2025年6月28日(日本時間29日朝8時~)米国ネヴァダ州ラスベガスのT-モバイル・アリーナにて『UFC 317: Topuria vs. Oliveira速報』(U-NEXT配信)が開催される。
メインイベントは「UFC世界ライト級王座決定戦」(5分5R)。前ライト級王者のイスラム・マハチェフが王座を返上したため、空位となった王座の決定戦が行われる。
▼UFC世界ライト級王座決定戦 5分5Rイリア・トプリア(ジョージア/スペイン)前フェザー級王者 16勝0敗(UFC8勝0敗)チャールズ・オリベイラ(ブラジル)2位 35勝10敗1NC(UFC23勝10敗1NC)※イスラム・マハチェフが王座返上
トプリアは24年2月の『UFC298』でアレクサンダー・ヴォルカノフスキーを2R KOに下してフェザー級新王者に。同年10月にはマックス・ホロウェイも3R KO、初防衛に成功した。16戦無敗で14フィニッシュ(6KO・8一本)の無敵の王者は、25年2月にフェザー級王座を返上し、ライト級転向を表明した。そしていきなりの「王座決定戦」で二階級制覇を目論む。MMAグラップラーからMMAボクサーへと進化を遂げた。
対するオリベイラは、ブラジリアン柔術を武器に、UFC最多フィニッシュ勝利(20勝)、最多一本勝ち(16勝)を誇るMMAグラップラー。2022年10月にイスラム・マハチェフに一本負けで約4年10カ月ぶりの黒星。23年6月にベニール・ダリウシュに1R TKO勝ちで再起後、マハチェフとのリマッチが組まれたが練負傷欠場。
24年4月にアルマン・ツァルキャンと接戦の末にスプリット判定負け。24年11月にはマイケル・チャンドラーと再戦し、判定勝ちを収めている。オリベイラも柔術を武器とするスタイルから、打撃を向上させてきたが被弾も少なくない。
U-NEXTから届いた試合前会見の両者の言葉を紹介したい。
トプリア「フェザー級とライト級はまったくの別世界だ」
──アレクサンダー・ヴォルカノフスキー(フェザー級王者)やマックス・ホロウェイ(フェザー級1位・ライト級4位)と戦ったときも大きな試合だったと思いますが、今回のチャールズ・オリベイラ(ライト級2位)戦は、今までで一番大きな試合だと感じていますか?
「なんと言えば良いかな……、正直言って、全く同じように感じてるよ」
──それは、自分がこのステージに立つことをずっと思い描いてきたからですか? それとも、単にルーティンの一部という感覚ですか?
「うん、たぶん俺にとってはいつも通りってことだな」
──先週のメディアデーでは、チャールズはあなたに向かって「積極的に前に出るだろう」という話をしていましたが……。
(遮るように)「これは大事なことで忘れないでほしいんだけど、彼の“狙い”を話しただけで、実際に彼がやれるかは別問題だ。もちろん彼が勝利を狙って試合に望むようにね」
──彼がそれほど積極的に前に出て打ち合おうとしていることに驚きはありますか?
「全く驚かないよ。彼の仕事は自分に自信を持つことだからな」
──ではこの試合、2分で終わるような短期決着になる可能性もあると思いますか?
「2分の短期決着か? それはないんじゃないか。あいつは前に出てくる。でも結局は、俺の作戦通り戦うことになるよ」
──アレクサンダー・ヴォルカノフスキーとPI(パフォーマンス・インスティテュート)で会ったそうですね。どうでしたか?(※同じジョージア人)
「ヴォルクに会えて嬉しかったよ。いつだって、彼に会うのは気分がいい。王座を取り戻したのは本当に嬉しいし、彼にはこれからも幸運を祈ってる」
──今日、イスラム・マカチェフが「ライト級に戻る可能性もある」と語っていましたが、もしあなたが彼と戦うなら、ウェルター級で3階級制覇を狙いたいですか? それとも、あえてライト級で戦いたいですか?
「俺としてはウェルター級で戦いたいね。そこで倒して3つ目のベルトを取る。それが最高のシナリオだ」
──以前、フェザー級での減量中はスポーツそのものが嫌いになってしまうほど辛かったと語っていましたが、ライト級ではどうですか? 改めてMMAを楽しめていますか?
