ONE 1702025年1月24日(金)タイ・インパクトアリーナ※U-NEXTにてLIVE配信
▼第12試合 フェザー級ムエタイ世界タイトルマッチ 3分5R〇タワンチャイ・PK・センチャイ(タイ/王者)[2R 1分10秒 TKO]※3ノックダウン×スーパーボン(タイ/同級1位・挑戦者)※タワンチャイが4度目の防衛に成功。
【写真】入場時にタイの有名ラッパー「MILLI」とともに登場したタワンチャイ。 王者タワンチャイがスーパーボンを挑戦者に迎えて4度目の防衛戦を行う。
タワンチャイは地方で試合経験を積んだ後、14歳でルンピニースタジアムに上がった。2018年にはクラップダムを3度破り、同年のルンピニースタジアム・オブ・ザ・イヤーとタイ国スポーツ局ファイター・オブ・ザ・イヤーなど4つの年間MVPを受賞。2021年5月にONE初参戦。2022年9月、ONEでの5戦目でペットモラコットを破りONEムエタイ世界フェザー級王座を奪取した。同王座は2023年2月にジャマール・ユスポフをローキックで1Rわずか49秒でKO、12月にスーパーボンに判定勝ち、2024年6月にジョー・ナタウットに判定勝ちと3度の防衛に成功している。長身を利したサウスポーのフィームー(テクニシャン)。戦績は133勝31敗2分。
スーパーボンはブアカーオの元で腕を磨き、2021年10月のONEフェザー級キックボクシング王座決定戦でジョルジオ・ペトロシアンを右ハイキックでKOして戴冠。2022年3月の『ONE:X』ではマラット・グレゴリアンを判定で完封し、初防衛にも成功した。2023年1月、チンギス・アラゾフに2R KO負けで王座陥落。12月にはONEフェザー級ムエタイ世界王者タワンチャイに挑戦も判定負けで王座奪取ならず。しかし、2024年4月にマラット・グレゴリアンから判定勝ちし、フェザー級キックボクシング暫定王者となった。前戦はムエタイでタワンチャイを2度苦しめたジョー・ナタウットに右縦ヒジで初回KO勝ち。戦績は116勝(29KO)36敗。
前述の通り、両者は2023年12月にもタイトルマッチで対戦。タワンチャイの左ミドルとスーパーボンの右ミドルの蹴り合いとなり、前蹴りを上手く使ったタワンチャイがスーパーボンのパンチを封じて2度目の防衛に成功した。
1R、まずはスーパーボンが右ハイで先制し、タワンチャイがスウェーでかわす。サウスポーのタワンチャイは強い左インロー、スーパーボンは右ミドルも両者ともスネでブロックする。スーパーボンはタワンチャイの蹴りに右ストレートを何度も合わせに行く。それでもタワンチャイは左ミドルを当てに行く。
2Rになると、タワンチャイは左ミドルを蹴るとすぐに手を伸ばして身体を引き、スーパーボンの返しの右を防ぐ。そのため左ミドルに右ミドルを蹴り返してきたスーパーボンの蹴り足をキャッチして流し、すかさず右フックからの左ストレートをヒットさせ、グラついたスーパーボンへ連打を見舞って右フックからの左ストレートでダウンを奪う。
怒涛のラッシュを仕掛けるタワンチャイが右フックで2度目のダウンを追加。さらに左ストレート、左右フック、左右アッパーと連打を見舞い、スーパーボンの右フックやヒジをかわして反撃を許さず、最後は左ストレート。後ろにスーパーボンがバッタリと倒れ、タワンチャイが見事なKO勝ち。
