ムエタイ
レポート

【ONE FF】吉成名高が強敵バンルーロックを圧倒の完封勝利、下がる相手に「フラストレーションが溜まった」。品川朝陽が2度のダウンを奪って勝つ、石井寿来がヒザ蹴りで鮮やかKO!メインはスーブラックが意外な大技連発でダウンを奪い、スター候補サンガルティットを攻略。ムアンタイが大激闘の末に5度目の対戦でセクサンを破る、ダウン応酬&ダブルダウンの壮絶マッチをラマダン・オンダッシュがKOで制す

2025/06/27 22:06
ONE Friday Fights 1142025年6月27日(金)タイ・ルンピニースタジアム※U-NEXTでLIVE配信 ▼第11試合 キャッチウェイト (-63.5kg) キックボクシング 3分3R×サンガルティット(セーンアティット)・ルークサイコーンディン(タイ)判定0-3〇スーブラック・トー・プラン49(タイ/Tor Pran49) サンガルティット(セーンアティット)はプロボクシングで19戦無敗(9KO)、WBAアジア・スーパーライト級王者(6度防衛)となっている。今年初めにONEと契約し、2025年3月にデビュー。キックボクシングでスーパー・ヤイ・チャンと対戦し、右フックでダウンを奪って勝利した。ロッタンの義理の弟で、ロッタンがセコンドに就く。 スーブラックは2023年6月の『ONE Friday Fights 20』で初参戦。タンヌンウンに2RでKO勝ちすると、8月にイタリアのレニー・ブラジに3RでTKO勝ち、9月に鈴木真治にKO勝ち、12月にクレイグ・コークレイにKO勝ちと4連続KO勝ち&3連続ボーナスの激闘男で人気がある。2024年1月にFight Nightで本戦初登場するとステファン・コロディに判定勝ち、4月にはウラジーミル・クズミンにも判定勝ちとONEでの戦績は6戦全勝(4KO)だったが、6月にカムラン・ナバティに初回KO負けで初黒星。9月にクラップダムにKO負け、2025年1月にドミトリー・コフトゥンに判定負けと3連敗を喫してしまった。戦績は60勝21敗。  1R、サンガルティットが右ミドルで先制、サウスポーのスーブラックは左ミドルを返す。右インローを蹴るサンガルティットにスーブラックは左ハイ。さらに左ミドルからの左ストレート。サンガルティットの右ミドルに、スーブラックはなんと後ろ廻し蹴り。  サンガルティットの左フックで後ろに倒れるスーブラックだがこれはスリップ。サンガルティットが右ストレート、右ミドル連打。スーブラックは前蹴りと左ミドル。サンガルティットの左にスーブラックが左のカウンターを合わせ、あわやヒットの場面も。  2R、サンガルティットが右インローを蹴ってワンツー、スーブラックは距離をとって左ミドルを蹴ると、今度は胴廻し回転蹴り気味の飛び技を繰り出す。サンガルティットのジャブをスーブラックは上から叩き、すかさず左ストレートを打ってサンガルティットをフラつかせる。  サンガルティットの右ミドルにスーブラックが左ストレート。前に出て左ストレートをヒットさせたスーブラックはまたも後ろ廻し蹴りを2発放ってサンガルティットを脅かす。スーブラックは左ミドルからの左ストレート、ジャブも2発ヒットさせる。ハイキックから後ろ蹴りを当てると、飛び後ろ廻し蹴りまで繰り出すスーブラック。  3R、サンガルティットは距離を詰めて左ボディ。右ボディ、右ストレートと完全にパンチにシフトして前へ出て行くサンガルティット。スーブラックは左ハイキックからなんと飛び後ろ廻し蹴りでダウンを奪う!  立ち上がったサンガルティットは右ストレート、右フック、左ボディを打っていくがスーブラックは組み付いてパンチコンビネーションを回転させない。ワンツーで前へ出てくるサンガルティットに左フック、さらにテンカオ。前に来たサンガルティットにスーブラックが後ろ廻し蹴りを放ち、サンガルティットが倒れダウンが宣告される。  