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【UFC】UFCとWWEが豪州パース、米国カンザスシティで連続開催。新たな放送契約、APEX大会から国際大会の増加で、UFC日本大会は──

2025/03/01 17:03
 UFCの親会社エンデバーがUFCとWWEを統合して設立したTKOグループ・ホールディングスが1日、西オーストラリア(WA)州政府とともに、豪州パースで2026年までにUFCとWWEのイベントをさらに4回開催するため、パートナーシップを拡大すると発表した。WA州政府との以前の合意に基づき、RACアリーナで2025年後半に『UFC FIGHT NIGHT』を1回開催する。合計で、パースでは「今後2年間で5つのUFCとWWEのイベントを開催」することになる。UFCは「これらのビッグイベントに参加するために、何千人もの州外からの観光客がパースを訪れることが期待される」としている。  今回の発表に、TKOのイベント開発・運営担当エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント、ピーター・ドロピック氏は、「パースは世界有数の都市であり、UFCとWWEの熱狂的なファンが多く住んでいる。UFCとWWEは、世界170カ国で10億世帯以上に視聴される世界的な放送を通じて、パースの観光ホスピタリティは他のどの都市にも引けを取らず、パースとその素晴らしい人々を世界に誇らしく紹介します。これを可能にしてくれたクック首相とWA州政府に感謝します」とコメントした。  すでにUFCとWA州政府は2024年、2年間にわたり2つのイベントをパースで開催することで合意している。最初の『UFC 305: DU PLESSIS vs. ADESANYA』は、14,000人以上の観客を動員し、RACアリーナ史上最高の興行収入を記録し、UFCが2023年に記録した『UFC 284: MAKHACHEV vs. VOLKANOVSKI』の記録を塗り替えた。第2弾の『UFC FIGHT NIGHT』は、2025年後半にRACアリーナで開催される  WWEがパースに戻ってくるのは、2025年年末の週末、RACアリーナで3夜にわたって開催されるスマックダウン(SmackDown)、プレミアム・ライブ・イベント、ロー(Raw)の大規模なテイクオーバーが目玉となる。これらのイベントは、2024年2月にパースで開催され、大成功を収めたWWEエリミネーション・チェンバーに続くものとなる。同イベントは、2024年2月にパースで開催され、オプタス・スタジアムに52,000人以上のファンを集め、WWEが待望していた豪州への復帰を果たしている。  両団体による5大会は、TKOのオフィシャルVIPエクスペリエンス・プロバイダーであるOn Locationを通じて、すべての大会のVIPエクスペリエンス・パッケージも販売される。 米国カンザスシティで、UFCがWWEとPBRも参加の「TKOテイクオーバー」で大会開催  さらに、UFCは4月26日に米国ミズーリ州カンザスシティに戻り、『UFC Fight Night: Hill vs. Rountree』を開催するが、4月にそこに向かうTKOのイベントはUFCだけではない。  TKOグループホールディングス社の発表によると、4月26日のUFCカンザスシティ大会の前々日の4月24日にプロフェッショナル・ブルライダーズ(PBR=世界最大の闘牛リーグ)が行われ、UFC翌々日の4月28日に『WWE RAW』がUFCと同じT-モバイルセンターにて開催される。これらは同社が「TKOテイクオーバー」と呼ぶ3つのイベントの一環となる。UFCとWWEは2023年に両社がTKOに合併されて以来、何度か同じ都市で大会を連続開催しており、シナジー効果を生んでいる。  2025年2月28日には、TKOグループホールディングスが、スポーツマーケティングエージェンシーのIMG、プレミアム体験型ホスピタリティのOn Location、PBRの買収完了を発表したばかり。その提携は深まるばかりだ。 [nextpage] UFCは2025年にAPEX大会を減らし、国際大会を増やす計画  2025年年末に新たな放送契約を控えているUFCは、米国ラスベガスでの観客限定会場のUFC APEX以外での大会を増やし始めている。  TKOグループホールディングスの最高財務責任者アンドリュー・シュライマー氏は「2025年には、ラスベガスのAPEXで開催されるイベントの数は減る見込み」と声明を発表。「2024年に比べて国際イベントの開催数が増えることが予想されます。これらのイベントは収益の増加につながると予想されますが、APEXイベントと比較すると利益率は低くなります」とした。  UFCは当初、世界的なパンデミックの最中に社内施設であるAPEXでイベントを開催することでコロナ感染のリスクを減らし、大会開催と配信を続けた。そしてパンデミック終息後も、ときにAPEXでコストを抑えながら大会を開催し続けて来た。  シュライマー氏は、UFC APEXでの3つのイベントが2025年に海外で開催される予定だと言及している。  すでにUFCはサウジアラビアと大会開催の契約を結び、2024年と2025年に2大会を開催済み。そして、より多くの国際的な場所への拡大を進めている。5月10日には『UFC 315: Muhammad vs. Della Maddalena』も決定。数年ぶりにモントリオールに戻る計画も発表した。  そこではUFC世界ウェルター級王者のべラル・ムハメド(米国)が、同級4位のジャック・デラ・マダレナ(豪州)と対戦。また、2度のUFC世界女子フライ級王者であるワレンチナ・シェフチェンコ(キルギス)が、同級2位のコンテンダーであるマノン・フィオロ(フランス)を相手に王座防衛に挑むことが発表されている。