4度目の王座防衛、そして5万ドルのパフォーマンスボーナスも受け取ったタワンチャイは「この日のために厳しい練習をしてきたので今はとても解放された気分です。ここ数戦は完璧な準備が出来ていなかったけれども、今回は本当に完璧な準備が出来ていた。前回とは違うスタイルでいかないとファイトIQが高いスーパーボンには勝てないと思っていました。次の目標はキックボクシングルールのベルトも獲ることです」と勝利者インタビューに答えた。
[nextpage]
▼第11試合 バンタム級 MMA世界タイトルマッチ 5分3R〇ファブリシオ・アンドラージ(ブラジル/王者)[1R 0分42秒 TKO] ※左ボディ→右フック、パウンド×クォン・ウォンイル(韓国/同級3位・挑戦者)※アンドラージがバンタム級王座初防衛に成功 2022年6月の対戦以来、2年7カ月ぶりの再戦。前戦はアンドラージが1R レバーキックでTKO勝ちしている。
アンドラージはMMA9勝2敗、中国のクンルンファイトや武林風でキックやムエタイを戦ったストライカー。2020年7月のONE参戦から5連勝し、2021年2月には佐藤将光に判定勝利し、実力を証明した。2023年2月の前戦でジョン・リネカーに4R TKO勝ちでONEバンタム級王座を獲得している。MMA9勝2敗1無効試合。2023年11月にはジャナサン・ハガティとキックボクシングバンタム級王座を争い、2R TKO負け。1年11カ月ぶりのMMA戦となる。
ウォンイルは14勝4敗。テコンドー&BJJ黒帯。2014年に日本のDEEPでプロMMAデビュー。2015年にGLADIATORでも勝利し、2019年1月にONEデビュー。アンソニー・エンジェレンに1R TKO勝ちするも、2戦目で今成正和に一本負け。その後も松嶋こよみ、佐藤将光に敗れるも、2020年11月にブルーノ・プッチにTKO勝ちすると3連勝。前述の通りアンドラージに敗れたものの、マーク・アベラルド、アルテム・ベラー、シネチャツガ・ゼルトセトセグを相手に3連勝で王者ファブリシオへの挑戦とリベンジ戦の権利を手にした。
1R、サウスポー構えのアンドラージに、オーソのウォンイルはワンツーの右で前に出るが、左ミドルで迎撃するアンドラージは、左テンカオを見せて左ボディから右フックでダウンを奪うと、鉄槌を両手で連打し、レフェリーが間に入った。
試合後、アンドラージは「ウォンイルがあんなに前に出てくるとは思っていなかった。作戦ミスだね。MMAでもっと強くなりたい。今年は3回は防衛したい」と語り、今後の対戦相手として、同級2位のステファン・ローマンの名前を挙げた。
[nextpage]
▼第10試合 暫定バンタム級ムエタイ世界王者決定戦 3分5R×ニコ・カリロ(スコットランド/同級2位)[1R 2分35秒 TKO] ※3ノックダウン〇ナビル・アナン(アルジェリア/タイ/同級5位)※アナンがONEバンタム級ムエタイ暫定王者に
カリロはスコットランド出身の25歳で、WMOウェルター&スーパーウェルター級王座、ISKAムエタイ世界65㎏級王座などを獲得。2023年4月にONEに初参戦すると、フルカン・カラバフを3R TKO。6月にムアンタイ・PK・センチャイを2R TKO。12月には元王者のノンオー・ハマをヒジ打ちで2R 失神KOに下し、2024年7月にはセーマペッチと対戦。2Rに3度のダウンを奪ってKO勝ちしてスーパーレックとハガティの勝者との対戦をアピールしていた。戦績は27勝3敗1分。ONEで4連勝、ONE参戦前から合わせると15連勝中。