「フェザー級とライト級はまったくの別世界だよ。今回は減量の苦しみもなく、プロセス全体を楽しめてる。今日ですら調子がいいし、フェザー級のときはこの時期、本当にきつかった。だからこの決断は正解だった」
──減量の負担が減ったことで今回のキャンプはこれまでで最高のものになりましたか?
「間違いなく最高のキャンプのひとつだったよ。減量がない分、プロセスすべてを楽しめたし、心から満足している」
──ダスティン・ポイエー(ライト級4位)やチャールズも言っていましたが、フェザー級からライト級に上がると、相手が打たれ強くなっていて、最初は軽量級のままの感覚だったそうです。あなたはそのような感覚はありますか?
「もうUFCのライト級で1試合戦ってるし(*2022年3月19日のUFCファイトナイト・ロンドン。2R 1分07秒でジャイ・ハーバートにKO勝ち)、そのときのパフォーマンスも良かった。だから俺の場合は、全然違う経験になると思うよ」
──そのあなたがライト級で戦ったジャイ・ハーバート戦では、パワーが印象的でした。今回、そのとき以上の“より強力な”イリア・トプリアが見られると思っていいですか?「よりパワフルかは分からないけど、今の俺はより成熟していて、経験も積んでいる。だから“より完成された俺”を見せられるよ」
──前回の試合以降、ファイトキャンプ以外の時間はどう過ごしていますか? メディア出演やスペインでのプロモーション活動なども活発にされていますよね。
「最高だよ。人生、めちゃくちゃいい感じだ」
──あなたはここ2戦、マックス・ホロウェイとアレクサンダー・ヴォルカノフスキーという“世代を代表するレジェンド”と連戦してきました。チャールズ・オリベイラはその中でどのくらいの位置にいますか?
「ランキングで言えば、ヴォルクが1番、マックスが2番、チャールズは3番だな」
──UFCスペイン開催についてですが、バルセロナ市議会が「MMAという競技が好きではない」としてイベント開催を拒否したという報道がありました。その件について、何か聞いていますか?
「いや、正直その件については何も聞いてない。今どうなってるかも分からない」
──前回、マックス・ホロウェイ戦の数日前にクリスティアーノ・ロナウドが「お前は喋りすぎだ」とコメントしていたことがありましたよね。あの件について、今もクリスティアーノとわだかまりはありますか?
「いや、全くない。俺たちは問題ないよ」
──あなたはレアル・マドリードのファンですよね。新監督にシャビ・アロンソが就任したことについて、どう思いますか?
「すごく嬉しい。彼なら素晴らしい仕事をしてくれると思う。これからもっとたくさんタイトルを獲ることになるさ」
──たびたびサッカーの話で恐縮ですが、仲の良いセルヒオ・ラモスがクラブW杯に出場中で、もし日程が合えば週末のあなたの試合を観に来るかもしれないという話もあります。連絡は取りましたか?
「さあ、来るかもね。まだ話してないから分からないよ」
──統計的な話ですが、あなたはUFCで一度もボディや頭へのキックを出していないんです。多くの選手がその技を活用して成功している中で、なぜ自分は使わないのですか?
「キックは俺の武器じゃないんだよ。昔からあまり好きじゃなかった。ミドルキックもハイキックもね」
──でも、それでも十分に勝ち続けていますよね。ところで、スペインのテレビ番組でアントニオ・バンデラスと一緒にギターを弾いて歌っている姿が話題になっていました。音楽はあなたにとって大切なものですか? バンドをやるなら、どんな名前にしますか?
「音楽は俺の人生の一部だし、みんなの人生の一部でもあると思う。音楽っていいよな」
──もし機会があったら、バンドを組みたいと思いますか?
「いや、あのテレビ番組のためにちょっとギターを習っただけなんだ。そんなに弾けるわけじゃないよ、正直言って」
──ライト級ではチャールズ・オリベイラ、アルマン・ツァルキャン(ライト級1位)など強豪が多数いますが、イスラム・マカチェフを除けば、チャールズが最も強い相手だったと思いますか?
「間違いなく、100%そう思ってる。イスラムを除けば、チャールズが今のライト級で一番強い」
──次はパディ・ピンブレット(ライト級8位)と戦いたいと話していましたね。もし今回王座を獲ったとして、彼にはあと1戦必要と言っていましたが、2人の因縁を考えると、その試合はどれくらい大きなものになると思いますか?
