2025年6月1日(日)、朝8時から米国ネバダ州ラスベガスのUFC APEXにて『UFC Fight Night: Blanchfield vs. Barber』(U-NEXT配信)が開催された。
メインでは女子フライ級トップランカー対決が組まれたが、「9日間の入院で生死を彷徨った」というバーバーが、前日計量で体重超過。そして試合直前にキャンセルが発表された。
UFCからは「医学的な事情により、メイシー・バーバーに試合出場の許可が降りなかったため、UFCファイトナイト・ラスベガス107のメインイベントに予定していた女子フライ級マッチは中止」とアナウンスされている。
直前に試合が無くなり、ESPNのインタビューを受けたブランチフィールド(※写真上)は「ミット打ちも行い、さあケージへというときに中止と聞いた。(バーバーは)今週調子が戻ったと聞いたので試合出来ると思ったんだけど…(今後は)相手は誰でもタイトルマッチに繋がるように5Rの試合をやりたい(※今回はメインの5R戦だった)。今回のキャンプで学んだことはたくさんある、次で行かせたら」と語った。
【中止】
▼女子フライ級 5分5Rエリン・ブランチフィールド(米国)13勝2敗(UFC7勝1敗)4位 125lbs/56.70kg ※インタビューメイシー・バーバー(米国)14勝2敗(UFC9勝2敗)14位 ※UFC6連勝中 ※126.5lbs/57.38kg 体重超過*バーバーは規定体重をオーバー。対戦相手のブランチフィールドに報奨金の20%を支払い実施へ
ブランチフィールドは、UFC7勝1敗。その黒星は、タイトルに挑戦したマノン・フィオロに昨年3月に判定負けしたもののみ。
グラップリングのEBIのトーナメントでも優勝経験を持ち、2024年11月に元ストロー級王者のローズ・ナマユナスを5R戦の後半を制して判定勝ち。女子フライ級最年少ランカーの26歳だ。
対するバーバーは、無敗でUFCデビューし、現在UFC6連勝中。強いフィジカルと、パンチのコンビネーションが武器。元タイトル挑戦者のジェシカ・アイに判定勝ち後、アンドレア・リーにスプリット判定勝ち。そして2023年6月にはアマンダ・ヒバスとの壮絶な打撃戦を2R TKOで制した。2024年3月の前戦では、ケイトリン・ サーミナラに判定勝ちしている。27歳。
しかし、インスタグラムに、9日間入院したことを3月下旬に投稿、「恐怖に満ちた日々」だったと明かし、最終的に肺炎を発症したと語っていた。
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コメンでは、ライト級7位のマテウス・ガムロが、UFC4連勝中のルドビト・クラインと対戦。
▼ライト級 5分3R〇マテウス・ガムロ(ポーランド)25勝3敗(UFC8勝3敗)※インタビュー[判定3-0] ※30-27×3×ルドビト・クライン(スロバキア)23勝5敗(UFC7勝3敗)※UFC4連勝でストップ
元KSW二階級王者のマテウス・ガムロは、2020年の緊急UFCデビュー戦でスプリット判定負けも、その後は7勝1敗。2022年6月にアルマン・ツァルキヤンに判定勝ち後、ベニール・ダリウシュに判定負けも、そこからジェイリン・ターナー、ラファエル・フィジエフ、ハファエル・ドス・アンジョス相手に3連勝。2024年8月の前戦でダン・フッカーにスプリット判定で敗れている。34歳。
対するルドビト・クラインは、ライト級に上げてから7戦負け無しの6勝0敗1分、ボクシング・柔術がバックボーンで、サウスポー構えからの左オ-バーハンド、左ヘッドキック、左テンカオと左の強い武器を持つ。2024年6月にチアゴ・モイゼスからダウンを奪う判定勝ち後、9月にルーズベルト・ロバーツにも判定勝ちしている。30歳。
1R、右フックで詰めてダブルレッグで崩してバッククリンチのガムロ。背後からヒザ。右足をかけて左パウンドを突き、後ろから小内刈で崩すも戻すクライン。たすきで引き込み足をかけようとするガムロに足をかけさせないクライン。ガムロは先に首を狙い引き出すが、クラインが片ヒザ立ちでホーン。
2R、シングルレッグでマット中央で寝かせたガムロ。クローズドガードのクラインに右で脇差し、左足をパス。パウンドの際で足をフルガードに戻すクラインだが、ガムロのヒジを被弾する。差し返して跳ね上げるクラインに、中央に戻って押さえ込むガムロ。クローズドガードの中から縦ヒジ。首を抱えながらヒジ!
