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インタビュー

【ONE】ジェイク・ムラタ「“100回に1回”の勝利をこの試合に持ってきて、ZST、Fighting Nexusに他団体の王者を引きずり込みたい」=10月5日(土)「ONE Warrior Series: 日本 vs. 世界」

2019/10/03 02:10
【ONE】ジェイク・ムラタ「“100回に1回”の勝利をこの試合に持ってきて、ZST、Fighting Nexusに他団体の王者を引きずり込みたい」=10月5日(土)「ONE Warrior Series: 日本 vs. 世界」

10月5日(土)ベルサール渋谷ガーデンで開催される「ONE Warrior Series: 日本 vs. 世界」で、同シリーズに初参戦するジェイク・ムラタ(パラエストラTB)が個別インタビューに応じた。

ムラタは現ZSTバンタム級王者。プロデビューから3年ほどはPANCRASE、DEEP、修斗等で白星と黒星を交互に繰り返すなど芽が出なかったが、17年12月のFighting NEXUSで「初代バンタム級王者決定トーナメント」決勝進出(※優勝は渡部修斗)。続く「ZST第3代バンタム級王者決定トーナメント」では金井塚信之、滝田J太郎を下し、バンタム級のベルトを巻いている。

そのムラタの相手は、アラン“ヒロ”ヤマニハ、田村一聖、春日井たけしといった現PANCRASEランカーに勝利している強豪ソン・ミンジョン(韓国)。2012年の「ONE FC」時代に上田将勝と対戦し判定負け以降、「ROAD FC」を主戦場としてきたが、2019年4月に「ONE Warrior Series」に参戦。ACB1勝1敗のアラン・フィルポットを相手にネック・クランクで一本勝ちを決めている。

今大会の目玉ともいえるミンジョンを相手に、ムラタは予告通り「100回に1回」のアップセットを起こせるか。

評価を全部ひっくり返したい

――10月5日の「ONE Warrior Series」に出場が決まりました。ZSTでのバンタム級王座決定戦で滝田J太郎選手に勝利したタイミングでした。どんなお気持ちでしたか。

「あのタイトルマッチがあった直後だったので、『決まった』というのと、『また追い込みが始まるなあ……』という」

――憂鬱な気持ちも(苦笑)。Fighting Nexusでのバンタム級での一連の試合があり、そして、ZSTで柏崎剛選手が返上した王座をかけて、「第3代バンタム級王者決定トーナメント」に出場し、金井塚(信之)戦、滝田戦と2連勝で戴冠。粘り強いテイクダウンからバック、ディープハーフからスイープなど、ご自身のスタイルの強みが試合で発揮されているように見えます。

「そうですね。Nexusで山田(峻平)代表に段階を踏んで試合組んでもらって、それからZSTの小池(義昭)さんに推薦してもらって、勝村(周一朗)さんからもチャンスをもらってということだったので、やっぱりそういった方々のおかげで育ててもらって、今の自分の、なんとなく自分の戦い方が──練習ではわかっていたんですけど、試合でどういうふうにやればいいのかというのを──ここ最近わかってきたんじゃないかな、と生意気に思っています。

それがワールドクラスの強い相手に通用するかどうか。それでも100回に1回しか勝てない相手でも、その1回を10月5日に絶対持ってこようと思ってたんです。いや、持ってくるんです、自分は。10月5日に絶対、その1回を持ってきて、Nexus、ZSTって、やっぱり修斗、PANCRASE、DEEPより下に見られることが多いので、Nexus、ZST出身の選手がジャイアントキリングを起こして、周りの評価、いろいろな人たちの評価を全部変えたいです。自分の持っているベルト、自分を育ててくれた団体の世間的な評価を全部ひっくり返したいです」

――準決勝で金井塚選手に勝って、「決勝でしっかり大先輩(滝田J太郎)を介錯します。今まで格闘技に打ち込んできた自分を見届けてください!」と、険しい表情でマイクで叫んだムラタ選手の顔が忘れられません。ところでいまのスタイルのもととなったのは柔術からですよね?

