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インタビュー

【UFC】スラム失神KOの風間敏臣、CT検査は「異常無し」──極め切れなかったサブミッションと、救急搬送について

2025/08/11 21:08

失神KO「風間が搬送される病院まで23分」と実況

 フィニュシュは、受け身の取れない危険なスラム&パウンドだった。

 風間としては、タイトに三角で組めていなかったゆえにアゴ下に手を入れられて頭をマットに叩きつけられ、失神した。ここでの選択肢は、持ち上げられないように足を手繰って立ち上がりを防ぐか、持ち上げられたら三角を解除するか。

 それもさせる間もなく角度をつけてビックスラムで風間をKOしたスミスは試合後、「父がよく言っていたのは『三角絞めは角度をつけることで絞まる』と。相手は正面から仕掛けてきたから(リフトした)。正直に言うと、彼が俺に三角絞めを仕掛けてくるなんて信じられなかった。彼がそれに挑戦したことに対して称賛を贈るよ。でも、知っているだろう? 俺は柔術の大会に出場していて、若い頃の写真や動画があるけど、そこで相手が三角絞めを作り、俺が同じように持ち上げたシーンがある。父はいつも俺に言っていたんだ。『もしこれがファイトなら、お前は絶対に叩きのめしただろう』と言っていたのを覚えている。今回はついにその機会を得た。ジムでのトレーニングパートナーや相手にはできない。俺の仲間は大好きだけど、知らない相手で、全てが懸かっている状況なら、残酷なスラムで叩き潰せるから」と、想定通りと振り返っている。

 また、「ヘッドバットの感触はなかったか?」 の質問には、「檻を突き破るように叩きつけただけだと思った。頭突きのような感覚は感じない。でも、もしそれが起きたなら、彼はサブミッションを離すべきだった」とも語っている。

 解説のダニエル・コーミエーが、「これまでクイントン・ランペイジジェラルド・ハリスがこのようなスラムを見せたが、これほど破壊的なものは見たことがない」と評したスラムKO。

 風間は頭をマットに叩きつけられ、失神後も2発のパウンドを浴びた。その瞬間は会場のAPEXも沸いたが、倒れたままの風間に会場は静まりかえり、スミスも正座して回復を待った。

 実況は、「風間は目を開けた。(ラスベガスの)大学医療センター外傷センターが、このイベントで使用する病院です。ここから23分、約11マイル離れた場所にあります。風間が搬送される場所です。彼の容態に関する最新情報があれば、現場にいるカレン・ブライアントが報告します」と風間のダメージを危惧して伝えている。

 その後の状況を、風間のコーナーマンとしてついた良太郎は、Xに「現在日本のボクシング界で不幸な事故が相次いでいます。今回の試合後、リング降りたらすぐにストレッチャーに乗り、外には救急車が待機。病院に行きCT検査と非常にスムーズに選手の命を守っています。言ってしまえば資金源の差なのでしょうが、それでも選手ファーストで素晴らしい対応だと思いました」と記した。

 これらの対応は、政府管轄下にある各州のアスレチックコミッションが定めたシステムによって行われている。

 今回の場合、ネヴァダ州アスレチックコミッションの管轄内での大会。プロモーター・ライセンスを取得した団体はコミッションが定めた、計量時のオフィシャル、ドクター、救急車、スタッフ、試合日のオフィシャル、レフェリー、ジャッジ、ドクター、カットマン、救急車、インスペクターらのギャラを収める必要があり、その用意ができなければ合法的に公式の大会を開催することが出来ない。

 州によっては、民間の救急車2台を配置するほどの安全体制が取られており、救急車やドクターの稼働状況次第で、大会が中断するケースも過去には見られている。

 風間は、病院で受けたCT検査の結果、「頭部・顔面・首、いずれも異常は確認されなかった」と、UFCは10日朝、報告している。

【高橋“SUBMISSION”雄己】
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