蹴り上げでいったん体を離したガムロは足をさばいて担ぎパス。しかし後転したクラインは立ち上がり。そのまま詰めるガムロは離れ際に右ハイ。左ジャブを突くガムロに、サウスポー構えから左ハイをガード上に突くクラインは、後ろ廻し蹴りは空振り。
3R、蹴り合いからシングルレッグのガムロの首を押さえて切ったクラインは左ストレートから左ハイをかすめる。ガムロはワンツーの右を上下に突く。詰めるクラインは左三日月蹴り。ガムロのローシングルにヒザを合わせて、がぶったクラインは左ハイ。かわしたガムロは右フックをガード上に。左から右アッパーに、クラインは左を狙う。
左ジャブのガムロ。ダブルレッグテイクダウン! 跳ね上げたクラインだが、着地したガムロ。が上に。かつぎパスからサイドバック。パウンド。クラインのヒップアタックをかわしてサイドに。エビを打つクラインはハーフも。ガムロはニアマウントでパウンドでホーン。互いに正座して拳を合わせた。
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▼ウェルター級 5分3R〇ラミズ・ブラヒマイ(米国)11勝5敗(UFC 3勝3敗) [1R 3分16秒 ギロチンチョーク]〇ビリー・ゴフ(米国)9勝3敗(UFC1勝1敗)※コ・ソクヒョンはUFCアゼルバイジャン大会でオーバン・エリオットと対戦に
ゴフは、レスリングベース。2023年8月に木下憂朔に1R KO勝ち。2024年5月の前戦でトレイ・ウォーターズと激闘の末に判定負け。26歳。
ブラヒマイは、極真・ボクシングがバックボーンながら、12勝中11の一本勝ちを誇る。2024年5月の復帰戦でティンバ・ゴリンボに判定負け。2024年11月の前戦でミッキー・ガルに右フックで1R TKO勝ち。32歳。
今大会でオーバン・エリオットがラミズ・ブラヒマイとのウェルター級マッチから除外。また、コ・ソクヒョンがビリー・レイ・ゴフとのウェルター級マッチから除外された。
結果としてブラヒマイとゴフが対戦し、コ・ソクヒョンとオーバン・エリオットはUFCアゼルバイジャン大会で対戦に。
1R、先に組んだブラヒマイ。バッククリンチから左足をかけるが金網沿いのゴフも正対。体を入れ替え押し込み。ノーアームのギロチンで、はじめは拳を包み込んで、そしてハイエルボーのノーアームギロチンチョークを極めて、ゴフを失神させた。
試合後、ブラヒマイは「DC(ダニエル・コーミエー)とこうしていると、家にいるような感覚だ。精神的な壁や怪我、変化を乗り越えてきた。2年前、ひどい首の怪我でグローブを下すつもりだった。5ポンドのバンドを引き下げることもできなかった。でも、心に響く言葉があって、神が僕をその旅へと導いていると知っている。だから僕はここにいる。あなたたちにインタビューしてもらえることは、僕にとって全てを意味する。今この瞬間を大切にしている。感謝している。
一つだけ、本当に伝えたいことがある。ショーン・シェルビー(マッチメーカー)に特別な感謝を。ここでのいくつかの瞬間で、僕は大失敗をした。彼は“このキッズとはもう終わりだ”と言えたかもしれないが、ショーンは僕を見捨てなかった。だから、彼に感謝している。この組織に感謝している。そして、世界一の組織のために戦っている。僕を取り巻く最高の仲間たち。マイク・バレーコーチ、ジャスティン・アダムス、僕の弟は多くの困難を乗り越えてきた。父も彼を知っている。さあ、もっとお酒を飲んで、ピザを用意してくれ。僕を信じてくれた皆、DCと。
みんな、あなたを信じる人が一人いれば十分だ。もしその人があなたを信じなくても、自分自身を信じて。その勇気を持って、毎日努力し続けて。自分自身に賭ければ決して後悔はしない。なぜならベガスのオッズは嘘だから(笑)。僕はここで大のアンダードッグだった。でも大丈夫。僕はここにいるよ、ベイビー。あなたが下す全ての決断は、バラのように咲く。おめでとう、みんな。僕のこの明るい頭から生まれたアイデアに拍手を。よし、続けよう」と語った。