堀口恭司は、MMA選手としてすごく強くなっているんだ
──クレイグ戦の経験は、同じく寝技師である今回のライニアー・デ・リダー選手との試合に向けてもいいシミュレーションになったのでは?
「間違いなくいい経験になったよ。僕にとって初めて判定までもつれた試合だったし、15分間戦ったことで自信もついた。学びも多かったね」
──今週末の対戦相手のデリダー選手はONEでも活躍したタフな対戦相手です。
「デリダーを見ていると、柔術の話も当然出てくると思う。彼は何度も何度もサブミッションでフィニッシュしている。グラウンドでとてもクリエイティブだ。、ハイレベルなスキルを持っている。彼は柔道の黒帯も持っているから、クリンチのアドバンテージとして投げ技も使うことができる。そして、彼の打撃を見ると、本当にいいジャブを持っていて、左ストレートはかなり強い。グラウンドでもクリンチでも、足技でも。だから、僕はそれを利用しようと思っている。チームと僕のゲームプランでは、それができると感じている。だから、ベルからベルへ、気合を入れて戦うのが楽しみだよ」
──ファイトキャンプ中に、これまでとは異なることもしましたか?
「そうだね、今回のキャンプでは少しバルクアップした。体重を少し増やしたんだ。デリダーは大きな男だ。彼は205ポンド(ライトヘビー級)と265ポンド(ヘビー級)で戦ってきたからデカい男だと見ている。でも僕は自分のゲームをすべての分野で成長し、向上し続けること。打撃を向上させ、柔術を向上させる。そして、レスリングをもっと上達させることができると信じている。僕はこのスポーツが大好きだし、楽しいんだ。1日の中で一番好きなのはトレーニングに行くこと。僕はそれを楽しんでいるよ」
──ONEでも極め技としていた、彼の得意技であるトライアングルチョークも確認していますか。
「あの独特な横三角絞めだね。もちろん。僕は試合映像をよく観て研究してるし、彼の試合も何度も観たよ。素晴らしいサブミッションだね」
──デリダーとの試合に向け、あなたのレスリングからのグラップリングはディフェンスも含め、強化されたのでしょうか。
「グラップリングでグラウンドに行く準備はできている。それは僕が興奮することだと思う。テキサス州オースティンでの最後のトレーニングキャンプで、ゴードン・ライアン、アイザック・ミシェル、ジョン・カルロ・ボドニ、ジェイソン・ノルフ、ゲイリー・トノンらとジムで過ごせたんだ。これは本当にありがたかった。だからもしグラウンドになったら準備はできているよ。それは僕にとって楽しい挑戦になると思う」
──あなたの前戦での左オーバーハンドは特に印象的でした。ご自身のストライキングとレスリングの組み合わせについて、どう捉えていますか?
「僕はレスリングをベースにして攻撃を組み立てるスタイルなんだ。純粋なストライカーとしてはまだ経験が浅いから、レスリングでフェイントをかけて、そこから打撃につなげる。オーバーハンドも、テイクダウンに行くように見せてからパンチを打つとすごく効果的なんだ。レスラーとしてのイメージや、相手のテイクダウンへの警戒心を利用してるって感じかな」
──その動きを逆に使っているのが、同じATTの堀口恭司選手ですね。サイズ差があるので一緒に練習されることはさすがに無いでしょうけど。
「実はキョージとは何度か練習したことがあるんだよ。体格差はあるけど、それでも練習になるくらい彼は本当にすごい選手さ。めちゃくちゃ強いし、競技者として尊敬してる。UFCに戻ってきたのも本当に嬉しいし、彼こそ世界最高レベルの選手だと思うよ」
──その堀口選手の打撃について、以前とは異なってきているという指摘があります。
「KOのことかい? MMAって全部の技術をやらないといけないから、どれかに集中すると他が少し落ちるってことはあると思う。でも全体的にMMAの選手として彼はすごく強くなっているんだ。レスリングも柔術もレベルアップしている。テイクダウンをすることと打撃を打ち込む距離は異なるから、それを融合させるために進化しているんだと思う。それは僕のテイクダウンで打撃を当てることと似ている」
──さきほど米満、小野正之助選手らとの交流の話がありましたが、ATTには他にも日本人選手がいますね。
「レスリングでは、中村倫也だね。レスリングが本当にすごくて、どんどんMMAファイターとして進化してる。日本の選手たちを本当にリスペクトしてるよ」
──ミドル級13位のデリダー選手との試合は、ランキング入りするためにも重要な試合となりそうです。どのような試合になると考えていますか。
「僕はいつも『全力を出し切ること』に集中してるんだ。結果よりも、全力でやったかどうかが大事。もちろん今回は大事な試合だから、すごくハードに準備したし、ジムでもたくさん時間を使った。100%出し切れば、結果がどうであっても満足できると思ってる」
──「全力でやったかどうか」というのは、見方によっては厳しい目標ですね。納得できたかどうかという。そんなニッカル選手の試合に注目しています。日本のファンにメッセージをお願いします。
「日本のファンの皆さん、応援、本当にありがとうございます。日本に行くのは僕の夢の一つで、いつか本当に試合をしたいし、試合じゃなくても、出来れば1カ月、2カ月ぐらい滞在して練習したり、美味しい和牛を食べたりしたいと思ってる。いつか必ず行きたいので、待っていてください! そして今週末の試合、ぜひU-NEXTで観てくださいね」