「UFC史上最大級のビッグマッチになる可能性があると思ってるよ」
──パディに対して、個人的なわだかまりは残っていますか?
「いや、MMAに個人的な感情を持ち込むことはない。全部プロフェッショナルとしてやってるから」
──パディがタイトル挑戦するための“あと1戦”として、誰と戦うべきだと思いますか?
「もしタイトル挑戦を確実なものにしたいなら、ジャスティン・ゲイジー(ライト級3位)と戦うべきだな。アルマン・ツァルキャンとやったら、アルマンにやられるだろうから。相性的に、ゲイジーが最も簡単な道だよ」──イスラム・マカチェフが次はウェルター級でジャック・デラ・マダレナ(ウェルター級王者)と戦うという話があります。彼はライト級でも大柄な選手ですが、成功すると思いますか?
「そのことは考えたこともない。正直、どうでもいい」
──最後にひとつ、兄のアレクサンドル・トプリア選手の試合について何か情報はありますか? ファンも彼の復帰を楽しみにしています。
「俺の勝利のあとに、アレクサンドルの試合が発表されると思う。たぶん、そうなるはずだよ」
──UFCスペイン開催の実現に向けて、今回チャールズに勝つことが後押しになると思いますか?
「勝ち負けは関係ないと思うよ。全てはUFCとスペイン国内の放送局の契約次第だ。もし新しい契約が決まって、スペインのプライムタイムで放送できるなら、イベント開催も可能になるだろうね」
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オリベイラ「新しい階級に慣れるまでには時間がかかる」
──あなたは以前、「もう誰かに何かを証明するためではなく、自分のために戦っている」と語っていました。イリア・トプリア(フェザー級3位)のように“実力を証明するため”に戦うファイターを相手にする際、そうしたマインドの違いはどのように影響しますか?
「俺はいつもと変わらない。勝利を渇望している、飢えている男として向き合う。これは俺のレガシーのための戦いだ。もう準備はできてる」
──あなたはこれまでも過小評価を覆して、強さを証明してきました。今回、年下で無敗の相手、イリア・トプリアと戦い、再びアンダードッグと見られています。
「そうだな。ただ、あいつは若くて無敗だけど、俺以上に勝ちたいと思ってるか? 俺以上に渇望してるか? そこが重要だろ」
──ここ最近のあなたは、計算された試合運びを見せています。これはキャリアを長く続けるための進化なのでしょうか? それとも現代MMAに適応した結果ですか?
「どちらもあるな。進化と経験だよ。俺はいつも成長しようとしてる。家に帰ってもそれを追い求めている。ただ、スタイルを失わずに、攻撃的なままで、もっと考えて動くようにしてるってだけさ」
──あなたはこれまで、ダスティン・ポイエー(ライト級5位)、マイケル・チャンドラー(ライト級12位)、ジャスティン・ゲイジー(ライト級3位)といったレジェンドたちと戦ってきました。一方でイリア・トプリアは今、勢いに乗っているファイターです。彼に、そういったレジェンドたちと同じレベルの実力を感じますか? それとも、そのレベルに到達するにはもっと時間が必要だと感じますか?
「ファイターにはそれぞれ異なるスタイルやアプローチがある。イリアは若くて、ハングリーで、無敗だ。でも、証明しなければならないことはまだまだ多いよ」
──あなたは今回の試合で「自分が前に出て、ライオンのように戦う」と語っていましたが、イリア・トプリアはそれを想定していると話しています。「じゃあ逆に違うことをしてみようか」と考えることはありますか? それとも、「相手に読まれていようが、その上で叩き潰すのが面白い」と思いますか?
「みんな分かってるだろ。どうなるかなんて最初から決まってる。またひとり、口が達者なファイターが俺の前で崩れるだけだよ」
──MMAの世界では、たとえば一度王座を失っただけで一気に見限られることもよくあります。そんな中で、またオクタゴンに立ち、「新王者はチャールズ・オリベイラ!」とコールされるチャンスを得て、どんな気持ちですか?