アナンはテコンドー、空手(いずれも黒帯)を経てムエタイを始め、パタヤの地方スタジアムで経験を積んで2017年からルンピニーとラジャダムナンのメジャースタジアムに進出。2022年5月にはWBCムエタイ世界フェザー級王座に就いた。RWS出場を経て、2023年6月にONE初出場にしてスーパーレックと対戦したが初回KOで敗れている。
しかし、9月にはナックロップを右クロスでKO、12月には元ルンピニースタジアム認定ライトフライ級王者の“エルボーゾンビ”ことムアンタイを判定で破り、2024年7月にはクラップダムをヒザ蹴りでKOしてみせた。8月には本戦出場でフェリペ・ロボにも判定勝ち、9月にソー・リン・ウーに判定勝ちで5連勝の快進撃。また、2020年8月にはラウェイにも挑戦して勝利している。192㎝という規格外の長身で、戦績は37勝5敗1分。
この試合の勝者(暫定王者)は2025年3月23日(日)さいたまスーパーアリーナ『ONE 172:TAKERU vs. RODTANG』(U-NEXT独占PPV配信)にて、正規王者スーパーレックと世界王座統一戦を行う。
1R、前に出て圧をかけるのはカリロ。アナンはジャブと右ボディストレート、右ロー。カリロが近付いてくるところにジャブを打つ。徹底してジャブを突き、カリロを近づけさせないアナンはジャブから槍のような右ストレートを打ち抜いてダウンを奪う。
さらにワンツー、右ミドル、ヒジ、右ストレートの連打でラッシュをかけるアナン。カリロがたまらず組み付くと、アナンは右の押しヒザから得意の天を突く右ヒザ蹴り、一度離れての右ハイでダウンを奪う。
何とか立ち上がったカリロだが、アナンは左右フック、下がったカリロにワンツーから右フックを叩き込み、アナンが3度のダウンを奪ってTKO勝ち。暫定王座に就き、3月日本大会でのスーパーレックとの再戦を決めた。
アナンは両親に感謝の言葉を述べ、ベルトを父の肩に掛けた。パフォーマンスボーナスも手にしたアナンは「(スーパーレック戦へ向けて)しっかり準備します。今日よりも強くなって戻ってきます」と語った。
[nextpage]
▼第9試合 キャッチウェイト (64.63kg) ムエタイ 3分3R〇セクサン・オー・クワンムアン(タイ)[判定3-0]×ソー・リン・ウー(ミャンマー)
セクサンは、キャリア201戦を誇るレジェンド。ラジャダムナンスタジアム王者で、2023年1月にONEフライデーファイツに参戦。怒涛の6連勝でONE本契約を獲得したが、2024年4月に麻火佑太郎に判定負け。しかし、2024年9月にはリアム・ハリソンを2RでKOし、直近の戦績は9勝1敗と好戦績を残している。
ウーはラウェイの選手で2010年ゴールデンベルト60kg級王者。驚異的な打たれ強さから“マン・オブ・スティール”“アイアンマン”というニックネームが付けられた。2019年12月にはラウェイの試合でパコーンを頭突きでKOしている。ラウェイ戦績は71勝(68KO)3敗52分。ONEには2024年2月に初参戦すると津橋雅祥にTKO勝ち、3月にファビオ・レイスにも左ストレートでKO勝ち、7月にはルンピニー2階級制覇のポンシリをもKOして3連勝を飾ったが、9月にナビル・アナンに判定負け。 当初は64.41kgのキャッチウェイトで行われるはずだったがウーが体重超過。64.63kgのキャッチウェイトに変更となった。
ムエタイの鉄人vs.ラウェイの鉄人という戦いだ。
1R、ジャブの突き合いからセクサンが右ミドル、ウーは左右のロー。ウーの右ストレートが当たるが、セクサンはすかさずヒザを返す。組み付くとセクサンが右ヒジ。ジャブと右ローのセクサンは右フックでウーをグラつかせ、ウーが組み付くとヒジを見舞う。ウーは流血。
