オープンフィンガーグローブでの3戦目に臨む名高
2025年5月11日(日)東京・アリーナ立川立飛にて、中国のプロキックボクシング大会『SPACE ONE 宇宙榮耀』と日本のムエタイ大会『BOM』が『SPACE ONE×BOM』(U-NEXT配信)としてコラボ大会を開催。
BOMパートでオープンフィンガーグローブ着用のムエタイルール、スーパーフライ級3分3Rでチョークディー・ペッセーントーン(タイ)と対戦する名高・エイワスポーツジム(=吉成名高/エイワスポーツジム)のインタビューが主催者を通じて届いた。
OFGの方がしっくり来るぐらいになってきた

――前回3月のONEでは、元ルンピニースタジアム認定ライトフライ級王者ラック・エラワン選手に3RKO勝ちして、強烈なインパクトを残しましたね。
「ONE初参戦ですごくいいデビュー戦を飾ることができてすごく嬉しかったし、長い期間をかけて練習をしてきたのでホッとした気持ちもありました」
――今回の試合が決まったのはいつぐらいなんですか?
「1カ月ちょっと前ぐらいに決まり、ONEでの試合が終わった後の1週間は休んでいたんですけど、すぐに練習を再開し気持ちを切り替えられたので、仕上がりはめちゃくちゃいいと思います」
――今回もオープンフィンガーグローブ(以下OFG)での試合になりますが、やはりONE本戦出場アピールの意味もありますか?
「そうですね。自分の中ではやっぱりONEのベルトが欲しく、今はそこに照準を向けているところなので、今回もOFGでやらせてもらえるのはすごく自分にとっていい経験になります。もちろん試合なので、油断は全くしてないですし、ラック選手とやった時以上の気持ちで練習しているので、試合ではすごくいいものを見せて、いいアピールをしたいと思います」
――昨年12月のシュートボクシングでの試合がOFG着用初戦となりましたが、その時と比べても今はOFGに関しては慣れてきましたか。
「OFG初戦までの試合期間がその前の試合から3週間ぐらいしか空いてなかったので、あの時はちょっとバタバタしたところはあったんですけど、今回の試合までの練習期間もずっとOFGで練習してきて、逆にミット打ちをやる時はOFGの方がしっくり来るぐらいになってきたので、だいぶアジャストしてきた感じがしますね」
――ここ最近は通常のグローブを着用した練習はしてないんですか?
「グローブの感覚を忘れないようにたまにやりますが、やっぱりOFGの方がいいなみたいな感じになりましたね。やっぱり首相撲もやりやすいですし」
――OFGをはめた練習で新しい発見はありますか?
「OFGだと、相手の手首を掴んだりすることもできるので、そこから相手の攻撃を防いだり、自分の攻撃をつなげたりと試しています。前回のONEでも一度試そうとしたら、その時は上手くできなくて攻撃をもらいかけてしまったシーンがありました。今はいろいろと自分の中で試行錯誤してるところはありますが、組み際ではやっぱり使えるシーンがあり、相手の手首を掴んで合気道みたいに手首をひねる技も使える技なので、そういったところを含めていろいろ試していきたいと思います」
――手首を捻って崩したりと、OFGならではの技のバリエーションも増えそうですね。
「そうですね。OFGだと『この技も決まるかな?』とか考えますし、キャッチの時もやっぱり手が使える分、いろんな幅が広がるかなと思います。前回の試合でも、キャッチする手を左から右手に変えたりと、そういった動きもOFGだとやりやすいのかな、と感じましたね」
――それを試合中にやってしまうと?
「考えていたことが試合になったら自然と体が動いてました(笑)」

