2025年2月9日(日)東京・後楽園ホール『KNOCK OUT 2025 vol.1』にて、KNOCK OUT-BLACK -63.0kg契約 3分3R延長1Rで般若HASHIMOTO(クロスポイント吉祥寺)と対戦する丹羽圭介(TEAMニワールド)。4年以上ぶりのリング登場で、これを最後に現役引退を果たす丹羽は、今何を思うのか?
集大成を思いっきり解き放つのにふさわしい相手
──『KNOCK OUT』には2020年2月の古村匡平戦以来、実戦出場は同年12月『REBELS』の耀織戦以来、4年以上ぶりとなります。久しぶりの参戦で正直ちょっと驚いたんですが、このタイミングというのは?
「前回負けてからいろいろ考えることもありまして、引退っていうのをずっと考えていたんですね。『REBELS』でチャンピオンになったことで、拳で成し遂げることは一つやり遂げたので、ここからは、その成し遂げてきたことをどう残していけるか、どう役に立てていけるかという方に意識が変わってきました。
命懸けで戦うリングではなくて、そこで戦ってきたリングの証をどう残していけるかっていうところで、アスリートの命の価値を上げるというところに意識が変わってきて、それで一つ自分のあり方というか、アスリートが必ず通過するであろう『引退』というものをちゃんと明るいものにすると。悲しい別れではなくて新しいスタートなんだということで、『笑う門には福来る』というテーマのもと、何となくフェードアウトするのではなくて、僕も15年ぐらい現役やってきたので、15年間の中で関わってきてくれた人たちに向けて一つ感謝のリングを最後に体現したいなと思ったんです」
──なるほど。
「それで2年前ぐらいからそれをぼんやり考えてたんですけど、なかなかタイミングが折り合わず、対戦相手もなかなか折り合わず、ようやく決まったという形になります」
──それこそ引退するにしても、セレモニーやエキシビションというパターンもあると思うんですが、公式戦を選んだというのは?
「もちろん選択肢として、ゴングを鳴らしてもらうだけとか、エキシビションだけやるというのもあったんですけど、やっぱり格闘家としての最後を見せるという意味では、やっぱりシャンシャンで終わるんじゃなくて、ちゃんと最後に生き様を見せるというか、魂を燃やす瞬間を見せなきゃダメだなと。僕も今年で42歳になるんですけど、それでもまだやるんだぜっていうか、年齢なんて関係ないんだぜっていうところを試合の中で見せて、ちゃんと勇気を発信するという意味では、やっぱりガチガチのファイトをしないことには、僕の中で死ぬ時に後悔するなと思ったので。
始まりという名の終わりでもあり、終わりという名の始まりなんですけど、そこはちゃんと自分のけじめをつけて、後悔のない選択として、不足のない相手と最後に思いっきりやって、勝っても負けても出し切るというところをお見せしたいなと思ってます」
──その意味では確かに般若HASHIMOTO選手はガッツリやれる相手だと思いますが、まず丹羽選手にとっては、どういう印象でしょうか?
「たぶん彼に僕の印象を聞いたら『別に何もないっすね、やるだけです』っていうぐらいの感じでサラッと終わると思うんですけど、僕は、彼は努力家だろうと思うし、気合と根性とガッツのある選手だと思うし、昨年末にはKROSS×OVERのチャンピオンになって、努力を実らせた選手でもあると思うので、僕が15年間やってきた集大成を思いっきり解き放つのにふさわしい相手じゃないかなと思ってます」
──思いっきり解き放って、最後はどう勝ちたいと思っていますか?