セクサンは縦ヒジを出して前へ出る。組み付くとウーがパンチの連打もセクサンはヒザを蹴る。ウーが左フックを振って前へ出てくるとセクサンは左ヒジ、さらに右フックを叩きつける。
2Rも前に出るウーをセクサンは右ローで迎え撃つ。左右ストレートを繰り出すウーにセクサンは右ヒジ。左の縦ヒジで飛び込んだセクサンがヒジの連打、首相撲からのヒザ。ウーもパンチを連打する。セクサンは右フックをヒットさせるがウーの前進は止まらない。そこへセクサンがヒジ、首相撲からのヒザ。ウーもアッパーや細かいパンチで応戦する。
3R、セクサンに大歓声を送る観客。セクサンが首相撲からヒザを蹴るたびに掛け声が起こる。セクサンが組んでくるところにアッパーを突き上げるウーだが、組まれてヒザを蹴られる。セクサンは左ボディストレートを打ち、右ヒジで飛び込む。下から突き上げるような独特な右ヒジを打つセクサン。ジャブから右フック、右ヒジも。それでもウーは左右フックを放ち、セクサンがヒジで迎え撃つ。
タフファイトは判定3-0でセクサンが制した。
[nextpage]
▼第8試合 フェザー級 ムエタイ 3分3R×ジョー・ナタウット(タイ)[2R 2分34秒 TKO]※3ノックダウン〇バムパラ・クヤテ(フランス)
ナタウットは10歳でムエタイを始め、2013年にはアメリカへ渡って試合を行い、ラスベガスを拠点とする『LION FIGHT』で2階級を制覇。2018年4月にONEに参戦すると、ジョルジオ・ペトロシアン(2敗)、チンギス・アラゾフ、ジャマル・エスポフと強豪に敗れたが、2023年10月にスーパーボンの代打としてタワンチャイと対戦。判定で敗れるも右ストレートと右ローでタワンチャイを苦しめた。
2023年12月にルーク・リッシに判定勝ちして連敗を脱出し、2024年6月にタワンチャイとONEフェザー級ムエタイ世界タイトルマッチで再戦。またもタワンチャイを苦しめ、判定2-0で敗れたが観客はタワンチャイにブーイング。9月のスーパーボンとのムエタイ戦では1RでKO負けを喫した。
クヤテは身長187cmの長身フランス人ムエタイファイター。2023年10月『ONE Fight Night 15』の初参戦ではシャーキル・タクレティに判定負け。2024年7月の『ONE Fight Night 23』でルーク・リッシにTKO勝ちして今回が本戦初登場。
1R、長身のクヤテが右ロー、ナタウットは少しずつ前へ出ての左ミドル。クヤテはサウスポーになって左ミドル、左ロー。ナタウットは左ローと右インローを蹴る。ローの蹴り合いが続き、ナタウットが右ミドルを蹴ったところでクヤテがキャッチ、そのまま右ストレートを打ってダウンを奪う。
左右ストレートで襲い掛かるクヤテが左ストレートでダウンを追加。もはやフラフラのナタウットに再びクヤテがワンツーを打ち込み、最後のダウンを奪ってクヤテのTKO勝ちとなった。
[nextpage]
▼第7試合 ライト級 ムエタイ 3分3R〇シンサムット・クリンミー(タイ)[1R 2分34秒 TKO] ※3ノックダウン×ナウゼット・トルヒーリョ(スペイン)
