2019年10月22日(火・祝)東京・後楽園ホール『DEEP 92 IMPACT』のメインイベントにて、王者・武田光司(BRAVE)vs挑戦者・大原樹里(KIBAマーシャルアーツクラブ)によるDEEPライト級タイトルマッチが行われる。
高校時代にレスリングで5冠を達成し、MMAプロデビューからわずか14カ月でライト級王者となった武田は、2019年4月の『RIZIN』で元UFCのダミアン・ブラウンに判定負け。怪我の治療を経て、10月大会で1年振りのDEEP復帰戦に臨む。
初防衛戦に向け、武田は何を思うか。ブラウン戦の衝撃の告白とともに大原との再戦について聞いた。
――70.3kgで計量、順調のようでした。
「そうですね。いつも通り落としたという感じです。1カ月かからないくらいでした」
――前戦4月の『RIZIN』では元UFCのダミアン・ブラウンと対戦しました。本調子でなかったとBRAVEの宮田和幸代表から聞いています。
「そうですか……。今だから言えることですが、1週間前に倒れていました。元々椎間板ヘルニアが痛くて、結構かばいながらやってて、試合1週間前に、朝起きて、いつも寝起きに体重を測るんですけど、トイレに行って出るときに、下半身の感覚が無くなってしまって、2時間くらい倒れたまま動けず、救急車を呼んで搬送されました」
――そんな状況であの競り合いの試合をされたのですか。
「やるしかないと思っていたので、試合の日は座薬を8個くらい入れて、ブロック注射も1日でその日3本打ってとか、いろいろやっていました。今だから言えることですが、試合ができる状態じゃなかったですね」
――1Rには武田選手がテイクダウンを奪っていたかと。
「2ラウンド目くらいから意識が……もうバックついたところから、手足が痙攣しちゃってもう駄目だと思ったんです。だから前に出れなくて。だから、今でもあの試合は見返してないです」
――よく試合を投げなかったですね。
「そういうところで断るのは相手の選手に申し訳ないですし。しかも自分のミスで怪我に繋がっちゃったことなので、試合が決まった以上はもうやるしかない。それが仮に1年後とかなら断ったりもしますけど、1週間後の話だったので、やるしかないと思ってました」
――RIZIN後、どのように身体を作り直したのですか。
「最初は手術が終わっても全然歩けなかったので、杖を使って歩いて、6月の半ばくらいにやっと普通に歩けるようになりました。そこから徐々に7月中旬くらいから、本当に軽めのシャドーとかを始めた感じです」
――今はもう万全なのですよね?
「もう痛みはまったくないです。手術も宮田先生を通してドクターを紹介していただき、RIZINの1週間後に急遽、手術をやっていただいたので。たぶん、それがもっと長引いてたら今日もなかったと思います。その意味でも全部含めて感謝です」
――最初はリハビリ的に動かしていくのは大変だったのではないですか。
「すごいキツかったですね。力が全然入らなくて。いまではいつも通り動けていると思います」
――そして今回の王座戦。大原選手は1度対戦した相手ですけれど、ここ数年、年に4、5試合というハイペースで試合をこなしています。どのようにとらえていますか。
「僕はいつもマイクであんまり喋らないんですけど、自分の中で思っていることは、大原選手は去年よりも強くなってると言っていますけど、そしたら僕だって強くなってますよ、と言ってあげたいかなと。マイクでバチバチ言い合う必要もないし、試合でお見せできればと思っています。互いに強くなってる中で、お互い、どれだけ引き出しが多いか、引き出しの中の材料がどれだけ濃いかで試合内容も変わってくると思います」
――引き出しの多さと武器の多さの差が出ると。倒す・倒されないの戦いになることは予測できますが、その前の段階のスタンドがあります。
「距離感ですね。この前のダミアン・ブラウン選手、距離感がすごく難しい選手でした。僕の距離にいさせてくれないというか。その意味では、大原選手とダミアン・ブラウン選手だったら、ダミアン・ブラウン選手のほうが圧倒的に巧くて強いと思ってるし、大原選手も独特な距離感がありますけど、僕の持ち味のレスリングを生かして前に詰めれば、あとはヒザとヒジを気を付ければ、絶対僕の距離にはなるし、相手の蹴りも出せなくなるかなと。仮に出されても、僕が前に詰めるので、ダメージは殺せます」
――どちらの距離になるか、そこも見どころですね。DEEPに戻ってきて、今回はベルトを賭ける形になります。
「ベルトへの思いはもちろんあります。北岡(悟)選手から勝ち獲ったベルトというのもあるし、僕だって防衛がしたい。まずはこの試合で勝って年末のRIZINに出たいです。とりあえず試合をやらせてくれと。榊原(信行)さんに言葉でアピールをしても、やっぱり僕らは格闘家なので、やって見せなきゃ駄目なので、それを試合でアピールして、なおかつ、試合が終わった後も榊原さんに僕の力を直に伝えることができればなと。4月の僕のファイトスタイルが、本来の僕じゃないということを、今回の10月の試合でお見せできればなと思っています。
そのうえで、やっぱり僕のプランの中では、先を見据えたなかでは海外で試合がしたいというのがあります。そういったもろもろのことひっくるめたうえで試合で見せられればなと思います」