空手仕込みの蹴りを連発した元プロボクサーの中島
2024年12月30日(月)神奈川・横浜武道館『K.O CLIMAX 2024』にて、KNOCK OUT-BLACKウェルター級王座決定トーナメント決勝戦3分3R延長1Rで、渡部太基(TEAM TEPPEN)と対戦する中島玲(フリー)が18日(水)都内にて公開練習を行った。
中島は2019年にボクシングでプロデビュー。2020年10月にプロ4戦目にして前OPBF東洋太平洋ミドル級王者・細川チャーリー忍を判定に破る大金星をあげて注目を浴びる。2023年4月には日本スーパーウェルター級暫定王者決定戦でTKO勝ち。2024年1月9日にボクシングで最後の試合を行い、6勝(1KO)2敗の戦績を残してキックボクシングに転向した。3月20日の『K-1 WORLD MAX』でヴィクトル・アキモフにKO負けも、6月のKNOCK OUT初参戦でKNOCK OUT-REDスーパーライト級王者・バズーカ巧樹をTKOに破った。10月の1回戦では漁鬼とダウン応酬の熱闘を繰り広げ判定勝ち。
公開練習ではパンチよりも蹴りを中心としたサンドバッグ打ちを披露。何度もハイキックを繰り出し、キックボクシングの戦い方によりアジャストしてきたところを見せつけた。
対戦する渡部と同じ場所での公開練習となったが「意識はしますけれど、あまり気になったりはしませんでしたね」と言い、蹴りを多用したことは「舞台はキックボクシングなので、そろそろキックボクサーとして見せないとなと思いました」と意識していたする。
「蹴りの感覚はだいぶ取り戻しましたね。小さい時に極真空手をやっていて、蹴りは空手系なのかなと思うけれど、キックボクシングもムエタイも昔練習をやっていたので多彩な蹴りをこれから見せていければと思います」と、ボクシングテクニックだけでなく蹴りのテクニックもそろそろ見せていきたいとした。蹴りは「右利きなんですが左も得意で。パンチも蹴りも左の方が全般的にいい技が出せますね」と左の方が自信がある。ハイキックが多めだったのは「無意識でした」とのこと。
試合はメインイベントで行われることが決まり、期待の高さがうかがえるが「公開練習も相手がいるので控えめにと思った部分もあったんですが、メインを任されている身なので公開練習ひとつでもこの選手の試合が見たいなと思ってもらえるようにしたいと意識して公開練習に臨みました。その覚悟の違い、覚悟も見てもらえたらいいなと。メインなので」と、メインイベンターとしての自覚として試合が見たくなるような公開練習をしたかったとする。
今年3月にデビューし、わずか4戦目でタイトルマッチまでたどり着いた。そのことについて「デビュー戦で負けたけれど、最初から強い選手がずっと強いよりも、あんな負け方したのにこの選手はだんだん強くなっていくなってのを見てもらいたいので。順調といえば順調ですけれど、一番は運を味方にしたというのがあります。あとはその運を自分でつかむだけです。歩みはなんなら自分としては遅いくらい。挫折も味わってここまで来たので。キックボクシングの戦績的には早いけれど、人生の中ではまだまだ遅いです」と、自分では早いとは思っていないという。
デビュー戦でKO負けを経験して、2戦目から変わったのは何かと聞かれると「気持ちじゃないですかね。小手先の技術云々は正直、持っていて当たり前。上の世界に行こうと思ったら、それにどこまで懸けているか、その気持ちの強さは成長したんじゃないかなと。漁鬼選手にダウンを取られてから後の試合運びも含めて、内容は30点だけど気持ちが見せられたので、そこは成長を見せられたと思います」と気持ちをあげた。
渡部戦は「早い時間で、3R以内にお互い頑張ったなって試合じゃなくて、中島玲凄いなって試合を見せます」と、渡部得意の激闘ではなく自分の凄さが目立つ試合にしたいとする。
改めて渡部の印象を聞くと「気持ちが入っている。勝ちたい気持ちがないとそういう試合は出来ない。人生を懸けて、なんならこの試合で死んでもいいって気持ちで戦ってこられる選手に対して僕はリスペクトを持って殴り合うし、立ち上がって来るならその都度倒してやればいいと思っています。最後は意識を落として僕が王者になるのは頭の中では10回以上イメージトレーニングが出来ています。警戒しているものは全部。この選手だからではなく、相手のことは全部警戒しているので、甘く見ることもなく」と、渡部の意識を刈り取るとした。
渡部のような気持ちの強さで向かってくる相手は過去にいたか、と聞かれると「ボクシングの時もいました。その選手もベテランの選手で。試合が始まる前は僕が勝つだろうと言われていたのに、飲み込まれて負けてしまったのを経験しているので。タイトルが懸かってレジェンドの渡部選手とこの舞台でやるっていうのは、僕がそのベテラン選手に負けたボクシング時代のそれを跳ね除けないと、乗り越えないといけない壁という感じです」と、自分が有利と言われながらもベテラン選手に負けてしまった経験から、同じ轍は二度と踏まないとする。
「この試合でやっとスタートラインに立てると思っています」とし、「KNOCK OUTの王者として中島玲がいるっていうのを見せつけたい。僕自身はバズーカ選手とやった時は65kgだったので65kgでもやりたい気持ちもあります。一番はKNOCK OUTを背負っているのは鈴木千裕選手だと思うので、そこをぶっ倒して僕がKNOCK OUTの顔になりたい」と、タイトルを獲ったら鈴木千裕にチャレンジしたいと改めて話した。
また、究極打撃格闘技ルールのUNLIMITEDルールに興味はあるかと聞かれると「オープンフィンガーグローブで人を殴ってみたいのはあるので、美味しい相手がいたら興味ありますね」と対戦相手次第ではやりたいと語った。