シンサムットはムエタイジムを営む家庭に生まれ、4歳から練習を開始。兄は海外で活躍し来日経験もあるスッドサコーン。21歳で徴兵されるとボクシングでナショナル王者にも輝き、2019年の国際ミリタリースポーツカウンシルでのトーナメントではオリンピックボクサー2人から勝利を収めた。兵役を終えてムエタイに復帰すると2022年3月にONE初参戦を果たし、ニキー・ホルツケンをカウンターの右でKOした。2022年10月にはONEムエタイ世界ライト級王座決定戦をレギン・アーセルと争い、判定2-1の僅差で敗れ、2023年3月の再戦でのタイトルマッチではKOで返り討ちにされた。その後は2勝2敗で現在連敗中。
ナウゼットは2023年8月の『ONE Fight Night 13』に初参戦してルンラーウィーに判定負け。2024年2月の『ONE Fight Night 19』でリアム・ノーランに判定勝ちして今回が本戦初出場。
1R、前へ出ていくのはシンサムット。左ミドルを蹴ってジャブ、ワンツー。トルヒーリョは前へ来るところを左フックで迎え撃つが、シンサムットに入られてのワンツーをもらい、さらにワンツーでダウンを奪われる。
一気に詰めるシンサムットが右フックでダウンを追加。パンチで襲い掛かるシンサムットにトルヒーリョはパンチとバックスピンエルボーで抵抗するが、シンサムットの右ヒジをまともにもらって最後のダウン。シンサムットが圧倒TKO勝利を飾った。
[nextpage]
▼第6試合 フライ級 ムエタイ 3分3R×ジョハン・ガザリ(マレーシア/米国)[判定0-3]〇ジョハン・エストゥピニャン(コロンビア)
18歳のガザリは家族全員がムエタイ選手。ONEには2023年2月の『ONE Friday Fights 6』から参戦すると、タイ、ロシア、メキシコのファイターに5連勝。2024年6月の『ONE 167』で本戦初出場を果たしたが、ニューイェン・トラン・デュイ・ニャットに判定負け。9月の『ONE 168』ではホスエ・クルスを初回KOした。
エストゥピニャンはコロンビア初のONEファイターで、2024年5月の『ONE Friday Fights 64』で初参戦、トリッキーなファイトスタイルで大森弘太を1Rわずか27秒でKO勝ちし、6月の『ONE 167』ではザファー・シャイックに判定勝ち、9月の『ONE 168』ではショーン・クリマコをKO、10月の『ONE Fight Night 25』でもザカリア・ジャマリをKOして4戦全勝。
1R、軽快な動きのエストゥピニャンがサウスポーから派手な蹴り技で先制。前蹴り、飛び蹴り、飛びヒザと放って行き、ガザリはワンツーで前へ出ていくが蹴りの距離のためエストゥピニャンに届かない。ならばと右インローで足を止めにいくガザリ。そのローにエストゥピニャンは左ストレートを放つ。
エストゥピニャンは右カーフから左の顔面前蹴り。エストゥピニャンの右前蹴りにガザリが右ストレートを合わせ、のけ反っていたエストゥピニャンにタイミングよく当たりダウンを奪う。抗議するエストゥピニャンだがカウントが数えられた。
2R、エストゥピニャンはハイキックに顔面前蹴り、ガザリはワンツーですぐに前へ出ていく。エストゥピニャンの飛び二段蹴りにも即座に右を返すガザリ。左ミドルから左ストレート、右ミドルから右ストレート、左ハイから左ストレートと攻め込むエストゥピニャン。
ガザリはエストゥピニャンが蹴りを放つとすぐに右を打って行く。さらに右ローで軸足を蹴る。右ローで前へ出ていくガザリだが、そこへエストゥピニャンが左ミドルからの左ストレートでダウンを奪い返した。
3R、前へ出るガザリはハイキックを蹴り合い、エストゥピニャンの蹴りに右を打つ。さらに右ロー。エストゥピニャンはジャブを多用し始め、左右にスイッチしながらワンツーを打つ。
