなと思います」
――相手の実力はどうでしたか?
「ONEの舞台に上がっている選手で弱い選手はいませんし、実力があってタフだなと思いました。あれだけローを蹴ったのに、それでも前へ入ってきましたからね。単純に気持ちの強い選手だなと思いました」
――1Rからカーフキックを使っていきましたよね。
「基本的にはローキックと切り替えてというのはなくて、足を壊そうと。とりあえず足を思い切り蹴っ飛ばすイメージでした」
――シュートボクシングの時からその蹴り方だったのですか?
「いや、そういう蹴り方をするようになったのは前回のONE JAPAN SERIESで渡辺選手とやった時からです。相手のいいところばかりに当たるわけではないので、痛めてしまうのはしょうがないですね」
――自分的にはカーフキックはどのくらいのレベルまでいったと思っていますか?
「自分の足を痛めずに効かせるのが理想だと思うので、今はとにかく蹴っ飛ばすというやり方でやっていますが、これからは位置を決めて的確に同じ場所を攻撃できるように精度を高める必要があります。そこはまた練習と試合で磨いていきたいですね」
■内藤大樹はどこまでヤバい相手とやって勝っていけるのかに注目してもらいたい
――試合後、「ONEのスーパーシリーズ・フライ級には世界の強い選手がたくさんいて日本人が勝つのは難しいですが、その中で僕が勝ち抜いていきたいと思います」と言われていましたが、特に注目している選手はいますか?
「ロッタンじゃないですか。スーパーレックもヤバい選手ですし、ペッダムも元王者なので強いと思いますし、タイ人は基本的にヤバいんですが、その中でもロッタンは総合的に強くチャンピオンなので」
――ヨーロッパ勢はどうですか? 前王者のジョナサン・ハガティーなど。
「ハガティーも強いと思います。チャンピオンになる前の試合を見て“これは強い”と思いましたし、練習を見てもビビッと来ましたね。またタイ人とは違う危ない感じがします。その辺と今後やっていくので、もっと頑張らないと飲まれてしまうと思います」
――タイ人とは5年前に一度対戦しただけですが、ONEでトップ級のタイ人たちと戦っていくことに自信はありますか?
「ONE独自のオープンフィンガーグローブ(以下OFG)ルールは、vsムエタイに限らず日本人が勝つためのカギになる部分だと思っています。OFGでのパンチの打ち方があるので、もっと精度を高めて効かせられるようなイメージでやっていきたいですね」
――鈴木博昭代表ともOFGの話をしたのですが、普通のボクシンググローブよりも喧嘩に近いと言うか、気持ちもそうだし痛さが違うと言われていましたがどう思いますか?
「前回はパンチの攻防をする前に決まってしまったのでパンチをもらう場面はなかったんですが、今回は多少喰らってみて、クリーンヒットはなかったんですが目の辺が少し腫れたりして。もらった時にちょっと痛いなとか二重に見えたりしたりとか、グローブとは違う感じはありました。確かに危ないというか、喧嘩っぽい部分はありますね」
――最後は相手が痛そうにうずくまっていましたが、喧嘩に勝ったような気持ちになりませんでしたか?
「喧嘩が強いヤツがこの舞台で上がっていけるのかな、というのがあるので、気持ちで最後押し切った部分がありました」
――今後についてはどのようなビジョンを?
「ようやくスタートを切れて、ここからどんどん上げて強くなっていきますし、厳しい道であることはハッキリと分かったので、そこで勝ってこそ日本人は強いんだぞっていうのを見せられると思います。内藤大樹はどこまでヤバい相手とやって勝っていけるのかに注目してもらいたいですね。僕もそこを目指しているので。今日勝ったことは素直に嬉しいですが、すぐに切り替えてまた一から強くなっていこうと思います」『ONE:DAWN OF VALOR』の写真と全試合結果はこちら