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【UFC】UFC CONFESSIONS──パントージャはいかに朝倉海を極め、朝倉はいかに敗れたか。「純粋なタックルは取られない自信があったけど、あれは──」

2024/12/14 12:12

4の字はマジで全く動かなかった(朝倉)

 朝倉はその瞬間を「足をかけてから、ずっと相手がどういう体勢になるっていうの全部計算していて、隙間も無いし、その辺の読みとか連動してる感じがすごく上手かった。あとバックの時の密着度とか。めちゃくちゃタイトだった、本当に。(4の字は)マジで全く動かなかった。想像よりも強かった」と、ボディトライアングルに腰をずらす隙間がなかったと振り返る。

 王者は試合後、本誌の取材に「もちろんそれこそが極めるために必要だった。すごく得意だから。あの時、ボディトライアングルをとてもタイトに力を込めて絞めた。それは相手を疲れさせることにも繋がる。相手が“解除しなくては”となるから。1Rは足をフックできなかったから海に逃げられたけど。2Rには相手も疲れてきてフィニュシュに繋がった」と言う。

 胴をタイトに両足で巻かれた朝倉はハンドファイトでも劣勢に。

 肩越しのパントージャの右腕をツーオンで両手で掴む朝倉に、パントージャは左脇に差していた左手を抜いて、背後から左手で朝倉の顔を片手で強力なフェイスロックに。

 定石通り、足を組まれた右側を向いて後ろ手を組ませないようにする朝倉だが、パントージャが腕を組み直した瞬間、朝倉の両腕は無防備に。右腕を顎上から巻いたパントージャは、左の二の腕を掴み、左手は掴まれないように自身の頭後ろにいったん隠している。

 この時点で、朝倉はパントージャの右ヒジを押し上げようとするが、二の腕で組んだパントージャの右手は顎下に食い込み。それでも朝倉は両手を頭後ろに伸ばしてパントージャの左手を掴んで剥がして手前に落とすが、その腕はパントージャのワンハンドチョークの右手の上で蓋をする形に。

 朝倉は右手でパントージャの左手は掴んだままながら、左手の力が抜け、失神。レフェリーが両者を分けると、王者は笑顔でスキップしてケージの上に飛び乗った。

 このフィニュシュをDJは、「バックを取られても海はハンドファイトしている。でも、これは僕が柔術をするようになったから言えることなんだけど、パントージャがボディトライアングルを組んだのは、この腰の部分を制すれば上から攻めることができるからだ。だから、彼に背中を取らせてはいけない。

 これがゴールだ。ここから脱出するためには、組んでいる足の側を向かなければならない。ボディトライアングルから二重にからんだ足も解除し、正対する。けど、パントージャはそれもさせずに彼の首を絞めた。ボディトライアングルはとても効果的だ。ガリガリに痩せているときは特に」と、極限まで減量した朝倉にとって、4の字&おたつロックの解除が向き直りに必要だったと語っている。

 パントージャは、「最後は確かに片手で極めた。コーチが僕に常に言うのはフィニュシュするときに100%を使ってはいけないと。とにかく肩を掴んで時間がまだあって、海のうめき声が聞こえたから、ラウンドも序盤で時間があったし、状況に従って極められる方向についていった。それが上手く出来た」と、冷静に組み手争いを行っていたとした。

フライ級は調子が良かった。ただ、パントージャは俺より──(朝倉)

「パントージャに勝つのに必要なのは、1つ目は鉄のアゴ、2つ目は掴まれないこと、3つ目は身体の大きさ」と言うのは、DJだ。「パントージャはATTでベストの選手と練習している。堀口恭司、アドリアーノ・モラエス……階級上の選手とも」と、自身も対戦した強豪たちとの練習がそのタフさの源にあると語る。

 パントージャも「朝倉とのフェイスオフのときに『君はそんなに大きく見えないね』と言ったんだ。でも大きかった。ただ、あの試合のために、僕はATTでたくさんのバンタム級ファイターとトレーニングをしてきた。ATTには多くのいいファイターがいる。だからパワー差は感じないよ」と、朝倉にアドバンテージがあると見られた体格差は感じなかったという。

 7年半ぶりのフライ級転向のため、大幅減量とリカバリーに不安が残るなか、最後の水抜きで約5kgを残していた朝倉にとって、5Rの王座戦でどれだけバンタム級時代の出力が出せていたか。パントージャに背中に乗られた場面、朝倉は背負って振りほどくことが出来ず、クラウンドに引き込まれている。

 試合後の朝倉は、この階級で手応えを得ていたことを語る。

「正直、フライ級に関しては調子が良かった。減量も水抜きもまだ余裕があったし、リカバリーも普段のバンタム級と変わんないぐらい、当日多分65kgくらいまで戻してた。それでも(身体の)重さみたいなのも無い。試合前のアップとかでもすごい調子が良かったし、試合中も力が出ないとかスタミナが無いとかっていうのは全然無かったし、リカバリーもしっかり出来てた。パワー負けしてる感じはしなかったし、組んだ時も全然軽いなと思った。ただ、パントージャが上手くて、その点で俺の実力不足だった。適正が(フライかバンタムか)どっちの方がいいのかっていうのは、100%は分からないけど、ただフライ級に落として、なんか力が落ちたとか、体力無いとかっていうのはあんまり感じなかったから良かったと思う」と、今後もフライ級で戦う意向だ。

「ただ」と続ける朝倉は、「パントージャは俺より戻していたかもしれない。だからその辺はやっぱり、UFC選手は戻し幅が本当に大きいからね。身体作りもより力を入れて考えないといけないっていうのはある」と、フライ級で戦う経験値を、心技体ともに高める必要があることを語った。

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