このラウンドはあまり蹴らず、前手のジャブとフック、ガザリが詰めてくるとボディストレート。ステップで軽快に回り込んでガザリの突進をかわし、ジャブを突いては回り込むエストゥピニャン。試合終了すると、エストゥピニャンはケージに登ってバック宙を決めた。
両者は向かい合ってダンスのステップを刻み、笑顔でハグ。判定は3-0でエストゥピニャンが勝利を収めた。
[nextpage]
▼第5試合 ライト級→キャッチウェイト176ポンド契約 MMA 5分3R〇モーリス・アベビ(スイス)※計量ミス[1R 2分46秒 TKO]×サマット・マメドフ(カザフスタン)※計量ミス
1R、両者が計量ミスでキャッチウェイト戦に。ともにオーソドックス構え。
先に圧力をかける体重超過のアベビは右ストレートの踏み込み! マメドフも右フック、入りに右アッパーを狙うが、すっと離れたアベビに、遠間から足を取りに行くマメドフだが、切るアベビがバックスピンキックも。
遠間からシングルレッグのマメドフを切ったアベビはマメドフのバックに。片足をかけてテイクダウン。グラウンドをヒザを当てて、パウンド。鼻を折った下のマメドフがタップした。
アベビはMMA9勝1敗に。マメドフは初黒星で10勝1敗となった。
[nextpage]
▼第4試合 無差別級 サブミッション・グラップリング〇マルセロ・ガウッシア(ブラジル)173.50 lbs(78.69kg)[4分49秒 ノースサウスチョーク]×今成正和(日本)158.75lbs(72.00kg)
サブミッショングラップリング無差別級で、今成正和(日本)とマルセロ・ガウッシア(ブラジル)が対戦する。無差別級戦ゆえ、6.6kg差の対戦。
“マルセリーニョ”ことマルセロ・ガウッシアはブラジリアン柔術、そしてグラップリング界のレジェンド、約15年ぶりの試合復帰となる。
4度のADCC世界王者、5度のIBJJF世界王者であり、BJJの“GOAT”として広く知られているガウッシアは、2011年のADCC世界選手権でほぼ完璧なサブミッション・レートで金メダルを獲得し、頂点に立つと、米国ニューヨークにアカデミーをオープン。コロナ禍に伴い、ハワイに移住し、現在、41歳の彼は家族と過ごし、ニューヨークとハワイにあるワールドクラスのアカデミーを成長させることに力を注いできた。
そして子供達の成長とともに、試合復帰への意欲が湧いてきたという。しかし2023年初頭、食事中に違和感を感じたガウッシアは、念のため検査を受けた結果、胃がんと診断され、手術へ。治療の末に寛解し、試合復帰する。
今成はONEでは、MMAでラディーム・ラフマン、クォン・ウォンイルに連続一本勝ち後、2022年4月のグラップリング戦でマイキー・ムスメシに1R リアネイキドチョークで敗れた。
国内MMAでは、2021年10月のRIZINで春日井“寒天”たけしに腕十字で一本勝ちも、芦田崇宏、鈴木千裕に判定負け。2024年2月の前戦で摩嶋一整に2R 腕十字で一本勝ちしている。
1R、ケージまで下がり、あえて金網を背にする今成。ガウッシアは左手を掴んで引き寄せてシングルレッグでテイクダウン。ハーフガードの今成。ガウッシアは腰を上げて左ヒザを抜くと再びからむ今成。上半身を押さえるガウッシアに、下からニンジャチョークを狙う今成。
首を抜くガウッシアはサイドにパス、上四方狙いからマウントで肩固めへ。腕を組んで防ぐ今成に再び上四方で逆時計回りで左脇を挟んで必殺ノースサウスチョークへ。ブリッジで防ごうとする今成を押さえて絞めて極めた!