「僕はもう自力では全然何もできなくて、本当にこの15年間、チャンピオンになるまでも10年かかりましたし、自分だけのマンパワーでは全然大したことはできないんですけど、みんなの力を借りるということにはすごい長けていて、それが『TEAMニワールド』でもあるんですけど。TEAMニワールドはアメリカン・トップチームみたいにいろんなプロフェッショナルの人に集まっていただいて、いろんなジャンルのプロフェッショナルに力を貸していただいてるんですね。
今回に至ってはけっこう大応援団で来ていただく形になると思うので、その方々から『勝てるの?』『勝てよ!』っていう勝利の元気玉を集めて、僕の金色の元気玉を思いっきりぶつけようと思っています。リングも会場そのものも自分の色に染めて、元気玉を放とうと思ってます」
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格闘技で人生を豊かに生きる
──ただその舞台が4年ぶりのリングということで、普通はブランクは大丈夫なのかなと思ってしまうところなんですが……。
「この4年間、サボってきたわけじゃなくてずっと動いてたんですよ。臨戦態勢というか、試合はしてないですけど、試合さながらという感じで自分のトレーニングをずっとやってきて、体重も感覚値も全然変わってなくて。だから実戦という意味では、後楽園のリングに上がった時に本当の自分の真価が分かると思うんですけどブランクの心配はないし、それは当日分かると思っています」
──その最後のリングで一番伝えたいことというのは?
「いくつになっても挑戦するっていうことの大切さを伝えたいですし、僕の中では最後の、『引退』という名のタイトルマッチだと思ってるので、自分のタイトルマッチをここで制して、自分のベルトを掲げてリングを降りたいと思ってます」
──リングを降りた後は、今やられていることをそのまま続けていく?
「そうですね。格闘技で飯を食える状態を作っていきたいし、子供たちが目指したくなる世界を作っていくには、現役がちゃんと見せていかないといけないと思ってるので、現役が終わってもちゃんとアスリートが社会に必要とされて、それなりにメシが食えるという形をちゃんと作りたいと思っています。格闘技でちゃんと生活ができて家族を養える状況を自分が作って、自分が満たされた上で、選手たちが活躍できるステージというかフェーズを作っていきたいと思ってるので、今は出張でトレーナーをやって自分で生計を立てていますけど、そういう拠点を持って、ジムで、格闘技で人生を豊かに生きるということを現実にしていきたいですね。
トレーナーもしかり、来てくれるお客さんもしかりで、『ありがとう』の数の分だけ対価がいただけると思うので、そういう形を作って、アスリートの命の価値を上げるっていうことをどんどんやっていきたいですし、格闘技もこれからまたどんどん新しいフェーズに入っていくと思うので、その中で僕も携わっていきたいなと思っています」
──そういう意味では、今は『KNOCK OUT』のフェーズもどんどん変わっていっていると思うんですが、そこはどう見てきていますか?
「まだ試行錯誤だと思うんですよね。今はREDルール、BLACKルールから始まり、UNLIMITEDを始めたりとか、今は模索しながらやってますよね。レフェリーだったり大会だったり選手だったり、新しい形を今も求めている中で、ただ生物もそうですけど、変化し続けていかないと生き残っていけないと思うので、そういう意味では『KNOCK OUT』の、変化をいとわないっていうスタイルはいいことだと思いますし、AIとかそういうバーチャルな世界がどんどん蔓延っていく中で、逆にリアルな世界っていうのがメチャクチャ盛り上がっていくフェーズに入っていくと僕は思ってるんですね。
そうなった時に新しい形を生み出せるかどうかっていうところがすごい大事だと思うので、『KNOCK OUT』がこれからどういう形に収まっていくのか、変化していくのかっていうのは、僕も一緒に関わっていきたいと思っています」
──格闘技だけじゃなく、『KNOCK OUT』にも関わっていく気持ちがすごくあるということですね。
「そうですね。もちろん山口代表が僕を必要としてくれるなら僕も何かの形で応えたいなと思ってますし、それをどんどん、形として作っていきたいですね」
──では最後に、最後のリングとなる今回の試合で、一番注目してほしいというポイントはどこでしょうか?
「試練や葛藤、乗り越えなきゃいけない苦悩を乗り越えた先に、最高の未来が待ってるっていうことを自分が体で証明したいので、それをみんなで一緒に体感してほしいと思っています」