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2024年12月5日(日本時間6日)に米国ラスベガスのUFC APEXにて『UFC FIGHT PASS Invitational』(FPI)が行われる。
メインイベントでは、ONE Championshipを離れ、UFC入りしたマイキー・ムスメシ(米国)が、ブラジル人グラップラーのフェリペ・マチャドと対戦する。
ムスメシは、2022年4月に今成正和をリアネイキドチョークで極めて、衝撃のONEデビューを飾り、2023年10月には青木真也をアオキロックで極めるなど「ONEフライ級サブミッション・グラップリング世界王者」として活躍した。
2024年6月の「ONE167」でガブリエウ・ソウザからカーフスライサーで一本勝ち。9月にはケイド・ルオトロとのグラップリングドリームマッチが控えていたが、ケイドが負傷したことによって、ベベト・オリヴェイラとの対戦に変更となったが、当初予定されていたライト級(約77.1キロ)から短期間でフライ級(約61.2キロ)に落とすことは難しく、マイキーは体重オーバーで自身が持つフライ級王座をはく奪されている。
その後、自身のSNSでONE離脱を発表し、米国に活動拠点を移してのFPI参戦となる。
▼138ポンド契約(63kg)8+5min
マイキー・ムスメシ(米国)137ポンド
フェリペ・マチャド(ブラジル)138ポンド
FPIには、過去にゴードン・ライアンやニッキー・ロドリゲスをはじめとしたトップグラップラーが出場しており、100万ドルトーナメントを開催したCGIなど、北米グラップリングシーンが過熱しているなかでのムスメシの参戦となる。
FPIは、本戦にポイントはなく(減点あり)、本戦8分間の場合は4分間、本戦10分間の場合は5分間の延長戦が行われる。延長戦ではポイントが発生し、パスが2点、スイープ&リバーサルが2点、テイクダウンが2点、マウントが4点となり、全てのポジションを3秒間キープする必要がある。
計量をクリアしたマイキーは、米国に拠点を移したこと、グラップリング界にもはびこるドーピングのこと、そして自身のメンタルヘルスのことなどを、歯に衣を着せずに語った。
マイキー「UFCでグラップリングをプロスポーツにできることを望んでいる」
「元気です。まず最初に言っておきたいのは、私はアジアでのメディア対応にとても慣れているということ。でも、アメリカに帰ってそれをやっているのはシュールだよ。アメリカ人と交流するのはとてもクールだ。僕はベガスに住んでいる、ここは(UFC APEXは)家から10分くらいのところにあるんだ。だから本当に素晴らしい経験だよ。
でもまた、アメリカで自分のブランドを成長させることができるのは、信じられないことだよ。僕はとても恵まれている。シンガポールと日本は少し似ている。でもアジアとアメリカの文化は少し違うと思う。アジアでもアメリカでも、誰にインタビューされるかなんて気にしないけど、アメリカ人にインタビューされるときは、もっと『Hello Yeah』って言うかもしれない。それが大きな違いかな。
UFCと契約した時、僕はニューヨークにいた。ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでのイベントで、ホテルまで歩いている時だった。その途中でファンに囲まれたんだ。2時間以上外にいて写真を撮っていたと思う。アメリカ人は僕がUFCに移籍したことを喜んでいる。僕がアメリカの会社に入ったことを喜んでくれた。
UFCは世界で一番大きな会社だし、UFCの一員になれたことは本当に感謝している。世界最大のプラットフォームであるUFCで、グラップリングというスポーツの新しい部分を始めることができたんだ。
それは僕にとってとてつもなく大きな責任だ。僕はそれにとても感謝している。グラップリングが成長し続けるために、そしてUFCがグラップリングに投資し続けるために、このプラットフォームを維持し続けたい。自分にプレッシャーをかけているよ。だから今はプレッシャーを感じている。子供の頃は柔術をやるなんて夢にも思わなかった。柔術をやる道も知らなかった。だから柔術を見たとき、お金も何もなかった。母は、黙ってロースクールかメディカルスクールに行きなさいと言ったんだ。だから僕は、子供たちが成長してキャリアを築けるような土台を作ってあげたい。プロ選手になって自分の夢や情熱を追いかけることができる。それが僕の夢なんだ。
だから、とてつもない責任を感じている。他にもゴードン・ライアンやクレイグ・ジョーンズのような人たちは、間違いなくこのスポーツをさまざまな形で成長させてくれた。しかし、今僕がやっていることは、グラップリングにとって間違いなく最も重要なことだと感じている。今の柔術の多くは、とても不安定だと感じているんだ。
倫理観やモラルに欠ける部分が多く、UFCでそれを変え、プロスポーツにできることを望んでいる。なぜなら、柔術はプロスポーツではなかったからだ。彼らはあからさまにPED(身体強化薬)を使い、アスリートではない。武道家の価値観を持っていない。だから、僕はそれを変えたいんだ。UFCでこのプラットフォームを提供し、プロフェッショナルになりたいんだ。