涙で勝ち名乗りを受けたマルセリーニョは、「子供の前で試合したのは初めて。(闘病を乗り越えたのは?)愛がすべてだ。問題が起きたらみんながわかちあうこと。みんなで支え合った。ほぼ14年間、戦ってなかったから、今後たくさん戦っていく。次はすぐにでもやりたい。復帰戦の相手は青木真也がよかったんだ。青木真也と戦いたい」と、ADCC2005以来の再戦を希望した。
[nextpage]
▼第3試合 フェザー級 キックボクシング 3分3R〇野杁正明(team VASILEUS)[2R 0分14秒 KO] ※右インカーフキック×シャーキル・タクレティ (イラク)
野杁は2009年にK-1甲子園初となる高校1年生王者になり、“怪物”と呼ばれるようになった。圧倒的なテクニックと類まれなるセンスでプロ転向後すぐにトップクラス入りし、WBCムエタイ日本スーパー・ライト級王座、第2代Krushウェルター級王座、NDC -66kg王座などを獲得。2017年6月には日本人選手として初めてゲーオ・ウィラサクレックに勝利し、第2代K-1 WORLD GPスーパー・ライト級王者に。
翌年にはウェルター級に転向し、ジョーダン・ピケオーには敗れたもののその後は連勝。2021年9月の「第2代ウェルター級王座決定トーナメント」を全試合KOで制して2階級制覇。2021年のMVPを獲得した。2022年6月の『THE MATCH』で海人との国内頂上決戦に敗れるが、その後は2連続KO勝ちで復活。2024年6月に『ONE 167』でONE初参戦を果たしたがシッティチャイに判定3-0で敗れた。12月の2戦目でもリウ・メンヤンにも判定で敗れ連敗中。戦績は49勝(25KO)13敗。
タクレティは2023年10月の『ONE Fight Night 15』でONE初参戦。バムパラ・クヤテに判定勝ちを収めたが、2024年1月の2戦目でルンラーウィー・シッソンピーノン(タイ)にTKO負け。過去2試合はオープンフィンガーグローブ着用のムエタイルールで試合をしており、ヒジ打ちでダウンを奪ってもいる。186cmの長身(野杁は175cm)。加えて、クヤテ戦は79.15kgのキャッチウェイト、ルンラーウィー戦は1階級上のライト級(-77.1kg)で試合をしていた。
1R、野杁は高いガードで構えて左右ロー、タクレティは組んでヒザを蹴って注意を受ける。前蹴りとジャブのタクレティに野杁は右ロー、左ミドルハイも蹴る。野杁の右カーフにバランスを崩すタクレティはスリップダウン。ヒザを蹴るが足を戻したところを野杁に右ローを蹴られる。ガードを固めて前へ出る野杁が詰めていき、タクレティはヒザで応戦も右カーフで手を着きダウン。
2Rが始まってすぐ、野杁が右インカーフで右足を蹴るとタクレティはダウン。そのまま立ち上がる素振りはなく、野杁のKO勝ちとなった。ケージに登り、勝利をアピールする野杁。3戦目にしてONE初勝利を飾った。
満面の笑顔で勝利を喜ぶ野杁は「素直に嬉しい気持ちが一番ですけれど、12月に負けたにも関わらず短期間でこんな素晴らしいイベントに出させていただいたONE Championshipとチャトリ代表に感謝しかないです。日本大会あるので怪我もないですし、準備も万全にできているのでぜひ出させていただきたいです。僕がONEに参戦した目標はフェザー級のベルトを獲ることなのでそれにつながる、どんな相手でも挑戦していきたいと思うのでベルトにつながる試合を組んでもらえたら嬉しいです」と勝利者インタビューに答えた。
[nextpage]
▼第2試合 キャッチウェイト (62.26kg) ムエタイ 3分3R〇スリヤンレック・ポー・イェンイン(タイ)[2R 2分09秒 TKO] ※3ノックダウン×タン・ジン(ミャンマー)
スリヤンレックはラジャダムナンとルンピニーの2大殿堂でランキングに名を連ねたほか、タイのテレビマッチである『ワンソンチャイ』フェザー級王者の肩書を持つ。パンチを得意とするハードパンチャーで、激闘派ファイターとして名を馳せ、2019年12月のK-1名古屋大会に初来日。当時K-1スーパー・バンタム級王者の武居由樹と対戦。合計3度のダウンを奪われて判定で敗れるも、そのたびに立ち上がって武居に反撃。3R終盤には猛反撃に出て武居をヒヤリとさせた。2020年2月にも再来日したが、軍司泰斗に判定で敗れている。ONEには2023年7月の『ONE Friday Fights 25』から参戦し、タイ人を相手に4勝2敗。前戦は2024年9月にジャオスアヤイに判定負け。