「はい、元々ブラジリアン柔術をやっていて、正統派の強者の柔術という感じじゃなくて、どちらかというとワンポイントを取って勝つタイプの柔術家だったんです。それが今のスタイルに合っていて、柔術で自分が練習してきたこと、リバーサルして抑え込むとか、バックテイクするとか、そういう部分に生きています」

――海外修行にも行かれたのですか。

「海外は行ってないです」

――すみません。“ジェイク”から勝手に西海岸に出稽古に行っていると想像してしました(笑)。

「ご存知かと思いますが、ジェイクはジェイク・シールズから来ています。会社勤めなので、そのまま名前を使うのに躊躇して、周囲から『ジェイク・シールズに似てるな』ってことで、ジェイクをもらいました」

――今回の参戦でその由来も有名になりますね。

「ある団体に初参戦したときに、リングドクターのところへ行ったら、リングドクターと看護師の方々が、『ジェイク・ムラタが日系人かどうかでジュースを賭けていた』って言われました(苦笑)」

――100パーセント日本人だったという。なんとなく門脇英基選手のように彫りが深いので、勝手に日系人で英語ペラペラなイメージがありました。

「全然しゃべれないです。日本語も若干怪しいんですけど(苦笑)」

――インタビュー中に怪しくならないことを願います(笑)。ところで、あのJ太郎戦は最初は競っていました。どこでいけると感じましたか。

「テツさん、徹肌ィ郎さんと練習を定期的にしていて、テツさんのカドワキ(チョーク)が異常な強さなんです。だから、(元同門の)J太郎選手のカドワキが入った瞬間、自分、ああ、これもう終わったんだと思ったんですね。そしたら抜けて。“あれ、テツさんが特殊体質なんだな”と気付いて。それから、判定とかは考えてなかったですけど、そこから自分の中でチャンスはあるなと思って。セコンドに『勝ってるか負けてるかどっちですか?』と聞いたら『わからない』と言われたので、わからないんだったらまだチャンスがあるなと思って。3Rに(J太郎が)首相撲に対応できないぞとなって、一気にラッシュをかけました。いま思えば、スタートが遅かったのは悪いところが出たかなと思います」

――なるほど。首相撲&ヒザ蹴りは日常的に得意としていることなんですか?

「練習ではやってたんですけど、もともとMMAでは首相撲を使うのが苦手という意識があったんです。回して打つというのが苦手だった。そのまま押し込まれてテイクされると。でもあの試合でやれてからなんとなく使いこなせるようになって、今は練習でもやっています」

――パラエストラTBでキックの選手と首相撲をやったりも?

「そうですね。森本“狂犬”義久選手にも“可愛がって”もらって。やられてます(苦笑)。MMAでやったことはなかったのですが、あの試合で使ってから練習でも使うようになりました」

――J太郎戦でもムラタ選手の愚直な組み技は心を打ちました。ソン・ミンジョンという強豪相手にあれができるのか、と考えると確かに大変な試合になることは想像できます。いまはそこに向けての練習をしている感じですか。

「対策として、練習パートナーの選手がミンジョン選手の動きの真似をしてくれています。ただ自分、普段も練習でやられて食らいついていくタイプなので、相手の動きを意識してというタイプではないんです。とにかく、結局最後に競り勝つことしかできない選手なので、『100回に1回の競り勝ち』を作ってやろうと思って、ひたすらスタミナとしつこくやることを心がけてやっています」

――ミンジョン選手の試合を見ると、スタンドも強く、あの前蹴りやミドルも強烈です。寝技につなげる打撃も巧みで。ただ、テイクダウンされないわけじゃない。テイクダウンされても立つ、という。その組技という面ではミンジョン選手をどうとらえていますか。

「チャンスはぶっちゃけそこにあるとは思っているんです。イージーにスクランブルに乗ってくれる。だから、そこでスクランブルで削り合い、削り合いをやって、3ラウンド目にヤマ場を持ってくれば……100回に1回、もしかしたら1000回に1回かもしれませんが、チャンスを掴めると」

――しかし、アンドリュー・レオーネの後半のテイクダウンをミンジョンは切ってましたからね。後半でも決して弱いわけじゃないと感じます。

「だって、ニックネームが“マラソンマン”ですからね。でも、向こうがマラソンをやるんだったら、僕はその倍走ってやろうと」

――ウルトラマラソン、あるいはデカスロン並みにやってやると。

「デカスロンってなんですか?」

――陸上の十種競技ですね。でもそんな器用じゃない場合は……。

「じゃあ“ウルトラマラソンマン”ですかね。とにかくやりきって、相手にガス欠を起こさせて、ガス欠を起こした瞬間に全部まとめてフィニッシュか……フィニッシュ……そんなにないんですよね(苦笑)」

――急に弱気にならないでください(苦笑)。チョークもあるじゃないですか。

「はい。フィニッシュか判定か取って、1000回に1回、1万回に1回を持ってきてやります」

――だんだん確率が低くなってますよ(苦笑)。この試合でいい内容・結果を残して、その先の本戦出場を目指しますか。

「まずは今回の1戦のみを考えていて、自分としてはONEの本戦でなければ、今回、結果を残して、その自分の首を使って、ZST、Fighting Nexusに国内の他団体のチャンピオンを引きずり込みたいです。他団体のチャンピオンと自分の団体で試合がしたいです」

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