「俺にとってものすごく大きいよ。俺がやっているのは、レガシーのため、夢と約束のためなんだ。俺はハングリーだし、渇望してる。俺が必ずまた王者になることはUFCも分かってるし、俺自身も分かってる。UFCが困ったとき、問題を解決するために誰を呼ぶかーーそれは俺だよ。いつもそうだった」
──あなたは長年UFCで戦ってきました。今の若い選手たちは、コナー・マクレガーやチェール・ソネンのように“しゃべり”で注目を集める選手を見て育ってきた世代です。イリア・トプリアのようなファイターが、「目立つにはああやって話さなきゃいけない」と考えているのを見ると、「そんなことしなくても、戦えばいいんだよ」と思ったりしますか?
「人それぞれさ。試合を売るスタイルも、戦い方も、みんな違う。誰かが何かを言えば、誰かが必ずそれを批判する。結局、何をしても全員が満足することはない。だから俺は、誰のやり方も否定しない。トプリアが好きなように話して、好きなように試合を売ればいい。俺だってそのおかげでファイトマネーを稼げてるんだから、助かってるくらいだよ。ただ、俺はそういうスタイルじゃない。それだけのこと。人には人のやり方がある」
──あなたはこれまで、レスラー、ストライカー、キックボクサー、ボクサー、背の高い相手や低い相手など、あらゆるタイプのファイターと戦ってきました。そうなると、相手のスタイルを研究するよりも、「自分に集中する」フェーズに入るのではないでしょうか?
「もうそういう段階に入って久しいよ。相手がどう戦うかなんて心配してない。自分がケージに何を持ち込めるかだけを考えてる。チームには優秀なスタッフが揃っていて、分析も任せてるけど、俺自身はもっと自由でいたい。準備万端で、飢えていて、アグレッシブで、大胆でいたい。それが今の俺のスタイルだ。自分の武器に集中してるとき、俺は危険な存在になる。相手にプレッシャーをかけられる。そして、シュートボクセ出身として、常に前に出て、攻めていく。それが俺のDNAだよ」
──数年前、ダスティン・ポイエーがフェザー級からライト級に上げたとき、「最初は本当のライト級ファイターになった気がしなかった。ただフェザー級で減量をやめただけのように感じた」と語っていました。あなたも階級を上げましたが、同じような感覚はありましたか? そしてイリア・トプリアもその壁にぶつかると思いますか?
「俺にもそういう時期はあったよ。階級を上げたばかりの頃は、打っても効かないし、相手が前に出てくるとすごく強く感じるんだ。だから、そこに慣れるまでには時間がかかる。適応するためには、しっかりした準備が必要だし、人それぞれ時間のかかり方も違う。俺も“ライト級の身体”になったと実感するまでに時間が必要だった。トプリアも、同じような過程を経験するはずさ」
──もちろん、あなたにとっては「ベルトを獲ること」が一番の目標だとは思いますが、UFCの事前番組の中で、あなたの奥さんが「あなたはすでに娘のためにベルトを獲った。今度は息子にベルトを見せると約束した」と語っていました。その約束は今、どれくらい意識していますか? それとも、目の前の試合に集中するためにいったん忘れるようにしていますか?
「約束があるとき、信念があるときにプレッシャーなんてない。俺ほど自分を信じてる人間はいないよ。だから全くプレッシャーは感じてないし、確信してる。俺はまた王者になる。その日はもうすぐ来る。しっかり聞いておいてくれ。俺は再び王者になる。間もなくその時が来るんだ」
──今週末の試合について、多くの人が「UFCの新たな顔が誕生する瞬間になる」と言っています。その“新たな顔”とはイリア・トプリアのことです。そんな中で、あなたが王座を取り戻し、そのストーリーを打ち砕くことができたら、どれほど痛快だと感じますか?
「みんな言うんだよ。“あいつが新しい時代のスターだ”“次はこいつだ”って。でも、俺とぶつかったやつはみんな跳ね返されてきた。結局俺に負けるんだよ。もちろん、彼らのことはリスペクトしてる。いろんな意見が聞こえてくるけど、自分にとってポジティブになれるものだけを取り入れて、あとは流すだけ。何を言われようが、俺は俺。周りが何を言っていようが関係ない。みんな勝手に言う。でも俺は何も変わらない」
──あなたはこれまで、ダスティン・ポイエーやジャスティン・ゲイジーといった強豪に勝利してきました。もし今回イリア・トプリアに勝てば、あなたのキャリアの中でどの位置づけになると思いますか?
