2025年3月23日(日)さいたまスーパーアリーナにて開催された『ONE 172: TAKERU vs. RODTANG』の大会終了後、チャトリ・シットヨートンCEOが、大会当日に中止が発表されたONEフェザー級(70.3kg)キックボクシング3分3R、マラット・グレゴリアン(アルメニア)vs.海人(TEAM F.O.D)についてコメントした。
この時の発言について、海人が所属するシュートボクシング協会がONE Championshipに対して3月24日(月)に抗議文を提出したことを発表した。以下、その文面。
「3月23日(日)に開催された『ONE 172』後に行われた記者会見におけるイベントCEOチャトリ氏の一部発言にシュートボクシング協会として抗議を申し上げます。
【写真】公式計量をパスした時の海人 当初、今大会では協会から海人が参戦し、マラット・グレゴリアン選手と対戦を予定していました。大会前日(22日)午前11:00~13:00に行われた公式計量で海人はハイドレーションテストおよび体重測定をクリアし、グレゴリアン選手の同結果に備えました。
しかし、ルールに定められた規定時間内(11:00~13:00)にグレゴリアン選手は一度も計量会場に現れず、ハイドレーションテストのための尿サンプルの提出と体重測定を行いませんでした。
【写真】公式計量の規定時間内には来なかったグレゴリアンだが、夕方からの公開計量イベントには出席 ONEの公式ルールブックには、選手が規定時間内にハイドレーションテストと公式計量を行い、ハイドレーションテストの数値超過と体重超過した場合の記載はありますが、規定時間を超過した場合の記載はなく、その後の采配について現場のONEの競技スタッフから一切の説明がなされなかった経緯がございます。
さらに試合が実施されるのか否か定かではない状態のなか、海人と同行していた協会スタッフを通さず、ONEのスタッフから直接海人とトレーナーに公開計量場所への移動指示のメールが届き、しかもその指示内容も間違ったものでした。
そういった混乱が続く中、協会スタッフが電話でONE側に問い合わせ、グレゴリアン選手が規定時間外でもハイドレーションテストをクリアした場合にキャッチウェイトでの試合交渉権利が発生することを確認しました。
しかし、公式計量の規定時間の約1時間後(14:00)に現れたグレゴリアン選手のハイドレーションテストには、規定時間を超過していたため日本の医療従事者が計量会場から退席しており、グレゴリアン選手が行ったハイドレーションテストには疑念が残るものでした。
こうした経緯もあり、最終的に海人とグレゴリアン選手のキャッチウエイトでの試合実施は合意に至りませんでした。
今回海人は本当にリスペクトしていたONEという舞台で、自身が熱望した対戦相手との試合に挑むにあたり、まさに全てを賭けて自分を作り込み、ONEの規定に則ったハイドレーションテストおよび体重測定をクリアし、試合を備えている状況でした。
その海人の心情たるやいかばかりかと察すると、昨晩のチャトリ氏による「オーバーしたのはたった300グラム」、「彼は怖がって戦わない道を選んだ」などのあまりに無責任な暴言は看過できるものではありません。
シュートボクシング協会としては、格闘技業界をより健全に発展させることを第一に考えており、あらゆる団体やイベントとのトラブルを望みませんが、ただ一つ、今回ONEのルールを尊守し誰よりも試合を心待ちにしていた海人への侮辱的な発言については撤回および謝罪を要求するものであります。
シュートボクシング協会代表 緒形健一」
なお、本誌の取材では、グレゴリンは計量規定時間前の9時30分頃に予備計量に訪れており、その姿をメディアも確認。また、計量規定時間外の13時45分頃に計量会場にガウン姿で現れ、ONE競技オフィシャルがチェックのもとハイドレーションテストをパス、『155.75lbs』で340g体重超過だったことが読み上げられている。その際にドクターは不在であった。