スーブラックがムエタイではあまり使わない技を多用し、サンガルティットを完全攻略。判定3-0で勝利した。 [nextpage] ▼第10試合 キャッチウェイト (-63.5kg) ムエタイ 3分3R×セクサン・オー・クワンムアン(タイ/Or. Kwanmuang)判定0-3〇ムアンタイ・PK・センチャイ(タイ/P.K. Saenchai Muay Thai Gym)  36歳セクサンはタイのビッグマッチには欠かせないムエブー(アグレッシブに前へ出てムエタイの全ての技を使って戦うタイプ)のスター選手の一人。元ラジャダムナンスタジアム認定ライト級王者。2015年9月のラジャダムナンスタジアムにて梅野源治を迎え撃ち、勝利を奪って梅野の進撃をストップした。同年にはラジャダムナンスタジアムの年間MVPにも選ばれている。  2023年1月からONE Friday Fightsに参戦し、怒涛の8連勝でONE本契約を獲得したが、2024年4月に麻火佑太郎に判定負け。その後はリアム・ハリソン、ソー・リン・ウーを撃破したが前戦でエイサー・テン・パウにTKO負け。戦績は203勝75敗8分。  31歳のムアンタイは2010年頃からルンピニーのトップ選手として活躍しているベテランで、2015年5月の初来日では梅野源治にTKO負け、2019年10月のONEでは健太に判定勝ちしている。『ONE Friday Fights』には第1回大会から出場、6回もボーナスを獲得している。クラップダム(KO勝ち)、ニコ・カリロ(TKO負け)、ヨードレックペット(判定勝ち)、ナビル・アナン(判定負け)、コンスック(KO勝ち)とトップ選手たちと対戦してきた。前戦はONE FF100回記念大会のメインを務め、イブラギム・アブドゥルメチドフにKO勝ち。ONEでの戦績は9勝4敗。  両者は5R制の純ムエタイで4度対戦しており、いずれもセクサンが判定勝ち。今回の試合は2018年にルンピニースタジアムで戦って以来の5度目の対戦となる。  1R、セクサンの右ミドルにムアンタイは左ミドル、ムアンタイは左ストレートを伸ばし、左ストレートにつなげる。左ストレートがヒットすると、すかさずそのまま左縦ヒジに行くムアンタイ。首相撲になるとヒジを入れるムアンタイ。離れるとムアンタイが左インローでセクサンを崩し、左縦ヒジから組み付いての右ヒジ。ムアンタイの左ストレートの被弾が目立つセクサン  セクサンはバックスピンエルボーを繰り出し、セクサンをロープに押し付けると右ヒジ。しかし、ムアンタイが右ヒジを返すとセクサンが大きくよろめく。ここから至近距離でヒジを打ち合う両者。凄まじい大歓声の中、互いにヒジを入れ合う。セクサンは右アッパーも。初回終了のゴングが鳴ると、両者は笑みを交わす。  2Rが始まると同時に接近してヒジを打ち合う両者。ムアンタイの左インローでセクサンは転倒。セクサンは右ミドルを連打するが、ムアンタイは右ヒジをフルスイング。なおもヒジの打ち合い、フックの打ち合いが続く。  セクサンの左フックがヒットするが、ムアンタイは負けじと左縦ヒジ。セクサンは右ミドル、左右フック。セクサンの左ストレートにのけ反りながらもヒザを返すセクサン  前に出るセクサンが左右のストレート、ムアンタイの左インローで崩れるセクサン。ムアンタイは覆いかぶさるようにしてヒザを連打すると、セクサンは流血する。ムアンタイの右フックフルスイングにセクサンは大きくグラつく。  3R、前に出るセクサンがワンツーに左ヒジ、さらに右フック、左ヒジ。どんどん前に出るセクサンにムアンタイは下がりながらワンツーで応戦し、左ヒジ。セクサンの右ストレートがヒットしてムアンタイがフラつく。さらに前へ出てヒジ、左右フックを打つセクサン。右ストレート、右ヒジ。ムアンタイは左ミドルとヒザ。  ヒジの打ち合いでムアンタイが左ヒジをヒットさせると、セクサンはつかんでのヒザ。