――次の相手、チョークディー・ペッセーントーン選手に関してはどういう情報がありますか。
「田舎のジムでトレーニングしていて、試合になるとバンコクに来てラジャやTrue4uといったリングで試合をしていると聞きました。チョークディーという名前は『前に来る』『ファイトがいい』という意味なので、名前通りどんどん来る選手だと思います。ラジャダムナンのランキングには入っていませんが、僕と今までに戦った選手とやって勝った試合もあれば負けた試合もありました。ランクでいうとラック選手よりは1枚2枚下の選手なのかなと思うんですけど、実力で言ったら決して弱い選手ではなく、タイでしっかり実績のある選手です。
エイワスポーツジムのタイ人コーチやトレーナーがみんな知っていたぐらい有名な選手で、『パンチは強い』と言ってましたが、『名高よりは遅いよ』と言っていて、自分も相手の動画を見てそれは感じたことだったので、自分のスピードを使えば被弾することはないのかなと。ただ、OFGだけに一発をもらったらアウトなので、そこはしっかり集中力を高めて臨みたいと思います」
――名高選手は36連勝中と勢いがある中、相手は対戦を受けるということはかなり自信があるということですよね。
「そうですね。OFGならやりたいという話を聞いたので、俺なら当てられると一発を狙ってくるんじゃないかなと。自分はそんな一筋縄ではいかないよ、というところをラジャダムナン王者として見せたいですね。あっ、もうチャンピオンじゃないんだ! あははは……」
――まさか自分で突っ込むとは思いませんでした(笑)。3月のONE日本大会に出場したことで、チャンピオンはタイトルを返上しなければならないとの決まりがあり、強制的に返上扱いになったそうですね。
「でも、今でも気持ちはラジャダムナンのチャンピオンのつもりです! 試合をすれば僕の強さが分かると思うので、誰が相手でも、しっかり体と気持ちを作ってやるだけだと思います」
――今回はどういった技でKOを狙いますか?
「相手のスタイルを見てこういった攻撃を狙おうとか考えたりはしてるんですけど、これで倒そうとかということはもう考えず、いつも通りの流れで試合をする。いつも通りのマインドで試合をするというのが、やっぱり自分が一番調子がいい要因だと思うので、倒しに急ごうとせずに自分のスタイルを貫こうかなと。そうすればKOにも繋がるんじゃないかなと思います」

――名高選手が強すぎて対戦選びが難航しています。そういう状況についてはご自身でどう思いますか?
「日本に来てアウェーの状況で僕とやりたい選手は少なくなってきたのかなと思いますが、タイのリングやONEの舞台になると僕とやりたい選手は多分多そうな気はします」
――では、モチベーション的にも全然問題なさそうですね。
「自分はやっぱり練習が好きですし、ムエタイが好きなので、試合が決まっていない期間があっても、練習もすごくやっていますし、新しい発見や練習中に気づくこともたくさんあるので、やっていて楽しいなと思えることも僕のモチベーションになっています。自分のスタイルが完成したと認めてしまったら、その時点でもう成長が終わったと思うので、常にもっと強くなりたい、もっと上手くなりたいという気持ちを持って練習することも楽しさにも繋がります」
――今回は中国のキックボクシングイベント『SPACE ONE』とBOMの合同イベントになりますが、中国にも強さをアピールしたいですか。
「中国の方々も僕の試合を見ることになりますし、中国にはかなり強い選手がたくさんいると思うので、僕の強さを見せて中国の選手が僕と試合をしたいと言ってきてくれたら面白い展開になるなと思います」
――ちなみに城戸選手が名高選手の試合の後にやると「僕の動きがスローモーションに見えるじゃないかと心配なので、ちょっとやめてほしい」と言われてました(笑)。
「そんなことないですよ! 城戸選手には城戸選手のスタイルがあるし、城戸選手にしか見せられない技術や技のタイミングがあります。スピードの面では軽量級が速いのは当然ですが、僕もしっかり勝って城戸選手につなげたいです。自分がジュニア時代からずっと見てきた偉大な選手の一人なので、そういう選手と一緒の大会で試合ができるというのはすごく光栄です。今回ONEの試合に続いて、またOFGの試合をやらせてもらうことになったんですけど、ラック選手の試合の時以上のパフォーマンスを見せて、また皆さんに楽しんでいただけるような試合をして、必ず勝ちます!」