また、バンタム級では11位のジョゼ・アルド(ブラジル)と14位のアイマン・ザハビ(カナダ)が対戦する。  2025年のUFCの全スケジュールはまだ発表されていないが、同社は2026年に開始される新たな放映権契約の交渉を続けており、2025年と2026年のカード総数は前年に比べて増加する可能性がある。 [nextpage] 2億3500万時間以上の視聴時間を生み出したNetflixのジェイク・ポール対マイク・タイソン  米国でのUFCとESPNの契約は2025年末に終了予定で、そこにNetflixがUFCの放映権入札に参加するのではないかという報道が出ている。UFCは現在、4月15日までESPNとの独占交渉期間に入っているが、その後はNetflixを含む他の潜在的なパートナーからのオファーに応じ始めることができる。  Netflixは、2024年11月に同社初の格闘技中継として「ジェイク・ポールvs.マイク・タイソン」をライブ配信。58歳のボクシング元世界ヘビー級王者のタイソンと、27歳のYouTuber兼ボクサーのジェイク・ポールとのヘビー級2分8R戦は、3-0でポールが判定勝ちしている。試合内容はともかく、その配信は、総視聴時間が2億3570万時間、総視聴回数が4890万回に達したこと、世界中の家庭での同時ストリーミングが6,500万世帯に達したことをNetflixは発表している。  同社はライブイベントやスポーツに特化した番組を大量に制作しているわけではないが、ポール対タイソンのカードが成功したことで、2025年に向けてそれらの分野へのさらなる投資に意欲を見せている。  その後、ポールは世界4階級制覇王者カネロ・アルバレスとの試合もNetflixでの配信を期待していると語っていたが、アルバレスはポール戦を断り、代わりにサウジアラビアが後援する、ここ数年格闘技に数億ドルを注ぎ込んでいるベンチャー企業「リヤド・シーズン」に出場するための複数試合契約を結んだことが報じられている。 UFCオーナーらがサウジアラビアと新ボクシングリーグ起ち上げの交渉  そんな中、TKOグループ・ホールディングス社が、サウジアラビアと2025年に新たなボクシングリーグを起ち上げる事業への資金提供について交渉中であることが報じられた。  TKOはプロデューサー兼プロモーターとなり、この事業を運営。その資金や費用はサウジアラビア側が負担し、「5年間にわたり、一定期間ごとに株式取得が行われる」という。  日本では井上尚弥とスポンサーシップ契約を結んだことでも知られるサウジアラビア総合娯楽庁肝いりのリヤド・シーズンでは、ボクシング、格闘技のビッグイベントが続々と実現しており、TKOはUFCとWWEを中核に、この新たなボクシングリーグで、両団体も活性化させ、企業価値を高めることになる。 [nextpage] UFCの独占禁止法訴訟和解にもかかわらず、TKOの収益は2024年も好調。そして2025年は── 【写真】2015年9月のUFC日本大会で堀口恭司はチコ・カムスにフルマークの判定勝ち。  2025年2月26日に世界に公開された財務情報開示で、TKOの第4四半期の業績は前年比5パーセント増の好調であることが分かる。  UFCの成長により、収益は6,110万ドル増加して3億4,380万ドルとなり、WWEの3,290万ドルの減少を相殺する形に。WWEの減少は主に、同社の主力番組である『Monday Night Raw』がUSA NetworkからNetflixに移行したタイミングによるもので、WWEが1月にNetflixと「10年間で50億ドル(約775億円)」の大型契約を結んだことで、今後これらの数字は大幅に改善することが見込まれる。  通年では、TKOの収益は67%増加して28億400万ドルとなり、これはWWEの10億1500万ドルの増加とUFCの1億1400万ドルの増加が反映されている。  TKOグループ・ホールディングスは、UFCに対して提起された2件の独占禁止法訴訟のうち1件を和解するために3億7500万ドル(約565億円)を支払うことに同意しており、その影響で当年度の純利益は640万ドルとなり、前年より1億6,930万ドル減少しているが、すでに2回の支払いが行われており、2025年第2四半期に行われる予定の3回目で最後の1億2500万ドルの支払いが完了。TKOは2025年に大きな年を迎える準備が整っているといえる。  前術の通り、UFCはディズニー所有のネットワークであるESPNと契約延長の可能性について独占交渉中で、その独占交渉は4月に終了し、その後は他の入札者への入札が開始される。果たして、その後のUFCとネットワークやストリーミングサービスはどうなるか。  新たな放送契約、UFCとWWEのシナジー、UFCの国際大会の増加は、日本にどんな影響を及ぼすか。  現在、UFCと契約している日本人選手は7名。ウェルター級の木下憂朔、バンタム級の中村倫也、風間敏臣。フライ級の平良達郎、朝倉海、鶴屋怜。女子ストロー級の魅津希が契約下にあり、そのうちフライ級の平良と朝倉の2選手がランキング入りしている。その登竜門として「ROAD TO UFC」「DWCS」「TUF」が開催されており、さらなる日本人UFCファイターが誕生するか。  待望の日本大会が開催されるとしたら、それはいつどこになるか。2024年11月にマカオ大会が行われ、オセアニアに広げると、今回の豪州大会の契約は西オーストラリア州政府が関わっている。アジア枠にも限りがあるなかで、2015年9月以来となるUFC日本大会は、2025年から2026年にかけて開催されるか。今後に注目のトピックスだ。
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