ムアンタイが左ミドル、セクサンは右ヒジ、すかさずムアンタイが左ヒジ。ムアンタイの顔面前蹴りにのけ反るセクサンだが、決して下がらず前へ出てヒジを打つ。  一体何発のヒジが出たのかというほどのヒジの打ち合い、両者フラフラになりながらも攻撃を出し合って真正面から打ち合った激闘に場内は沸き続けた。  判定は3-0でムアンタイの勝利。5度目の対決にしてムアンタイが初めてセクサンに一矢報いた大激闘だった。 [nextpage] ▼第9試合 フェザー級 ムエタイ 3分3R×PTT・アピチャートファーム(タイ)判定1-2〇エリエス・アブデラリ(フランス)  PTTは、2012年にオムノーイスタジアム認定スーパーフェザー級王者となり、2016年にはIsuzu Cup -67kgトーナメントで優勝。その後は『THAI FIGHT』を主戦場として2016年(-67kg)、2018年(-70kg)、2023年(-70kg)とキングスカップを制覇。驚異の19連勝を達成した。  2018年10月に一度途切れるも、その後は25連勝を達成。2023年4月、ミゲール・トリンダーデにKOで敗れ連勝記録が再び途絶えたが、その後も14連勝を達成して今回のONE初参戦となる。そのキャリアのほとんどがタイ人以外の外国人選手と戦ってきたものだ。 [nextpage] ▼第8試合 フライ級 ムエタイ 3分3R×ペットスクンビット・ボイ・バンナー(タイ/An Sukhumvit)KO 3R 2分33秒〇アスラムジョン・オルチコフ(ウズベキスタン/Sport club Shakhriyor/TC Muaythai) ペットスクンビットは2022年にラジャダムナンスタジアム認定スーパーフェザー級王座に就いた。ONEには2023年2月のONE FFから参戦し、3連勝を収めるもその後はジャオスアヤイやコンスックに4連敗。しかし、2025年3月に7チャンネルスタジアムにてヒジ打ちでKO勝利を収めると、6月6日のONE FFでシルビュー・ヴィテズにTKO勝ち。パンパヤックの代打としてわずか3週間で今回の試合に臨む。 22歳のオルチコフは2023年7月からONE FFに参戦し、タイ人選手を相手に7連勝(3KO)。21戦無敗(11KO)のレコードを誇る注目選手。前戦は2025年5月にデッドゥアンレックから判定勝ちしている。今回8連勝となれば本戦契約もありそうだ。 [nextpage] ▼第7試合 ストロー級 ムエタイ 3分3R×ゴンチャイ・チャナイドンムラン(タイ/Sangtiennoi Gym)判定0-3〇コンペット・フェアテックス(タイ/Sitsarawatseur) ゴンチャイは2020年にラジャダムナンスタジアムでスーパーフライ級王座に就き、2022年にはジットムアンノンスタジアムでフェザー級王座に就いている。2022年10月には福田海斗に勝利。ONEでは12戦して7勝5敗。その内の2敗はコンペットにつけられたもの。前回は2025年5月にチョップリチャにKO勝ち。  コンペットはルンピニースタジアムでフライ級&バンタム級の2階級制覇、元タイ国プロムエタイ協会ライトフライ級王者、BBTV(7チャンネル)フライ級・ライトフライ級・フェザー級の3階級を制覇したムエタイ6冠王。激闘の多さで有名な7チャンネルで戦ってきた、打ち合いも出来る万能型。2022年9月、K-1に初参戦して玖村将史を判定に破り、日本でもその名が知られるようになった。  ONE初参戦となった2023年1月の『ONE Friday Fights 1』のメインイベントではプラジャンチャイに判定負け、3月のK-1では金子晃大に判定負けと連敗を喫するも、その後はONEで5連勝。2024年11月に小笠原瑛作を破ったチャーパヤックに判定負けで連勝が途切れた。2025年2月のテッパクシン戦では判定勝ちも、4月のチャーパヤックとの再戦ではKO負けを喫している。 [nextpage] ▼第6試合 ストロー級 ムエタイ 3分3R〇ユニス・アナン(タイ/フランス/Team Mehdi Zatout)判定3-0×リュー・ジュンチャオ(中国) [nextpage] ▼第5試合 ストロー級 ムエタイ 3分3R×チャーパヤック・サクサトゥーン(タイ/Kiatpetch)KO 2R 0分33秒〇ラマダン・オンダッシュ(レバノン/Tiger Muay Thai)  チャーパヤックはBBTVをはじめとするテレビマッチで人気を集めたファイターで、ラジャダムナンスタジアム認定フェザー級9位、BBTVスタジアム認定フェザー級7位の肩書きを引っ提げて2022年12月の『KNOCK OUT』に初来日。メインで小笠原瑛作と対戦し、2Rにダウンを奪われるも3Rにヒジでカットに成功し、逆転TKO勝ちを飾った。ONEには2023年12月から参戦し、Friday Fightsで4戦全KO勝ち(初回KOが3試合、2R0分28秒でKOが1試合)と圧倒的な強さを発揮し、5戦目ではコンペットを判定で破った。2025年2月にはゴンチャイに判定勝ち、4月のコンペットとの再戦では激しい打ち合いをして必殺の左フックでKO勝ちした。  オンダッシュは4歳からムエタイを学び、中国・アジア諸国のアマチュア大会で活躍。アマチュアでアラブ・ジュニアムエタイ選手権2016~2018年三連覇など108勝3敗5分の戦績を持ち、SNS上で“天才ムエタイ少年”や“怪物”や“神童”と紹介され、プロデビュー後も3連勝したが、2023年6月のK-1で黒田斗真に判定で敗れた。ONE FFには2024年1月から参戦し、ムエタイルールで3戦全勝(1KO)。ハイペースでの打ち合いを好む、運動神経抜群の18歳。  1R、チャーパヤックが右ローを連打していき、オンダッシュは飛び込みのワンツー。徹底して右ローを蹴っていくチャーパヤックをオンダッシュは右ストレート、左フック、左ボディで迎え撃つ。右ローをキャッチしたオンダッシュは、足払いでチャーパヤックを転倒させる。オンダッシュの右ストレートがクリーンヒットし、チャーパヤックがふらつく。  すかさず攻めていくオンダッシュが左フックでまたもグラつかせるが、チャーパヤックは左フックを返す。しかし、オンダッシュのスピードとキレのある左フックでダウン。ふらつきながらも立ち上がったチャーパヤックにオンダッシュがラッシュを仕掛け、左ボディから左フックのダブル。KOは時間の問題かと思われたが、チャーパヤックが右ストレートをヒットさせて今度はオンダッシュがふらつく。  ラッシュをかけるチャーパヤックにオンダッシュが左フックで応戦。チャーパヤックが左フックからヒザを蹴ると、ダメージのあったオンダッシュがダウン。チャーパヤックがダウンを奪い返したところでラウンド終了となった。  2Rが始まると同時に打ち合いを始めた両者の左フックが相打ちとなり、両者は弾かれるように左右に吹っ飛ぶダブルダウン! すぐに立ち上がったのはオンダッシュ。チャーパヤックも立ち上がり、両手を上げて「まだやれる」とアピール。オンダッシュはレフェリーの制止を振り切って襲い掛かろうとする。 【写真】左フックが同時にヒットし、両者は左右に弾け飛んでダブルノックダウンに(撮影/安村発) 再開するとオンダッシュがワンツー、左右フックの連打。チャーパヤックも打ち合いに応じるが、オンダッシュの左フックがヒット。チャーパヤックが吹っ飛ぶようにダウンし、オンダッシュの壮絶KO勝ちとなった。 「KO出来たことを神に感謝します」と勝利者インタビューに答えるオンダッシュには、35万バーツのボーナス。さらに本戦契約も発表された。「さらにモチベーションが上がりました。さらにハードにトレーニングして将来ベルトが負けるように、最高のパフォーマンスを約束します」と、オンダッシュはさらなる飛躍を誓った。 [nextpage] ▼第4試合 アトム級ムエタイ 3分3R〇吉成名高(エイワスポーツジム/ラジャダムナンスタジアム3階級制覇)判定3-0×バンルーロック・シットワチャラチャイ(タイ)  名高は2023年7月にラジャダムナンスタジアム認定フライ級王座を獲得し、外国人として史上初のラジャダムナン2階級制覇王者に。その後も快進撃を続け、8月にはタイ『RWS』のメインイベントでフライ級タイトル初防衛戦を行い4RでKO勝ち、12月のRWSではラジャダムナンスタジアム認定スーパーフライ級暫定王座決定戦で勝利し3階級制覇。  2024年2月には正規王者プレーオプラーオとの統一戦にも勝利し、正規王者に。7月のジョムホートとのタイトルマッチでも圧倒的な差を付けて勝利、2度目の防衛に成功した。9月のWBCムエタイ ダイヤモンド スーパーフライ級王者決定戦では、プレーオプラーオに勝利しているペットアヌワットを2RKOで葬り、10月にはクンクメールとの対抗戦で3RKO勝ち。12月1日のRWSではペットヌンに大差判定勝ちして3度目の防衛に成功。 12月、シュートボクシングの大会でオープンフィンガーグローブムエタイに初挑戦して初回TKO勝ちを収めると、2025年3月のONE日本大会に初参戦してOFGムエタイでラック・エラワンを左ストレートで3RにKOした。2025年5月11日には『SPACE ONE×BOM』でOFG第3戦に臨みチョークディーを1Rわずか1分59秒でKO。現在驚異の37連勝を誇る。戦績は63勝(41KO)6敗1分。 対戦相手のバンルーロックは2023年3月の『ONE Friday Fights 8』でONE初出場。これまで3試合を行い、いずれもKO・TKO(1Rが2回、3Rが1回)勝ちしている。最新の試合は2025年5月2日の『ONE Friday Fights 106』で、ペットバンライを1R2分16秒でTKOに仕留めている。 オムノーイスタジアム2階級王者(105ポンド級・108ポンド級)の実績を持ち、アマチュアではタイ代表として、ムエタイ世界選手権で2度の金メダル(2019年タイ大会・2021年UAE大会)、キックボクシング世界選手権でも2度の金メダル(2024年ウズベキスタン大会・2025年4月タイ大会)と1度の銀メダル(2024年カンボジア大会)を獲得し、国際大会通算で金メダル4個、銀メダル1個の輝かしい戦績を誇る。  1R、前後にステップを踏む名高は左ロー、バンルーロックも左ローを返してくる。バンルーロックがジャブから左ロー、名高も左ローを返して左ハイを放つ。名高は右の三日月を蹴り、バンルーロックの左ミドルをキャッチすると左ボディ。圧をかけていく名高が右三日月。ジャブから左ロー、左ミドルを蹴っていく名高。  2Rも前後にステップを踏む名高が左ロー、バンルーロックは名高の前へ出てくるフェイントに引っ掛かって下がる。すかさず左ミドル、左ハイを蹴る名高。バンルーロックが左ローを蹴るとすかさずキャッチしてパンチを放ち、組むとバンルーロックを浴びせ倒す。  名高は右の三日月、左ハイキック、左ロー。バンルーロックが左ローを蹴ると名高はジャブを合わせる。名高の左ローからのワンツーに左ストレートを返すバンルーロック。名高は踏み込んでのジャブ、右三日月、左ミドル。またもバンルーロックの蹴り足をキャッチして崩しながら、今度は飛びヒザを放つ。ジグザグに動いてバンルーロックをコーナーへ追いつめる名高。  3R、ジャブで前へ出る名高はバンルーロックの蹴り足キャッチから左ロー。前へ出る名高がワンツー、右ハイキック。飛びヒザも繰り出す名高にバンルーロックは左フックを合わせようとするが、名高も左フックを打つ。名高の左ボディストレートに下がるバンルーロック。名高がジャブから左ロー、左ストレート。バンルーロックの返しの左はバックステップでかわす。すかさずジャブで前へ出る名高は左ボディストレート。  