2025年8月2日(土)東京・大田区総合体育館『RISE WORLD SERIES 2025』の記者会見が、5月28日(水)都内にて行われた。
RISE世界スーパーライト級(-65kg)タイトルマッチ3分5R無制限延長Rで、王者チャド・コリンズ(オーストラリア/Strikeforce)に原口健飛(FASCINATE FIGHT TEAM)が挑戦する。
コリンズはタイ在住のオーストラリア人選手でこれまでにセクサン、パコーン、サックモンコンといったムエタイのスター選手を次々と撃破。2019年2月の初来日以来、不可思、海人、中野椋太、直樹、笠原弘希、ラーチャシン、チョ・ギョンジェに連勝し、2023年12月には初代王者ペットパノムルンを破ってRISE世界スーパーライト級王座を奪取するなど日本では負け無しだったが、2024年3月にGLORYのミゲール・トリンダーデに初回KO負けを喫した。
6月に母国でルンキットをKOし、WMO世界タイトルを獲得。9月には麻火佑太郎を初回KOした。12月の「GLORY RISE FEATHER WEIGHT GRANDPRIX」では1回戦でエイブラハム・ヴィダレスを撃破も準決勝でトリンダーデに再びKO負け。戦績は64勝(32KO)18敗2分。
原口は空手出身で、高校からはボクシングを始めて17歳でプロデビューし、2016年西日本新人王決定トーナメントで準決勝進出。2017年にキックボクシングでプロデビューすると、わずか2戦目でACCELフェザー級王者となり、翌年(2018年)のRoad to RIZINキックトーナメントで優勝。2020年1月にRISEライト級王座に就き、2020年10月には「DEAD OR ALIVE 2020 -63kgトーナメント」で優勝。
2022年6月の『THE MATCH 2022』では第5代K-1 WORLD GPスーパー・ライト級王者の山崎秀晃に2R0分33秒、TKO勝ち。2023年3月にはジェレミー・モンテーリョをKOしてISKA世界王座を獲得。GLORYのランカーや推薦選手を次々と撃破し、2024年7月にGLORY世界フェザー級王者ペットパノムルンとの3度目の対決に臨んだが判定負け。2024年12月の「GLORY RISE FEATHER WEIGHT GRANDPRIX」では1回戦でミゲール・トリンダーデに初回KO負けを喫したが、2025年3月にイ・ソンヒョンに判定勝ちで再起した。戦績は27勝(17KO)5敗1分。
伊藤隆RISE代表は「2人の対戦は2020年4月の63kg WORLD SERIESの1回戦で決まっていましたが、コロナの影響で入国規制が厳しく中止となりました。チャドは王座を獲得して1年経っているのでタイトルマッチとして組みました。原口はイ・ソンヒョンにダウンを取って勝ったので挑戦者に選出しました。2人とも『GLORY×RISE LAST FEATHERWEIGHT(-65kg)STANDING TOURNAMENT』でシード参戦となっていますが、このタイミングでRISEの65kg最強を決定したいと思います」と、対戦の理由を話した。
最初にコリンズからのビデオメッセージが流され、「日本の皆さん、こんにちは。前回の試合から約6カ月が経ちました。8月2日に行われる原口選手との次戦が待ち切れません。最後の試合から約6カ月が経ち、気分もリフレッシュし、元気を取り戻しました。日本に戻ってRISE世界タイトルを防衛するのが待ち切れません。試合がしたいとここ数カ月何度も何度も言ってきましたが、ようやく試合の予定が決まり準備万端で嬉しいです。
9週間前なのですでにハードなトレーニングをしています。試合の日が待ち切れません。(原口とは)これまで対戦が実現しなかったり、現実に近付いたものの実現しなかったり、という長い歴史があります。コロナ禍以前は8人トーナメントの初回で戦う予定でしたが、お互いRISEで何年も戦ってきた中でお互いにどこかで戦うとは思っていましたが、試合の機会を得られませんでした。だから、本当にこの試合が待ち切れません。
彼には既に2回ベルト獲得のチャンスがあり、今回は3度目ですが、今回も実現しないでしょう。ベルトは私と一緒にオーストラリアに持ち帰ります。どのような試合展開になるか? 原口選手はサウスポーですが、オーソドックスにスイッチもします。予測不能なヘッドキック、回転技、頭部へのスピニングヒールキック、そして予測不能なパンチ。ボクシングの戦績も持ち合わせており、決して侮れない相手です。ですので改めて、この試合に勝つために自分の原点に立ち返りたいと思います。
原口選手と私は良き友人であり、ここ数年で関係を深めてきました。しかし、これはスポーツです。どちらがもっと戦いたいか、もちろん彼は勝ちたいし、私も勝ちたいです。試合が終われば私たちはきっと良い仲間に戻れるでしょう。だから原口選手に“幸運を祈ります”。私は勝ちに来ます。これは私のベルトですから。これは皆さんが待ち望んでいた試合であり、日本が待ち望んでいた試合です。彼は私の階級でトップクラスの日本人選手です。しかし、私は誰にも負けません。最後のゴングまで立ち向かいます。約束します。チャド・ザ・“シャーク”・コリンズvs.原口健飛の試合が実現します。8月2日にお会いしましょう」とコメントが寄せられた。