「間違いなく一番だ。過去は過去。終わったことに価値はない。大事なのは“今”だ。今このタイミングでトプリアに勝つこと、それがキャリア最高の勝利になる」
──トプリアはここ数試合でスタンドでのノックアウト勝利を見せていて、打撃力が注目されていますが、彼はキャリア初期には柔術も使っていました。あなたは世界屈指の柔術家として知られていますが、彼のグラウンド技術についてはどのように評価していますか?
「俺は相手の技術を危険度でランク付けしたりはしない。そんなの気にする必要はない。いつも言ってるけど、俺が心配するのは自分がケージの中に何を持ち込めるかだけ。スタンドでも寝技でも、どんな展開になろうと全部対応できる準備はしてる」
──この試合の勝者については、パディ・ピンブレット(ライト級8位)、アルマン・ツァルキャン(ライト級1位)、ジャスティン・ゲイジーなど様々な名前が挙がっています。あなた自身は、誰が次の挑戦者にふさわしいと思いますか?
「みんなあれこれ話してるけど、正直どうでもいい。俺はこの勝利に集中してるし、それが終わったら家族とゆっくり過ごしたい。あとはチームに任せるよ。誰と、いつ、どこで戦うか、どうやって金を稼ぐか。全部チームが考えてくれる。俺は戦うだけだ」
──イスラム・マハチェフがジャック・デラ・マダレナ(ウェルター級王者)に挑戦するとしたら、勝てると思いますか?
「ジャック・デラ・マダレナはタフで、動きもいいし、打撃も強いファイターだ。特にボディへの攻撃は印象的で、相手を削ってくタイプだな。すごく優れたファイターだ。一方で、イスラムも尊敬してるよ。ライト級で同じ階級にいた頃から、常にリスペクトをもって接してくれた。だから、彼が新しい階級でどう適応していくか見てみたいし、応援もしてる。いい試合になるだろうね」
──イスラム・マハチェフはかつてあなたの目標でもありました。でも状況が変わった今、彼のことはまだ意識していますか? 階級を上げて追いかけるつもりはありますか?
「いや、イスラムを追いかけようなんて思ってないよ。俺が見てるのは“ベルト”であって、誰か個人じゃない。ただ王者になること、それが俺の目標だ。だから階級を上げてまで追いかけるつもりはないし、考えたこともない」
──あなたのキャリアや実績がありながら、今回もイリア・トプリアが「勝者候補」として見られています。アンダードッグとして扱われていることについて、どう感じますか?
「いつも言ってるけど、周りが何を言おうと関係ない。誰が何を思おうと、俺は気にしない。俺は自分自身に集中して、やるべきことをやる。それだけだよ」
──もし今回ベルトを奪還すれば、ライト級史上初の「王座奪還」になります。それはモチベーションに影響していますか?
「もちろんさ。無敗の若いファイターを倒して、今まで誰も成し遂げたことのないことをやるんだ。レガシーのために戦ってる。だからこそ、ここにいるんだよ」
──あなたは今回の試合に向けて、“レガシー”“ハングリーさ”“渇望”といったメンタル面を繰り返し語ってきました。逆に、イリア・トプリアとのスタイル面の違い、例えば「彼にあって自分にないもの」や「自分にしかないもの」は何ですか?
「相手が何を持ち込んできても関係ない。俺は“自分の人生”に散々ボコボコにされてきた。それを超えるパンチで俺を痛めつけることが出来るやつなんていない。何を言われようが、何をされようが、俺は変わらない」
──4年前にタイトルを獲ったあなたが、再びそのベルトを取り戻そうとしています。当時と今とで何が変わったと思いますか? また、「イリアのほうが上だ」と言う人たちに対して、どう思いますか?
「変わったのは“経験”と“進化”だよ。俺はただただ強くなってきた。それに“夢を見続ける力”と“渇望”は今もある。何を言われようと、俺は止まらない。俺は自分を信じてるし、信仰の力もある。もしあいつが“打撃の威力”で俺に勝ってると思ってるなら、俺の打撃をまだ見てないんだろう。もし“柔術”で勝ってると思ってるなら、俺の柔術を知らないだけだ。何が起こるか見ててほしい。俺は必ずまた王者になる」