名高はジャブを顔面とボディへ、さらに左ロー。その左ローにバンルーロックが左ストレートを打ち、これに名高がバランスを崩すが、すぐに前へ出る。名高はフェイントからジャブ、左ロー。両手でカモンゼスチャーをする余裕を見せ、試合終了のゴングを聞いた。  判定を聞く間、バンルーロックは下を向いてガックリ。判定はその通り、名高が判定3-0で勝利した。  勝利者インタビューで名高は「まずは応援していただいた皆さん、ありがとうございます。3R目、倒し切りたかったんですがバンルーロック選手は速い選手で今までに戦ったことがないスタイルの選手で。途中フラストレーションが溜まったりもしたんですけれど、ただ結果としてアウェイであるルンピニースタジアムでもいい勝ち方が出来たので今ホッとしています」と語った。 [nextpage] ▼第3試合 キャッチウェイト(58.1kg)ムエタイ 3分3R〇品川朝陽(エイワスポーツジム)判定3-0×ペットプーパー・エックプーイーン(タイ) 朝陽は2021年12月のジョセフ・ラシリ戦以降、1つの引き分けを挟んで11連勝をマークしたが、2025年2月の『RWS』ではウズベキスタンのサマンダル・カサノフ(※計量で300グラムオーバー)に接戦の末に判定負け。約4年ぶりの敗戦となったが、5月の『SPACE ONE×BOM』でパランペット・チョー.チャンピオンとダウン応酬の激闘の末にヒジ打ちでKO勝ち。再起を飾った。  これまでMA日本キックボクシング連盟フライ級王座、ムエサイアム・イサーン バンタム級王座、ルンピニー・ジャパン スーパーバンタム級王座、WBCムエタイ世界同級王座、IMCインターナショナル・フェザー級王座、IPCC世界同級王座、WMCアジア・フェザー級王座など数多くのタイトルを獲得。  2019年9月に『ONE Japan Series』に出場してKO勝ち、2020年9月にも『Road to ONE』に出場して勝利を収め、ONEとの契約を獲得。2021年12月のジョセフ・ラシリ(※後のONEムエタイ世界ストロー級王者)戦ではKO負けを喫したが、2022年11月のルイ・ボテーリョ戦では判定勝ちで初勝利を収めた。  その後、試合がなかなか組まれなかったことから2023年7月にONEとの契約を解除し、BOMやRWSなどで戦ってきたが、今回ONEに約2年ぶりの復帰を果たすことになる。 対戦相手は19歳のペットプーパー・エックプーイーン(タイ)。スーパーボンのSuperbon Training Camp所属で、これまでONE FFで2勝2敗の戦績を残している。  1R、朝陽は強い右カーフ、左インカーフ。ペットプーパーは前へ出て朝陽がロープを背負うと縦ヒジを繰り出す。ペットプーパーが右ローを蹴ってくると朝陽はワンツー・左フックを繰り出す。朝陽は左ボディを打つとそこへヒジを狙ってくるペットプーパー。朝陽の入り際に左ミドルも合わせてくる。  朝陽は右ストレート、ペットプーパーのミドルはキャッチして左フックを返す。ペットプーパーの蹴りに左ボディを合わせる朝陽。それでもどんどん前へ出てくるペットプーパーは右ストレートをヒットさせる。朝陽の右ストレートがヒットしたところでラウンド終了。  2R、ペットプーパーが左ミドル、朝陽は左インロー。前へ出るペットプーパーが右ミドルを当てていき、さらに前へ出ていくと朝陽がカウンターの左フック。ダウンを奪う。立ち上がったペットプーパーに朝陽は左ボディと右ストレート、ペットプーパーも打ち合いに来るが朝陽の右ストレートでダウン。  朝陽は右カーフ、左ボディ。ペットプーパーは流血しながらも右ストレートを打ち返してくる。さらに組んでヒジ。朝陽は左ボディ。ペットプーパーは右ミドルを蹴って組んでのヒザ連打。下がる朝陽は首相撲に捕まってヒザ連打をもらう。ペットプーパーは組み際に左ヒジ、朝陽は左ボディもペットプーパーが組んでヒザ。  