MMAデビュー? 今朝はムエタイをやっていたんだ。柔術と同じ年数ムエタイをやっている。ムエタイが大好きだし、ムエタイをやってみたいけど、神様が僕に柔術の道を与えてくれたんだと思う。そして、僕はまずUFCで私たち(グラップラー)をプロ選手として成長させる必要がある。プロのアスリートとして。それはMMAファイターと同じようにベルトを持ち、すべてを備えているように見える。薬物検査やベルト、そして安定性。そう、薬物検査だ。ステロイドを使用している人は、ステロイドを止めなければならない、次の世代がステロイドを始めることはできない。10歳でステロイドを始めるわけにはいかない。だから、僕はそれを変えたいし、それが一番充実感を与えてくれる。
僕は常に自分に挑戦し、自分を追い込みたいと思っている。将来、ケイド(ルオトロ)と試合ができることを願っている。僕は9月の試合をとても楽しみにしていたからね。
CGIのピット・スタイルの試合は今後も見たい? ああ、100%そうだ。ピットもやってほしい。マットを敷いて壁を作らない従来のやり方は、今となっては時代遅れだと思う。逃げられるから、それをアドバンテージにできる。だから、昔のようにマットの端に身を置く人が多い。だから、グラップリングには不利なんだ。早急に変える必要がある。クレイグはカラテ・コンバットの(すり鉢状の壁の)ピットを使っていて素晴らしかった。彼はこのスポーツに素晴らしい革新を与えてくれた。
(ほかに誰が参加するのに相応しい?)ステロイドを使用していない人。僕が言うのもなんですが、柔術の99%はステロイドをやっている。だから、せめてステロイドを数カ月で止めさせたい。調整には1年6カ月は必要だろう。ダーウィニズムに適応できるかもしれない。でも、そうだね、もし会いたい名前を挙げるならルオトロに会いたいよ。このスポーツの大使だからね。ケイドが欠場したのは残念だったけど、僕はケイドが大好きだ。僕やルオトロ兄弟、他にも何人かいると思う、でも、たぶん最初に思い浮かぶのはこの3人だと思う。僕たちはステロイドを使っていない。僕たちは今の世代よりも武道家なんだ。
アメリカでの試合は素晴らしいことだよ。とてもクールだと思う。自分の国にいて、ファンから認められるというのはね。でも、そのことを考えるとき、自分のためとはあまり考えていないんだ。なぜなら、自分の名前とブランドが大きくなるたびに、僕たちのスポーツの発展に貢献できるから。だから、僕はそれをよりハードなトレーニングを続け、より上達し続けるためのモチベーションとして捉えている。神が僕に与えた道に従うんだ。
2024年は間違いなくグラップリングが盛り上がった年だった。もう一度言うけど、かつてグラップリングトーナメントではお金はゼロだった。だからセミナーをしなければならなかった、ジムを所有しなければならなかった、そしてMMAに転向しなければならなかった。僕たちのスポーツには文字通りお金がありません。つまり、自分の命を犠牲にしている人たちがいる。身体も命も全部かけて、この一つのことをやっているだけで、お金にもならない。それを考えるとちょっと悲しいですよね? そこで今年はCGIでは、100万ドルのトーナメントが行われた。グラップリングすべてがよりプロフェッショナルに成長している。
そして、UFCがついに本格的に参加するところまできた。グラップリングに投資して、今ではそれがよりプロスポーツになる。
ステロイドを使用している人々と試合を始めたら、一体何だ? と思う。彼らは岩のように感じる。スーパーソリッドのようなものだよね。ダン・ゲーブルのことを考えると、彼もそのような人だということが分かる。私のアイドルのことを、近道をする人々について──僕は決して不正行為をしたり、近道をしたりしなかった。だから僕はその人たちよりも強い心を持っている。キャリアを通して常にそれらの人々を克服してきた。このことについて黙っていられない。だって、僕がそれについて黙っていたら、それはただ続くだけだから。だからそれは神からの僕への試練のような気がする。自分の人生にもっと友達を増やすためだけに僕は静かにしている? それとも僕が話すか。さあ、敵が増えた、僕を憎む人が増えた? しかし、僕には変化をもたらすことができます。だから、僕はこれについて話す。
(メンタルヘルスとウェルビーイングについて。声を上げることに苦労しているような若い人たちにメッセージを)そうだね。僕がメンタルヘルスについて話すのは、僕自身のことではないんだ。僕が愚痴をこぼしていると思われたくない。なぜ僕がメンタルヘルスについて話すのかというと、僕が競技をするとき、僕はみんなに完璧な姿を見せるわけではなく、僕が何に苦しんでいるのか、僕の人生にある障害を──誰もが自分の人生の障害と戦っているんだ。この偽りのソーシャル・メディアで生きているような偽りの人生だと感じている。それが余計に人々を暗い気持ちにさせるんだと思う。だから、僕がうつ病について話すとき、障害について話すとき、僕はみんなに僕が戦っていることを見せたいんだ。僕は毎日いろいろなことと闘っている。誰もが自分の人生でいろいろなことと闘っている。そして、僕はまだそこで闘っている。そして自分の人生にある障害に打ち勝つことができる。だから、僕はそのことを口にするんだ。他の人たちがそれを口にするのを助けたいんだ。そして、僕たちの経験や痛み、僕たちが経験している障害を分かち合うことで、僕たちは互いに助け合い、乗り越えていくことができる。お互いに助け合わなければならない。神様が僕に与えてくれた障害だと思う。乗り越えられるだけの力がある。今、僕の障害を他の人と分かち合うのは僕次第だ。彼らにそれらを克服する力を与えてください。ご存知のように、だから僕はそうするのです。皆さん、本当にありがとうございました。すてきな一日を」