ジンはラウェイの戦士。『ONE Friday Fights』には2024年2月から出場し、ジャイシン・シットナヨックパンサック(タイ)に鮮やかな左フックのカウンターで2R TKO勝ち。8月にはタイ・ソー・チョー・ピャッウータイ(タイ)もボディへの猛攻で1R1分14秒、マットに沈めている。9月には武尊との初のキックボクシング戦に臨み、2RにKOで敗れるも1Rに武尊から左フックでダウンを奪った。 当初この試合は60.78kgのキャッチウェイトで行われるはずだったがスリヤンレックが計量オーバー。62.26kgのキャッチウェイトで行われることになった。
1R、ジンが右カーフで先制。スリヤンレックも右ローを返すが、ジンの右カーフで転倒する。スリヤンレックはジンの右カーフをもらうたびにバランスを崩しながらもパンチを返す。ジンは徹底してジャブからの右カーフかと思えば左ボディを打つ。スリヤンレックは前へ出て右フックを思い切り振るが、ジンに右カーフを蹴られて後退。ジンの左フックからの右カーフで大きくグラつくスリヤンレック。
2R、ジンの右カーフでグラついたスリヤンレックにジンは飛びヒザ蹴り。追い込まれたスリヤンレックだが、ジンの右カーフに右フックを合わせて尻もちをつかせる。続けてジンの右カーフに今度は左フックを合わせ、ジンが倒れるとダウンがコールされた。
両手を大きく広げて「ダウンじゃない」とアピールするジンだが、試合は続行。スリヤンレックがラッシュを仕掛け、左右フックの猛攻。ジンも打ち合うが後ろを向き気味に下がろうとしたところで右フックをもらって2度目のダウン。さらに前へ出て左右フックを振り回していくスリヤンレックの右ストレートがさく裂し、3ノックダウンでスリヤンレックが逆転勝利。
スリヤンレックは勝利者インタビューで「インターバルでセコンドに、足の痛みはあるかもしれないけれどこの試合で全てを出し切らないとダメだ、と言われた」と発破をかけられたと語った。
[nextpage]
▼第1試合 フライ級 ムエタイ 3分3R×フレディー・ハガティー(英国)[判定0-3]〇ジョーダン・エストゥピニャン(コロンビア)
ハガティーは『ONE Friday Fights 49』から参戦すると2連続KO勝ち。兄はONEバンタム級キックボクシング世界王者のジョナサン・ハガティー。エストゥピニャンは今回が初参戦。
1R、サウスポーのエストゥピニャンに右ローを蹴っていくハガティ―。ミドルを蹴り合ったところでハガティ―がワンツー。エストゥピニャンは左ミドルからの左ストレート。
前へ出て積極的に攻めるのはエストゥピニャン。左ミドル、前蹴りと蹴りを多用。ハガティ―は落ち着いた様子でその蹴りを見てかわし、左右ローを蹴っていく。左ボディも入れるハガティ―。次第に圧を高めていくハガティ―。
2R、ミドルを蹴り合う中、前へ出たエストゥピニャンがオーソドックスからの右ストレートをヒットさせてダウンを奪う。再開後も右フックでダウンを追加するエストゥピニャン。ハガティ―も前へ出てワンツーで応戦。エストゥピニャンの左右フック連打をブロックして右を返していく。
ハガティ―の左ボディにはエストゥピニャンが左フックを合わせてグラつかせる。それでも前へ出て打ち合いに行くハガティ―。左ボディ、組み付くと右ヒジ。エストゥピニャンの返してのワンツーはスウェーでかわす。
3R、エストゥピニャンが左ミドル、前蹴りを打ちながら下がるが、ハガティ―が来ると左右フック、体勢を入れ替えてのワンツー。左ミドルから右ストレートを打ったハガティ―が左ボディ、エストゥピニャンをケージに詰めて左右ボディを打つ。
ケージを大きく回り込み、二段蹴りを放つエストゥピニャンだが逃げ切り体勢。ハガティ―は前へ出て左右ボディ、クリンチアッパー、左フックからヒザ蹴り、そしてヒジの連打。エストゥピニャンはガードを固めながらも打ち返す。ハガティ―の猛攻でタイムアップ。
判定は3-0で2度のダウンを奪ったエストゥピニャンの勝利となった。