3R、朝陽がジャブ、ペットプーパーは左ミドルと左ヒジ。ペットプーパーは組むとヒザを連打する。どんどん前へ出るペットプーパーに朝陽は下がり続ける。組まれるとペットプーパーがヒザ。ペットプーパーが左右ミドル、左右ヒザ、朝陽は組み付く。  朝陽の右ストレートにはペットプーパーが右ヒジ、朝陽は胴に組み付いてしのぐ。ペットプーパーの猛攻が続き、朝陽は下がり続ける。ペットプーパーは“来いよ”とカモンゼスチャーも、朝陽は乗らずにステップで下がり続けた。  判定は2度のダウンを奪った朝陽が勝利。ペットプーパーの追い上げは届かなかった。 [nextpage] ▼第2試合 キャッチウェイト(54.4kg)ムエタイ 3分3R〇石井寿来(ウォーワンチャイプロモーション)KO 2R 2分57秒 ※左ヒザ蹴り×ユネス・ムーニン(モロッコ) ジュライ・ウォーワンチャイこと石井寿来は石井一成の甥で、一成と同じくジュニア時代からタイ遠征を重ねて2019年3月にルンピニースタジアムでプロデビュー。その後も日本とタイを行き来しながら戦績を重ね、WMC日本フライ級王座、スックワンキントーンフライ級王座、BOMスーパーフライ級王座の三冠を獲得。2023年7月、BOMで吉成名高と好勝負を繰り広げたソンチャイノーイに敗れるまで国内無敗の戦績だった。 前戦は2025年5月、KPKB(九州プロキックボクシング)で初めてのキックボクシングルールに挑戦し、ジョン・ヒョヌに1RでTKO勝ちしてKPKBインターナショナルバンタム級王座を奪取している。2024年4月には『ONE Friday Fights』に初出場し、ベテランの片島聡志との日本人対決で勝利した。  1R、サウスポーの石井は左インローを蹴っていき、前蹴りで吹っ飛ばす。ムーニンは右ミドル。石井が奥足への左ローを2連発。するとムーニンがいきなり前へ出てパンチの連打とヒジ。離れると石井は右ボディ、左ボディストレート、スーパーマンパンチを放つ。ムーニンの右をもらう石井だが、臆することなく打ち合いに行く。ムーニンは組むとヒザ蹴り。  石井は左の三日月を蹴り、ムーニンの左ハイをキャッチしてからの右のボディでダウンを奪う。石井は右の三日月から左ボディでダウンを追加。ムーニンが立ち上がったところでラウンド終了となった。  2R、石井は左へ回り込み左ボディ2発、左の前蹴り。左ボディを打つとムーニンが組んでくる。離れるとムーニンがパンチで前へ出てくるが石井は左のテンカオを突き刺す。パンチを放つムーニンだが石井の左ボディに下がる。左右フックを振って前に出ていくムーニンだが、石井の左ボディをもらって後退。それでも左右フックを打ちに来る。  石井は首相撲からムーニンを投げ捨てる。石井がワンツーから左ボディ、ムーニンは右ヒジを返す。石井の左三日月をもらうとサウスポーになるムーニン。オーソドックスに戻ったところで石井が左フックから右手で頭を引きつけながらの左のヒザをグサリと突き刺すと、ムーニンは悶絶してダウン。石井のKO勝ちとなった。 「この舞台でこういう勝ち方が出来たことが嬉しいです。今日倒したボディショットと最後のヒザはチームで練習していたことなのでそれが試合に出せて嬉しいです」と勝利者インタビューに答えると、35万バーツのボーナス。  石井は「ボーナスありがとうございます。もっと強くなってまたこの舞台に立てるように頑張りますので、僕の名前を覚えて帰ってくれると嬉しいです」と語った。 [nextpage] ▼ONEバンタム級サブミッショングラップリング 10分1R〇須藤拓真(X-TREME EBINA)=144.6LBS(65.59kg)/1.0218[判定3-0]×シャムスディン・マゴメドフ(ロシア)=143.8LBS(65.23kg)/1.0203
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