これを受けて原口は「チャドが思ってることを全部言ってくれたので、話すことがないです(笑)。世界タイトル挑戦は、自分的にはいろいろなチャンスをもらって負けてきて、みんなが認めるくらい強くなって挑戦しようと思っていたので、突然世界タイトルになったので『よっしゃラッキー』って気持ちは全然なくて。ほんまはトーナメントに優勝して誰にでも挑戦できる権利を得て、チャドやったりペッチやったりミゲールやったりと全員倒していくのが僕の予定だったんですけれど、こういう風に突然チャンスが転がり込んできたので、これはもうRISEのチャドと試合をせいってRISEからのメッセージだと、そう受け取るしかないと思い切って挑戦させてもらうことになりました。
僕たちより強い2人が上にいるので、これが世界最強かと言われたらそうじゃないと思うけれど、RISEの中では俺とチャドが一番強いと思っているし、その中でどっちが強いのかっていうのを5年の期間を経てしっかりと決めたいと思います。この試合はシンプルに俺とチャドがRISEをずっと背負ってきて、そういう人たちが一生懸命に戦う姿をシンプルに見て欲しいと思います」と、複雑な心境ではあるがRISEスーパーライト級の最強を決めたいとした。
コリンズの印象については「良くも悪くも凄い前に来る印象。負ける時も決して下がって負けるような選手でもない。しっかり自分のファイトスタイルを貫き通して負ける時は負けたりもするし、それが一番の強み。その勢いに、あのヴィダレスさえもコーナーへ押し込まれたので、見た目以上に凄いパワーもあるんやろなっていうのを映像では見ていたので、それがどこまで強いのかを試合で感じたいと思います」と評する。
ペッチ(ペットパノムルン)を破り、コリンズがRISE世界王座に就いた時、原口は「俺なら勝てる」と自信のコメントをしていた。その自信は現在も揺るぎないかと聞かれると「前より今の方が自信はありますね。チャドがあの後に負けている姿があったので、勝手にそういう気持ちになっているのかもしれんけれど、(自分が)ヴィダレスに勝った時よりも、ペッチに負けてミゲールに負けているけれど自分自身では強くなっていると思うので今の方が自信はありますね」と答えた。
『GLORY×RISE LAST FEATHERWEIGHT(-65kg)STANDING TOURNAMENT』のRISEサイドの決勝戦で実現してもおかしくないカードがここで行われることにどう思うか、と問われると「逆にどう思います(笑)? でもそれがRISEだし、それがファイターなので、いつどこで世界一決定戦しようが一緒なので。俺とチャドは気持ちよく戦うだけですね。またトーナメントでやる時があったらやればいいし、それがプロなので。しっかりとやる時はやる。終わったら友だちに戻る。それが一番ですね」とする。
コリンズに勝てるという自信の根拠は何かと聞かれると「根拠はないですよ、格闘家なので。チャドもそうやと思うし、自信を持たずに試合をするのは団体にも自分自身にも相手にも失礼なので。とにかく自信はあるってことだけは伝えたいですね。強いて言うならタイミングとか技術力は自分の方があるので、ミゲールにもらっているパンチとかを自分も当てられると思いますね」と答えた。
『GLORY×RISE LAST FEATHERWEIGHT(-65kg)STANDING TOURNAMENT』に、自分がRISE最強の称号を背負って出たいか、そう問われると原口は「もちろんあります。RISEもそう願ってくれていると思うので、だからこそ自分が挑戦者になったと思うし、しっかりみんなの想いを叶えられるようにここは勝ち切りたいと思います」ときっぱり。
どんな試合にしたいか、との質問には「5Rあるのでずっと付き合うのはしんどいと思うので、前に来させてあげたいというか誘いこんだりとか。ロープ際は僕が得意なので、逆にチャドもロープ際で攻める時は自信を持って来るのでそこをどう使うかですね。僕は下がっている時のロープ際は凄く強いので。その取り合いかなと思いますね」と、ロープ際での攻防がカギになるのではないかとする。
ずばり、KOはあるかと聞かれると「お互いその気持ちはあるけれど、しっかり3分5R戦うつもりではいますね。最高峰の戦いを15分間見せたいと思います」と、KO決着は難しそうだがフルラウンドの激闘になるのではないかと予測。
ソンヒョン戦を経て得られたことについては「精神面が鍛えられたし、あとは身体の強さは目に見えて分かるように強くなりましたね。まだ途中なので、その中でスピードが遅くなったとかも感じる部分もあったから、それを今調整している感じです」と、得たものは大きいようだ。
なお、伊藤代表はなぜペッチやトリンダーデが挑戦者に選ばれなかったのかとの質問に「GLORYサイドと話し合いました。6月に『GLORY 100』でペッチvs.ミゲールが決まっているので、あちらもGLORYフェザー級ナンバーワンを決めるので、RISEもトップを決めようという流れですね」と語った。